この研究はLondon School of Hygiene and Tropical Medicine(LSHTM:ロンドン大学公衆衛生専門大学院)が行った系統的レビューである。Alan Dangour博士らが過去50年間に発表されたオーガニックと通常食品の栄養含量や健康影響についての全ての論文をレビューした。このレビューはこの分野でこれまで行われた研究の中では最も包括的なものである。
FSAは最も最新の科学に基づく正確な情報を消費者に提供するための任務の一環としてこの研究を委託した。 この研究は二部構成で、一つは栄養素の差とその意味について検討し、もう一つはオーガニック食品を食べることによる健康影響について検討した。結果を報告した論文はAmerican Journal of Clinical Nutritionが発表した。 この論文の筆頭著者でLSHTMの栄養と公衆衛生介入研究ユニットのDangour博士は以下のように述べている。「オーガニック作物や家畜と通常生産されたものの間には僅かな栄養素の含量の差があるが、それらは公衆衛生上意味がない。我々のレビューは栄養価が優れているという理由でオーガニック食品を選ぶことには根拠がないということを示す。」
消費者は健康や栄養上のメリットを期待して高価なオーガニック食品を選んでいるように見える。世界の有機食品市場は2007年は290億ポンドと推定され、英国だけで20億ポンドになる。これまでオーガニックの方が栄養価が優れていると結論した報告もあるがそれらは系統的ではない。 Alan D Dangour et al. Nutritional quality of organic foods: a systematic review Am J Clin Nutr (July 29, 2009). doi:10.3945/ajcn.2009.28041 http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/ajcn.2009.28041v1