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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第26回 コヤンイ作 『よい夢を見るために』

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僕はこの町を出ようと思ってる、仲のいい友達二人と三人で。
昔は空は青かったっていうけど、僕が知っているのは灰色の空だけだ。
一度でいいから青い空が見てみたい。算数の教科書の表紙のような
キレイな青なんだそうだ。お母さんがそう言ってた。
その青い空の下では、白い灰も降っていないから、マスクをしなくても外を
歩けるし、野鳥も襲ってこないから、ビクビクしなくていいそうだ。
野鳥っていうのは、大人より大きな鳥で、時々空から降りてきて、人を突っつく
突っつかれた人はたいてい死んでしまう。
昔はかなり犠牲が出たらしいけど、今はとても警戒してるし双子もいるから
滅多に犠牲者は出ない。
なんでこんな空になってしまったのか、大人たちに聞いても教えてくれない。
きっと誰もわからないんだろう。

僕たちは、学校でお昼を食べながら、町を出てく計画のことを小声で話しあった。
「双子の持ってるラッパがあれば、心強いんだけど」
「あれは貴重なものだから、しっかり鍵のかかった場所にしまわれていて、持ち出すのは無理だよ」
双子っていうのは、四つあるこの町のブロックごとにそれぞれ何チームか配置されている二人組で
野鳥から市民、特に子供を守るためのガードマンだ。
双子はマスクどころか、真っ白な防護服で、頭の天辺から足の先まですっぽりと覆われていて
だれだか見分けがつかない、そっくりな二人組、だから双子と呼ばれている。
ラッパというのは、猟銃の先に小さめの傘を開いて逆さに付けたような形をしていて、野鳥が
嫌がる音波だか、電波だかを発射する道具だ。

「とにかく、夜動けば野鳥は襲ってこないから大丈夫だ」
計画はほぼ、整っていた。
僕は恐る恐る二人に聞いてみた。
「ねぇ、ハルも連れていっちゃダメかな」
「ハルを?」
「ダメだよ」
「どうして?」
「女の子はダメだ」
あんまり僕には似つかわしくない気がしたけど、ちょっと食い下がった。
「なんで、ハルは女の子だけど強いよ、泣き出したりしない」
「ダメだよ、女の子は」
「そうだ、危険なんだから、女の子は連れていけない」
取りつく島もないとはこのことだ。
僕は渋々引き下がった。
ハルがいてくれたら、僕はとっても心強いんだけれど、もしハルになにかあったとしたら
それは絶対にやだ。
しょうがない、きっと青い空の世界を見つけて、ハルを迎えに来よう。と心に決めて
僕は一緒に行くのをあきらめた。




コメント(14)

>>[001]
今、川端康成の「掌の小説」というのを読んでて、それをお手本に短くてギュッと詰まったものを書こうと思ってます。内容については読書会で種明かししますね。タイトルは自分でもかっこいいと思う(^w^)

作品の世界観がよかったです!近未来?の雰囲気で、どこか退廃的で、その中でも子供たちは生き生きとしている感じで。
3つのお題全てが、その世界を作り上げるのに効果を上げていると感じました。
ただ、この内容だったらもっと長くて読み応えのあるものでも、耐えられると感じました。短くてぎゅっと詰まったものを意図したということなので、ちょっと見当はずれな感想かもしれませんがあせあせ(飛び散る汗)
>>[003]
確かに、唐突に終わる感じが否めませんね。でもわたしが書きたかったことはじゅうぶん書き尽くせてしまっているので、これ以上書く必要を感じないのも事実です。子供たちの冒険や、この世界の謎解きは主題では無いのです。でも読者としては物足りないでしょうね。実験的な試作ということでご勘弁くださいm(_ _)m
読みやすいです。もっと、説明は省いてもいいかもですね。野鳥のあたりとか、双子とか。
>>[005]
そうですね。もっと巧みな文章力があれば、もっとシンプルに出来たでしょうね。更に精進します。
>>[007]
意図した通りに素直に受け取っていただいて、とてもありがたいです(^_^;)
楽しんでいただけたなら嬉しいです。
長い物語の序章の様ですね。
短編を組み合わせて1つの長いストーリーにする
と言うのもアリかなと思いました。
>>[9]

>短編を組み合わせて1つの長いストーリーにするというのもアリ

そうすると、設定をしっかりしとかないとダメですね。
ほとんど思いつきで書いただけなので、背景は緻密に考えてないです。
>>[4]
むむむ〜、もう少しボリュームがあってもいいと思ったのは、「続きがあってほしい」というよりも、冒頭や途中の部分ですかねぇ。ラストは少年の爽やかな決意が出てるようで、好きです。
でも説明を省いていいかもという肉さんのご感想もあるので、ただの感想です!こうしたほうがいい、というよりも、いい感じの世界観なのでゆっくり浸っていたかったなぁ、という。
たびたび差し出がましいようでしたらすみません( ;´Д`)
>>[11]
度々貴重なご意見いただき、ありがとうございます。
題材と料理の仕方に問題があるのかもしれませんね。
どおしてもせっかちな性分なので、早く、短く、まとめたくて仕方がないのです。
川端康成を手本、というのは、ほとんど言い訳だったりします^^
今回も、かとうさんや、ハルトさん、まめやさん、の作品を読ませていただいて感じたことは
じっくりと表現したいことを、濃密な文章で綴っていくことの良さですね
自分も次回はもう少し時間をかけて、多くの言葉を費やして
自分の作品を作ってみようと思う次第です。
>>[013]
ご感想ありがとうございます。算数の教科書としたのは、主人公たちの年が幾つくらいかを読者にはっきり書かずに察してもらうためでした。言わずもがなかな。

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