半蔵門かきもの倶楽部コミュの第65回たか作「駄文とはこういうものだ、刮目して読め」

拝啓

お風呂場に立ち、腰を曲げて湯船に栓をしてお湯を入れようとボタンを操作して、お風呂が沸くまでの時間でオナニーでもしようかと服を脱いでいる時、ふと手紙を書いてみようと思いました。思い立った。こういう衝動って手淫の後にお風呂まで入って身体を泡泡にしてしまったらすっかりと忘れてしまうものですが、スッキリした気持ちになってもまだ覚えていたため、仕方ありません。彫刻刀で鉛筆を削り、書き始めました。消しゴムは使わないつもりでしたが自信はありません。

何から書けばいいのでしょう。あなたの存在を知った日は覚えていません。あなたの存在は私にとって欠け替えの無いものでもありません。何を書けばいいのでしょう。あなたに伝えたいことを書けばいいのでしょうか。

まず私は、あなたと喋ったことがあります。今とは違うラジオ局のあなたの出世番組のあのクイズコーナーに、リスナーとして参加してクイズにも正解しました。出演と正解の記念品のステッカーが後日送られてきて、あれは夢ではなかったんだと中学生ながら思ったものです。いや、そんなことを伝えたかったわけじゃありません。昔からあなたを知っているんだぞというアピールは馬鹿馬鹿しいですね。

聞きたいこととか、そう、聞きたいこと。なんでしょう。それも特に無いくらいあなたのことは知っています。じゃあ何を書いたらいいんでしょう、わかりません。とりあえず鉛筆を置いて洗面所の鏡の前に立つと無表情の自分が半裸姿の自分を見ていてリラックスしているのとは違う脱力した目が一瞬キリッとなって、何を意識しているんだと本物に戻って、戻して、またスッと力を入れてふくよかなお腹にも溝をつくって髪をかき分けて、髪を切るか切らないかまた少し考えてみて、あ、そうだと思い出したのでまた書き始めます。

昨日、大塚バッティングセンターへ行きました。あなたもたまに来ますよね、山手線に乗って。私はいつも110キロの打席に立ってバットを振ります。25球中10球くらいヒット性の当たりがありますが昨日はマグレ当たりでホームランが出ました。バコンと大きな音を立ててホームランと書かれた丸い板に打球がぶつかり、よく聞くあの「ホォォムラァァン」という声がスピーカーから聴こえてきました。
自己申告性なので受付に行き記念品というか回数券をもらってウキウキして帰宅したのに、なんだかあのホームランがぶつぶつ交換されてしまった気分になってしまい、キッチンのガスコンロで回数券は焼いてしまいました。関係ないですが昨日、好きな同僚に付き合ってくださいと告白して、いいですよと言われたので今夜はその子のことを考えながら寝ようと思います。昨日のことを思い出して今度は目を開けられなくなってしまって、恥ずかしい気持ちとしてやったぞと叫びたくなるほどの達成感で興奮して眠れるかわかりません。いつも応援しています。これからも頑張ってください。返信いただけると嬉しいですがラジオでネタにしてくれてもかまいません。今もラジオを聴きながら書いています。

敬具

2020年 8月24日
宍戸竜彦より

伊集院光様

コメント(2)

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[2] mixiユーザー 06月15日 20:26

ファンレターって、好きで尊敬していて、その人のいうことなら一から十まで信奉しちゃうわ～みたいなノリだと思うのですが、たかさんマジックにかかってしまうと（良い意味で）こうなるんですね(笑)
でも、伊集院さんなら喜びそうな気がします(笑)

手塚治虫の漫画に「I.L（アイエル）」という作品があって、天才と謳われる手塚さんの中では「駄作」と言われている作品なんですが、この漫画のあとがきである方が「天才の失敗作は、凡人の成功作よりはるかに魅力的だ」と書かれていて、たかさんの作品を読んだとき、それを思い出しました。

天才の駄文は、凡人からすると駄文に見えないです、ホントに。

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