月１映画DVDレビューリレーの会コミュの第27回映画①｢鉄道員(ぽっぽや)｣

原作浅田次郎

監督降旗康男

高倉健大竹しのぶ広末涼子志村けん

1999年日本

112分

北海道で、長年ぽっぽや(鉄道員)として働いてきた佐藤乙松は現在幌舞駅長。かつては炭鉱の町として栄えおよそ5000人もの人々がいたこの町も、炭鉱が閉鎖してしまった現在は200人程のただでさえうら寂しい田舎町なのに、辺り一面雪に覆われた年始の今は尚更。

廃線寸前の幌舞線の汽車は極端に少ない上にたったの一両編成…。

それでもホームに佇んで汽車を迎える乙松は、やはり健さんだけあって素晴らしい存在感(^ω^)平地でもおよそ-10℃と『八甲田山』の世界に近い極寒の雪の世界でも直立不動の乙松を、同僚や後輩達はあれこそがぽっぽやと褒め称えますが、その天職についていられるのも後僅か。

定年間近となれば身の降り方を考えなければならず、周囲の人々はそんな乙松を心配してるのに、｢こちらの心配をよそにちっとも本人がバシパシしないんだから｣とは同僚で長年の友達である仙治の台詞。

幌舞駅と違い、活気のある美寄駅の駅長である仙次は初孫も授かったばかりな上に定年後はリゾートホテルへの就職も決まっているだけに、独り身の乙松が心配でなりません。

だけど、かつては乙松にも妻子がいました。乙松が第二の人生に自発的になれないのは、娘も妻もここで死んだから。

そんな乙松の前に、3人の年齢の異なる少女が別々に現れ…。

ヒューマンドラマ調で進んで来たのが、3人の少女が何者か乙松が気づいた辺りから観る人によってファンタジーともホラーとも取れる展開にシフトチェンジします。

養子縁組や鉄道員の仕事に詳しい方が本作を観るとあらが見えたりもするそうですが、泣ける感動作として高評価をつけてる方も少なくありません。

私にとっては本作は色んな意味でとても静かな怖さを感じさせるヒューマン色の強いホラーですが。

高倉健さんが直々に志村けんさんにオファーした映画で、高倉健さんだけでなく志村けんさんも故人となってしまった今だからこそお勧めしたい映画です。

コントの時の魅力の要である愛嬌をバッサリ削除し、シリアスな演技に徹する姿は現在となってはとっても貴重。

息子の人生を生かす為の名も無き一人の父親だった姿は、長いこと私達を楽しませてくれた志村けんさんの生き方の美学そのままかと。

是非、感想をお聞かせください(o⌒∇⌒o)

コメント(7)

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[1] mixiユーザー 06月27日 17:31

こちらも鑑賞しました！
名作として言わずと知れた作品ですが、自分は初見でしたｗ

かつて炭坑で栄えた街が閉山により廃れ、その鉄道路線も役目を終える時代の話。
高倉健さんほか名優が多く出てきて見ていて安心感があります。

ただ現代の価値観でみると、一昔前の考え方に違和感を感じてしまうかも。
「俺はポッポ屋だから」と何を差し置いても仕事を優先させる。
周りの人達が親身に自分の事を考えてくれているに
「自分はこれしか出来ない」と頑なに拒否するといった、
昭和頑固親父的な言動は苛立ちすら感じます。

けど、この映画は現代の話ではありません。
こういった男の仕事に対する価値観は、確かにかつての日本に普通にあったと思います。
そしてそれが良いか悪いかは別として、そういう実直さや真面目さが、
周りからの信頼や友情の礎になっていたのも、また事実かと思われます。
この映画をみると、働くって何だろうって考えさせられます。
今の時代にはそぐわないかも知れませんが、こういった時代の価値感や考え方も
悪い事ばかりではないよな、と思いました。

あと見所としては奥さんへの愛情や子供の話などもありますが、今回はあえて仕事という
側面から感想を書きました＾＾

あと一つ、高倉健と吹雪でまた八甲田山を思い出し恐怖でした＾＾；
ありがとうございましたｗ

[2] mixiユーザー 06月28日 22:55

>>[1]

前回八甲田山だったから今回は違う映画をと思ってたのですが、志村さんが急逝してしまって本作にしましたが、似たような作品になってしまい申し訳無いですm(_ _)m

現在は働き方改革なんて言葉もありますが、いつの時代も男性は仕事と家族、どこで折り合いつけるか重要なテーマでしょうね。

怖かったにも関わらず見てくださりありがとうございました(^人^)ﾉｼ

[3] mixiユーザー 07月02日 22:56

遅くなりました！結局、再見出来なかったので以前観た時の感想に手を加えて誤魔化させてください！(^^;)
浅田次郎の映画化作品は「壬生義士伝「地下鉄に乗って」「憑神」など意外と多く観てました。一番好きなのは「柘榴坂の仇討」かな～(*ﾟ∀ﾟ*)この「鉄道員」は広末涼子が出演してたなってくらいしか覚えてなかったので久しぶりに再見しました！

やっぱりこの作品、小林稔侍がいいですね！
観終わってからWikiを覗くと小林稔侍は高倉健をとてもリスペクトしており本作で念願の共演者になれたとか、乙松の親友・杉浦を全力で演じたんだろうな～と感じました。意外だったのは大竹しのぶで高倉健の妻役はかなりイメージから外れていたんですが乙松に妊娠を報告する「偉いって言え」のセリフのくだりはさすが名女優って納得でした。あともっと驚いたのは志村けん！酒場での喧嘩のくだりは違和感なくてコントで培った演技力なのかなと感じました。流石に酔って介抱される場面はドリフを思い出しましたけどwww

人気絶頂の頃の広末涼子！ただニコニコしてるだけって印象なんですがやっぱり可愛いですね～！
ラストがあんな展開だったとは全く覚えてなかったのでちょっとショック。コツコツ地道に生きてきたのに幸薄かった乙松ら家族。てっきり雪子と再会しずっと胸に秘めていた想いをスッキリさせることが出来て新たな人生を歩むんだと思っていたので「えーっ！？」って感じが強いかなり悲しい物語でしたね(T ^ T)

[4] mixiユーザー 07月03日 21:49

>>[003]

お疲れ様です(●^o^●)忙しい中、詳しい感想ありがとうございます(^人^)ﾉｼ

まず結論言うと、かずさんが仰ったようにとっても悲しい映画だと思います。広末さんは同性から見ても素敵なお嬢さん演じてて、三人の女の子の正体に乙松が気づくシーンは私はとっても悲しくなってしまいます。失われた17年間と言う大切な時間。それはあった筈だったのに(;＿q)ｼｸｼｸ…と。

それだけに、二人目の唇にチューは怖いし、ラストも【業】!!だ(○_○)とはっきり感じてホラーです。『呪怨』や『サスペリア』のような派手な恐怖ではなく、とても静かなホラー。

真面目なおじさんをからかう女の子の微笑ましさをどうしても演出したかったなら、二人目にはあの人がぴったりだったのに(￣▽￣;)と思ってしまいますが。

でも怖いまま終わらず、小林稔侍さんがあったかなヒューマンドラマとして最後纏めてくれましたね(*^^*)私は小林稔侍さんが高倉健さんをリスペクトしていたとまでは気づかなかったです。やはり映画ファン同士の語らいは楽しいですね♪

教えてくれてありがとうございます(^人^)ﾉｼ

[5] mixiユーザー 07月03日 23:59

>>[3]
確かに志村けんはドリフ感強かったですねｗ

[6] mixiユーザー 07月04日 00:06

>>[4]
なるほどホラーですか！
自分的にはそういう感覚はなかったですが、言われるとわかる気もしますね
ちなみに【業】って？？
あと、二人目の「あの人」とは？
読解力なくすみません＾＾；

[7] mixiユーザー 07月04日 22:34

>>[6]

【業】と言うのは仏教用語でして、説明が難しいのですが。この場合、乙松は鉄道員として自ら生き抜いて来たわけで、自分の生き方によってこの死に方を迎える原因を自身の生命に刻みつけていた。つまり自らこのようなラストを迎える以外に無いよう自分で自分に枷をかけてきた。これを一言で【業】と表現しました。まあ一つの仮説ですけど。

二人目の女の子のチューは、娘がお父さんにするには怖すぎるので、奥さんが適役でしょうと。つまり、一人目と三人目は娘でも良いけど、二人目だけは奥さんの設定で、母娘で乙松を迎えに来たなら最高のファンタジーヒューマンだったのに、と私は観る度に感じてしまいます。

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