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意味不明小説(ショートショート)コミュの未来と過去を結ぶ寓話

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ある大国。


研究施設で時空転移装置、すなわちタイムマシンが開発された。


「ただし、まだ訪れていない未知の時間、要するに未来へ行くことは出来ません。いままで経過した時間…」


「つまり過去へのみ行けるということか。ふむ、それでも十分素晴らしい発明だ」


例えば、過去へ行って、これまで謎とされていた古代文明の成り立ちを調べることができる。


「これは人類にとって大きな進歩に繋がるだろう」


「ただ…」


「なにか問題でも?」


「これまでに動物実験を重ね、時空波形では確かに過去へ送れたというデータが出ています。ただ、動物なので戻ってくることが出来ませんでした」


「どうすれば戻れるのだ?」


「簡単です。送られた元の場所に体を重ねて『戻れ』というだけです」


「そうか、動物は喋れんからな。その点は心配なさそうだ」


「問題はもうひとつ」


「まだなにか?」


「転移はできますが、任意移動ができません。つまり、A国の過去へ行くにはA国でこの装置を使わなければなりません」


「ふむ、ここで使えばこの場所の過去へ行けるのか。ド○えもんのタイムベルトみたいなものか」


「簡単にいえばそうです」


「ちなみに実験ではどんな動物を送ったんだね?」


「はい、猿はもちろん、ライオン、鳥、ヘビなど、あらゆる種類を送りました。いずれもデータではちゃんと過去へ送れています」


「いよいよ人間というわけか。よし、優秀な学者である私と、助手。そして万が一危険な目にあった時のために腕っぷしのいい用心棒を連れていこう」


これで文明の謎を解き明かし、現代へ戻り発表すれば私は間違いなく世界中から脚光を浴び、後世に名を残すことだろう…。


いよいよその日がやってきた。


「では一人ずつ送ります。同じ時代の同じ場所へ」


装置のカプセルに入り、学者は目を閉じた。


「スイッチ、オン」


装置がまばゆい光を発する。


その輝きが収束し、学者の身体はみるみるうちに消えてゆく。


…………。


学者が目を開くと、そこには荒野が広がっていた。


「おお、ここが古代か…。おや?遠くに集落が見えるな。やはりこの時代にはすでに人間が居たのだな…!」


学者は興奮で足が震え、その場に立ち尽くしていた。


が、その瞬間、身体の周りが光りだした。


「ん?……は!いかん!あとの二人が『この場所』に送られてくるのだ!」


時すでに遅し。


学者と助手と用心棒は『同じ場所』に現れ、融合してしまった。


顔が3つ、腕が6本で身体は1つという異形の姿。


気が狂い、現代への戻り方も忘れてしまった彼(彼ら)はその時代を彷徨うこととなる…。


………………………………。


古代人は彼の姿を見て驚いた。


その頭脳と武力に畏怖の念を抱き、神と崇めた。


後に阿修羅(アスーラとも)と呼ばれる神は、後世に名を残すこととなる。


そして、それぞれの時代に送られた動物たちも融合し、キマイラ・グリフォン・カトブレパス・ケツァルコアトルなどと呼ばれ、神格化されていった。


そんな遠い未来と遥かな過去を結ぶお話です…。

コメント(2)

寓話成立の事情をすべて知っているのは、これを読んでいる現代人。
と思うと、なんだか愉快な気分になりました。
> ゆーとさん

この話を書いた僕も、実はタイムマシンで未来からやってきたんです。
もちろん嘘です(゚∀゚)

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