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意味不明小説(ショートショート)コミュのイランイランの匂いをかぎながら……

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イランイランの匂いをかぎながら、類推する山間の天気。笹の葉の間からこぼれているメロディ、せせらぎは変ホ長調。赤い橋の上に鎮座しているヒキガエルが乾ししいたけを散々にねだるので、神棚に祭っているお神酒と一緒に火種を投下。カエルは川面に飛び込みながら「私は三度よみがえる」とバスに乗って急流くだりを始める。そんなことはどうでもよくて、うっとうしいものがまとわりついているのですよ。ボーダーラインなんてほんとは見えないはずなのに、いつの間にか自分の周りに小さく丸く、一筆書きの要領でくっきりと限界が足元に描かれているのです。墨汁の香り。そんな線一跨ぎで越えられるはずなのに、足が鉛のように重い。昨日飲んだレアパーフェクションの空瓶がぶらんぶらんと宙に浮いている。瓶中にはカエルの卵がみっしりとつめられていて、ぬめぬめ光っている。Kが隣からやってきて、それを人差し指で掬ってはしきりに舐めているので、「不味そうだなあ」と思っていると、Kは「不味いよ、でもうちの嫁が喜ぶから」といって顔をしかめてしきりに舐め続ける。気がつくとKの鼻の頭がペニスになっている。彼の奥さんは橋の向こうで水がめの選定をしている。竹林から飛んできたカミキリムシが右耳に止まって目の前が真っ赤になる。壁に圧殺されるような感覚を感じて振り返ると、記憶の竹林が炎に包まれている。記憶の中で青々としている二年生の竹に鋸を当てているゲンさん。彼は竹細工師としては町では有名で、朱色の橋が架かる前には、桂川に丈夫な竹で組んだ梯子をかけてわたっていたのだと、飲むたびに嘯いている、そんなゲンさんの娘は、色の白い貧血気味の少女で、おたまじゃくしの絵ばかりを描いていた。そんな彼女の描く絵の横にト音記号を配置し、マーシャルに繋いだゴールドトップを並べると、自然と町にノイズが充満。狂言師が釣鐘を担いでやってきて、寺から大量の独鈷杵が盗みだされて、男たちは地面に穴を穿ちまくる祭り。左目から涙が流れている私は、少女の手を離して、ピアノフォルテに放火。昼夜を問わずキャンパーたちがフォークソングを歌いまわっているので、火の手は勢いを増しながら、記憶の竹林を真っ赤に染めるのだ。仕方が無いので散々にそば粉を全身にまぶして、熱湯釜温泉に飛び込むと、先客であるヒキガエルが既にあがってしまっていた。上がり役は混老頭。割れ目ができていたので覗き込むと時計の針ばかりが落ちている。すべての時計の針は時盤から解き放たれて、好き勝手に虚空を指している。私はというと亡者が足を引っ張るのだ。だから越境できないんだよね。と独りごちて、いつまでもまとわりついてくる足元の黒い輪を眺めている。湯はぬるま湯。とうとうと流れる川の流れ。小牛ほどある苔むした岩にぶつかって、白いしぶきを上げながら、下流へと流れていく。Sが昔「水は下へ下へと流れる。これが徳のあるべき姿ちゃうんかなあ」といいながら、胡蝶の夢なんて見ていたのを思い出して、そうか夢だね、これは夢なんだと何度も目を見開くが、相変わらず黒い線は僕と目的地の間に厳然と立ちふさがっている。アプリオリ。呆然としている目の前に、笹の葉が一枚川を流れてきたのでこれ幸いと飛び乗る。流れは急だが、笹の葉は立派だ。転覆しても悔いはない。逃げられるところまで逃げよう。さあ早く僕の手を掴んで! と後ろを振り向くが私の手を掴んでくれるような少女はいない。いないのだよなあと諦めて、笹の葉めがけて石を投げつける。ぼんと沈む。一寸先は闇よなあといいながら、岩肌にけつまずいて、川に流されて、便意を催して、青年に助けられ、世田谷辺りで私はタクシー運転手でもして頭を下げながら浮世をすごすのだと思うと、涙が出てきた。世界が美しすぎるのだ。夜の交差点。放置された重機。あいまいな夕暮れがやってきて、朝顔がぽとりと首を落とす。あ、病気だ。三千ものアジサイが僕を凝視。雨はあがった。足はまだ重い。俺はこんなもんじゃない。

コメント(1)

騒々しい静けさの中に無限のメッセージが見えた気がしたけど、気のせいかも知れない。
ノイズの中にメロディーが聞こえた気がしたけど、勘違いかも知れない。
今まで見たことない景色が見えた。
ということはおそらく夢だ。

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