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雑記帖コミュの2009年8月のsarutaの山行記録(南ア・白根三山縦走)

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7日から9日にかけ、北岳から農鳥岳まで縦走してきました。
先日、つぶれかけのSRCで安売りしていたダンロップR-125テントを購入しまして、今回がデビュー戦になります。
全般に天候がよく、良い山行になりました。
1枚目: 農鳥小屋テン場から見た富士山
2枚目・3枚目: 終着点、身延駅の看板おもてうら

コメント(33)

初日: 広河原〜大樺沢〜白根御池

広河原(11:45)
6:38発のあずさで甲府に行き、甲府駅からバスで広河原へ。到着は11:45。
前年は小屋泊まり前提だったので軽装でしたが、今回はテント・寝袋・調理道具すべて持ち込みのフル個人装備なので、それなりに肩にずっしり来ます。

目標は翌々日の奈良田温泉でのビール。てことで出発〜。

1枚目: 広河原バス停付近
2枚目: バス待合所の看板。肩の小屋ではキタダケソウ開花の情報。
3枚目: 登山口の看板。白峰だか白根だかアレですが、今回は「白根」で通します。
大樺沢二俣まで(12:00〜)

バス停でパンが半額セール(多分賞味期限ぎりぎり)を買って食べつつ、水パックを補充して出発。
天候は晴れていましたが、見上げるバットレス近辺にはガスがかかっているようでした。
予報は「くもり」。翌日の予報は「くもりのち晴れ、夜に雨」でした。
天候は上り坂であることは間違いないので、あわよくばバットレスを見上げに二俣を経由して樹林帯コースを取ることにしました。

1枚目: 広河原から見上げる北岳。ガスってます。

途中途中には山地の花が咲いており、なかなか良い気分です。

2枚目: ソバナ
3枚目: センジュガンピ
で、「白根三山」てどこじゃ?
という人も多いかと思いますので、少々説明を。

今回登った山の中でもっとも標高が高い山は北岳(3193m)で、これは富士山に次いで日本で2番目に高い山です。
ここを中心に、山梨・長野・静岡県にまたがる山脈が南アルプスです。
今回の行程は、山梨県側から北岳に登り、稜線伝いに3000m峰を3つ越えて、南の方に降りるコースです。
距離は26km、登ったり降りたりを繰り返して、総標高差は登り2625m、下り3320mとなります。

一応、Googlemapではこのあたり。
http://maps.google.co.jp/maps?q=%E5%B1%B1%E6%A2%A8%E7%9C%8C+%E5%9C%B0%E5%9B%B3&lr=lang_ja&oe=utf-8&client=firefox-a&ie=UTF8&split=0&gl=jp&ei=0yKMSor-Bo7o6gOLuvCyBg&ll=35.660225,138.247833&spn=0.27783,0.493011&z=11
登山道を1時間ほど登り、大樺沢の沢筋を渡る頃から霧が出始め、そのうちぽつぽつと雨が降ってきました。
他の登山客はほとんどおらず、いかにも単独行といった感じです。
沢は、この連日の雨で増水しているようでしたが、取り立てて橋が渡れないこともなく問題なし。

大樺沢は、北岳東斜面から下に続く渓谷ですが、その上部には大雪渓があります。
雪渓に到着する頃までは、空気は牛乳を溶かしたみたいに真っ白でしたが、あるとき前触れもなく突然ガスが晴れ上がると、眼前に大雪渓と、背後に鳳凰三山が見えてきました。
二俣分岐到着は14:41。コースタイム-20分。レインウェアを脱いだり着たりしながらでしたが、いいペースです。

1枚目: 大樺沢大雪渓。けむってます。
2枚目: 東に見え隠れするツンデレの鳳凰三山。ガスがかかったり消えたり。
3枚目: ミヤマハナシノブ。雑草レベルで生えてますがこれでもレッドリストII類。
大樺沢の分岐でザックを降ろし、休憩。
山用語では「一本立てる」と言います。
バーナーでお湯を沸かして茶を入れつつ、周囲を見渡してみます。

この二俣の分岐は、
A: 北岳の北稜線に向かう「右俣コース」/とても疲れるけど割と安全な登りコース
B: 北岳の南稜線に向かう「左俣コース」/とても疲れる上にちょっと落石が危険な登りコース
C: 真北に向かって樹林帯に突っ込み、北岳のオアシス「白根御池」に向かうコース/楽だけど山頂に向かわない横向きコース(トラバース)
の、3コースに分岐します。
右俣・左俣から山頂近くの山小屋に向けて歩くのが定番コースではありますが、すでに昼を過ぎていて、日没までに小屋にたどり着けないリスクを勘案し、樹林帯経由で白根御池小屋に一泊する予定となっています。

この頃には雨は上がっていましたが、雲は垂れ込めていていつ降ってくるかわからない状態。
樹林帯を歩いていると、先行していたツアーパーティーに追いついてしまい、追い越しができない状態に。

その先頭では。おじさんガイドが延々と喋りながら歩いており、
「…えー、これがタカネナデシコ。私は友人にこれは『タカネナデシコジャパン』と言うようにしています。」
続いておばちゃんたちの嬌声。
     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < うるせーよおめーら
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ     
    \____/
…と心の中でささやいて後に続く私。

白根御池着は15:10。だいたいコースタイムです。

1枚目: タカネグンナイフウロ。チャームポイントはキュートなおしべ。
2枚目: ハクサンフウロ。微妙に地味。本場白山のはもっと色が濃いらしい。
3枚目: タカネナデシコジャパン。雨でしっぽり。
白根御池(泊)
とりあえずテント設営を始めます。
家で予行演習したとは言え、まだ慣れないテント。
あれ?このX字ポールは上向きだっけ下向きだっけ・・・とさっそくつまりながら、ちょっと高台に設営終了。
晩ご飯は、米を炊いてのうな丼です。
山での炊飯は、妻も島でやっているのですが、
・コンパクトで高カロリー
・茹で汁を捨てる必要がない
・何かけても食える
というメリットがあります。
とりあえず米の浸水から始めまして、その間に

生ビール ビール

1枚目: デビュー戦を飾る安売りテント、ダンロップR-125。
昨年まで使っていたテントは、フライのナイロンが劣化してヒビが入り、引退となりました。
5000円で友人から譲ってもらい、10年以上も使ったのですから成仏してくれることでしょう。

新テント、ダンロップR-125は、そもそも山岳テントではなくてツーリングテントです。
(だって山岳テントは高いんだもの…)
自転車ツーリングにも良いように軽いのはいいですが、見るからに風に弱そうな形で、実際風に弱いようです。

で、メシを食ったらすぐ眠くなるお得体質の私でした。
19時には入眠。
で、ふと目を覚まし、「ふがー、よく寝た」と時計を見ると22:30。
ちょいと早すぎです。
テントのシートを通して、妙に外が明るいので、テントから顔出してみました。
テン場は静まり返っていて、風もなく葉ずれの音も虫の声もしません。
北岳東稜となる「八本歯」を見上げると、見事な満月が。

で、コンデジの限界に挑戦してみました。
モードをマニュアルにして、露出時間を最長の15秒、絞り開放。
2枚目: 月。ガスを透かして暈がついてます。
3枚目: 北岳。

で、地図を見て翌日のプランを再確認します。

5:00頃に撤収開始、遅くとも6:00出発。
北岳山荘で昼食後、稜線を歩いて、二つの峰を越えた先の農鳥小屋まで歩きます。
到着予定は16時頃。
もし、北岳の肩で天候が悪化したら、その時点で下山準備にかかります。
というのも、北岳南稜線の吊り尾根から先は、下山路への分岐がずーーーっと先になってしまうからなんですね。
以後は突然天候が悪化しても、足をくじいても、高山病にかかっても、はじっこまで歩くしかありません。

てことで、おやすみなさい。
2日目・午前: 白根御池〜草スベリ〜北岳〜北岳山荘

白根御池小屋(5:00)
起きてまずは天候の確認から。
見上げる北岳はガスもなく良い天気です。
風もなく、絶好の登山日和と言えるでしょう。
さっそくお湯を沸かしてコーヒーとカップスープを作り、おとといスーパーで半額で売られていたクルミパンを食べ、テントを撤収、水を補充して5:50に出発。

草スベリは、北岳の北東斜面から北稜に登るルートです。前半は開けた草原の急登です。
東斜面から正面には鳳凰三山が影になって見えていて、その上に朝日が出てきました。
そしてここは希少な植物の宝庫です。
…しかしながらほとんどは花期を過ぎていて、先に挙げたフウロソウ関係以外は葉ばっかりでした。
それでも、シナノキンバイやシオガマのたぐいは結構残っていて、クロユリも一輪だけ咲いていました。

草原から樹林帯に入り、森林限界を越えると、お花畑が現れます。
振り返ると、八本歯の上には富士山の山頂が見え隠れしています。
ガスもなくいい天気です。

小太郎尾根到着: 8:00。コースタイム -0:40。良いペースです。息切れしないようにしないと。

1枚目: 南ア名物・シナノキンバイ
2枚目: ヨツバシオガマ
3枚目: 小太郎分岐にて甲斐駒ケ岳を望んでみる
小太郎分岐〜北岳肩の小屋〜北岳〜北岳山荘

さーて、ここから「縦走」開始です。
30分ほど休憩の後、稜線を歩きます。

前年7月に来たときよりも人が少なく、すれ違いもほとんどありませんでした。
写真を撮影しながらとろとろ歩いていると、ガイド登山から脱落した親子と追い越したり追い越されたりの状態になりまして、
「この花なんですか?」
「ごにょごにょ」てことで、しばらく同行することに。

娘さんが30台、お母さんが50台くらいで、母子で登りに来てるけど、ツアーのペースが速すぎてついていけないんだそうで。
見てると、ガイドは最後尾をあんまり気にしてない。
脱落してても、そのままずんずん歩いていってしまいます。
たしかに一本道だから迷うことはないだろうけど、事故ないといいですね。

で、北岳頂上近く、肩の小屋に到着。
この数日は雨がひどくて荷上げができなかったとのことで、ひっきりなしにヘリコプターが往来していました。

1枚目: 仙丈ガ岳
2枚目: 小太郎を振り返って
3枚目: 肩の小屋
高山植物で知られる北岳。
不毛のように見える稜線にも、様々な高山植物が生えています。
1枚目: コケモモ。秋には真っ赤な実をつけます。おいしい。
2枚目: チングルマ。語源は「稚児車」。
3枚目: ハクサンイチゲ。北岳では雑草です。
肩の小屋では、いろいろな植物を保護?目的で植えています。
その中にはあの「キタダケソウ」もありまして、ちょうど見ごろを迎えていました。
肩の小屋を出発し、北岳山頂までは約1時間の行程。

1枚目: ミヤマクロユリ
2枚目: キタダケソウ
3枚目: タカネマンテマ(分岐路の標識の下に生えていました。)
北岳山頂着(10:18)
ほぼコースタイム通りでした。
この頃になると山頂付近はガスってきて眺望が効かなくなってきました。
山頂は、休憩する人で込み合っていて、どこかの町内会かなんかの雰囲気です。
ひっきりなしに人が入れ替わっていて、のんびりできるものでもないので早々に退散です。

1枚目: 頂上手前の稜線
2枚目: 偽ピーク
3枚目: 頂上の風景
北岳南稜に入り、標高が少し下がるとガスが切れてきて、視界も明るくなってきました。
しかしながらかなりのロックステージのため、所々は三点確保です。
すれ違う人に、「さっきそこにライチョウがいたよ」と話を聞き、以後はライチョウの姿を求めてあっちこっちを眺めながらの歩行となりました。

北岳山荘着: 11:30。コースタイム通りでした。

1枚目: シコタンソウ
2枚目: ウラジロキンバイ
3枚目: 南稜から間ノ岳を望む。鞍部の赤い屋根が北岳小屋。
北岳小屋も、肩の小屋と同じようにヘリコプターの荷揚げがひっきりなしに往来していました。
行きがかり上、私も荷物の搬入を手伝ったりしてみます。
荷物には冷凍サワラが50箱くらいありました。どんだけ好きなんだサワラ。
なんでも、今日は客が多すぎて、
「布団一枚あたり2人見当ですよ」
とのこと。

この北岳山荘、自炊室があります。
六畳間くらいの部屋に長い座卓が置いてあって、そこで煮炊きができるようになっているのです。
ヘリが来たら入り口の扉を閉めるように、とのこと。
いかに寝室が混んでいても、こちらには寝泊り禁止となっています。

ここで昼食。マルタイ棒ラーメンとレトルトのおでんを混ぜてみました。
命名: 和風プデチゲ。
感想: 味については不問のこと。
とにかく腹は満たしたので、トイレ(ここはバイオトイレなので大変きれい)と水場(近くの雪渓からポンプアップしているとのこと)を利用して、農鳥を目指して出発することにします。

1枚目: 北岳山荘
2枚目、3枚目: 自炊室にて、和風プデチゲ
2日目の午後: 北岳山荘〜中白根〜間ノ岳〜農鳥小屋

北岳・間ノ岳・農鳥岳の三山とは言いますが、ピークは5個あります。
まずは北から、北岳(3193m)、中白根(3055m)、間ノ岳(3189m)、西農鳥岳(3051m)、農鳥岳(3026m)と続きます。
北岳山荘は標高2900m付近にあり、次の中白根山まで150mほどの登りとなるのですが、かなりゴツゴツした場所です。
ハードコースに挑むにあたり、ストレッチして自分の身体状況を確認します。
腕・問題なし
肩・荷物が重くて少々食い込み気味
腰・痛みあり。荷物の調整で対応。
膝・疲労気味。
足・両小指付近に痛みあり
というところで、歩くには問題はありません。

出発は12:45。ここで、ぽつぽつと雨が降ってきました。

1枚目: 北岳山荘のそばに生えていたハクサンチドリ。草スベリに生えてたやつは花期が終わってたけど、稜線ではこれからが花期。
2枚目: コイワカガミ。
3枚目: 中白根を見上げたとこ。
中白根登頂: 13:36
北岳山荘〜間ノ岳のコースタイムは2時間で、ここが中間地点となります。
やや速め、というところでしょうか。

この頃にはガスがどんどん濃くなって、雨もしとしとと続いています。
レインウェアを出して、着たら雨があがり、脱いだら降る、というへそまがりな天候です。
雨自体はそう困りませんが、ムレるんですよね・・・いくらゴアテックスでも。

中白根山は、間ノ岳の副峰として扱われることが多く、実際、中白根・間ノ岳の間はコルというよりはプラトーと言ったほうが合うほど平らになっています。
ただ、ここの距離がなかなか長く、ハイマツに覆われた稜線の中を、ガスに巻かれてとぼとぼ歩くのはあまり面白くはありません。

1枚目: ガスの中お出迎えしてくれたイワヒバリさん
2枚目: 中白根山頂の目印。目立たない。
3枚目: 山頂から先はこんな感じ
中白根から間ノ岳まで、標高差があまりないところが続きはしますが、ずっと平らな稜線を歩けるほど甘くはありません。
ちょっと下っては登った後に、中白根と同標高の名無しピークがあり、そこから先は、日本第四の高峰、間ノ岳山頂へ向けての標高差200mの岩場です。

1枚目: 間ノ岳への稜線を望んでみた
2枚目: ロックステージの急登部
3枚目: 岩の向こうが山頂?
間ノ岳登頂: 15:02
所要時間2時間17分で、コースタイムより17分ほど遅れています。
写真を撮影したり、レインウェアを着たり脱いだりしたせいではありますが、若干疲労が溜まっているのがわかります。
ここで少々眺めの休みを取ることにしました。

ここまで来ると、周囲に登山者もほとんどおらず、自分が石を踏む音くらいしか音がありません。
風もなく、ガスも切れてきて青空が広がってきました。
岩に腰掛けてゆっくりレインウェアを脱ぎ、バーナーと鍋を出してコーヒーを入れます。
行動食はパン+サンドイッチスプレッド。

むーー爽やか。

1枚目: 夏山っぽい写真を撮ってみました。花はタカネシオガマです。
2枚目: コーヒーを淹れる
3枚目: 標高3189m、間ノ岳山頂
15:37、30分の休憩後に出発。
これからは標高2800mの農鳥小屋までの下りルートです。
コースタイムは1時間10分、着いたらビールが待っています。

1枚目: 三角点の能書き
2枚目: Go Down!
3枚目: 道中あっちこっちに描かれています。ちょっと楳図かずおを連想しました。
間ノ岳からの下りもやはりゴツゴツした岩場が連続しています。
ハイマツすらほとんど生えることができず、岩陰にぽつぽつとイワウメやチングルマくらいしかお目にかかれません。
岩を伝い歩いて小さな鞍部に降りたところで、ハイマツの陰からライチョウの親子がやってまいりました。

最初は「くるるくるるるる」という声がハイマツの中から聞こえていたのですが、目を凝らしてもよく見えません。
微妙に視点をずらすと、保護色に隠れたライチョウのメスと、ヒナが3羽、エサをついばんでいました。
「ライチョウは人を怖がらない」
と言いますが、本当のようです。
写真を取りまくっていると、そのうちお母さんライチョウがこちらに歩いてきて、「あ。お客さん?」てな按配でこちらを見てくるのです。
ここで100枚ばっかり写真を撮影しています。

1枚目: イワウメ
2枚目: 営業部長と新米課員
3枚目: ( ゚Д゚ )
ライチョウに丁寧にお礼を述べた後、岩場を巻くと眼下に農鳥小屋が見えてきました。
ここらは岩場が続いて、登山道がはっきりしないせいか、ケルンが所々に積まれています。
私も一つ積んでみます。
一つ積んでは父のた〜め〜・・・

到着時刻: 16:40。ライチョウの写真を取りまくってた割にはコースタイム通りでした。

1枚目: 間ノ岳南稜から見下ろす農鳥小屋
2枚目: ケルン
3枚目: 農鳥小屋到着。超ウケツケるんですけど。
さっそく農鳥小屋のテントサイトに場所を確保して、米を炊き始めます。
晩飯は、ごはんにレトルト中華丼をかけたものと、パン+サンドイッチスプレッド。
鍋を拭く前に、お湯を沸かしてカップスープとコーヒーを作ります。
テントサイトは、東斜面が見渡せる絶景の位置。
真正面には富士山の影。
いやもうたまらんすな。

夜半。
テントを揺さぶられたような感じがして目を覚まし、顔だけ出して外を見てみたところ、ぽっかり中天に浮かぶ満月と、真っ白に光る雲海、明るい空を切り落としたように、富士山と、農鳥岳の北東稜の影が見えました。
農鳥の上には木星が浮かんでいて、どうにも絶景。
ちょいと冷え込んではいますが、ダウンのシュラフとゴアテックスのシュラフカバーはいい仕事してくれています。

1枚目: キバナシャクナゲ。北岳の方だともう終わり。
3枚目: 西農鳥岳、農鳥岳と木星。
3枚目: 左に甲府の町の明かり、右に富士山のシルエット
3日目: 農鳥小屋〜西農鳥岳〜農鳥岳〜大門沢小屋〜奈良田

夜明け前。
毎度のことですが、私は自宅で寝るよりも、テントで寝るほうがよく眠れるのです。
普段になく9時間ばかり爆睡しまして、4時に目を覚ましました。
おとなりさんはすでに出発した模様です。

外はいくらか風が出てきており、ばたつくテントの中で朝食を作りました。
昨晩の残りごはんに水を入れて、コンソメスープを混ぜて煮立たせ、乾燥味噌汁の具だけを入れて、コンソメ雑炊です。
ちょっと火を炊いただけで、テントの中がほんわりと暖かくなってきます。
食後にお湯を沸かしてコーヒーを飲みつつ、今日のプランの再確認です。

農鳥小屋出発、西農鳥・農鳥岳経由で奈良田着予定は、コースタイム通りなら9時間50分。
さらっと言えば「くじかんごじっぷん」のたった9文字ですが、標高2800mから3050mまで登った後、標高800mの奈良田まで実に最大2250m、距離にして14.5kmも一気に下る、日本最長クラス(らしい)の下山路ですが、5時に出発すれば、2時半にはビールです。
行動食は甘納豆とソイジョイが2本、バナナチップ一袋、ロールパン2個。
水は1.5Lの水バッグにやや少なめに入れておきます。

テントの撤収を始めると、夜明け前の空の色がだんだんと、深い青から、なんというんでしょうかね。縹色ってんでしょうか。それと東の空の橙色が強くなってきました。
では、日本最大級の下山に向けて出発。

1枚目: コンソメ雑炊作成中
2枚目: 夜明けの富士山
3枚目: 農鳥小屋のトイレ。中国人もびっくりの穴だけトイレ+波板で斜面を作ってあります。トイレの下の植物のイキイキぶりはこの山行随一。
西農鳥岳への登りは、間ノ岳と似て岩場が続きます。
植物も、ハイマツがちらほらある程度で、かなりゴツゴツした場所です。
岩場の直登を終えると稜線に出ます。そこからはなだらかな登り。

1枚目: 農鳥小屋から見上げる西農鳥岳
2枚目: 西農鳥岳北稜から農鳥小屋と間ノ岳を見返す
3枚目: 稜線。出っ張りが農鳥岳。
5:50 西農鳥岳(3051m)登頂。
西農鳥岳の山頂には何の目印もなく、ゴツっとした岩が一個出ているだけです。
ここは一応農鳥岳の副峰という扱いになっていますが、実は本峰の農鳥岳より25mほど高いのです。

岩は縦横3mほどの崩れた円筒状で、てっぺんは平らになっています。
ザックを置いて三点支持で登ると、そこからの展望は、まさに360度の大パノラマです。

間ノ岳の横に北岳、その右には八ヶ岳、その右には鳳凰三山、秩父山塊と奥多摩山塊、富士山、南アから中央、北ア、また戻って仙丈、と、甲斐駒は間ノ岳に隠れて見えませんが、ガスもなく、見える山がすべて見えていました。

1枚目: 真の農鳥山頂
2枚目: 左から間ノ岳、北岳、奥に八ヶ岳
3枚目: 農鳥岳山頂と富士山
西農鳥岳から農鳥岳までは約1時間の行程です。
稜線歩きもそろそろおなかいっぱいになってきました。

1枚目: 農鳥岳方面の稜線

で、今回の山行最後の山となる農鳥岳(3026m)登頂。
時刻は6:33。コースタイムよりも20分近く速いです。

2枚目: 登頂
3枚目: タカネツメクサ。高山植物ともお別れです。
さて。ついに下山です。
下降しつつ農鳥岳南稜を歩き、下山口となる大門沢下降点までコースタイム50分。
そこで道がわかれ、縦走路はさらにここから南に、大篭岳、河内岳…と「白根南嶺」と呼ばれる稜線に連なり続いていきます。

農鳥小屋のテン場で知り合った、神戸から来たという兄ちゃんと農鳥山頂で再会しました。
彼は、農鳥山頂でご来光を撮影するために2時間くらい粘ったらしいのですが、残念ながら日の出の部分だけが雲に囲まれていて、ご来光を見ることができませんでした。
ちょうど同じタイミングで出発することから、旅は道連れということで同行することに。

のりピーのことなど、たわいもない話をしつつ、大門沢分岐に到着。
大門沢分岐は、白根縦走時の要点になる場所とのことで、昔はここを見落として下山できずに遭難した例があったそうです。
現在はケルンだけでなく、黄色い鉄塔が建っていて、誰が見てもすぐわかるようになっています。
鉄塔には碑文がついていて

「木村将也 二十五才 昭和四十三年一月四日 吹雪のため下降点を確認し得ず此の地にビバークしこれより下方縦走路にて力尽き永眠す」

鉄塔には鐘がついていて、石で叩くとカーンと高い音がしました。合掌。

1枚目: 広河内岳。あっちには行かない。さらば南ア。
2枚目: 大門沢下降点の鉄塔
3枚目: 下山路を上から見てみる。うわあ。なんだかとんでもないことになっちゃったぞ的な斜度。
7:10、大門沢分岐から下山道に入りました。

ここからの急な下りが非常に厳しい。
まずは、ハイマツとカンバの間を抜ける岩場道、次いで滑る岩場が続く樹林帯、その次は粘り気のある赤土が露出するカラマツの森、そしてついに沢筋に出る頃には疲労困憊です。

沢は、農鳥岳南稜の湧き水から出てくる「蓬沢」というそうです。
「ドコモの携帯が使えます」の看板があったので、携帯(FOMA)の電源を入れてみたら「圏外」。
どうやらmova専用のようです。ファック。

沢筋から再度樹林帯に入り、小尾根を巻いて下ると大門沢小屋にたどり着きます。
時間は9:30。コースタイムよりも30分も詰めました。
ここで水の補給と小休止。
ありものの水を全部飲んだあと、水パックに大門沢の冷たい水を目一杯詰めました。

1枚目: 下降点。
2枚目: 蓬沢の流れ
3枚目: 大門沢小屋
急すぎる下りとオーバーペースで、気圧差で耳がキーンとしてきます。
周囲の植物はもう、高山植物や山地植物もなく、シダやブナといった里山の植物になっています。

ここでいくつか沢を渡ります。
丸木一本橋、腐った木のハシゴ、つるつる滑る金属ハシゴなど、微妙なトラップをなんとか乗り越え、ついに明らかな人工建造物(小屋とかは除く)が見えてきました。
奈良田の砂防ダムです。
大きくダムを巻いて、つり橋から対岸を見ると、発電所の吸水口がありました。
ここから奈良田発電所へ水が流れていくのです。

いよいよ、この山行も終わりが見えてきました。

1枚目: ハシゴの橋。流れるは「南アルプス天然水」
2枚目: あまりにも立派な砂防ダム
3枚目: つり橋と発電所吸水口。この左側に通路があります。
11:36、奈良田登山口着。
大門沢から3時間半のコースタイムを1時間も詰め、予定よりはるかに早く下山しました。
農鳥小屋を出発して6時間36分、9時間のコースタイムより実に2時間24分も早く、奈良田第一発電所(登山口)まで降りてきました。
ここからは、奈良田の集落まで林道を歩く、50分間のスタッフロールです。

1枚目: 1本目のつり橋
2枚目: 最後のつり橋
3枚目: 「登山口」。もうここからは登山道ではないですよ。
まとめ:
初日(8月7日)
広河原〜(大樺沢)〜白根御池: 所要時間3時間10分

2日目(8月8日)
白根御池〜(草スベリ)〜北岳〜北岳山荘(昼食)〜中白根山〜間ノ岳〜農鳥小屋: 所要時間10時間40分

3日目(8月9日)
農鳥小屋〜西農鳥岳〜農鳥岳〜大門沢小屋〜奈良田発電所〜奈良田温泉: 所要時間7時間50分

総括:
天候にも恵まれ、山景や高山植物が素晴らしかったです。ライチョウを見られたのも幸運でした。
ペースは少しオーバーペースだったかもしれません。もう少しゆとりを持って、のんびりコーヒーでも淹れながら周囲を眺める時間があってもよかった。

反省点として、水の可搬量が少なめ(1.5L)だったことと、食料にもう少しゆとりがあっても良かったかもしれません。
またレトルトのおでんは重い上、カロリーが低いので良くありません。
米は山で食べるものとしては最高クラスのものだと思います。コンパクトかつ高カロリーで、茹で汁を捨てる必要がありません。反面、山用の軽量鍋は比熱が低いので、蒸らしが難しくて芯を残さないように炊くには慣れが必要です。
防寒着は、今回はフリースだけを持っていきました。シュラフも薄手のダウンシュラフでしたので、寒気が来たら山小屋に逃げ込む必要がありました。
ハイドロパックは有効。次回の山行までには準備しておきたいと思います。

いじょ。

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