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意味不明小説(ショートショート)コミュの小鳥

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雑居ビル内の一室。

「これからのホストは手品ぐらいできなきゃだめなんだ」
そう言いながら、場違いな盛り髪をキメた先輩は僕たちキャストを手品師養成所に集めた。

僕は3列に並べられた長机の最後列の左端に腰掛け、配布された麻雀牌とトランプセットを白けながら指先で玩ぶ。
ちなみに、配布される道具は人により異なるようだ。隣のやつは先端が光る鉛筆を不思議そうに眺めている。

「今から人を癒す手品をする」
そう言い放った先輩は僕たちの正面に立ち、細い金属で構成された黒い鳥籠をどこからか用意し、最前列中央に座る新人を助手として指名した。
鳥籠の中には黄色い小鳥が入っていた。

先輩は鳥籠の正面にある小さな扉を開け、小鳥を剥き出しにした。鳥は鳴かない。
そして、彼は助手の掌にピンポン球くらいの大きさの白い玉を乗せ、小鳥に向かって真っ直ぐにふーっと吹くよう命じた。

助手はシャツの襟元をただし、椅子に深く座りなおし、背筋を伸ばし、息を吸い込み、ふーっと吹いた。

玉はふよふよと空を漂い、力なく、しかし確実に1メートルほど離れた小鳥に向かっていく。

ピィ、

小さな鳴き声が漏れる。

玉が小鳥に当たった。というより触れた。
その瞬間小鳥は燃え盛る炎に包まれ、すごい勢いで天井を目指しはじめた。
そして天井から10センチほど低いところで、

ぱん、

と破裂し、跡形もなく消失した。

「…どこが人を癒す手品だよ」
僕はそう苦笑した。




ふふっ

…どこが人を癒す手品…。
わたしはそう呟きながら目覚めた。

大丈夫?
眠そうに目を開けて尋ねる彼は紛れもなく「僕」だった。

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