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机上の空論コミュの15

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15


「あの、すみません…」
先ほどテーブル席に着いた二人組の女性客のひとりが話しかけてきた。
「注文してたカツサンドがまだ来ないんですけど…」
Kが応えた。
「ごめんね、ぼく店の人間じゃないんだ。ただの常連」
「マスター、カツサンドだって」Rが言うとマスターが皿を差し出す。
「今出来た。持ってってやんな」

「はい、お待たせ。あの…もしよかったら一緒にお話ししませんか?」
Kの問いかけに女は笑顔で「もちろん」と答えた。
その時Rは3つのことに驚いた。
ひとつめはKの行動に。
もうひとつはそれに即座にOKした女性客に。
みっつめは、さっきからイナゴだ精霊バッタだと好き勝手言っていた
女性客の笑顔が、自身の心にすんなり受け入れられた事に。

テーブル席へと移る間、KはRにウインクをひとつ。
そして身を寄せ小声で一言「精霊バッタは任せた」

K「やあ、初めまして。ぼくはK、こっちはR」
A「わたしはA、この子はM」
M「Mです。ごめんなさい、盗み聞きしてた訳じゃないんだけど
 あなた達とっても楽しそうで。なにを話していたの?」
K「『リーブリングス力学』について」
A「なんですかそれは?理系のお話?」
K「半分ね。ドイツの学者が説いた人が恋に落ちるまでの公式だよ。
 結構理に適った学説なんだ。ところで君たち恋人はいるの?」
『リーブリングス力学』なんてデタラメは当然存在しない。
しかし鮮やかな誘導だった。とRは思った。

AとMはお互い見つめ合い、その後照れ笑いを浮かべながら言った。
A「私たち、なかなかいい人が出来なくて」
M「そうなの。どうしたら男の人と出会えるんだろうって思って…」
このシチュエーションを出会いと言わずになんと言うのだろう。
(つづく)

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