パリ時代にハンガリーからロバート・キャパたちとパリに来てヴァン デル エルスケンと結婚していた年上の女性写真家 Ata Kandó (1913年生まれ Budapest, Hungary)、と同僚の女性写真家も彼の家に呼ばれ当時を振り返ったり、キャパの死に引き寄せられたその心理をヴァン デル エルスケンが最愛の夫人を失ってそれで生にたいする執着がなくなった、と素人考えといいつつもその論を展開する場面もその白黒の映像が美しく動くポートレートになっている。
その印象的な50年代に撮られた京都西本願寺の人気のない境内、石灯篭の付近で三脚を立てて頭から布を被い写真師が家族を撮る場面を彼は撮っている。 これは写真師を撮る写真家の眼でヴァン デル エルスケンの眼は布を被った写真師としてその家族を覗いている。 後年、Eye Love You という写真集を出している眼である。 奇しくも85年5月、京都滞在の折、ある早朝、宿を一人出て私はここに行ったのだが無人のこの同じ場所に写真家がいてこの写真のことをいうとあれからもう30年近くなると言った。 今からもう20年以上前の話だ。