芸術の日本　美術・評論を中心にコミュの映画　“宝島”

初日に鑑賞しましたが、作品を消化しきれずにいました…　

県民の4人に1人の命が失われた
沖縄戦、戦後沖縄本島の中部に広大な米軍嘉手納基地が建設された

ベトナム戦争(1955―75)では、嘉手納基地から出撃したB―29が北爆を行い、米兵は沖縄から出兵し沖縄に帰還した

占領下沖縄(1945―72)では、米兵による強姦死傷事件が頻発(沖縄には逮捕・捜査・裁判権は無く、泣き寝入り状態)、1959年6月30日には米軍戦闘機が、沖縄県うるま市の宮森小学校に墜落、児童11人を含む18人が死亡、210人以上が負傷。1969年7月米軍知花弾薬庫で神経ガス漏れ事故が発生し、イペリット、サリン、VHガスなどが大量に貯蔵されていることが発覚した(その後移送される)。1970年12月20日未明。沖縄県コザ市（現沖縄市）で、5千人もの群衆が米軍関係者の車を次々と焼き払う事件＝コザ騒動が起こった。

映画(原作)は占領下沖縄で
起こったこれらの史実をもとに
製作されている

写真①　ポスター
コザの街を歩くグスクとヤマコ

解説・あらすじ

『戦後の沖縄を舞台に時代に抗う若者たちの姿を描き、第160回直木賞を受賞した真藤順丈の小説「宝島」を映画化。妻夫木聡が主演を務め、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太ら豪華キャストが共演。「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督がメガホンをとった。

1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。そんな戦果アギヤーとして、いつか「でっかい戦果」をあげることを夢見るグスク、ヤマコ、レイの幼なじみの若者3人と、彼らにとって英雄的存在であるリーダー格のオン。しかしある夜の襲撃で“予定外の戦果”を手に入れたオンは、そのまま消息を絶ってしまう。残された3人はオンの影を追いながら生き、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、それぞれの道を歩んでいくが、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境で、思い通りにならない現実にやり場のない怒りを募らせていく。そして、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出す。
親友であるオンの痕跡を追う主人公グスクを妻夫木聡が演じ、恋人だったオンの帰りを信じて待ち続けるヤマコ役を広瀬すず、オンの弟であり消えた兄の影を追い求めてヤクザになるレイ役を窪田正孝が担当。そんな彼らの英雄的存在であるオン役を永山瑛太が務めた。』引用元　映画.com

写真②　関係図

この関係図を記憶して観る方が
分かりやすい

妻夫木聡、広瀬すず、永山瑛太、窪田正孝のメインキャストの少し　“過剰なたぎり”　もいいが、

写真③左　上下

一押しは、通訳　小松役中村蒼

「べらぼう」では、蔦重の義理の兄放蕩息子の「次郎兵衛」を演じていますが、宝島では冷静で知的な通訳「小松」を演じ流暢な英語を披露します

きれいどころでは、

写真③右中

物語の鍵を握る「ウタ」栄莉弥

存在感をしめすバイプレーヤーは、

写真③右上

妻夫木聡の同僚「徳尚」映画監督でもある塚本晋也

写真③右下

沖縄ヤクザの親玉ピエール瀧

映画(原作)では、政治的状況を考慮し、米兵による小中学生の強姦死傷事件などは描かれていませんが、占領下沖縄の悲惨な状況(現在も続く)と本土の傍観者的態度への沖縄人の怒りは観客にひしと伝わります

史実をもとにフィクションを重ねた原作と映画(脚本・演出)は大変よくできていると思うが、
それ以上に、「沖縄」は現代世界の覇権構造を端的に表し、沖縄人(在民)主権と国家の問題を観客に突きつける

★★★★★

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