受動喫煙が肺に有害であることは知られているが、最新の研究により、糖尿病リスクを増大させる可能性もあることが示された。この研究は米アラバマ大学医学部助教授でバーミンガム退役軍人局医療センター研究員のThomas Houston博士らによるもので、英医師会誌「British Medical Journal」の4月8日号に掲載された。 米国人男女4,500人を対象に15年の追跡研究を行った結果、喫煙者は糖尿病の前兆である耐糖能低下の発症リスクが最も高く22%であったが、本人は喫煙経験がないが受動喫煙している人でも17%に耐糖能低下が認められ、喫煙していたがやめた人の14%よりも多かった。全く喫煙しない人では12%、また、黒人よりも白人に強い影響が認められた。
喫煙者の直接吸う煙よりも、受動喫煙に含まれる有毒物質は異なる温度および化学的条件下で生成されるため、インスリンを産生する膵臓に障害を与える有害物質の濃度が高いことも考えられる。反喫煙団体ASH(Action on Smoking and Health)のJohn Banzhaf氏は、たばこの煙が糖尿病の危険因子であるとすれば、肥満増加の傾向も考え合わせると、極めて重大なことだと指摘する。