ルーセルの手法について:ルーセルの代表作、『アフリカの印象』、『ロクス・ソルス』などは、同音異義に基づいて構想されている。ルーセルはこの執筆の手法を秘密にしておいたが、死後出版された『私はいかにして或る種の本を書いたか』によると、billard(玉突き)と pillard(盗賊)のような、ほとんど同じ二つの単語を選び、それに対して、綴りは同じだが、意味の違ういくつかの単語を付け加える。こうして短編『黒人の中で』の冒頭の Les lettres du blanc sur les bandes du vieux billard(古き玉突き台のクッションに書かれたチョークの文字)と、最後の Les lettres du blanc sur les bandes du vieux pillard(老いた盗賊の一味について書かれた白人の手紙)という綴りはほとんど同じだが、意味がまったく異なる二文を発見する。このような手法で書かれた短編として、『黒人の中で』『つまはじき』「ナノン」「ブルゴーニュの民話の一ページ」などがある。