Boeing 737 MAX8型機は、New Generation型機の派生型とは云っても、短い着陸脚に強大なエンジンを装着しようとしたため、パイロンを主翼前方へ大きく張り出す形で大型エンジンナセル下面と設置面との間にクリアランスを作ろうと設計されました。その結果、機体重心が前方へ移動して機首が下がりやすい構造となったのです。それによる不安定な挙動をコンピュータで防止するため、MCASが装備されました。この発想は否定しないものの、センサーが誤作動した場合の対処法についての考察は不充分でした。Lion Air 610便の墜落事故を受けて、Boeing社とFAAが発表したBulletinも不充分であったと云わざるを得ません。若い機長がエンジン推力を離陸モードから下げなかったのは問題だったものの、離陸直後からMaster Cautionが作動している最中にthrottle位置を確認できなかったのは、必ずしも重大な過失ではなかったと思います。