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意味不明小説(ショートショート)コミュの奥様はだんごむし

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42歳、妻はいる。だんごむしだ

私は彼女を蒼井優から優と読んでいた

はじめて彼女と出会ったのは、私が派遣切りに会って、無職となり、近所の公園に住居を作ろうとしはじめた37歳の夏のことだ

先人達の教えの通り、段ボールを収集し、不慣れながらも一応は住処が出来た

ここでこれからやっていくのだと色々考えていた

不思議と絶望も、焦燥感も無かった

ただ、淡々と日々を暮らして行こう。そう思った


先人達の「今の政治はなってねえ」とか「今の世の中が悪いんだ」といった主張も、笑って聞き流していた

そうして、一週間が過ぎて、少し慣れて来て、いつもの通り、公園をうろつき、夜になって、鼻くそをほじりながら、寝ようとした

段ボールの布団になにかつぶがあった

なんだろうか

よく見てみた

虫だった

てくてくと、ただ歩いている

自由気ままだな。虫はいいなと思って眺めていた

おいお前もホームレスか。そう思って触ってみた


くるんと丸くなって、動かなくなった


どんなに触っても、お手玉しても、丸いまま、ただの粒として、そこにいた

なんてシャイなやつなんだろう

自由気侭であるのに、他人が触れると、丸くなり、ただのつぶになる


俺は恋に落ちた


その姿がとても愛おしいと思った俺は、その性格から、蒼井優の優と名付けた

翌朝、一緒に公園を散歩した

日差しが眩しい

優とは手を繋げない

だから優の行く道をただ追っかけた

飯を食べる時も寝る時も一緒だ

夜は段ボールで作った小さな寝室で寝てもらう事にした

ただ、触れる事が出来ない

触れてはいけない。そんな気がした


そんな二人の同棲の3週間たったある日のことだ

俺がいつもの様にはなくそをほじりながら住居に戻って来た

昼寝でもしようと思った午後2時

公園は高台になっていて、見晴らしがいい

その下には高級住宅街が広がっている

俺ははなくそをくるくるまるめて「このブルジョアが!!!」と思い切り投げ捨てた

そして部屋に戻った時、異変に気づいた


優がいない

どんなに探しても優がいない

そういえば優と散歩していた後だった

もしかして

俺は優を思い切りぶんなげちまった

「このブルジョアが!!!」とぶんなげちまった

なんてことだ



そうして俺の新婚生活が終わった

手元にははなくそがあった


俺は泣いた

でも優も俺なんかのところにいるよりも、自由気ままに暮らして行ったほうがいいだろう

そうして俺はまた、水道で顔を洗って、公園に散歩に行った

コメント(2)

>いわトモ MK‐2さん

悲劇は喜劇かもしれないと思って書きました笑
がんばりました

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