小説講座の先生とか、同人誌の先輩に習っただけで。アマゾンで購入してみます。紹介ありがとうございます^_^
美奈子先輩は、ちょっとろここっぽいかもしれない。
前に、夕方から大学にモグリに行ったときに、大教室のスクリーンでやってた『地獄の黙示録』、を撮ったフランシス・コッポラの娘のソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』、に出てきそう。
僕は『地獄の黙示録』の戦闘機が爆弾を沢山落とすシーンに気持ち悪くなっちゃって途中退室したし、『マリー・アントワネット』もトレーラーしか見ていないんだけど。
とにかく、美奈子先輩は盛り髪ではなくくるくるの巻き髪だが、それを除いても「美奈子先輩がロココ文化圏にいてもおかしくない！」と僕は思うのだ。
先生は、美奈子先輩について、どう思っているのだろうか……。
＊ ＊ ＊ 【※コメント1へ】
「本田くん、それで昨日はどうだったのかい？」
場所は国語科の職員室。
部屋の手前、プリントや参考集が置いてある先生の机の横に、僕たちはいる。
「昨日も……誰も来ませんでした。美奈子先輩とガッキー先輩、ミサ先輩が、心配して美術室で自習してくれました」
「ふうん。新垣くんと夏目くんと……美奈子くんって、なんていう名字の子だっけ？」
「中山です」
「そっか、そうだった」
「先生、新入生の勧誘するのに、今の部員の名前覚えてないんですか！？」
「ははは、すまん。私も来週の水曜日に美術室に行ってみるさ」
僕、本田圭太郎は、いま窮地に追い込まれている。
ゴールデンウィークも明けたというのに、所属する文芸部に新一年生が入ってくれず、大学受験のために引退した三年生の先輩方を除いた部員は、二年の僕だけなのである。部活動を成立させるのに必要な生徒数は三年生を除いて五人以上で、新たな部員を入部させないと、文芸部は部活動から同好会に降格してしまうのだ。
野口先生は、国語科の教員で、赴任以来ずっと文芸部の顧問をしている。
しかし、先生の前任の国語科の先生から顧問を引き継いだだけで、その実態は、名だけの顧問だ。でも、さすがに僕の代の文芸部員が一人だったからか、ちょくちょく僕を図書館に訪ねに来てくれるし（僕は休み時間を図書館で過ごすことが多かった）、こうして僕が相談すれば話を聴いてくれる。
僕は、美術室の一角で行われた、今週の部活動を思い出す……。
＊ ＊ ＊
「問題は、新入生歓迎号の部誌は全てなくなったのに、美術室に来たのは美術部に入りたいって子だけだった、ってことよね」
「あたしも、あたしたちの作品が悪かったとは思わない。美奈子もガッキーも、もちろんあたしだって、有終の美を飾りたかったから力を出し切った」
「そうでフ、ゲフゲフ」
「今年の一年生たちは、イラストとかマンガとか、美術の方面には興味がある。文芸志望の子たちは図書委員にとられたのかしら」
「確かに。創作を含む冊子出してるとか、図書委員会はたかが委員会の癖に、なんでまた部活の邪魔をするのよ！」
「ゲフ」
「あっちは委員会だから、自動的に各クラスにつき二名の委員は確保できる。少なくても十六人、新しい図書委員が誕生したのね」
「そこで同好の士となった子たちは、わざわざ文芸部に行ってみようとは思わないかもね、残念だけど」
「ゲフ、本田くんはどう思うでゲフか？」
四月生まれの僕と一年も誕生日が変わらないだろうに、先輩方に囲まれると、僕は何も言えなくなってしまう。前に「女兄弟に囲まれて育ったから先輩方が苦手」というように言っていた先生の気持ちが、ほんの少しだけわかるような気もする。
「もちろん、本田くんのことを責めているわけじゃないのよ。私たちだって「自ら図書委員になって、逆に文芸部に委員たちを誘う」ってことを、やろうと思えばできなくなかっただろうし……」
「そう。たとえあたしたちが、本田くんがあたしたちの中で緑一点としてやってきてくれたことを評価しても、十五歳の、高校に入ったばかりの女の子たちには、「活動している部員が男の先輩一人」ってのは不安なのかもしれないもの」
「ゲフ。本田くんみたいに、「男一人でも入りたい」っていうやる気のある子しか、文芸部には要らないでフけどね」
「ちょっとー、ガッキーやめてよね」
「そうよー。そりゃあたしたちは、「仲良こよしでやってるだけの部活」じゃないけどさぁ」
「滅びの美学でゲフ」
ああああ、先輩方ごめんなさい。委員会は部活とは違ってクラスのみんなの前で入らなきゃいけないから、インドア系のクラスメイト同士が既に構築した友人関係の延長線上で立候補してるところに混じれなかったし（一年生のとき、僕にはクラスで友達が一人しかいなかったのだ。そして図書委員たちは異様に仲がよく、二年生からおいそれと入れる委員会じゃない）、たった一人、美術室で新入生を待ってるのも怖かったので、四月中の水曜日は美術部から借りてる机の隅で旅行代理店のパンフレット見てるだけだったし、いや、僕は、クラスメイトはおろか、知らない人が恐いし……。
「ちょっと……、一回先生にも相談してみます（涙）」
「あ、本田くん！？」
「やっばー、美奈子、あたしたち言いすぎたかなぁ？」
「気にしないゲフ。廊下を猛ダッシュするのは青春の証でゲフ」
＊ ＊ ＊
それが、昨日のことだ。
散文韻文はもちろん、マンガやイラストを部誌に載せてもよいフリーダムな文芸部の三年生は、五人いる。そして、全員女性だ。
新垣久子先輩は、他の先輩方に「ガッキー」と呼ばれている。美麗なイラストやマンガを描く先輩で、その非現実的な世界を作品に落とし込む力量は素晴らしい。「東大合格間違いなし」と噂されるように理系のセンスが抜群で、他のもろもろの理科系の部活動、通称「地下部」（活動の拠点となる理科教室が地下階にあるからそう呼ばれている）と兼部している。
夏目ミサ先輩は茶道部と兼部している副部長さんだ。去年、文化祭のときにお茶を飲みに行ったけど、目鼻立ちがすーっとしている先輩に、薄紫の浴衣は、とてもよく似合っていた（もちろん点ててくれたお茶も美味しかったですよ）。なぜかこの二千十年代にルーズソックスを履いている希少な女の先輩で、なので校内ではちょっと目立っていると思う。書くものは小説や詩、日本文化が好きらしい。
他に昨日来ていなかった先輩がお二人。一人はすごく多くの部活を兼部している先輩だからか、いつもお忙しそうで、部誌への投稿も敵わないときがある。でも、たまにいらっしゃる際には、パワフルなエネルギーをバババッと出して帰っていく。もう一人は美術部と兼部している先輩。初対面のとき「わたし、二次元にしか興味ないから。ましてや三次元の男性は全く」とおっしゃたことが、印象に残っている。
そして五人目は中山美奈子先輩。愛について語る文章は個性的で、普段の制服（って、うちの高校は標準の制服はあるんだけど、ダサイから、みんな「制服」の範囲内で自由におしゃれを楽しんでいる）も個性的。おまけにとても美人で、先輩が「普通の女子高生」の範疇に入ってたらすごいモテただろうに……と余計なお世話をしてしまう。思うに、普通の女子高生はくるくるの巻き髪はしていない。
「本田くん、そろそろ予鈴鳴るから教室帰りな」
はっ、ここは国語科の職員室だった。一度思考のスイッチが入ると、今いる場所や時間を忘れて考えに没頭してしまう。それが僕の長所でもあり短所でもある……いや、悪い癖か。
「えっ、でも次って現代文ですよね？」
本年度、僕は初めて野口先生に現代文を教わっている。
「私には、教材の準備とか色々あるんだよ。だから、本田も早く帰って準備しとけよ」
「はっ、はい……」
三十七歳独身、メガネの奥をギラギラさせている先生は、担当しているクラスの生徒と廊下で会っても目を合わさない（友達の部活の先輩談）、公私を分けた先生である。あれ、この場合「公私」って変かな？ ともかく僕は、三階の国語科職員室から四階の自分の教室に戻る。僕たちは、二年の前期の現代文で、夏目漱石の『こころ』を勉強しているのだ。
＊ ＊ ＊
教室に入ると岩永が僕を呼ぶ。
「圭太郎、どうだったか？」
「うん……昨日の話は具体的には言ってないよ」
「俺んとこの柔道部員を分けてあげられたらと思うけどな。でも、柔道部と文芸部の掛け持ちなんか聞いたことがない」
「岩永……いつもありがとー（涙）」
「いや、おまえ、ホントに見かけによらず暑苦しいよな……」
岩永は僕のクラスメイト。友達のいなかった僕の唯一の一年生のときの友達で、もっとも、それは今も変わっていない。というのも、運よく岩永と僕はクラス替えでまた同じクラスになって、僕は岩永に頼るばかりで新しい友達をつくれていないからだ。
「それはそうと、騎馬戦の組も俺とおまえで同じに頼んどいたから」
僕の通う高校には「三大行事」とよばれる行事がある。五月の「体育祭」、六月の「合唱祭」、そして全クラスが演劇を行う文化祭――九月の「星雲祭」だ。放課後や朝練などのクラス練習を必要とする後者二つに対し、体育祭はぶっつけ本番だ。 ぼっちで運動神経もない僕には、それくらいの扱いの行事でよかった。岩永と同じ組なら、午前中に行われる全員参加種目・騎馬戦も、どうにかなるだろう。
「起立―」
先生がやって来た。授業の始まりだ。
＊ ＊ ＊
五月中旬の土曜日、晴れ。まさに絶好の体育祭日和だが……。
「岩永……僕が運動音痴なの知ってるよね？」
「ああ、ちゃんと俺がサポートすっから」
「去年、僕のせいで騎馬が崩れたのも覚えてるよね？」
「あいにく、よーく覚えてるな」
「…………。なんで僕が上なの！？」
「圭太郎、騎馬戦で上に乗る人は「騎手」っていうちゃんとした呼び名があるんだぜ。それにおまえはそこまでチビではないが軽いからな。大丈夫、俺には作戦がある」
作戦ってなんですか？ 僕がどうしようもない人間だってことを一番わかってくれてる友達は君でしょ？
「それでは二年男子の騎馬戦を始めます。ヨーイ、ドン！」
ちょっ、待っ、わーぎゃー怖いーひーうＷ―‘＠Ｐお……。
＊ ＊ ＊
「本田くん！」
「……美奈子先輩！」
お昼休憩から戻ろうと廊下を歩いているところを、美奈子先輩に呼び止められる。
「先輩、応援団やるんですね」
「そう、年甲斐もなくこんなカッコしちゃって……可愛い？」
ぴらん、と、ミニのプリーツスカートの両端を少しだけ持ち上げる先輩は、確かに、誰が見ても可愛いんだろうなあと思う。
「高校では、絶対応援団でチアやろうって決めてたの。三年生しか応援団には入れないでしょ？ だから、二年間ずーっと待ってた。一生懸命踊るから、ちゃんと見ててね」
なんだか、そんなことを言われると、本当に先輩方にとって今年が高校生活最後の年で、僕が先輩方といられるのも残りわずかなんだというのを実感してしまう。
「本田くんの騎馬戦もよかったわよ。すごく本田くんらしかったし……って、どうしたのよー？」
急に、涙が出てきた。果たしてこれから、僕は一人でやっていけるのだろうか。
僕はいつも誰かに助けられっぱなしだ。クラスでは岩永に、部活では美奈子先輩たちに。この人たちがいなかったら、僕はずっと一人で、いやまあ今も一人でいるからこそ先輩とこうやって話せるんだけど、逆にみんなのために、僕には何ができるんだろう？
「ずびずびっ、先輩、ちゃんと見ますー、ぐすんぐすん」
涙越しに、先輩のちょっと困ったような顔が見える。
「本田くん、あなたは私の大切な後輩で大好きな後輩だから言うけど、もっと自信を持ちなさい。あなたが何を考えているのか、私にはわからないけど、あなたが思うよりもずっと、世界は広くて優しいはずよ。男の子なんだから、しっかりしなさい！ っていうのは性差別かしら……」
「゛美゛奈゛子゛先゛輩、゛応゛援゛団゛頑゛張ってください」
「うん、ありがとー」
そう言って、先輩は可憐な後ろ姿で校庭に向かってゆく。それを見送る僕……に、
「本田、今の人誰？ めっちゃ美人じゃん」
とクラスの女子（？）が声をかけてきた。
「ぶ、部活の先輩……」
「部活って何部？」
文芸部だということは言ってもいいものかと考えていたら、
「まっ、いっか。キレイな人見れて幸せ。ってかやっぱり美人さんはチアとかやるんだなー」
と自己完結された。「話したこともないクラスメイト（女子）に突然話しかけられた僕の動揺をどうしてくれよう！」と思う一方、「まじまじと泣き顔見られなくてよかった！」とも思った。
僕は本当に、人としゃべれない。
＊ ＊ ＊
「続いては、応援団女子によるダンスです」
はー、泣いたら疲れちゃった。さっき話しかけられたのもあるし、クラスの席にはいたくないなー、と、一人学校の敷地をさまよってみる。
僕たちの高校は高台に建っており、校庭は、その麓にある。つまり、校舎と校庭は急な坂で隔てられており、体育祭の日にわざわざ校舎側に上ってくる人などいない……。と思っていたら、
「うわ、先生！」
「やあ、本田くん」
野口先生に出くわした。
「こんなところで何やってるんですか？」
「その言葉、そっくりそのままお返しするよ。午後もまだ競技があるだろ？」
「あ、はい……そうですね」
「ほら、始まった」
先生は、普段の白無地のワイシャツ姿ではなく、ジャージーの上下を着ていた。別に教員参加種目とかがあるわけじゃないのに、なぜそんなものを着てるんだろ。ってか、なんで持ってるんだろ。もしかしたら、先生は家ではジャージーなのだろうか。あんまり想像できないんだけど……。
「本田くん、食べるか？ 腹が減っていては、クラス全員リレーはできないと思うぞ」
ランチパックを渡された。ピーナッツ味。
「昼食が食えてないんだ。教員には教員で体育祭の仕事があってな。私は不審者がいないかチェックする係をやっている。応援団女子のチアダンスが一番盗撮の危険がある。ここからだと一般客が見やすいだろ？」
「ん、ありがとうございます」
なんだか先生に申し訳ない。僕と同じように、体育祭に興味がなくて、さぼってきてるんだと思ってしまっていた。
僕は、騎馬戦で無駄に体力を使い、まだお腹が空いていたので、ありがたくパンを頂戴する。
「ふーん。毎度思うが、応援団をやる子たちは、よくこの受験学年になったというプレッシャーのなかで見せることのできるものを仕上げてくるよな。踊りもちゃんと揃ってるし」
そうなのだ。ぶっつけ本番の体育祭において、応援団だけは例外で、他の三大行事のように、事前に練習をしてくる。やる気のある三年生は全員応援団に入れて、大体、チアの女の子は、三年生女子百五十人中三十人くらい……かな？ お揃いのＴシャツとお揃いのプリーツスカート、ポンポンをもってダンスする。
「あ、中山くんもチアなんだ」
「そうなんです、美奈子先輩チアやってるんです！ 先生視力いいですねー」
「ああ、だてにメガネ歴二十五年はやってないさ」
うん？
「十二歳のときからメガネってことですか！」
「そうだ、生粋のメガネっ子だぞ」
なんか今のやりとりおかしかったぞ？
「……せ、先生、美奈子先輩の顔覚えてるんですか！？」
先生は一瞬ギクツとした表情をして、また戻った。
「ああ……。本田くん、すまない。実は今週の水曜日に、既に美術室を訪れたんだ。そのとき君はいなかった」
…………。僕が新しい部長としてのプレッシャーに耐え切れず、逃げ出した日のことだ。先生は、あの後先輩たちに会ったということなのだろう。
「いや、実際には顔というか縦ロールの子がいるなーとは前から思っていた。だからそんなには視力ないぞ」
……怪しい。僕のふがいなさを先生に知られたかどうかということよりも、今は、先生と美奈子先輩が何を話したのかが気になる。
「あ、でも本田くんの騎馬戦はちゃんと見たさ。おもしろかったぞ、あれ。確かに乱戦型の騎馬戦は、騎馬が残っている数が多ければ勝ちだから、逃げて勝負を避け続けるというのはありだな。騎馬も君以外全員柔道部の子だろ？ いくら君のクラス柔道部が多いからって、あんなに固める必要はないとは思ったが」
……怪しい。
先生は、廊下とかでは話しかけにくいオーラを出す、とても生徒に対して友好的とはいえないはずの先生なのだ。もちろん、僕はたった一人の新入部員だったから例外として、顧問の部活の先輩方と交流しようともしてこなかった。それなのに、美奈子先輩のことはこんなにもよく覚えてる……。
「キレイな人見れて幸せ」「……可愛い？」「やっぱり美人さんはチアとかやるんだなー」「ちゃんと見ててね」頭の中が、クラスメイトと美奈子先輩の言葉でわんわんする。
ひょっとして、野口先生は、美奈子先輩のことが好きなんじゃないだろうか……。
＊ ＊ ＊
「おっ、本田、どうしたんだい？ 君がこっちの棚に来るの珍しいじゃないか」
場所は図書館。
部屋の奥、テーブルの近く、大型本を手にしている先生に、窓から射す西日が当たっている。
本のタイトルは『世界美術大全集ロココ』……。やっぱり先生も美奈子先輩がロココっぽいって思ってるんだ……。
クラッ。思わず倒れそうになったところを、先生が止めてくれる。
「本田くん……。君は何をやってるんだい……」
「すみません、太陽がまぶしくて……」
ジロッ。
「……あっ、この本か？ 君が前に「『こころ』とロココって似てる」って言ってたから、ちょっと見ようかと思ってな。四月から新しく受け持ち始めた生徒の顔と名前も全員覚えたし」
…………。なんだ、先生は、優れた記憶力を、僕たち生徒に対しても、万遍なく使ってくれていたのだ。
なんだか拍子抜けしてしまった。でも、先生に対する意地の悪い気持ちが、間髪入れさせずに、
「先生は、美奈子先輩のことが好きなんじゃないんですか？」
と訊かせてしまった。
「…………！ ……そうか、君がそう思うのか。でも、まず俺は仮にも教師だぞ。それに、私の恋愛は禁忌だからなぁ」
耳ではなく、目をパチクリさせ、
「きんき……きっずですか？」
と更に問いかけてみる。
「……ああ、そう来るか。って本田くん、君、キンキキッズ世代にしては若すぎるだろ？」
「僕の母が好きなんです。「あなたをキンキキッズで胎教してきたのよ」、ってよく言われます」
「そうか。私は彼らとほぼ同い年だから、印象に残ってるぞ」
「って、それはよくて！ それならやっぱり美奈子先輩も禁忌になるじゃないですか」
「だから、私は教師だから生徒とは恋愛しないし、それにこんなことを言うのも変だが、たとえ中山くんと私が同い年くらいだったとしても好きにはならないよ」
「あんなにキレイなのに？」
「ああ、本田くん、今から話す言葉は一教師の言葉ってのを忘れてくれ。確かに彼女はキレイだと言えるね。でもな、今の本田くんにはわからないかもしれないが、恋愛というのは外観だけでするものじゃないんだよ。君ももう少し大人になればわかるさ」
…………。こうやって、先生は僕のことをいつも子ども扱いする。
先生は、僕にたくさん質問をする。ガラス貼りの図書室を僕がうろうろしているところを見つけると、そのとき僕が手にしていた本について、わざわざ意見を聴きに来る。僕は少し緊張ながら答える。先生が笑う。質問する、また笑う。
先生は頭がいい。だから、答えによって僕をバカだと思わないか不安になる。僕は先生に追いつきたい。本を読む。勉強する。岩永と話す、小説を書く、先輩方にからかわれる。
どれだけ頑張れば先生に追いつけるんだろう？ 先生と僕の間にはどれほど深い川や高い山があって、僕は今どのあたりにいるのだろう？ そんな答えの出ないことを考える意味はないから、僕はただの平凡な高校二年生として、できる限りのことをして日々を送る。
「先生は、講義するクラスの生徒のことは全員覚えてるんですか？」
「ああ、そうだよ」
「なのに、なんで廊下とかで会っても挨拶しないんですか？」
「そうかな？ そう言われればそうな気もしてくるなあ。大体考え事して歩いているから、目的地を忘れないのに精一杯なんだが」
「先生は……保護者の方と不倫でもしてらっしゃるんですか？」
「…………、何を言ってるんだ君は。うーん、少々失言してしまったかなあ……？」
不倫！ クラッ。
「本田くん、君、ちょっと休みたまえ」
「僕は全然元気ですからっ！」
「いいから。夏目くんが兼部してる茶道部、今日活動日だろ？ 和室の隅ででも寝かしてもらいな」
あれ、ミサ先輩が茶道部と兼部してるってことも知ってるんだ？
本当に先生は記憶力がいいなー。
＊ ＊ ＊
「本当に、本田くんがご迷惑おかけしてすいません」
「いや、君が謝ることじゃないだろう。むしろ、こっちの部活も引退したのに、わざわざ来てもらってありがとう」
「いいえ、あたしたちがプレッシャーをかけすぎたんです。可愛い後輩だから、ついついからかってしまって。先週はさすがに心配だったから、野口先生にも来てもらって、かえって本田くんに悪かったです」
「……本当にな」
「……どこについてですか？」
「…………。夏目くん、君……」
「さあ、こうやってしゃべってると、本田くん、起きちゃいますよ。先生はもう帰ってください。後はあたし一人で十分です」
畳の匂い……。先生の声がしたような気がするけど、気のせいかな……。
「あっ、本田くん、起きたのーっ！？ よかったー」
ミサ先輩にギューッと抱きしめられる。
「えっと、僕……」
「図書室でいきなり倒れちゃったんだって！？ もう、一分一秒を無駄にできない受験生を、心配させないでよね！」
「あの……」
「とりあえずお干菓子食べて糖分補給よー」
茶菓子を含まさせられた。
「さっ、お茶点てるから飲んで帰りましょ」
そう言ってニッコリ笑うミサ先輩は、美奈子先輩みたいに万人受けするかはわからないけど、やはりとても可愛い。
＊ ＊ ＊
「本田くん、昨日のことなんだが……」
場所は美術室。
部屋の手前、文芸部にあてがわれたテーブルに向かって、野口先生が歩いてくる。
「大丈夫です。先生は誰にも言えない恋愛をしているんですよね。でも、わかりました。先生は絶対、人の道に外れたことはしないって。だからきっと、禁忌っていうのは、先生の片思いなんだろうなーって思います」
先生を見た。口が開いている。
「ですって、野口先生！」
テーブルの対角線上に座っていたミサ先輩が、なぜか楽しそうに告げる。
部屋の入り口から美奈子先輩が走ってくる。
「本田くん、体調崩したって聞いたけど、平気？」
そして、野口先生に気づき、会釈が交わされる。
「じゃあ、私は帰らせていただくよ。新垣、選択国語の課題まだだぞ。金曜までだからな」
先生、ガッキー先輩の課題まで把握してるんですか！？
みんなの視線が、僕の隣に座っているガッキー先輩に向くと、
「野口先生なら、一年生のときから教わってるでゲフよ」
「ちょっ、ガッキーなんで言ってくれなかったのよ！？」
「えっ、全くの新情報だわ」
「みんな、野口先生のことなんか興味ないと思ったからだゲフ」
「確かに、あたしはないけどねー」
「でも、いい先生ではあるわね」
美奈子先輩が野口先生のことを褒めるけど、少しも気にならない。
たとえ先生が美奈子先輩のことを好きだとしても、それが何だと言うのだろう。僕は、このどうしようもない僕のまま成長していくしかない。禁忌の恋愛をしている先生を、追い越そうと生きていくしかない。
そう、僕は野口先生から『こころ』を含む現代文を、あと一年弱は教わることができるのだから。
前に、夕方から大学にモグリに行ったときに、大教室のスクリーンでやってた『地獄の黙示録』、を撮ったフランシス・コッポラの娘のソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』、に出てきそう。
僕は『地獄の黙示録』の戦闘機が爆弾を沢山落とすシーンに気持ち悪くなっちゃって途中退室したし、『マリー・アントワネット』もトレーラーしか見ていないんだけど。
とにかく、美奈子先輩は盛り髪ではなくくるくるの巻き髪だが、それを除いても「美奈子先輩がロココ文化圏にいてもおかしくない！」と僕は思うのだ。
先生は、美奈子先輩について、どう思っているのだろうか……。
＊ ＊ ＊ 【※コメント1へ】
「本田くん、それで昨日はどうだったのかい？」
場所は国語科の職員室。
部屋の手前、プリントや参考集が置いてある先生の机の横に、僕たちはいる。
「昨日も……誰も来ませんでした。美奈子先輩とガッキー先輩、ミサ先輩が、心配して美術室で自習してくれました」
「ふうん。新垣くんと夏目くんと……美奈子くんって、なんていう名字の子だっけ？」
「中山です」
「そっか、そうだった」
「先生、新入生の勧誘するのに、今の部員の名前覚えてないんですか！？」
「ははは、すまん。私も来週の水曜日に美術室に行ってみるさ」
僕、本田圭太郎は、いま窮地に追い込まれている。
ゴールデンウィークも明けたというのに、所属する文芸部に新一年生が入ってくれず、大学受験のために引退した三年生の先輩方を除いた部員は、二年の僕だけなのである。部活動を成立させるのに必要な生徒数は三年生を除いて五人以上で、新たな部員を入部させないと、文芸部は部活動から同好会に降格してしまうのだ。
野口先生は、国語科の教員で、赴任以来ずっと文芸部の顧問をしている。
しかし、先生の前任の国語科の先生から顧問を引き継いだだけで、その実態は、名だけの顧問だ。でも、さすがに僕の代の文芸部員が一人だったからか、ちょくちょく僕を図書館に訪ねに来てくれるし（僕は休み時間を図書館で過ごすことが多かった）、こうして僕が相談すれば話を聴いてくれる。
僕は、美術室の一角で行われた、今週の部活動を思い出す……。
＊ ＊ ＊
「問題は、新入生歓迎号の部誌は全てなくなったのに、美術室に来たのは美術部に入りたいって子だけだった、ってことよね」
「あたしも、あたしたちの作品が悪かったとは思わない。美奈子もガッキーも、もちろんあたしだって、有終の美を飾りたかったから力を出し切った」
「そうでフ、ゲフゲフ」
「今年の一年生たちは、イラストとかマンガとか、美術の方面には興味がある。文芸志望の子たちは図書委員にとられたのかしら」
「確かに。創作を含む冊子出してるとか、図書委員会はたかが委員会の癖に、なんでまた部活の邪魔をするのよ！」
「ゲフ」
「あっちは委員会だから、自動的に各クラスにつき二名の委員は確保できる。少なくても十六人、新しい図書委員が誕生したのね」
「そこで同好の士となった子たちは、わざわざ文芸部に行ってみようとは思わないかもね、残念だけど」
「ゲフ、本田くんはどう思うでゲフか？」
四月生まれの僕と一年も誕生日が変わらないだろうに、先輩方に囲まれると、僕は何も言えなくなってしまう。前に「女兄弟に囲まれて育ったから先輩方が苦手」というように言っていた先生の気持ちが、ほんの少しだけわかるような気もする。
「もちろん、本田くんのことを責めているわけじゃないのよ。私たちだって「自ら図書委員になって、逆に文芸部に委員たちを誘う」ってことを、やろうと思えばできなくなかっただろうし……」
「そう。たとえあたしたちが、本田くんがあたしたちの中で緑一点としてやってきてくれたことを評価しても、十五歳の、高校に入ったばかりの女の子たちには、「活動している部員が男の先輩一人」ってのは不安なのかもしれないもの」
「ゲフ。本田くんみたいに、「男一人でも入りたい」っていうやる気のある子しか、文芸部には要らないでフけどね」
「ちょっとー、ガッキーやめてよね」
「そうよー。そりゃあたしたちは、「仲良こよしでやってるだけの部活」じゃないけどさぁ」
「滅びの美学でゲフ」
ああああ、先輩方ごめんなさい。委員会は部活とは違ってクラスのみんなの前で入らなきゃいけないから、インドア系のクラスメイト同士が既に構築した友人関係の延長線上で立候補してるところに混じれなかったし（一年生のとき、僕にはクラスで友達が一人しかいなかったのだ。そして図書委員たちは異様に仲がよく、二年生からおいそれと入れる委員会じゃない）、たった一人、美術室で新入生を待ってるのも怖かったので、四月中の水曜日は美術部から借りてる机の隅で旅行代理店のパンフレット見てるだけだったし、いや、僕は、クラスメイトはおろか、知らない人が恐いし……。
「ちょっと……、一回先生にも相談してみます（涙）」
「あ、本田くん！？」
「やっばー、美奈子、あたしたち言いすぎたかなぁ？」
「気にしないゲフ。廊下を猛ダッシュするのは青春の証でゲフ」
＊ ＊ ＊
それが、昨日のことだ。
散文韻文はもちろん、マンガやイラストを部誌に載せてもよいフリーダムな文芸部の三年生は、五人いる。そして、全員女性だ。
新垣久子先輩は、他の先輩方に「ガッキー」と呼ばれている。美麗なイラストやマンガを描く先輩で、その非現実的な世界を作品に落とし込む力量は素晴らしい。「東大合格間違いなし」と噂されるように理系のセンスが抜群で、他のもろもろの理科系の部活動、通称「地下部」（活動の拠点となる理科教室が地下階にあるからそう呼ばれている）と兼部している。
夏目ミサ先輩は茶道部と兼部している副部長さんだ。去年、文化祭のときにお茶を飲みに行ったけど、目鼻立ちがすーっとしている先輩に、薄紫の浴衣は、とてもよく似合っていた（もちろん点ててくれたお茶も美味しかったですよ）。なぜかこの二千十年代にルーズソックスを履いている希少な女の先輩で、なので校内ではちょっと目立っていると思う。書くものは小説や詩、日本文化が好きらしい。
他に昨日来ていなかった先輩がお二人。一人はすごく多くの部活を兼部している先輩だからか、いつもお忙しそうで、部誌への投稿も敵わないときがある。でも、たまにいらっしゃる際には、パワフルなエネルギーをバババッと出して帰っていく。もう一人は美術部と兼部している先輩。初対面のとき「わたし、二次元にしか興味ないから。ましてや三次元の男性は全く」とおっしゃたことが、印象に残っている。
そして五人目は中山美奈子先輩。愛について語る文章は個性的で、普段の制服（って、うちの高校は標準の制服はあるんだけど、ダサイから、みんな「制服」の範囲内で自由におしゃれを楽しんでいる）も個性的。おまけにとても美人で、先輩が「普通の女子高生」の範疇に入ってたらすごいモテただろうに……と余計なお世話をしてしまう。思うに、普通の女子高生はくるくるの巻き髪はしていない。
「本田くん、そろそろ予鈴鳴るから教室帰りな」
はっ、ここは国語科の職員室だった。一度思考のスイッチが入ると、今いる場所や時間を忘れて考えに没頭してしまう。それが僕の長所でもあり短所でもある……いや、悪い癖か。
「えっ、でも次って現代文ですよね？」
本年度、僕は初めて野口先生に現代文を教わっている。
「私には、教材の準備とか色々あるんだよ。だから、本田も早く帰って準備しとけよ」
「はっ、はい……」
三十七歳独身、メガネの奥をギラギラさせている先生は、担当しているクラスの生徒と廊下で会っても目を合わさない（友達の部活の先輩談）、公私を分けた先生である。あれ、この場合「公私」って変かな？ ともかく僕は、三階の国語科職員室から四階の自分の教室に戻る。僕たちは、二年の前期の現代文で、夏目漱石の『こころ』を勉強しているのだ。
＊ ＊ ＊
教室に入ると岩永が僕を呼ぶ。
「圭太郎、どうだったか？」
「うん……昨日の話は具体的には言ってないよ」
「俺んとこの柔道部員を分けてあげられたらと思うけどな。でも、柔道部と文芸部の掛け持ちなんか聞いたことがない」
「岩永……いつもありがとー（涙）」
「いや、おまえ、ホントに見かけによらず暑苦しいよな……」
岩永は僕のクラスメイト。友達のいなかった僕の唯一の一年生のときの友達で、もっとも、それは今も変わっていない。というのも、運よく岩永と僕はクラス替えでまた同じクラスになって、僕は岩永に頼るばかりで新しい友達をつくれていないからだ。
「それはそうと、騎馬戦の組も俺とおまえで同じに頼んどいたから」
僕の通う高校には「三大行事」とよばれる行事がある。五月の「体育祭」、六月の「合唱祭」、そして全クラスが演劇を行う文化祭――九月の「星雲祭」だ。放課後や朝練などのクラス練習を必要とする後者二つに対し、体育祭はぶっつけ本番だ。 ぼっちで運動神経もない僕には、それくらいの扱いの行事でよかった。岩永と同じ組なら、午前中に行われる全員参加種目・騎馬戦も、どうにかなるだろう。
「起立―」
先生がやって来た。授業の始まりだ。
＊ ＊ ＊
五月中旬の土曜日、晴れ。まさに絶好の体育祭日和だが……。
「岩永……僕が運動音痴なの知ってるよね？」
「ああ、ちゃんと俺がサポートすっから」
「去年、僕のせいで騎馬が崩れたのも覚えてるよね？」
「あいにく、よーく覚えてるな」
「…………。なんで僕が上なの！？」
「圭太郎、騎馬戦で上に乗る人は「騎手」っていうちゃんとした呼び名があるんだぜ。それにおまえはそこまでチビではないが軽いからな。大丈夫、俺には作戦がある」
作戦ってなんですか？ 僕がどうしようもない人間だってことを一番わかってくれてる友達は君でしょ？
「それでは二年男子の騎馬戦を始めます。ヨーイ、ドン！」
ちょっ、待っ、わーぎゃー怖いーひーうＷ―‘＠Ｐお……。
＊ ＊ ＊
「本田くん！」
「……美奈子先輩！」
お昼休憩から戻ろうと廊下を歩いているところを、美奈子先輩に呼び止められる。
「先輩、応援団やるんですね」
「そう、年甲斐もなくこんなカッコしちゃって……可愛い？」
ぴらん、と、ミニのプリーツスカートの両端を少しだけ持ち上げる先輩は、確かに、誰が見ても可愛いんだろうなあと思う。
「高校では、絶対応援団でチアやろうって決めてたの。三年生しか応援団には入れないでしょ？ だから、二年間ずーっと待ってた。一生懸命踊るから、ちゃんと見ててね」
なんだか、そんなことを言われると、本当に先輩方にとって今年が高校生活最後の年で、僕が先輩方といられるのも残りわずかなんだというのを実感してしまう。
「本田くんの騎馬戦もよかったわよ。すごく本田くんらしかったし……って、どうしたのよー？」
急に、涙が出てきた。果たしてこれから、僕は一人でやっていけるのだろうか。
僕はいつも誰かに助けられっぱなしだ。クラスでは岩永に、部活では美奈子先輩たちに。この人たちがいなかったら、僕はずっと一人で、いやまあ今も一人でいるからこそ先輩とこうやって話せるんだけど、逆にみんなのために、僕には何ができるんだろう？
「ずびずびっ、先輩、ちゃんと見ますー、ぐすんぐすん」
涙越しに、先輩のちょっと困ったような顔が見える。
「本田くん、あなたは私の大切な後輩で大好きな後輩だから言うけど、もっと自信を持ちなさい。あなたが何を考えているのか、私にはわからないけど、あなたが思うよりもずっと、世界は広くて優しいはずよ。男の子なんだから、しっかりしなさい！ っていうのは性差別かしら……」
「゛美゛奈゛子゛先゛輩、゛応゛援゛団゛頑゛張ってください」
「うん、ありがとー」
そう言って、先輩は可憐な後ろ姿で校庭に向かってゆく。それを見送る僕……に、
「本田、今の人誰？ めっちゃ美人じゃん」
とクラスの女子（？）が声をかけてきた。
「ぶ、部活の先輩……」
「部活って何部？」
文芸部だということは言ってもいいものかと考えていたら、
「まっ、いっか。キレイな人見れて幸せ。ってかやっぱり美人さんはチアとかやるんだなー」
と自己完結された。「話したこともないクラスメイト（女子）に突然話しかけられた僕の動揺をどうしてくれよう！」と思う一方、「まじまじと泣き顔見られなくてよかった！」とも思った。
僕は本当に、人としゃべれない。
＊ ＊ ＊
「続いては、応援団女子によるダンスです」
はー、泣いたら疲れちゃった。さっき話しかけられたのもあるし、クラスの席にはいたくないなー、と、一人学校の敷地をさまよってみる。
僕たちの高校は高台に建っており、校庭は、その麓にある。つまり、校舎と校庭は急な坂で隔てられており、体育祭の日にわざわざ校舎側に上ってくる人などいない……。と思っていたら、
「うわ、先生！」
「やあ、本田くん」
野口先生に出くわした。
「こんなところで何やってるんですか？」
「その言葉、そっくりそのままお返しするよ。午後もまだ競技があるだろ？」
「あ、はい……そうですね」
「ほら、始まった」
先生は、普段の白無地のワイシャツ姿ではなく、ジャージーの上下を着ていた。別に教員参加種目とかがあるわけじゃないのに、なぜそんなものを着てるんだろ。ってか、なんで持ってるんだろ。もしかしたら、先生は家ではジャージーなのだろうか。あんまり想像できないんだけど……。
「本田くん、食べるか？ 腹が減っていては、クラス全員リレーはできないと思うぞ」
ランチパックを渡された。ピーナッツ味。
「昼食が食えてないんだ。教員には教員で体育祭の仕事があってな。私は不審者がいないかチェックする係をやっている。応援団女子のチアダンスが一番盗撮の危険がある。ここからだと一般客が見やすいだろ？」
「ん、ありがとうございます」
なんだか先生に申し訳ない。僕と同じように、体育祭に興味がなくて、さぼってきてるんだと思ってしまっていた。
僕は、騎馬戦で無駄に体力を使い、まだお腹が空いていたので、ありがたくパンを頂戴する。
「ふーん。毎度思うが、応援団をやる子たちは、よくこの受験学年になったというプレッシャーのなかで見せることのできるものを仕上げてくるよな。踊りもちゃんと揃ってるし」
そうなのだ。ぶっつけ本番の体育祭において、応援団だけは例外で、他の三大行事のように、事前に練習をしてくる。やる気のある三年生は全員応援団に入れて、大体、チアの女の子は、三年生女子百五十人中三十人くらい……かな？ お揃いのＴシャツとお揃いのプリーツスカート、ポンポンをもってダンスする。
「あ、中山くんもチアなんだ」
「そうなんです、美奈子先輩チアやってるんです！ 先生視力いいですねー」
「ああ、だてにメガネ歴二十五年はやってないさ」
うん？
「十二歳のときからメガネってことですか！」
「そうだ、生粋のメガネっ子だぞ」
なんか今のやりとりおかしかったぞ？
「……せ、先生、美奈子先輩の顔覚えてるんですか！？」
先生は一瞬ギクツとした表情をして、また戻った。
「ああ……。本田くん、すまない。実は今週の水曜日に、既に美術室を訪れたんだ。そのとき君はいなかった」
…………。僕が新しい部長としてのプレッシャーに耐え切れず、逃げ出した日のことだ。先生は、あの後先輩たちに会ったということなのだろう。
「いや、実際には顔というか縦ロールの子がいるなーとは前から思っていた。だからそんなには視力ないぞ」
……怪しい。僕のふがいなさを先生に知られたかどうかということよりも、今は、先生と美奈子先輩が何を話したのかが気になる。
「あ、でも本田くんの騎馬戦はちゃんと見たさ。おもしろかったぞ、あれ。確かに乱戦型の騎馬戦は、騎馬が残っている数が多ければ勝ちだから、逃げて勝負を避け続けるというのはありだな。騎馬も君以外全員柔道部の子だろ？ いくら君のクラス柔道部が多いからって、あんなに固める必要はないとは思ったが」
……怪しい。
先生は、廊下とかでは話しかけにくいオーラを出す、とても生徒に対して友好的とはいえないはずの先生なのだ。もちろん、僕はたった一人の新入部員だったから例外として、顧問の部活の先輩方と交流しようともしてこなかった。それなのに、美奈子先輩のことはこんなにもよく覚えてる……。
「キレイな人見れて幸せ」「……可愛い？」「やっぱり美人さんはチアとかやるんだなー」「ちゃんと見ててね」頭の中が、クラスメイトと美奈子先輩の言葉でわんわんする。
ひょっとして、野口先生は、美奈子先輩のことが好きなんじゃないだろうか……。
＊ ＊ ＊
「おっ、本田、どうしたんだい？ 君がこっちの棚に来るの珍しいじゃないか」
場所は図書館。
部屋の奥、テーブルの近く、大型本を手にしている先生に、窓から射す西日が当たっている。
本のタイトルは『世界美術大全集ロココ』……。やっぱり先生も美奈子先輩がロココっぽいって思ってるんだ……。
クラッ。思わず倒れそうになったところを、先生が止めてくれる。
「本田くん……。君は何をやってるんだい……」
「すみません、太陽がまぶしくて……」
ジロッ。
「……あっ、この本か？ 君が前に「『こころ』とロココって似てる」って言ってたから、ちょっと見ようかと思ってな。四月から新しく受け持ち始めた生徒の顔と名前も全員覚えたし」
…………。なんだ、先生は、優れた記憶力を、僕たち生徒に対しても、万遍なく使ってくれていたのだ。
なんだか拍子抜けしてしまった。でも、先生に対する意地の悪い気持ちが、間髪入れさせずに、
「先生は、美奈子先輩のことが好きなんじゃないんですか？」
と訊かせてしまった。
「…………！ ……そうか、君がそう思うのか。でも、まず俺は仮にも教師だぞ。それに、私の恋愛は禁忌だからなぁ」
耳ではなく、目をパチクリさせ、
「きんき……きっずですか？」
と更に問いかけてみる。
「……ああ、そう来るか。って本田くん、君、キンキキッズ世代にしては若すぎるだろ？」
「僕の母が好きなんです。「あなたをキンキキッズで胎教してきたのよ」、ってよく言われます」
「そうか。私は彼らとほぼ同い年だから、印象に残ってるぞ」
「って、それはよくて！ それならやっぱり美奈子先輩も禁忌になるじゃないですか」
「だから、私は教師だから生徒とは恋愛しないし、それにこんなことを言うのも変だが、たとえ中山くんと私が同い年くらいだったとしても好きにはならないよ」
「あんなにキレイなのに？」
「ああ、本田くん、今から話す言葉は一教師の言葉ってのを忘れてくれ。確かに彼女はキレイだと言えるね。でもな、今の本田くんにはわからないかもしれないが、恋愛というのは外観だけでするものじゃないんだよ。君ももう少し大人になればわかるさ」
…………。こうやって、先生は僕のことをいつも子ども扱いする。
先生は、僕にたくさん質問をする。ガラス貼りの図書室を僕がうろうろしているところを見つけると、そのとき僕が手にしていた本について、わざわざ意見を聴きに来る。僕は少し緊張ながら答える。先生が笑う。質問する、また笑う。
先生は頭がいい。だから、答えによって僕をバカだと思わないか不安になる。僕は先生に追いつきたい。本を読む。勉強する。岩永と話す、小説を書く、先輩方にからかわれる。
どれだけ頑張れば先生に追いつけるんだろう？ 先生と僕の間にはどれほど深い川や高い山があって、僕は今どのあたりにいるのだろう？ そんな答えの出ないことを考える意味はないから、僕はただの平凡な高校二年生として、できる限りのことをして日々を送る。
「先生は、講義するクラスの生徒のことは全員覚えてるんですか？」
「ああ、そうだよ」
「なのに、なんで廊下とかで会っても挨拶しないんですか？」
「そうかな？ そう言われればそうな気もしてくるなあ。大体考え事して歩いているから、目的地を忘れないのに精一杯なんだが」
「先生は……保護者の方と不倫でもしてらっしゃるんですか？」
「…………、何を言ってるんだ君は。うーん、少々失言してしまったかなあ……？」
不倫！ クラッ。
「本田くん、君、ちょっと休みたまえ」
「僕は全然元気ですからっ！」
「いいから。夏目くんが兼部してる茶道部、今日活動日だろ？ 和室の隅ででも寝かしてもらいな」
あれ、ミサ先輩が茶道部と兼部してるってことも知ってるんだ？
本当に先生は記憶力がいいなー。
＊ ＊ ＊
「本当に、本田くんがご迷惑おかけしてすいません」
「いや、君が謝ることじゃないだろう。むしろ、こっちの部活も引退したのに、わざわざ来てもらってありがとう」
「いいえ、あたしたちがプレッシャーをかけすぎたんです。可愛い後輩だから、ついついからかってしまって。先週はさすがに心配だったから、野口先生にも来てもらって、かえって本田くんに悪かったです」
「……本当にな」
「……どこについてですか？」
「…………。夏目くん、君……」
「さあ、こうやってしゃべってると、本田くん、起きちゃいますよ。先生はもう帰ってください。後はあたし一人で十分です」
畳の匂い……。先生の声がしたような気がするけど、気のせいかな……。
「あっ、本田くん、起きたのーっ！？ よかったー」
ミサ先輩にギューッと抱きしめられる。
「えっと、僕……」
「図書室でいきなり倒れちゃったんだって！？ もう、一分一秒を無駄にできない受験生を、心配させないでよね！」
「あの……」
「とりあえずお干菓子食べて糖分補給よー」
茶菓子を含まさせられた。
「さっ、お茶点てるから飲んで帰りましょ」
そう言ってニッコリ笑うミサ先輩は、美奈子先輩みたいに万人受けするかはわからないけど、やはりとても可愛い。
＊ ＊ ＊
「本田くん、昨日のことなんだが……」
場所は美術室。
部屋の手前、文芸部にあてがわれたテーブルに向かって、野口先生が歩いてくる。
「大丈夫です。先生は誰にも言えない恋愛をしているんですよね。でも、わかりました。先生は絶対、人の道に外れたことはしないって。だからきっと、禁忌っていうのは、先生の片思いなんだろうなーって思います」
先生を見た。口が開いている。
「ですって、野口先生！」
テーブルの対角線上に座っていたミサ先輩が、なぜか楽しそうに告げる。
部屋の入り口から美奈子先輩が走ってくる。
「本田くん、体調崩したって聞いたけど、平気？」
そして、野口先生に気づき、会釈が交わされる。
「じゃあ、私は帰らせていただくよ。新垣、選択国語の課題まだだぞ。金曜までだからな」
先生、ガッキー先輩の課題まで把握してるんですか！？
みんなの視線が、僕の隣に座っているガッキー先輩に向くと、
「野口先生なら、一年生のときから教わってるでゲフよ」
「ちょっ、ガッキーなんで言ってくれなかったのよ！？」
「えっ、全くの新情報だわ」
「みんな、野口先生のことなんか興味ないと思ったからだゲフ」
「確かに、あたしはないけどねー」
「でも、いい先生ではあるわね」
美奈子先輩が野口先生のことを褒めるけど、少しも気にならない。
たとえ先生が美奈子先輩のことを好きだとしても、それが何だと言うのだろう。僕は、このどうしようもない僕のまま成長していくしかない。禁忌の恋愛をしている先生を、追い越そうと生きていくしかない。
そう、僕は野口先生から『こころ』を含む現代文を、あと一年弱は教わることができるのだから。
|
|
|
|
コメント(30)
はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
ヴァンサン（・ネリアス）と申します。
さて、今回の作品は第三回と第四回（第三回で【未完】だったものを第四回で【完】としました）の部会のために書いた作品の続編になりまして、その前作を読まないでも独立した作品として読めるように書いたつもりではありますが、前作を読んでから本作を読みたいという方もなかにはいらっしゃるかなーと思いまして、冒頭ではありますが、コメントを挟まさせていただきました。
「ヴァンサン ろここ」で検索すると、こちらのコミュニティのページも出てきますが、一応今回、リンクとして自分のmixi日記としてアップしたものを貼らせていただきます。
↓
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953247424&owner_id=6571961
次のコメントはあとがきとして書かせていただくので、お読みになった方、どうぞ。
ヴァンサン（・ネリアス）と申します。
さて、今回の作品は第三回と第四回（第三回で【未完】だったものを第四回で【完】としました）の部会のために書いた作品の続編になりまして、その前作を読まないでも独立した作品として読めるように書いたつもりではありますが、前作を読んでから本作を読みたいという方もなかにはいらっしゃるかなーと思いまして、冒頭ではありますが、コメントを挟まさせていただきました。
「ヴァンサン ろここ」で検索すると、こちらのコミュニティのページも出てきますが、一応今回、リンクとして自分のmixi日記としてアップしたものを貼らせていただきます。
↓
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953247424&owner_id=6571961
次のコメントはあとがきとして書かせていただくので、お読みになった方、どうぞ。
※あとがきですので、読了後やチラ見後に読んでいただくことを推奨します※
※また、ヴァンサンの独り言の要素が多くなりますので、ご承知おきの上お読みいただけると幸いです※
【天才探偵ミタライ〜難解事件ファイル「傘を折る女」〜】
全ては昨年春のこのドラマから始まりました。
「有名なミステリー作家さんの作品にもこういう要素があるのか！」と、ある一定の読者さんたちを対象にしたマーケットの広さを実感すると同時に、「この市場になら自分が入る余地があるのではないか……？」という妄想を抱くようになりました。
【テーマ】
なので、しっかりと伝わるように書けているかは自信がありませんが、今回のテーマは「タブー」と「恋愛小説」です（エヘッ
【ジャ○プマンガ――たとえばこ○亀のような】
エンターテイメントに徹そうとするのに避けて通れないもの、私にとってそれはジャ○プマンガです。
読んでいた時期は短かったですが、可変性とヴァリエーションの豊富さがジャ○プマンガの真髄だと勝手に思っています。
こ○亀のように長く続けることのできる作品、そして各回ごとに異なる視点で読める作品、を目指しています。
また、作者の変化によって話の流れや作風が変わるのも、ありかなーと考えています。
というかそれこそが作品なんだ、と思い込んで過ごした一年間でありました。
【ハーレム】
こういう作品を書くにあたって、そういうセンサーの無い方、特に男性の方なんかには、どうしたら面白く読んでもらえるかしら……というのの結論、わりと早い段階で、２話目はハーレムを書こうと決めていました。
「今回の裏テーマはハーレム」という観点でご一考下さると幸いです。
ハーレムなんか興味ねえよ、というご意見がございましたら、そちらも参考にします。
【とは言っても難しかった】
です。
文章を書くの（今も、こうして適当に打っていますが）とシーンを思いつくの、は楽しかったですが、自分にはストーリーテリングとキャラクター設定の才能・技量が無いということをひしひしと感じました。
常識的な範囲でのご指摘・ご批判お待ちしております。
【懲りずに……】
半年後に出すと言いながら、一年も経ってしまいました。
この文芸部は少なくとも十年は続くと耳にしましたので、十年後の「ろここ」完成を目標に精進します！
以上、お読みいただき誠にありがとうございました♪
※また、ヴァンサンの独り言の要素が多くなりますので、ご承知おきの上お読みいただけると幸いです※
【天才探偵ミタライ〜難解事件ファイル「傘を折る女」〜】
全ては昨年春のこのドラマから始まりました。
「有名なミステリー作家さんの作品にもこういう要素があるのか！」と、ある一定の読者さんたちを対象にしたマーケットの広さを実感すると同時に、「この市場になら自分が入る余地があるのではないか……？」という妄想を抱くようになりました。
【テーマ】
なので、しっかりと伝わるように書けているかは自信がありませんが、今回のテーマは「タブー」と「恋愛小説」です（エヘッ
【ジャ○プマンガ――たとえばこ○亀のような】
エンターテイメントに徹そうとするのに避けて通れないもの、私にとってそれはジャ○プマンガです。
読んでいた時期は短かったですが、可変性とヴァリエーションの豊富さがジャ○プマンガの真髄だと勝手に思っています。
こ○亀のように長く続けることのできる作品、そして各回ごとに異なる視点で読める作品、を目指しています。
また、作者の変化によって話の流れや作風が変わるのも、ありかなーと考えています。
というかそれこそが作品なんだ、と思い込んで過ごした一年間でありました。
【ハーレム】
こういう作品を書くにあたって、そういうセンサーの無い方、特に男性の方なんかには、どうしたら面白く読んでもらえるかしら……というのの結論、わりと早い段階で、２話目はハーレムを書こうと決めていました。
「今回の裏テーマはハーレム」という観点でご一考下さると幸いです。
ハーレムなんか興味ねえよ、というご意見がございましたら、そちらも参考にします。
【とは言っても難しかった】
です。
文章を書くの（今も、こうして適当に打っていますが）とシーンを思いつくの、は楽しかったですが、自分にはストーリーテリングとキャラクター設定の才能・技量が無いということをひしひしと感じました。
常識的な範囲でのご指摘・ご批判お待ちしております。
【懲りずに……】
半年後に出すと言いながら、一年も経ってしまいました。
この文芸部は少なくとも十年は続くと耳にしましたので、十年後の「ろここ」完成を目標に精進します！
以上、お読みいただき誠にありがとうございました♪
初めまして、かとうと申します。読ませていただきました。おもしろかったです！
なんだか、するする読めそうな文体なんだけど、結構独特で、なんだろう、うまく言えないんだけど、不思議なような懐かしいようなくすぐったいような……そんな雰囲気が流れていて、引き込まれました。
例えば、
「去年、文化祭のときにお茶を飲みに行ったけど、目鼻立ちがすーっとしている先輩に、薄紫の浴衣は、とてもよく似合っていた（もちろん点ててくれたお茶も美味しかったですよ）。」
このカッコの中ですよね。「もちろん点ててくれたお茶も美味しかったですよ」は一体誰に対して言ってるんだろう？と思うと、もちろん読者なんですよね。
ものすごく臨場感とある種の生々しさがあるのに、こんな風にひょっと読者に語りかけてくる……こんな瞬間に、とても不思議な感覚に陥ります。
「とクラスの女子（？）」
の（？）とか。なんだか、新感覚な文体でした。
それがヴァンサンさんの強烈な個性になっている気がして、とても興味深かったです。ありがとうございました。
なんだか、するする読めそうな文体なんだけど、結構独特で、なんだろう、うまく言えないんだけど、不思議なような懐かしいようなくすぐったいような……そんな雰囲気が流れていて、引き込まれました。
例えば、
「去年、文化祭のときにお茶を飲みに行ったけど、目鼻立ちがすーっとしている先輩に、薄紫の浴衣は、とてもよく似合っていた（もちろん点ててくれたお茶も美味しかったですよ）。」
このカッコの中ですよね。「もちろん点ててくれたお茶も美味しかったですよ」は一体誰に対して言ってるんだろう？と思うと、もちろん読者なんですよね。
ものすごく臨場感とある種の生々しさがあるのに、こんな風にひょっと読者に語りかけてくる……こんな瞬間に、とても不思議な感覚に陥ります。
「とクラスの女子（？）」
の（？）とか。なんだか、新感覚な文体でした。
それがヴァンサンさんの強烈な個性になっている気がして、とても興味深かったです。ありがとうございました。
とても面白く読めました。ろここっぽいという表現もインパクトがあってよかったです。キャラも立ってて感情移入しやすかったです。が、気になった点をいくつか。
� 愧蝋�の黙示録』、を撮ったフランシス・コッポラの娘のソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』、に出てきそう。
『地獄の黙示録』の後の『、』は不要です。同じく『マリー・アントワネット』の後の『、』も不要。
�⊇颪�ものは小説や詩、日本文化が好きらしい。
詩の次は『、』ではなく、『。』がいいと思う。そこで話の区切りがついてるので。後、どういう日本文化が好きなのかを説明した方が、キャラクターがより一層浮かびあがってよかったと思います。一口に日本文化と言っても、色々あるので。和服が好きとか、日本刀に詳しいとか。
��「仲良こよしでやってるだけの部活」
上の文章は「」の中に入ってるので『』でないとおかしい。
�こ里�に、誰が見ても可愛いんだろうなあと思う。
『確かに、可愛い』と、断定的に書いた方がいいです。『誰が見ても可愛いんだろうなあと思う』という書き方は、本田がそれほど可愛いと感じてないのかと受けとれる。逆にそれほど可愛いと思ってないなら『僕はそれほどと思わないけど、百人中九十九人は可愛いって思うのだろう』とか、書き方を変えた方がいいです。
�ゥ�ラッ。思わず倒れそうになったところを、先生が止めてくれる。
「本田くん……。君は何をやってるんだい……」
上の文章ですが、直前で本田が倒れそうになったという緊急事態が発生したのに、何だか台詞がのんびりしてて違和感を覚えました。例えば、以下のように変えてみてはいかがでしょう？
突然めまいがして、思わず倒れそうになったところを先生が咄嗟に両手で僕の体を支えてくれた。「どうした。大丈夫か」心配した先生の声が聞こえた。
後、本田が倒れた後、本田が何事もなかったように軽口を叩いて、本当に具合が悪いのに軽口を叩いてるだけなのか、そもそも何で倒れたのかがよくわからないまま話が進行していくのに違和感を覚えました。
�Δ肇�ラスの女子（？）が声をかけてきた。
まず、『と』の次に『、』が入るべき。後、疑問符が『女子』の後ろに入るのはなぜなんだろう？ 女子だけど女子っぽくないって事？ そうだとして、その後では、以下のように疑問符は入らず、（女子）と、断定的に書かれてるのはなぜなんだろう？
「話したこともないクラスメイト（女子）に突然話しかけられた僕の動揺をどうしてくれよう！」と思う一方、「まじまじと泣き顔見られなくてよかった！」とも思った。
�Д僖錺侫襪淵┘優襯�ーをバババッと出して帰っていく。
上の文章は説明せずに、どうエネルギッシュなのか、描写してほしかったです。
色々細かい事を書いてしまいましたが、個人的には好きな作品です。青春小説として、よくできてると感じました。
� 愧蝋�の黙示録』、を撮ったフランシス・コッポラの娘のソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』、に出てきそう。
『地獄の黙示録』の後の『、』は不要です。同じく『マリー・アントワネット』の後の『、』も不要。
�⊇颪�ものは小説や詩、日本文化が好きらしい。
詩の次は『、』ではなく、『。』がいいと思う。そこで話の区切りがついてるので。後、どういう日本文化が好きなのかを説明した方が、キャラクターがより一層浮かびあがってよかったと思います。一口に日本文化と言っても、色々あるので。和服が好きとか、日本刀に詳しいとか。
��「仲良こよしでやってるだけの部活」
上の文章は「」の中に入ってるので『』でないとおかしい。
�こ里�に、誰が見ても可愛いんだろうなあと思う。
『確かに、可愛い』と、断定的に書いた方がいいです。『誰が見ても可愛いんだろうなあと思う』という書き方は、本田がそれほど可愛いと感じてないのかと受けとれる。逆にそれほど可愛いと思ってないなら『僕はそれほどと思わないけど、百人中九十九人は可愛いって思うのだろう』とか、書き方を変えた方がいいです。
�ゥ�ラッ。思わず倒れそうになったところを、先生が止めてくれる。
「本田くん……。君は何をやってるんだい……」
上の文章ですが、直前で本田が倒れそうになったという緊急事態が発生したのに、何だか台詞がのんびりしてて違和感を覚えました。例えば、以下のように変えてみてはいかがでしょう？
突然めまいがして、思わず倒れそうになったところを先生が咄嗟に両手で僕の体を支えてくれた。「どうした。大丈夫か」心配した先生の声が聞こえた。
後、本田が倒れた後、本田が何事もなかったように軽口を叩いて、本当に具合が悪いのに軽口を叩いてるだけなのか、そもそも何で倒れたのかがよくわからないまま話が進行していくのに違和感を覚えました。
�Δ肇�ラスの女子（？）が声をかけてきた。
まず、『と』の次に『、』が入るべき。後、疑問符が『女子』の後ろに入るのはなぜなんだろう？ 女子だけど女子っぽくないって事？ そうだとして、その後では、以下のように疑問符は入らず、（女子）と、断定的に書かれてるのはなぜなんだろう？
「話したこともないクラスメイト（女子）に突然話しかけられた僕の動揺をどうしてくれよう！」と思う一方、「まじまじと泣き顔見られなくてよかった！」とも思った。
�Д僖錺侫襪淵┘優襯�ーをバババッと出して帰っていく。
上の文章は説明せずに、どうエネルギッシュなのか、描写してほしかったです。
色々細かい事を書いてしまいましたが、個人的には好きな作品です。青春小説として、よくできてると感じました。
>>[3]
はじめまして、お世話になります。
拙作、お読みいただきありがとうございます。
実は今まで、あまり文体へ言及されたことがなかったので、率直に嬉しいです！
というのも、自分では「私固有の文体ってねえわｗ」と思っていたので……。
今回、せっかくなので、かとうさんのご指摘によって考えさせてもらったことを書いてみたいと思います。
� 崋膺邑�が読者（？）に向かって語り出すということ」はマンガではよくあるのではないでしょうか。
たとえば、手元にある『美少女戦士セーラームーン』1巻では「あたし 月野うさぎ 十四歳 中二」「自分でも思うケド」「ちょっと泣きムシ」(p3、単行本の冒頭）と、誰に向かってかはわかりませんが、語り出します。
少女マンガ（と児童文学）で育ってきたので、私にとっては、突然語りかけることに違和感はありませんでしたが、改めて小説というメディアで表現するということを考えると、より注意深く使った方がいいかなーと思いました。
�△海涼瞥遒皹洞糎気砲弔い討任垢�、マンガの他に村上春樹のエッセイから影響を受けているのではないかと（何分小説をあまり読まないもので）……。
今ちょうど『村上朝日堂』（H19.8改版ver）していますが、50個のエッセイ（各2p）中に30個くらい、（）や――でツッコミが入っているのを発見しました。
例「ただ困ったことには――というか何というか――この家は実は」（p75）、「少なくともそれほど悪い人ではない（しかし、どうもこれでは誉めてるという感じがしないな）」（p81）
文章自体の流れをとどめたくない、でももっと説明がしたい、みたいな感じ、いわゆる「翻訳文体」なのでしょうか。
「（）が多くて村上春樹っぽいな……」と書いている間にも思ったので、少なめにしようとして頑張ってはみましたが（文芸部の先輩の夏目ミサなんて、すごく村上春樹の小説に出てくる女性っぽい話し方になってしまいましたし）……。
あと、今回の作品では、主人公の本田くんが自己ツッコミをするのは、彼に友達がいない≒ツッコミの役をやってくれる人がいないからだと思います。
�Ｃ總杆擦砲覆辰討い覯凸權�石の『こころ』上「先生と私」中「両親と私」に関しては、語り手の「私」が誰に語っているのか、という論点があると思います。
なので、今回の作品にも……なんてのは言いすぎですね。
自分では当たり前に使っている表現が、自分以外の方からするとそうではない、ということ、とても勉強になります。
当日お話しできるのを楽しみにしておりますｐ（＾−＾）ｑ♪
長々と失礼しました！
はじめまして、お世話になります。
拙作、お読みいただきありがとうございます。
実は今まで、あまり文体へ言及されたことがなかったので、率直に嬉しいです！
というのも、自分では「私固有の文体ってねえわｗ」と思っていたので……。
今回、せっかくなので、かとうさんのご指摘によって考えさせてもらったことを書いてみたいと思います。
� 崋膺邑�が読者（？）に向かって語り出すということ」はマンガではよくあるのではないでしょうか。
たとえば、手元にある『美少女戦士セーラームーン』1巻では「あたし 月野うさぎ 十四歳 中二」「自分でも思うケド」「ちょっと泣きムシ」(p3、単行本の冒頭）と、誰に向かってかはわかりませんが、語り出します。
少女マンガ（と児童文学）で育ってきたので、私にとっては、突然語りかけることに違和感はありませんでしたが、改めて小説というメディアで表現するということを考えると、より注意深く使った方がいいかなーと思いました。
�△海涼瞥遒皹洞糎気砲弔い討任垢�、マンガの他に村上春樹のエッセイから影響を受けているのではないかと（何分小説をあまり読まないもので）……。
今ちょうど『村上朝日堂』（H19.8改版ver）していますが、50個のエッセイ（各2p）中に30個くらい、（）や――でツッコミが入っているのを発見しました。
例「ただ困ったことには――というか何というか――この家は実は」（p75）、「少なくともそれほど悪い人ではない（しかし、どうもこれでは誉めてるという感じがしないな）」（p81）
文章自体の流れをとどめたくない、でももっと説明がしたい、みたいな感じ、いわゆる「翻訳文体」なのでしょうか。
「（）が多くて村上春樹っぽいな……」と書いている間にも思ったので、少なめにしようとして頑張ってはみましたが（文芸部の先輩の夏目ミサなんて、すごく村上春樹の小説に出てくる女性っぽい話し方になってしまいましたし）……。
あと、今回の作品では、主人公の本田くんが自己ツッコミをするのは、彼に友達がいない≒ツッコミの役をやってくれる人がいないからだと思います。
�Ｃ總杆擦砲覆辰討い覯凸權�石の『こころ』上「先生と私」中「両親と私」に関しては、語り手の「私」が誰に語っているのか、という論点があると思います。
なので、今回の作品にも……なんてのは言いすぎですね。
自分では当たり前に使っている表現が、自分以外の方からするとそうではない、ということ、とても勉強になります。
当日お話しできるのを楽しみにしておりますｐ（＾−＾）ｑ♪
長々と失礼しました！
>>[4]
お読みいただきありがとうございます！
せっかく丸数字つけて感想いただいたので、できる限りその順番に沿って私の思うところを書いてみますね。
��
「日本文化が好きらしい。 」は初稿では「日本文化が好きなんだろうと僕は思っている。」でした。
ご指摘いただいている通り、キャラクターが浮かび上がってこないと思います……というのも、それほどのキャラクター設定がまだないのです。
ですが、いくら作者である私が夏目ミサについてあまり知らなくても、部活動の後輩である本田くんは多少は知ってるだろうなあ……と「好きなんだろうと僕は思っている。」から変えました。
一種の妥協点でしたが、やはりキャラクター設定の技量の無さが露呈してしまいましたね。。。
�きイ砲弔い討蓮△△┐童世錣擦討�ださい。
＊本田くんは野口先生のことが好き（だけど自分では気づいていない）なんです、だからここは譲れないんです＞＜＊
＊少なくとも、今の私にはこれ以上の表現方法が思いつかないんです＞＜＞＜＊
��
は、「中山美奈子は可愛い。けど「僕」にとっては性的魅力を感じる対象ではない」
と読み取ってもらえたら嬉しいな……という想いを込めて書いています。
そのあたりの「僕」の認識が曖昧だから、表現も曖昧にしています。
��
は、前作「ろここ〜先生と僕〜」を発表したときにリクエストのあった「肉体的接触」を、今回唯一明示した箇所になります。
ですので、�い茲蠅盥垢奔Ｋ罎壁集修砲覆辰討い泙后�
ご提示いただいた案だと、完全に具体的に野口先生と本田くんが触れ合ってますよね？
でも、私の意図としては、読者にその想像を委ねたいのです。
「先生が止めてくれる」って何！？ うおー（どこがどう触れ合ってるんだー）！？ みたいな。
＊でも、今回曖昧表現をうまく使いこなせていないなーと思います＊
＊表現自体には自信のようなものはありますが、それまでに張るべき伏線を張れていないので、読者を誘導できていないなーと＊
�ヂ海�
一応これで意図を説明したことにはなりましたが、たぶんご指摘とは、ずれてますよね。
「僕」は一種の（辞書的な意味とは異なる）知恵熱持ちなんだと思います。
今回、「僕」は考え事に没頭する癖がある、という記述をしましたが、その延長線上に、考えすぎたらダウンしてしまう、という性質があるような気がします。
そういう傾向があるという説明を、次回以降、もしくはこの作品群が完成したときに入れて、よりわかりやすくしたいです。
でも、ほんとに、「倒れたのに保健室じゃなくて和室に行くのかよ……OTL」と自分自身ツッコミが入れたくなるほど、無茶苦茶な展開ですよね。。。
��
ここは「とクラスの女子（？）が声をかけてきた。」ではなく、「と女子（クラスメイト？）が声をかけてきた。」とすべきでしたね。
確かに、次に「（女子）」と強調してますし、スターさんのご指摘の通りに読み取れます。
本田くんには岩永しかクラスで友達がおらず、クラスメイトの顔がわからないのです。
そしてクラスメイト、しかも女子、に声をかけられて驚いているのです。
��
ハーレムと言っておきながら、主に女性は三人しか出てきません。
前に「一万字に情報を入れすぎると散漫になる」という議論があったのを踏まえたのと、単に書き分け（キャラクター設定）ができなさそうだからです。
ということではなく、もう一人の先輩に一言のセリフがあるみたいに、一行で性格・性質を表わす描写があった方がよかったという意味ですかね？
正直、「この人物はこの先作品に現れないかも……」と重要度を低く考えてしまっていました。
「作品に出る人物は全て自分の作った世界で生きている人間だ！」という意識を持ち、もっと愛着を抱ければと思います。
�´↓�
最後に、ご指摘いただいた文章を書く上でのルールについて、スターさんがご参考にされている書籍等ございましたら、可能であれば教えていただきたいです！
��に関しては、確かにな、と思いましたし、手元の国語便覧にも載っていましたが、何分論拠がわからないと動けない人間なので……。
今まで、「小説らしきものは趣味で書いているだけだから、マニュアル本とか読んで意識しすぎて書けなくなったら嫌だな〜」と思っていましたが、今回、話の展開の仕方に苦労し、「さすがにそろそろマニュアルの助けが要るころかな……」とも思っています。
まとめますと、今回主に3つの課題点が見えたわけでして、次回以降に活かせればと思います。
↓
・キャラクター設定が甘い
・曖昧表現につながる伏線が張れていない
・文章を書く上でのルールを知らない
繰り返しになりますが、ご丁寧な感想をありがとうございます！ 長々と失礼しました！！
お読みいただきありがとうございます！
せっかく丸数字つけて感想いただいたので、できる限りその順番に沿って私の思うところを書いてみますね。
��
「日本文化が好きらしい。 」は初稿では「日本文化が好きなんだろうと僕は思っている。」でした。
ご指摘いただいている通り、キャラクターが浮かび上がってこないと思います……というのも、それほどのキャラクター設定がまだないのです。
ですが、いくら作者である私が夏目ミサについてあまり知らなくても、部活動の後輩である本田くんは多少は知ってるだろうなあ……と「好きなんだろうと僕は思っている。」から変えました。
一種の妥協点でしたが、やはりキャラクター設定の技量の無さが露呈してしまいましたね。。。
�きイ砲弔い討蓮△△┐童世錣擦討�ださい。
＊本田くんは野口先生のことが好き（だけど自分では気づいていない）なんです、だからここは譲れないんです＞＜＊
＊少なくとも、今の私にはこれ以上の表現方法が思いつかないんです＞＜＞＜＊
��
は、「中山美奈子は可愛い。けど「僕」にとっては性的魅力を感じる対象ではない」
と読み取ってもらえたら嬉しいな……という想いを込めて書いています。
そのあたりの「僕」の認識が曖昧だから、表現も曖昧にしています。
��
は、前作「ろここ〜先生と僕〜」を発表したときにリクエストのあった「肉体的接触」を、今回唯一明示した箇所になります。
ですので、�い茲蠅盥垢奔Ｋ罎壁集修砲覆辰討い泙后�
ご提示いただいた案だと、完全に具体的に野口先生と本田くんが触れ合ってますよね？
でも、私の意図としては、読者にその想像を委ねたいのです。
「先生が止めてくれる」って何！？ うおー（どこがどう触れ合ってるんだー）！？ みたいな。
＊でも、今回曖昧表現をうまく使いこなせていないなーと思います＊
＊表現自体には自信のようなものはありますが、それまでに張るべき伏線を張れていないので、読者を誘導できていないなーと＊
�ヂ海�
一応これで意図を説明したことにはなりましたが、たぶんご指摘とは、ずれてますよね。
「僕」は一種の（辞書的な意味とは異なる）知恵熱持ちなんだと思います。
今回、「僕」は考え事に没頭する癖がある、という記述をしましたが、その延長線上に、考えすぎたらダウンしてしまう、という性質があるような気がします。
そういう傾向があるという説明を、次回以降、もしくはこの作品群が完成したときに入れて、よりわかりやすくしたいです。
でも、ほんとに、「倒れたのに保健室じゃなくて和室に行くのかよ……OTL」と自分自身ツッコミが入れたくなるほど、無茶苦茶な展開ですよね。。。
��
ここは「とクラスの女子（？）が声をかけてきた。」ではなく、「と女子（クラスメイト？）が声をかけてきた。」とすべきでしたね。
確かに、次に「（女子）」と強調してますし、スターさんのご指摘の通りに読み取れます。
本田くんには岩永しかクラスで友達がおらず、クラスメイトの顔がわからないのです。
そしてクラスメイト、しかも女子、に声をかけられて驚いているのです。
��
ハーレムと言っておきながら、主に女性は三人しか出てきません。
前に「一万字に情報を入れすぎると散漫になる」という議論があったのを踏まえたのと、単に書き分け（キャラクター設定）ができなさそうだからです。
ということではなく、もう一人の先輩に一言のセリフがあるみたいに、一行で性格・性質を表わす描写があった方がよかったという意味ですかね？
正直、「この人物はこの先作品に現れないかも……」と重要度を低く考えてしまっていました。
「作品に出る人物は全て自分の作った世界で生きている人間だ！」という意識を持ち、もっと愛着を抱ければと思います。
�´↓�
最後に、ご指摘いただいた文章を書く上でのルールについて、スターさんがご参考にされている書籍等ございましたら、可能であれば教えていただきたいです！
��に関しては、確かにな、と思いましたし、手元の国語便覧にも載っていましたが、何分論拠がわからないと動けない人間なので……。
今まで、「小説らしきものは趣味で書いているだけだから、マニュアル本とか読んで意識しすぎて書けなくなったら嫌だな〜」と思っていましたが、今回、話の展開の仕方に苦労し、「さすがにそろそろマニュアルの助けが要るころかな……」とも思っています。
まとめますと、今回主に3つの課題点が見えたわけでして、次回以降に活かせればと思います。
↓
・キャラクター設定が甘い
・曖昧表現につながる伏線が張れていない
・文章を書く上でのルールを知らない
繰り返しになりますが、ご丁寧な感想をありがとうございます！ 長々と失礼しました！！
クラッ。思わず倒れそうになったところを、先生が止めてくれる。
「本田くん……。君は何をやってるんだい……」
上記の表現、わたしは結構好きですよ。本田くんのナイーブな感じが伝わります。でも確かに、知恵熱感をもう少し表現しても良かったのかもしれません。
ヴァンサンさんの作品の良さは、私はコミカルでキュートなところだと思います。コミカルさなんて狙ってない！という話でしたらごめんなさい( ；´Д｀)
でもそれってヴァンサンさんの文体だからこそ表現できる良さなのかなと思いました。誰かの小説に対してのコメントが、感想なのか批判なのか添削なのか……それは意識してやりとりしてもいいんじゃないかなぁと感じました。
横レスになってしまいますが、文法上のルールに関して。書き方のマニュアルなどは私も気になるところです。
基本的な文法は国語便覧を読むとして、どういう表現を選ぶかは小説においては自由な気がします。作者の意図とさえ合っているならば。
必要なのは、たくさんの文章を読むことと、自分の書いた文章をものすごーく客観的に見ること、その二つのような気がします。客観的に見るのが難しいからこそ、他の人の感想を求めるわけですが(･_･;
自分で読み直して「なんか微妙かな？」って表現があったとしたら、それは他人にはもっと顕著に伝わっているのだと思います。なんか偉そうにすみません。私も修業中なので、皆様とやりとりしながら磨いて行きたいなぁと思っております。。
お久しぶりです。
今回私は中編作成中のため作品のアップはしませんので、皆様の作品に偉そうに感想を書かせていただきます。
まず大きな感想としては、私自身独特なヴァンサンの世界観に戸惑うこともあったのですが、今回の作品は一番『小説』になっていると思いました。
特にキャラクター描写ですね。「少女漫画と児童小説で育った」というのはよくわかります。この辺りの描き方は女性の、女性向け作品らしくて面白かったですね。
小説の中で作者が語りかけてくるというのは中々珍しいですが（あるとしても司馬遼太郎のように地の文でやりますね）、このような形を私は手塚治虫や鳥山明が漫画で表現してきたのを読んでますので、中々面白い試みだな、と感じました。
児童文学と少女漫画、さらに『こころ』と『BL』などの絡ませ方は好きです。
キャラクター設定に関してはまず外見をなんとなく決めて、口癖や好きな食べ物、利き腕、許せない行動などを一覧にして決めていくといいかも
あとは有名人をモチーフにするとか。（私は前回プロレスラーの真壁をモチーフにしました。超強面、金髪ムキムキなのに子供好きなスイーツ大好き男）知り合いをモチーフにするのもアリですね。
あとは商業用では難しいですが（文芸部だけならOKでしょう）好きなキャラクターを使うという『同人誌』みたいなやり方もあります。
今回私は中編作成中のため作品のアップはしませんので、皆様の作品に偉そうに感想を書かせていただきます。
まず大きな感想としては、私自身独特なヴァンサンの世界観に戸惑うこともあったのですが、今回の作品は一番『小説』になっていると思いました。
特にキャラクター描写ですね。「少女漫画と児童小説で育った」というのはよくわかります。この辺りの描き方は女性の、女性向け作品らしくて面白かったですね。
小説の中で作者が語りかけてくるというのは中々珍しいですが（あるとしても司馬遼太郎のように地の文でやりますね）、このような形を私は手塚治虫や鳥山明が漫画で表現してきたのを読んでますので、中々面白い試みだな、と感じました。
児童文学と少女漫画、さらに『こころ』と『BL』などの絡ませ方は好きです。
キャラクター設定に関してはまず外見をなんとなく決めて、口癖や好きな食べ物、利き腕、許せない行動などを一覧にして決めていくといいかも
あとは有名人をモチーフにするとか。（私は前回プロレスラーの真壁をモチーフにしました。超強面、金髪ムキムキなのに子供好きなスイーツ大好き男）知り合いをモチーフにするのもアリですね。
あとは商業用では難しいですが（文芸部だけならOKでしょう）好きなキャラクターを使うという『同人誌』みたいなやり方もあります。
>>[8]
コメントありがとうございます(^^)
そうですね、作者の頭の中では自明なことでも、読者は作者の頭の中をのぞくことができませんもんね〜。
本田くんが立ちくらみを起こす場面は、ほんとに、付け加えが必要な箇所でした。
超コミカルですよ！
一応ラブコメのつもりで書いてます(笑)
思っていたものがなんとか書けているようでうれしいです（＊＾＾＊）
私の文体を大事にしつつ、私以外の文体を読み慣れている方々にも伝わる表現を見つけていきたいです♪
＞自分で読み直して「なんか微妙かな？」って表現があったとしたら、それは他人にはもっと顕著に伝わっているのだと思います
こちら、格言ですね！
自分でも微妙なのがわかるけどどうしたらいいのかわからないとき、他の人の意見を参考に求めますが、その前にもうひとふんばりしてみることが必要なのかな〜と思いました。
コメントありがとうございます(^^)
そうですね、作者の頭の中では自明なことでも、読者は作者の頭の中をのぞくことができませんもんね〜。
本田くんが立ちくらみを起こす場面は、ほんとに、付け加えが必要な箇所でした。
超コミカルですよ！
一応ラブコメのつもりで書いてます(笑)
思っていたものがなんとか書けているようでうれしいです（＊＾＾＊）
私の文体を大事にしつつ、私以外の文体を読み慣れている方々にも伝わる表現を見つけていきたいです♪
＞自分で読み直して「なんか微妙かな？」って表現があったとしたら、それは他人にはもっと顕著に伝わっているのだと思います
こちら、格言ですね！
自分でも微妙なのがわかるけどどうしたらいいのかわからないとき、他の人の意見を参考に求めますが、その前にもうひとふんばりしてみることが必要なのかな〜と思いました。
>>[19]
コメントありがとうございます！
わー、今回ガッキー先輩パートがなくてすいませ〜ん（T0T）
ご所望いただき嬉しいです♪
徐々に出していきます〜
ハーレムについてのご言及もありがたや！
私は、ゲームはポケモン関係とスマブラぐらいしかやったことがないので、「・女の子一人一人の個性をイベントで表現する ・先生とのイベントは最後に持ってくる」のご助言に、「美少女ゲームの発想だ！」と関心しました（違っていたらごめんなさい）。
そうですね、やりたいこととできることのバランスも危ういのかも、とも思います。
この文芸部が始まって少し経ったときに、「そろそろ自分の代表作を書きたいな〜」と思うようになり、果たして自分ができる範囲はどれくらいだろうと自分に問いかけ、この作品に辿り着きました。
この作品が終了するときにどれくらいのものが書けるようになっているか、今はまだわかりませんが、できることが増えていき、作品も進化していく……語り手である主人公の本田くんと一緒に成長していければな、と思っています。
これからもよろしくお願いいたします（＊＾−＾＊）
コメントありがとうございます！
わー、今回ガッキー先輩パートがなくてすいませ〜ん（T0T）
ご所望いただき嬉しいです♪
徐々に出していきます〜
ハーレムについてのご言及もありがたや！
私は、ゲームはポケモン関係とスマブラぐらいしかやったことがないので、「・女の子一人一人の個性をイベントで表現する ・先生とのイベントは最後に持ってくる」のご助言に、「美少女ゲームの発想だ！」と関心しました（違っていたらごめんなさい）。
そうですね、やりたいこととできることのバランスも危ういのかも、とも思います。
この文芸部が始まって少し経ったときに、「そろそろ自分の代表作を書きたいな〜」と思うようになり、果たして自分ができる範囲はどれくらいだろうと自分に問いかけ、この作品に辿り着きました。
この作品が終了するときにどれくらいのものが書けるようになっているか、今はまだわかりませんが、できることが増えていき、作品も進化していく……語り手である主人公の本田くんと一緒に成長していければな、と思っています。
これからもよろしくお願いいたします（＊＾−＾＊）
>>[21]
ご無沙汰しています！
コメントありがとうございます（＾＾）
ご感想の具体例がないのでどう受け取られているかわからない部分もあるのですが（特に具体例がほしいという意味ではないです）、2段落目について、この作品の1番の推定読者は小学校高学年〜中学生――ひょっとすると本田くんと同い年くらいまで？――のローティーン女性と考えているので、女性向けとおっしゃっていただけてうれしいです。
3・4段落目に絡みますが、「少女マンガと児童文学に影響を受けて育ってきたこと」をもっと自覚して書いた方がいいな〜と私自身は思いました。
たとえば、角野栄子『魔女の宅急便』のような児童文学の文体（一般向けの小説に比べて明らかに描写が少ない）と一般向けの小説の文体の違いについて考えるなど。
作者が語りかけてくることに対して「試み」とおしゃっていただいておりますが、単に何も考えずに書いただけなので恐縮ですし。
5段落目、外見や進路などは決まっていますが、他に挙げていただいたような多様な設定をするという案を思いつきませんでした！
とても参考になります。
ちなみに、中山美奈子の外見は縦ロールの例のあの人（ゆうさんならこれでおわかりになるかもしれません）をモデルにしていますが、外見を決めたら言動も似てきてしまい、二次創作じみているかも……「〜日常」読んでみます（半分私信になってすいません）。
これからもよろしくお願いします♪
ご無沙汰しています！
コメントありがとうございます（＾＾）
ご感想の具体例がないのでどう受け取られているかわからない部分もあるのですが（特に具体例がほしいという意味ではないです）、2段落目について、この作品の1番の推定読者は小学校高学年〜中学生――ひょっとすると本田くんと同い年くらいまで？――のローティーン女性と考えているので、女性向けとおっしゃっていただけてうれしいです。
3・4段落目に絡みますが、「少女マンガと児童文学に影響を受けて育ってきたこと」をもっと自覚して書いた方がいいな〜と私自身は思いました。
たとえば、角野栄子『魔女の宅急便』のような児童文学の文体（一般向けの小説に比べて明らかに描写が少ない）と一般向けの小説の文体の違いについて考えるなど。
作者が語りかけてくることに対して「試み」とおしゃっていただいておりますが、単に何も考えずに書いただけなので恐縮ですし。
5段落目、外見や進路などは決まっていますが、他に挙げていただいたような多様な設定をするという案を思いつきませんでした！
とても参考になります。
ちなみに、中山美奈子の外見は縦ロールの例のあの人（ゆうさんならこれでおわかりになるかもしれません）をモデルにしていますが、外見を決めたら言動も似てきてしまい、二次創作じみているかも……「〜日常」読んでみます（半分私信になってすいません）。
これからもよろしくお願いします♪
>>[26]
コメントありがとうございます！
引用していただいた部分、前回の「ろここ」を上げたときにJONYさんに「次回はもう、ろここという表現は引っ張らないんだよね？」というようなことを言われ、「うっしゃー！ 思いっきり引っ張ってやるー！」と反骨精神で書いたところです（笑）
私の文章について書いていただいた箇所、胸にストンと落ちる気持ちでした。
以前、学生時代からの友人に「ろここ」を読んでもらったことがあり、「ヴァンちゃんって感じがした」と言われ、「うそ！？ 私が書いてるのは本田くんのつもりなのに〜＞＜」と思いましたが、
＞少女マンガの会話が続くような箇所があったと思えば、論理的に書かれている箇所もあったり
これ、まさに私のことだと思いました。
少女マンガの会話も論理も、私の中では並列で、全部同じように大切なことなんですよね〜。
登場人物のキャラについては、おっしゃるとおりでございます＞＜
みなさんのように、人間観察によるうまい人物描写ができるようになりたいです！
本日もよろしくお願いいたします♪
コメントありがとうございます！
引用していただいた部分、前回の「ろここ」を上げたときにJONYさんに「次回はもう、ろここという表現は引っ張らないんだよね？」というようなことを言われ、「うっしゃー！ 思いっきり引っ張ってやるー！」と反骨精神で書いたところです（笑）
私の文章について書いていただいた箇所、胸にストンと落ちる気持ちでした。
以前、学生時代からの友人に「ろここ」を読んでもらったことがあり、「ヴァンちゃんって感じがした」と言われ、「うそ！？ 私が書いてるのは本田くんのつもりなのに〜＞＜」と思いましたが、
＞少女マンガの会話が続くような箇所があったと思えば、論理的に書かれている箇所もあったり
これ、まさに私のことだと思いました。
少女マンガの会話も論理も、私の中では並列で、全部同じように大切なことなんですよね〜。
登場人物のキャラについては、おっしゃるとおりでございます＞＜
みなさんのように、人間観察によるうまい人物描写ができるようになりたいです！
本日もよろしくお願いいたします♪
- mixiユーザー
- ログインしてコメントしよう！
|
|
|
|
半蔵門かきもの倶楽部 更新情報
-
最新のアンケート
-
まだ何もありません
-
半蔵門かきもの倶楽部のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています
人気コミュニティランキング
- 1位
- 北海道日本ハムファイターズ
- 28129人
- 2位
- 大人のmixi【おとミク】
- 6392人
- 3位
- お洒落な女の子が好き
- 89984人