電気街迷宮夜話
電気街に来たのはちょっとした用事のためだった。
来週参戦予定である某アイドルグループの代々木体育館ライブで使うためのサイリウム(キンブレ)と、机の中に溜まりに溜まった生写真やらポラやらチェキやらを整理するためのアルバムを買うのが目的だった。
末広町駅で降りてドンキにまっすぐいけば十五分とかからない用事だ。
片道四十分かけてこの街に来たのにあっさりと目的が片付いてしまい、なんだか物足りない。手持無沙汰の感があった。
ドンキを出たぼくは、なんとはなしに、電気街をぶらつく。
通りにあふれ、チラシを配って呼びこみをするのは、いまやメイドさんばかりではない。
編笠かぶった侍ガール、
鮮血の如き紅い唇をした吸血妃、
三角の耳と「？」印の尻尾を生やした黒猫、
白い羽織りに緋の袴、足にはもちろんわらじをはいた巫女、
背中に羽根生やした妖精に天使に悪魔、
果ては覆面をつけて目元しか分からないくのいちや、完全に素顔の隠れた仮面女子までいて、かわいいのだか不気味なんだかもはや何が何だか分からない。
蠢く魑魅魍魎(ちみもうりょう)を眺めるのはなかなか目に楽しかったけれど、清水坂よろしく街往く人々からなんとか金を落とそうとする熱気には、若干辟易する。少しでも目が合えば、獲物を見つけた狩人のような満面の笑顔で寄ってくるのだ。
自然、足は人の少ない裏道に逃げがちになる。ごてごてした店や看板が急激に減ってほっとするけど、これではなんのために電気街をうろついているのか分からない。
けれど―――
そんな訪れる者のほとんどない裏道にも客引きの姿はあった。
ちっちゃ。
それが彼女の第一印象だった。
日本人成人男性の平均身長よりも１０�僂舛�く低い僕の胸元くらいまでしか背がない。だけでなく、手足も胴も、全体の線が細く、風に吹き飛ばされそうに思えた。髪はツインテールに結わえている。
コートを羽織っているが、その下からブレザーの制服姿が見えた。女子高生姿のチラシ配りも、この街ではメイドさんと並んでトップクラスで多い。
「あ、あの、これ」
僕に気づいた彼女が、おずおずとチラシを差し出してくる。
どことなく、小動物を思わせる。薄暗いビルの隙間にたたずむその姿は、冬枯れの森の中で迷子になった仔リスのようだった。
僕以外人通りのない裏道で無視するのも悪い気がして(もしかしてそれが彼女の策略なのかもしれないけど)チラシを受け取った。
文化祭のクラスの出し物みたいなお手製感のある、白黒印刷の手書きチラシにはハイスクールカフェ「オレンジリウム」とあった。
僕がチラシの文面に目を走らせると、彼女が勢いこんで言う。
「よ、よかったら来てください。ジュースとお酒と、あ、オリジナルカクテルあります。食べ物おいしいです。ぱ、パンケーキ！ わたし焼きます。作ったことないけど、めっちゃ上手です、わたし」
作ったことなくてその自信はどっからくるの、というつっこみは胸中にしまっておく。
彼女は必死の様子で、けれどたどたどしくメニューや料金について説明を重ねる。
この手のコンセプトカフェとしては高くも安くもないといったところだった。暇つぶしには悪くないかもしれない。
「うん、じゃあ、ちょっと寄らせてもらおうかな」
僕が応えると、彼女はぱっと花がほころぶような笑顔になった。悪い気はしない。
「じゃ、じゃあこっちです。わたしまゆって言います。パンケーキ焼きます」
てとてと、という擬音が聞こえてきそうな足取りで彼女は先導する。
オレンジリウムとやらは、その裏通りの一角、ビルの二階にあった。一応小さく看板が出てるものの、自然に見つけるのは難しいだろう。
「やっと一人で帰ってこれるようになりました。もう大丈夫です」
まゆと名乗った彼女はちょんと振り返り、胸を張っていう。いままではチラシ配りにいくたび迷子になっていたのだろうか。迎えにいく同僚も大変だったろう。
地味な外観とは裏腹に、店内は意外と広々としていた。ごく普通の喫茶店とそう大差ない。
「えーっと、じゃあ何飲みますか。まゆのおすすめはですね」
コートを脱いだ彼女は、裏通りの隙間で震えていた時とはうってかわって、明るく元気だった。ハイテンションな女子高生そのものだ。
と、思ったら、彼女は本当に高校生、今年十六歳になったばかりだという。
「去年は高校受験でした。しんどかったです」
じゅ、十六歳……。高校受験……。
てっきりコスプレだとばかり思っていた。確かにちっちゃいなとは思っていたけど、本物の高校生とは……。
やっぱり電気街は怖い。
彼女の他にも店内には三人ばかり制服姿の従業員がいたけど、全員高校生だという。
「うちのキャストは全員現役っすね。なんちゃってJKはいねえっす」
制服姿に混じって立ち働いていた店長らしき、若い男の人が言う。こんなところにいなければ、スポーツインストラクターでもやってそうな、爽やかな印象のイケメンさんだった。
「オレンジリウムお待たせしました」
まゆが、とりあえずと適当に頼んだオリジナルカクテル(オレンジベースでたぶんライムかなにか色々入ってる)を持ってくる。
「あの、おいしくなる魔法かけていいですか」
うわ、恥ずかしいヤツきた。と、思うもののやってる当人の方が恥ずかしいはずだ。ぼくはがんばって笑顔を作り「お願いします」とうなずく。
彼女はすっと息を吸い、唱える。
「ファリアス、ゴリアス、フィンディアス、ムリアス。
ソハ万物ノ王。
ソハ異界ヨリ来タリシ過客。
ソハ金色ナリシ闇ノ覇者。
ソハ夜ト魔ヲ統ベシ指揮者。
久遠ノ盟約ニ従イテ
我トトモニ来タリテ 我トトモニ滅ベ」
めちゃくちゃ本格的な呪文だった……。
「ちょっと待てえええ」
「待てません。途中で中断すると暴走します」
「なにが！？」
まゆは印を結び、結界を指で中空に描き、なおも呪文を唱える。
と、ぼくの目の前のテーブルに置かれたオレンジ色のコップが沸騰したかのようにぶくぶくと泡立ちはじめた。やがてそれは、かたかたという震動に変わり、コップの揺れはテーブルにも波紋し、ついには店全体ががたがた揺れ始める。
これ、どこの世界の降霊術？
まゆは呪文の最後に手でハートマークを作り、コップに手をかざし声高に叫ぶ。
「オイシクナーレ、マックスハート！」
瞬間、コップは閃光とともに弾けた。
代わりにそこから現れたのは―――オレンジの鱗をした竜だった。
きしゃああああ。
上げた咆哮は天災そのもの。
巨大なアギトからのぞく鋭い牙。鈍く光る金の眼光。
それなりに広い店内も巨大な竜にとっては狭く、天井まで昇ると窮屈そうにとぐろを巻く。
竜の瞳はぼくを睨みつけていた。
あまりの光景に、ぼくは悲鳴をあげることも忘れて呆然とする。
ちらりとまゆの方を向くと、彼女はこつっと拳を頭にあて、舌を出す。
「失敗しちゃった☆」
「いや、てへぺろしてる場合か。ど、どどどどどうすんだよ、これ」
「全然おいしそうじゃないです」
「そんな次元！？」
「くっ、海獣リヴァイアサン召喚だと。こっちのデッキもまだ整ってねえってのに」
「店長もなにを口走ってるの！？」
「すまん、お客人。迎撃準備ができるまで、しばし……しばし、持ちこたえてくれ！」
「あんたのキャラ迷走しすぎだろ！？」
店長の迎撃準備とやらが間に合うべくもなく、巨大な竜は天井からぼくに襲いかかり―――
ぼくは頭から丸呑みされた。
気づくと、ぼくは観客でごったがえす地下劇場にいた。
オールスタンディングの劇場は後方の壁まで客でいっぱいで、その中にいると身動きするの
がやっとという感じだった。
熱気と歓声。揺れるサイリウムの海。
いつどうやってここに来たのか分からないけど、なじみ深い空気だった。いつの間にやらぼ
くの手にもオレンジ色のサイが握られていた。
そして、ステージの幕が開く。
曲のイントロと共に、きらびやかな衣装をまとった少女達が次々と現れる。
地の底から湧きあがるような、観客の声が一斉に唱和した。
「あー、よっしゃいくぞー」
その声が胸の内に火を点ける。状況は分からない。自分がいつここに来たのかもしれない。
けれどすべきことは分かった。身体が勝手に反応した。
いまは、叫ぶべき時だ。
魂のミックスを！
「あー、よっしゃいくぞー。
タイガー、
ファイヤー、
サイバー、
ファイバー、
ダイバー、
バイパー、
ジャージャー！」
えも言われぬ一体感と達成感。現場に来た、という感慨がこみあげる。
あらためてステージに目を移す。その時、初めて気づいた。
少女達の中心(センター)で歌い踊る、小さなその姿に。
あの女子高生、まゆだ。
背中と腰元が羽根のように大きく広がる、アゲハ蝶のような黒いドレス型の衣装をまとっていた。背が低いから、余計に羽根が大きく見える。
そこにいるのが当然とばかりに、マイクをふりかざし、笑顔で歌い踊っていた。
なんで？
けれど、悠長に考え事をしている場合ではなかった。
アップテンポでノリのいい曲が次々とかかり、飛び散る汗が歌になり、流した涙が星になる！
彼女達のパフォーマンスはあっという間に客席を呑みこんだ。このオーラに巻き込まれては、もう傍観者でいることは不可能だった。
全力で歌い踊る彼女達に、ぼく達もコールやケチャで呼応する。
アイドル現場は間違っても観賞じゃない。
参戦である。
祭り、なのだ。地蔵のように突っ立ってなんかいられない。自分から積極的に熱気に巻き込まれていった方が百倍楽しいことを、ぼくはこれまでの現場経験から学んでいた。
客席とステージの熱気が互いに絡まりあって、うねりをあげ、膨張し、破裂寸前まで高まる。
けれど、その時―――
「そこまでだ。ただちにライヴを中止せよ」
頭上から拡声器にのっただみ声が響いた。
見上げると、ジュラルミンの盾や放水ホース、特殊警棒で武装した機動隊のような一団が、わらわらと階段を降りてくる。
「AIAの連中だ！」
誰かが叫ぶ。
AIA(アンチ・アイドル・アーミイ)とは非合法芸能活動を取り締まる、連邦政府お抱えの軍隊だ。
けれど、ステージを中断しようと思うものは、出演者はおろか、客達の中にすら、誰一人いなかった。
「ステージを守れ！」
また誰かが叫んだ。それが合図だった。
「ここは絶対芸能防衛ライン電気街だ！」
「AIAの好きにさせるな！」
「我らの聖地を土足で踏みにじろうとしたことを、後悔させてやれ」
言ったはずだ。アイドル現場は観賞ではなく、参戦だと。
ぼく達はサイリウムブレードを手に構え、発煙筒(ミサイリウム)を射出し、大閃光で敵の目をくらまし、毅然とAIA軍に立ち向かう。推しメンのロゴを掲げ、痛車仕様に塗りたくった機動戦士(ヴァルキリー)に乗り込み、敵の無人機兵と切り結ぶ太ヲタもいた！
……ちょっと何言っているのか分からないと思うけど、ぼくも分からない。
アイドル達ももうステージ上に留まってなかった。
次々と客席に飛翔(ダイブ)して立体機動装置を作動させ、マイクサーベルを手に、歌い、踊り、そして―――戦う。
なかでも異彩を放つのがまゆだった。
足からは量子エネルギーのジェットを噴射して音速で飛びまわり、片腕は魔弾銃に変形させ、もう片方の腕はオレンジに輝くマイクブレードを持ち、敵を屠っていく。さらにはアゲハ蝶型のドレスの四つの先端から、ナノエネルギーの光線(自動追尾機能付き)を縦横無尽に放つ。
「あれが四型目まゆの最終進化形態(アルティメット・トランスフォーメーション)！！ すげえ、実物を拝むのは初めてだ」
やっぱり誰かがご丁寧に解説してくれる。
その圧倒的な強さに、敵も味方も一時戦うことを忘れ、ぽかんと彼女を見上げた。真に驚くべきは、そんな混乱の中でもプラグラム通りにパフォーマンスを続けるアイドル達のプロ根性だろう。
ぼくも呆然とまゆを見ていた。
と、彼女が空中でくるりと向きを変えた。
その視線はまっすぐ、僕を捉えていた。ついでに、銃口も。
「あなたのハートをいただきまゆゆ」
彼女の撃った魔弾がスローモーションのように見える。狙いあやまたず、それはぼくの心臓をまっすぐ撃ち抜いていた。
目を覚ますと、ファンの回る高い天井が見えた。窓から西日が差しこむ。
ここはどこだろう。というより、なんの部屋なのだろう。
部屋の隅にはうず高く積まれたぬいぐるみの山。砂糖菓子みたいな模様のティーセット。ハート柄のピンク色したカーテン。こてこてにファンシーな内装がかわいさよりも、むしろ不安をかきたてる。
そしてぼくは、その部屋の真ん中で毛布を被って横になっていた。
なんだか全身が気だるい。そしてなぜか、左胸のあたりがずきずきと痛い。
「お待たせ」
部屋を仕切るカーテンが開く。姿を現した少女は、やっぱりというかなんというか……まゆだった。
彼女はセーラー服……に見えなくもない格好をしていた。けど、この格好を制服にしている学校があったとしたら、頭がおかしいとしか言いようがない。
金色の派手なリボンに、それよりかは光彩が落ちているとはいえ同色に金のスカート。丈は異様に短く、お尻がかろうじて隠れているくらいだった。ブラウスはどういう材質なのか水着のように肌にぴったりくっつき、彼女の細すぎる身体のラインをくっきりうつしていた。
髪はツインテールではなく、アップに結わえていて、それだけでぐんとおとなっぽく見えた。
「遅くなってごめんね。いい子にしてた？」
言いながらまゆは、当たり前のようにぼくの横たわる毛布に潜りこんできた。
シャンプーの匂いが鼻孔をくすぐり、ぼくの方が慌てて跳ね起きる。
「ちょ、ちょっと待った！」
狼狽するぼくに対し、まゆはきょとんと首をかしげる。
「君、高校生なんだよね」
「ええ。ここは電気街。わたしは永遠に十六歳」
何を言っているのかまったく分からないけど、とにかく、これは完全にアウトだろ。
「絵本を読み聞かせるのがそんなにイケナイことなの？」
「え、絵本……？」
「そう。ねえ、早く」
困惑するぼくの隙をついて、彼女は寝そべったまま素早く足払いを仕掛けてくる。
そして、見事に転倒したぼくにのしかかる。
どこをどう極められたのか、脱け出そうと身じろぎすると、腕に激痛が走った。
「ほら、おとなしくしてて」
ぼくを組み敷いたまま、彼女は器用に絵本をかかげ、朗読する。
ここはとおいとおい でんぱのおうこく
このくにには ふしぎなふしぎな でんきのまちがありました
なにがふしぎかといいますと
このまちは はいるたびに
いきもののように
すがたかたちがかわるのです
まずい。この絵本はヤバい。また……巻き込まれる。
そう脳は警告を発する。
けれど、もう抗えなかった。その時にはもう、どうしようもなく、彼女の口が紡ぐ物語に惹かれ、溺れていたのだから。
このまちでは ちずはやくにたちません
おなじおみせにいこうとおもっても もうにどとはいれないことも よくあります
けど だいじょうぶ
そのかわり このまちには いつもあたらしい どきどきとわくわくが うまれているから
あるとき ひとりのおとこのこと ひとりのおんなのこが でんきのまちにやってきました
ふたりは おいしいものをたくさんたべて おもしろいものをたくさんかって たのしいことをたくさんやって
だいまんぞくでした
けれどもたいへん
もう でんきのまちは きたときとは かたちがちがっていました
どんなにあるいても でんきのまちからでられません
おとこのことおんなのこは くたくたにくたびれてしまいました
けれども ここはまいにちすがたがかわる でんきのまち
ずっとこのまちにいても あきることはありません
おとこのことおんなのこは まちをでることをあきらめて
でんきのまちでくらすことにしました
いつまでも ずっとふたり なかよく くらすことにしました
いつまでも、いつまでも。
彼女のささやき声が耳朶に滑り込む。
それは甘くて危険な詩歌。夢魔の呪い。電波の祝福。
脳が痺れ、睡魔が忍び寄る。意識が深い沼の底に沈んでいくみたいだった。
そしてぼくは―――出口を失った。
電気街の幻燈は膨らみ、腫れあがり、世界を呑みこむ。どこまで行けども終わりがない。
気づくとぼくは電気街のどこかにいる。
コスプレ衣装と電化製品が平然と同列に陳列された電気屋をさ迷い、個人撮影のスタジオで写真を撮り、鉄道模型がズラリと並ぶバーでぼんやりし、各国ビールを取りそろえた欧州ギルド風の酒場で共に冒険する仲間を集い、トルコのキルト屋よろしく絵師さんの美少女タペストリーが揺れる画廊で贋作騒動に巻き込まれたりした。
そして、どの風景にも必ずまゆの姿があった。
これはぼくの夢だろうか。彼女の夢だろうか。
それとも電気街が見せる蜃気楼だろうか。
途切れては繰り返される非日常の幻想に、ぼくはすり減らされていく。
「……もう疲れたよ」
ウィスキーを飲みほしたグラスを置き、ぼくはカウンターに突っ伏す。
いまいるのは、出演者や演出が日ごとに異なり、その度に色合いががらりと変わる、当たり外れの振り幅がおそろしく大きな、それでいて名だたるアイドルグループを輩出してきた、やる気があるんだかないんだかよく分からない劇場の、バースペースだった。
例によって、どうやってここにやってきて、いつからここにいるのかまるで思い出せなかった。分かるのはただ、ここも電気街の中の一風景だということだけだった。
「とうとうここまで来てしまったのね」
凛と鈴がなるような涼しげな声が降ってきた。
顔を上げ―――驚く。
カウンターの向こう側に立つ女性は―――まゆではなかった。
スレンダーなのに肉感的、大人っぽいのに初々しく、妖艶なのに清冽、矛盾するはずの特徴が違和感なく溶けあって同居している、そんな不思議な雰囲気の女性だった。
白を基調にしたブラウスを上品に着こなしている。思えば、コスプレ以外の普通の洋服を見るのもひどく久しぶりな気がする。
さらに目を引くのは両耳のピアスだ。大小合わせて八つくらいぶらさげている。
「ようこそ、でんぱの果てへ。ここは普通の世界から弾かれて電気街に来た人が、その電気街にもなじめずに流れつく、電気街の最終流刑地」
「はぁ……。えっと、あなたは？」
「わたしは相沢梨紗。りさちーでいいわ」
「いや……。いくら作者の推しメンだからってフルネームで伏せ字もなしに登場しちゃまずいでしょ。まゆだってギリギリな感じなのに」
「ここは電気街だから。それくらいの混沌はままあるわ」
「電気街だからって言っとけば何でも許されるって思ってません！？」
ぼくのつっこみにもりさちーさんの涼しげな微笑は揺らぎもしなかった。
よく考えるとぼくも変なことを口走った気がするけど、それがなんなのかよく分からない。だいぶ電気街の毒に頭がやられているみたいだった。
「わたしのことはいいの。それより、あなたはどうしてここに行き着いてしまったのかしら」
幼子をあやすみたいなりさちーさんの口調に誘われて、ぼくはこれまでのことを話した。
「―――で、気づくと電気街のどこかにいるんです。どこまで行っても電気街から抜け出せなくて……。それで、必ずまゆっていう女の子に会うんです」
「嘘ね」
思わぬ断定口調にぼくは鼻白む。
「いや、信じてもらえないのは分かりますけど。けど、ほんとに電気街に閉じ込められてるんです。っていうのもですね―――」
「そうじゃなくて。あなたはまだそのまゆっていう女の子に会ってないわ」
「会ってない？ いえ、もう何度も……」
「ほんとにそうかしら」
そう問い返されると自信がない。この街全体がそうであるように、いままで見た彼女の姿も、誰かの抱く幻影であり偶像でしかなかったような気もしてくる。
でも、だとしたら―――
「ほんとの彼女にはどこに行けば会えるんでしょうか」
「いい質問ね」
りさちーさんはうなずき、謳うように言う。
「電気街を創るもの。
それは少女の夢と、少年の妄想。
二次元と二・五次元と四次元の狭間で揺れ動く夢幻。
ありったけの萌えとひとしずくのエロス。
電気のおとぎ話とでんぱの冒険譚。
世界中のかわいいものと楽しいものを詰めこんで煮詰めてできる、混沌と欲望。
その一つ一つを分解して、剥ぎとって、手繰ってごらんなさい。きっと彼女の元に辿りつけるわ」
最初は何を言っているのかさっぱり分からなかった。
けれども、ぼくももう長いこと電気街をさ迷っているのだ。
彼女の助言がゆっくりとぼくの中に沁みこんでくる。
きらめく電気の夢にぼやけた頭が、澄み渡っていく気がした。
「分かったような……気がします」
「そう、それはよかったわ」
ぼくは立ち上がり、きびすを返す。
「行ってらっしゃいませ。よいでんぱを」
深々と頭を下げる姿がちらりと視界の端に見えて、ぼくは気づく。
やっぱり彼女はりさちーさんじゃない。まゆだ。
あの少女が発信したSOSだったのだ、と。
広い広い宇宙(このそら)に浮かぶ
小さな小さな地球(このほし)の中の
小さな小さな日本(このしま)の中の
小さな小さな電気街(このまち)の中の
小さな小さなビルの一角に―――
彼女の部屋はあった。
ぼくはそのドアをそっとあける。
四方の壁を埋め尽くすディスプレイの山が視界を覆いつくす。
その全てがデスクトップ型のPCにつながっていた。
ディスプレイに描かれるのは色とりどりの電波の夢。
スポットライトを浴び、小さな劇場できらびやかに歌い踊る見習い妖精(アイドル)達。
古城の広間を思わせる室内で、忙しく皿を運びながらも客と談笑し、オムライスに絵を描く給仕人(メイド)達。
赤いウィッグに、鎧をまとい、マントをなびかせカメラの前でポーズを決める仮装者(コスプレイヤー)達。
高速で会話(チャット)を交わしながら仲間と力を合わせて怪物を撃破していく冒険者(ネトゲユーザー)達。
気まぐれに作った変え歌も、ありったけの中二魂を込めて描かれた作品も、その身に吹きこまれた詩は全て平等に謳いあげる歌姫(ボーカロイド)達。
ディスプレイは目まぐるしく移り変わり、極彩色の夢を吐き出し続ける。
そのディスプレイの山に埋もれるように―――部屋の中央には一人の少女が座っていた。
真っ白なパジャマ。長く伸びた髪が床に広がる。その手足は病的に細く、青い。
彼女は画面に魅入り、取りつかれたようにファンクションキーを押し続けていた。
繭だ、とぼくは気づく。
この部屋は彼女が造りだした繭だ。幾重にも糸を吐き、張り巡らせ、きらめく夢の残滓で満たし、外界を遮断し、成虫になることを拒んだ、とべないアゲハ蝶の繭。
けれど―――
「やっと会えたね」
ぼくが呼びかけると、彼女はびくりと肩をすくませ、こちらを向く。
その瞳が複雑に揺れ動く。戸惑い、怯え、すがりつき、答えを求めるような目。
ぼくはうなずき、手さぐりに答え合わせするみたいにゆっくりと、言う。
「もう誰かのでんぱの夢に埋もれなくていい。―――君は素敵だよ」
その言葉が、繭を解く鍵(ファンクションキー)だった。
白昼夢に溺れるようだった彼女の瞳に、ゆっくりと、けれどたしかに、意志の光が宿る。
ぼくは彼女に向けて手をかざす。
戸惑い、怯え、すがりつき、答えを求めるように―――彼女もゆっくりと手を伸ばした。
そして、ぼくの手を取る。
瞬間―――、
無数のディスプレイが音もなく、淡い光の粒になって弾けた。
真っ白な部屋にはもう何もない。
少女を囲む電波の夢は、いま、ほどけた。
「行こう」
こくりとうなずく少女。
ぼくらは扉を開け、一緒に足を踏みだし、部屋を出る。
扉の向こうに広がる電気の街並。
けれど、そこには当たり前のような出口があった。
了
電気街に来たのはちょっとした用事のためだった。
来週参戦予定である某アイドルグループの代々木体育館ライブで使うためのサイリウム(キンブレ)と、机の中に溜まりに溜まった生写真やらポラやらチェキやらを整理するためのアルバムを買うのが目的だった。
末広町駅で降りてドンキにまっすぐいけば十五分とかからない用事だ。
片道四十分かけてこの街に来たのにあっさりと目的が片付いてしまい、なんだか物足りない。手持無沙汰の感があった。
ドンキを出たぼくは、なんとはなしに、電気街をぶらつく。
通りにあふれ、チラシを配って呼びこみをするのは、いまやメイドさんばかりではない。
編笠かぶった侍ガール、
鮮血の如き紅い唇をした吸血妃、
三角の耳と「？」印の尻尾を生やした黒猫、
白い羽織りに緋の袴、足にはもちろんわらじをはいた巫女、
背中に羽根生やした妖精に天使に悪魔、
果ては覆面をつけて目元しか分からないくのいちや、完全に素顔の隠れた仮面女子までいて、かわいいのだか不気味なんだかもはや何が何だか分からない。
蠢く魑魅魍魎(ちみもうりょう)を眺めるのはなかなか目に楽しかったけれど、清水坂よろしく街往く人々からなんとか金を落とそうとする熱気には、若干辟易する。少しでも目が合えば、獲物を見つけた狩人のような満面の笑顔で寄ってくるのだ。
自然、足は人の少ない裏道に逃げがちになる。ごてごてした店や看板が急激に減ってほっとするけど、これではなんのために電気街をうろついているのか分からない。
けれど―――
そんな訪れる者のほとんどない裏道にも客引きの姿はあった。
ちっちゃ。
それが彼女の第一印象だった。
日本人成人男性の平均身長よりも１０�僂舛�く低い僕の胸元くらいまでしか背がない。だけでなく、手足も胴も、全体の線が細く、風に吹き飛ばされそうに思えた。髪はツインテールに結わえている。
コートを羽織っているが、その下からブレザーの制服姿が見えた。女子高生姿のチラシ配りも、この街ではメイドさんと並んでトップクラスで多い。
「あ、あの、これ」
僕に気づいた彼女が、おずおずとチラシを差し出してくる。
どことなく、小動物を思わせる。薄暗いビルの隙間にたたずむその姿は、冬枯れの森の中で迷子になった仔リスのようだった。
僕以外人通りのない裏道で無視するのも悪い気がして(もしかしてそれが彼女の策略なのかもしれないけど)チラシを受け取った。
文化祭のクラスの出し物みたいなお手製感のある、白黒印刷の手書きチラシにはハイスクールカフェ「オレンジリウム」とあった。
僕がチラシの文面に目を走らせると、彼女が勢いこんで言う。
「よ、よかったら来てください。ジュースとお酒と、あ、オリジナルカクテルあります。食べ物おいしいです。ぱ、パンケーキ！ わたし焼きます。作ったことないけど、めっちゃ上手です、わたし」
作ったことなくてその自信はどっからくるの、というつっこみは胸中にしまっておく。
彼女は必死の様子で、けれどたどたどしくメニューや料金について説明を重ねる。
この手のコンセプトカフェとしては高くも安くもないといったところだった。暇つぶしには悪くないかもしれない。
「うん、じゃあ、ちょっと寄らせてもらおうかな」
僕が応えると、彼女はぱっと花がほころぶような笑顔になった。悪い気はしない。
「じゃ、じゃあこっちです。わたしまゆって言います。パンケーキ焼きます」
てとてと、という擬音が聞こえてきそうな足取りで彼女は先導する。
オレンジリウムとやらは、その裏通りの一角、ビルの二階にあった。一応小さく看板が出てるものの、自然に見つけるのは難しいだろう。
「やっと一人で帰ってこれるようになりました。もう大丈夫です」
まゆと名乗った彼女はちょんと振り返り、胸を張っていう。いままではチラシ配りにいくたび迷子になっていたのだろうか。迎えにいく同僚も大変だったろう。
地味な外観とは裏腹に、店内は意外と広々としていた。ごく普通の喫茶店とそう大差ない。
「えーっと、じゃあ何飲みますか。まゆのおすすめはですね」
コートを脱いだ彼女は、裏通りの隙間で震えていた時とはうってかわって、明るく元気だった。ハイテンションな女子高生そのものだ。
と、思ったら、彼女は本当に高校生、今年十六歳になったばかりだという。
「去年は高校受験でした。しんどかったです」
じゅ、十六歳……。高校受験……。
てっきりコスプレだとばかり思っていた。確かにちっちゃいなとは思っていたけど、本物の高校生とは……。
やっぱり電気街は怖い。
彼女の他にも店内には三人ばかり制服姿の従業員がいたけど、全員高校生だという。
「うちのキャストは全員現役っすね。なんちゃってJKはいねえっす」
制服姿に混じって立ち働いていた店長らしき、若い男の人が言う。こんなところにいなければ、スポーツインストラクターでもやってそうな、爽やかな印象のイケメンさんだった。
「オレンジリウムお待たせしました」
まゆが、とりあえずと適当に頼んだオリジナルカクテル(オレンジベースでたぶんライムかなにか色々入ってる)を持ってくる。
「あの、おいしくなる魔法かけていいですか」
うわ、恥ずかしいヤツきた。と、思うもののやってる当人の方が恥ずかしいはずだ。ぼくはがんばって笑顔を作り「お願いします」とうなずく。
彼女はすっと息を吸い、唱える。
「ファリアス、ゴリアス、フィンディアス、ムリアス。
ソハ万物ノ王。
ソハ異界ヨリ来タリシ過客。
ソハ金色ナリシ闇ノ覇者。
ソハ夜ト魔ヲ統ベシ指揮者。
久遠ノ盟約ニ従イテ
我トトモニ来タリテ 我トトモニ滅ベ」
めちゃくちゃ本格的な呪文だった……。
「ちょっと待てえええ」
「待てません。途中で中断すると暴走します」
「なにが！？」
まゆは印を結び、結界を指で中空に描き、なおも呪文を唱える。
と、ぼくの目の前のテーブルに置かれたオレンジ色のコップが沸騰したかのようにぶくぶくと泡立ちはじめた。やがてそれは、かたかたという震動に変わり、コップの揺れはテーブルにも波紋し、ついには店全体ががたがた揺れ始める。
これ、どこの世界の降霊術？
まゆは呪文の最後に手でハートマークを作り、コップに手をかざし声高に叫ぶ。
「オイシクナーレ、マックスハート！」
瞬間、コップは閃光とともに弾けた。
代わりにそこから現れたのは―――オレンジの鱗をした竜だった。
きしゃああああ。
上げた咆哮は天災そのもの。
巨大なアギトからのぞく鋭い牙。鈍く光る金の眼光。
それなりに広い店内も巨大な竜にとっては狭く、天井まで昇ると窮屈そうにとぐろを巻く。
竜の瞳はぼくを睨みつけていた。
あまりの光景に、ぼくは悲鳴をあげることも忘れて呆然とする。
ちらりとまゆの方を向くと、彼女はこつっと拳を頭にあて、舌を出す。
「失敗しちゃった☆」
「いや、てへぺろしてる場合か。ど、どどどどどうすんだよ、これ」
「全然おいしそうじゃないです」
「そんな次元！？」
「くっ、海獣リヴァイアサン召喚だと。こっちのデッキもまだ整ってねえってのに」
「店長もなにを口走ってるの！？」
「すまん、お客人。迎撃準備ができるまで、しばし……しばし、持ちこたえてくれ！」
「あんたのキャラ迷走しすぎだろ！？」
店長の迎撃準備とやらが間に合うべくもなく、巨大な竜は天井からぼくに襲いかかり―――
ぼくは頭から丸呑みされた。
気づくと、ぼくは観客でごったがえす地下劇場にいた。
オールスタンディングの劇場は後方の壁まで客でいっぱいで、その中にいると身動きするの
がやっとという感じだった。
熱気と歓声。揺れるサイリウムの海。
いつどうやってここに来たのか分からないけど、なじみ深い空気だった。いつの間にやらぼ
くの手にもオレンジ色のサイが握られていた。
そして、ステージの幕が開く。
曲のイントロと共に、きらびやかな衣装をまとった少女達が次々と現れる。
地の底から湧きあがるような、観客の声が一斉に唱和した。
「あー、よっしゃいくぞー」
その声が胸の内に火を点ける。状況は分からない。自分がいつここに来たのかもしれない。
けれどすべきことは分かった。身体が勝手に反応した。
いまは、叫ぶべき時だ。
魂のミックスを！
「あー、よっしゃいくぞー。
タイガー、
ファイヤー、
サイバー、
ファイバー、
ダイバー、
バイパー、
ジャージャー！」
えも言われぬ一体感と達成感。現場に来た、という感慨がこみあげる。
あらためてステージに目を移す。その時、初めて気づいた。
少女達の中心(センター)で歌い踊る、小さなその姿に。
あの女子高生、まゆだ。
背中と腰元が羽根のように大きく広がる、アゲハ蝶のような黒いドレス型の衣装をまとっていた。背が低いから、余計に羽根が大きく見える。
そこにいるのが当然とばかりに、マイクをふりかざし、笑顔で歌い踊っていた。
なんで？
けれど、悠長に考え事をしている場合ではなかった。
アップテンポでノリのいい曲が次々とかかり、飛び散る汗が歌になり、流した涙が星になる！
彼女達のパフォーマンスはあっという間に客席を呑みこんだ。このオーラに巻き込まれては、もう傍観者でいることは不可能だった。
全力で歌い踊る彼女達に、ぼく達もコールやケチャで呼応する。
アイドル現場は間違っても観賞じゃない。
参戦である。
祭り、なのだ。地蔵のように突っ立ってなんかいられない。自分から積極的に熱気に巻き込まれていった方が百倍楽しいことを、ぼくはこれまでの現場経験から学んでいた。
客席とステージの熱気が互いに絡まりあって、うねりをあげ、膨張し、破裂寸前まで高まる。
けれど、その時―――
「そこまでだ。ただちにライヴを中止せよ」
頭上から拡声器にのっただみ声が響いた。
見上げると、ジュラルミンの盾や放水ホース、特殊警棒で武装した機動隊のような一団が、わらわらと階段を降りてくる。
「AIAの連中だ！」
誰かが叫ぶ。
AIA(アンチ・アイドル・アーミイ)とは非合法芸能活動を取り締まる、連邦政府お抱えの軍隊だ。
けれど、ステージを中断しようと思うものは、出演者はおろか、客達の中にすら、誰一人いなかった。
「ステージを守れ！」
また誰かが叫んだ。それが合図だった。
「ここは絶対芸能防衛ライン電気街だ！」
「AIAの好きにさせるな！」
「我らの聖地を土足で踏みにじろうとしたことを、後悔させてやれ」
言ったはずだ。アイドル現場は観賞ではなく、参戦だと。
ぼく達はサイリウムブレードを手に構え、発煙筒(ミサイリウム)を射出し、大閃光で敵の目をくらまし、毅然とAIA軍に立ち向かう。推しメンのロゴを掲げ、痛車仕様に塗りたくった機動戦士(ヴァルキリー)に乗り込み、敵の無人機兵と切り結ぶ太ヲタもいた！
……ちょっと何言っているのか分からないと思うけど、ぼくも分からない。
アイドル達ももうステージ上に留まってなかった。
次々と客席に飛翔(ダイブ)して立体機動装置を作動させ、マイクサーベルを手に、歌い、踊り、そして―――戦う。
なかでも異彩を放つのがまゆだった。
足からは量子エネルギーのジェットを噴射して音速で飛びまわり、片腕は魔弾銃に変形させ、もう片方の腕はオレンジに輝くマイクブレードを持ち、敵を屠っていく。さらにはアゲハ蝶型のドレスの四つの先端から、ナノエネルギーの光線(自動追尾機能付き)を縦横無尽に放つ。
「あれが四型目まゆの最終進化形態(アルティメット・トランスフォーメーション)！！ すげえ、実物を拝むのは初めてだ」
やっぱり誰かがご丁寧に解説してくれる。
その圧倒的な強さに、敵も味方も一時戦うことを忘れ、ぽかんと彼女を見上げた。真に驚くべきは、そんな混乱の中でもプラグラム通りにパフォーマンスを続けるアイドル達のプロ根性だろう。
ぼくも呆然とまゆを見ていた。
と、彼女が空中でくるりと向きを変えた。
その視線はまっすぐ、僕を捉えていた。ついでに、銃口も。
「あなたのハートをいただきまゆゆ」
彼女の撃った魔弾がスローモーションのように見える。狙いあやまたず、それはぼくの心臓をまっすぐ撃ち抜いていた。
目を覚ますと、ファンの回る高い天井が見えた。窓から西日が差しこむ。
ここはどこだろう。というより、なんの部屋なのだろう。
部屋の隅にはうず高く積まれたぬいぐるみの山。砂糖菓子みたいな模様のティーセット。ハート柄のピンク色したカーテン。こてこてにファンシーな内装がかわいさよりも、むしろ不安をかきたてる。
そしてぼくは、その部屋の真ん中で毛布を被って横になっていた。
なんだか全身が気だるい。そしてなぜか、左胸のあたりがずきずきと痛い。
「お待たせ」
部屋を仕切るカーテンが開く。姿を現した少女は、やっぱりというかなんというか……まゆだった。
彼女はセーラー服……に見えなくもない格好をしていた。けど、この格好を制服にしている学校があったとしたら、頭がおかしいとしか言いようがない。
金色の派手なリボンに、それよりかは光彩が落ちているとはいえ同色に金のスカート。丈は異様に短く、お尻がかろうじて隠れているくらいだった。ブラウスはどういう材質なのか水着のように肌にぴったりくっつき、彼女の細すぎる身体のラインをくっきりうつしていた。
髪はツインテールではなく、アップに結わえていて、それだけでぐんとおとなっぽく見えた。
「遅くなってごめんね。いい子にしてた？」
言いながらまゆは、当たり前のようにぼくの横たわる毛布に潜りこんできた。
シャンプーの匂いが鼻孔をくすぐり、ぼくの方が慌てて跳ね起きる。
「ちょ、ちょっと待った！」
狼狽するぼくに対し、まゆはきょとんと首をかしげる。
「君、高校生なんだよね」
「ええ。ここは電気街。わたしは永遠に十六歳」
何を言っているのかまったく分からないけど、とにかく、これは完全にアウトだろ。
「絵本を読み聞かせるのがそんなにイケナイことなの？」
「え、絵本……？」
「そう。ねえ、早く」
困惑するぼくの隙をついて、彼女は寝そべったまま素早く足払いを仕掛けてくる。
そして、見事に転倒したぼくにのしかかる。
どこをどう極められたのか、脱け出そうと身じろぎすると、腕に激痛が走った。
「ほら、おとなしくしてて」
ぼくを組み敷いたまま、彼女は器用に絵本をかかげ、朗読する。
ここはとおいとおい でんぱのおうこく
このくにには ふしぎなふしぎな でんきのまちがありました
なにがふしぎかといいますと
このまちは はいるたびに
いきもののように
すがたかたちがかわるのです
まずい。この絵本はヤバい。また……巻き込まれる。
そう脳は警告を発する。
けれど、もう抗えなかった。その時にはもう、どうしようもなく、彼女の口が紡ぐ物語に惹かれ、溺れていたのだから。
このまちでは ちずはやくにたちません
おなじおみせにいこうとおもっても もうにどとはいれないことも よくあります
けど だいじょうぶ
そのかわり このまちには いつもあたらしい どきどきとわくわくが うまれているから
あるとき ひとりのおとこのこと ひとりのおんなのこが でんきのまちにやってきました
ふたりは おいしいものをたくさんたべて おもしろいものをたくさんかって たのしいことをたくさんやって
だいまんぞくでした
けれどもたいへん
もう でんきのまちは きたときとは かたちがちがっていました
どんなにあるいても でんきのまちからでられません
おとこのことおんなのこは くたくたにくたびれてしまいました
けれども ここはまいにちすがたがかわる でんきのまち
ずっとこのまちにいても あきることはありません
おとこのことおんなのこは まちをでることをあきらめて
でんきのまちでくらすことにしました
いつまでも ずっとふたり なかよく くらすことにしました
いつまでも、いつまでも。
彼女のささやき声が耳朶に滑り込む。
それは甘くて危険な詩歌。夢魔の呪い。電波の祝福。
脳が痺れ、睡魔が忍び寄る。意識が深い沼の底に沈んでいくみたいだった。
そしてぼくは―――出口を失った。
電気街の幻燈は膨らみ、腫れあがり、世界を呑みこむ。どこまで行けども終わりがない。
気づくとぼくは電気街のどこかにいる。
コスプレ衣装と電化製品が平然と同列に陳列された電気屋をさ迷い、個人撮影のスタジオで写真を撮り、鉄道模型がズラリと並ぶバーでぼんやりし、各国ビールを取りそろえた欧州ギルド風の酒場で共に冒険する仲間を集い、トルコのキルト屋よろしく絵師さんの美少女タペストリーが揺れる画廊で贋作騒動に巻き込まれたりした。
そして、どの風景にも必ずまゆの姿があった。
これはぼくの夢だろうか。彼女の夢だろうか。
それとも電気街が見せる蜃気楼だろうか。
途切れては繰り返される非日常の幻想に、ぼくはすり減らされていく。
「……もう疲れたよ」
ウィスキーを飲みほしたグラスを置き、ぼくはカウンターに突っ伏す。
いまいるのは、出演者や演出が日ごとに異なり、その度に色合いががらりと変わる、当たり外れの振り幅がおそろしく大きな、それでいて名だたるアイドルグループを輩出してきた、やる気があるんだかないんだかよく分からない劇場の、バースペースだった。
例によって、どうやってここにやってきて、いつからここにいるのかまるで思い出せなかった。分かるのはただ、ここも電気街の中の一風景だということだけだった。
「とうとうここまで来てしまったのね」
凛と鈴がなるような涼しげな声が降ってきた。
顔を上げ―――驚く。
カウンターの向こう側に立つ女性は―――まゆではなかった。
スレンダーなのに肉感的、大人っぽいのに初々しく、妖艶なのに清冽、矛盾するはずの特徴が違和感なく溶けあって同居している、そんな不思議な雰囲気の女性だった。
白を基調にしたブラウスを上品に着こなしている。思えば、コスプレ以外の普通の洋服を見るのもひどく久しぶりな気がする。
さらに目を引くのは両耳のピアスだ。大小合わせて八つくらいぶらさげている。
「ようこそ、でんぱの果てへ。ここは普通の世界から弾かれて電気街に来た人が、その電気街にもなじめずに流れつく、電気街の最終流刑地」
「はぁ……。えっと、あなたは？」
「わたしは相沢梨紗。りさちーでいいわ」
「いや……。いくら作者の推しメンだからってフルネームで伏せ字もなしに登場しちゃまずいでしょ。まゆだってギリギリな感じなのに」
「ここは電気街だから。それくらいの混沌はままあるわ」
「電気街だからって言っとけば何でも許されるって思ってません！？」
ぼくのつっこみにもりさちーさんの涼しげな微笑は揺らぎもしなかった。
よく考えるとぼくも変なことを口走った気がするけど、それがなんなのかよく分からない。だいぶ電気街の毒に頭がやられているみたいだった。
「わたしのことはいいの。それより、あなたはどうしてここに行き着いてしまったのかしら」
幼子をあやすみたいなりさちーさんの口調に誘われて、ぼくはこれまでのことを話した。
「―――で、気づくと電気街のどこかにいるんです。どこまで行っても電気街から抜け出せなくて……。それで、必ずまゆっていう女の子に会うんです」
「嘘ね」
思わぬ断定口調にぼくは鼻白む。
「いや、信じてもらえないのは分かりますけど。けど、ほんとに電気街に閉じ込められてるんです。っていうのもですね―――」
「そうじゃなくて。あなたはまだそのまゆっていう女の子に会ってないわ」
「会ってない？ いえ、もう何度も……」
「ほんとにそうかしら」
そう問い返されると自信がない。この街全体がそうであるように、いままで見た彼女の姿も、誰かの抱く幻影であり偶像でしかなかったような気もしてくる。
でも、だとしたら―――
「ほんとの彼女にはどこに行けば会えるんでしょうか」
「いい質問ね」
りさちーさんはうなずき、謳うように言う。
「電気街を創るもの。
それは少女の夢と、少年の妄想。
二次元と二・五次元と四次元の狭間で揺れ動く夢幻。
ありったけの萌えとひとしずくのエロス。
電気のおとぎ話とでんぱの冒険譚。
世界中のかわいいものと楽しいものを詰めこんで煮詰めてできる、混沌と欲望。
その一つ一つを分解して、剥ぎとって、手繰ってごらんなさい。きっと彼女の元に辿りつけるわ」
最初は何を言っているのかさっぱり分からなかった。
けれども、ぼくももう長いこと電気街をさ迷っているのだ。
彼女の助言がゆっくりとぼくの中に沁みこんでくる。
きらめく電気の夢にぼやけた頭が、澄み渡っていく気がした。
「分かったような……気がします」
「そう、それはよかったわ」
ぼくは立ち上がり、きびすを返す。
「行ってらっしゃいませ。よいでんぱを」
深々と頭を下げる姿がちらりと視界の端に見えて、ぼくは気づく。
やっぱり彼女はりさちーさんじゃない。まゆだ。
あの少女が発信したSOSだったのだ、と。
広い広い宇宙(このそら)に浮かぶ
小さな小さな地球(このほし)の中の
小さな小さな日本(このしま)の中の
小さな小さな電気街(このまち)の中の
小さな小さなビルの一角に―――
彼女の部屋はあった。
ぼくはそのドアをそっとあける。
四方の壁を埋め尽くすディスプレイの山が視界を覆いつくす。
その全てがデスクトップ型のPCにつながっていた。
ディスプレイに描かれるのは色とりどりの電波の夢。
スポットライトを浴び、小さな劇場できらびやかに歌い踊る見習い妖精(アイドル)達。
古城の広間を思わせる室内で、忙しく皿を運びながらも客と談笑し、オムライスに絵を描く給仕人(メイド)達。
赤いウィッグに、鎧をまとい、マントをなびかせカメラの前でポーズを決める仮装者(コスプレイヤー)達。
高速で会話(チャット)を交わしながら仲間と力を合わせて怪物を撃破していく冒険者(ネトゲユーザー)達。
気まぐれに作った変え歌も、ありったけの中二魂を込めて描かれた作品も、その身に吹きこまれた詩は全て平等に謳いあげる歌姫(ボーカロイド)達。
ディスプレイは目まぐるしく移り変わり、極彩色の夢を吐き出し続ける。
そのディスプレイの山に埋もれるように―――部屋の中央には一人の少女が座っていた。
真っ白なパジャマ。長く伸びた髪が床に広がる。その手足は病的に細く、青い。
彼女は画面に魅入り、取りつかれたようにファンクションキーを押し続けていた。
繭だ、とぼくは気づく。
この部屋は彼女が造りだした繭だ。幾重にも糸を吐き、張り巡らせ、きらめく夢の残滓で満たし、外界を遮断し、成虫になることを拒んだ、とべないアゲハ蝶の繭。
けれど―――
「やっと会えたね」
ぼくが呼びかけると、彼女はびくりと肩をすくませ、こちらを向く。
その瞳が複雑に揺れ動く。戸惑い、怯え、すがりつき、答えを求めるような目。
ぼくはうなずき、手さぐりに答え合わせするみたいにゆっくりと、言う。
「もう誰かのでんぱの夢に埋もれなくていい。―――君は素敵だよ」
その言葉が、繭を解く鍵(ファンクションキー)だった。
白昼夢に溺れるようだった彼女の瞳に、ゆっくりと、けれどたしかに、意志の光が宿る。
ぼくは彼女に向けて手をかざす。
戸惑い、怯え、すがりつき、答えを求めるように―――彼女もゆっくりと手を伸ばした。
そして、ぼくの手を取る。
瞬間―――、
無数のディスプレイが音もなく、淡い光の粒になって弾けた。
真っ白な部屋にはもう何もない。
少女を囲む電波の夢は、いま、ほどけた。
「行こう」
こくりとうなずく少女。
ぼくらは扉を開け、一緒に足を踏みだし、部屋を出る。
扉の向こうに広がる電気の街並。
けれど、そこには当たり前のような出口があった。
了
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コメント(17)
あとがき(のようなもの)
電気街はどこからどこまでか、と問われたら、秋葉原駅前広場あたりから末広町駅の手前まであたり、というのが模範解答だろうと思います。
日曜日のホコ天もそうなってますし、電気街的なお店もそのエリア内に集中しています。
けれど、その外側、東西南北いずれにもでんぱなお店は点在していて、
その内側の様相も都内のどんな街並みよりも激しく移ろっています。
文字通りの電化製品の街並みから、主に男性用の趣味の街になり、メイド喫茶が乱立して、狂乱のホコ天と路上パフォーマンスの時代を経て、アイドルブームの波にさらされ、アニメや漫画が堂々と市民権を得はじめ、紆余曲折を経て、この街もずいぶん、綺麗な、女子どもでも歩きやすい街になりました。
けれども、ぱっと見目に見えない分、狂気と迷走は以前よりも色濃く地下に潜んでいるような気配がします。訪れる人によって見え方が変わるというか……。
年単位で見ても、流行り廃りに敏感に新しい何かが生まれては消えてゆき、日単位で見ても、何かしら違うイベントがどこかでやっていて、来る度に地形の変わる不思議なダンジョンのような趣きがあります。
この小作品のため、先日も取材と称して電気街をうろついていたのですが、ドイツビールの飲めるオクトーバーフェスとファントムオブキリングというスマホゲームの展示会とソロアイドルのライブが同じスペースで同時に開催されていて、さすがは電気街、期待を裏切らないなという思いでした。
お題に「電気」と頂いた時、この街を舞台に物語を描こうと思い立ちました。
最初は電気街の地下に架空の闘技場を設けてバトルものにしようかと考えたのですが、それではまったく電気街らしさがなかったので、思いきって電気街と聞いて連想するものをありったけ詰めこんでみました。
自分のことはオタクとは思ってないのですが(節操なく趣味が次々変わるので)、それでもこの街との付き合いももう十五年以上くらいになります。ラノベ作家という自分の夢も、１割くらいはこの街によって育まれたような気もします。
ネタには尽きず、字数の関係でエピソードを幾つか削らなければならないほどでした。
なかでも、電気街の本来の名称由来である電化製品関連の店舗についてほとんど言及できなかったことが、わずかに心残りです。
第三回の集会はどうやら定員のようですので、ぼくは参加しません。
書き逃げです。(もしかしたら、終了後くらいにちらっと顔を出すかもしれませんが)
それでも、もし最後までお読み下さった方がいらっしゃったなら、感謝が尽きません。
素敵なでんぱがあなたにも届きますように。
一度入ったら脱出できない、どこかグロテスクなおもちゃ箱のようなこの街の空気が少しでも伝わったなら幸いです。
(最終選考結果発表を前にプレッシャー負けしそうになっている)作者
電気街はどこからどこまでか、と問われたら、秋葉原駅前広場あたりから末広町駅の手前まであたり、というのが模範解答だろうと思います。
日曜日のホコ天もそうなってますし、電気街的なお店もそのエリア内に集中しています。
けれど、その外側、東西南北いずれにもでんぱなお店は点在していて、
その内側の様相も都内のどんな街並みよりも激しく移ろっています。
文字通りの電化製品の街並みから、主に男性用の趣味の街になり、メイド喫茶が乱立して、狂乱のホコ天と路上パフォーマンスの時代を経て、アイドルブームの波にさらされ、アニメや漫画が堂々と市民権を得はじめ、紆余曲折を経て、この街もずいぶん、綺麗な、女子どもでも歩きやすい街になりました。
けれども、ぱっと見目に見えない分、狂気と迷走は以前よりも色濃く地下に潜んでいるような気配がします。訪れる人によって見え方が変わるというか……。
年単位で見ても、流行り廃りに敏感に新しい何かが生まれては消えてゆき、日単位で見ても、何かしら違うイベントがどこかでやっていて、来る度に地形の変わる不思議なダンジョンのような趣きがあります。
この小作品のため、先日も取材と称して電気街をうろついていたのですが、ドイツビールの飲めるオクトーバーフェスとファントムオブキリングというスマホゲームの展示会とソロアイドルのライブが同じスペースで同時に開催されていて、さすがは電気街、期待を裏切らないなという思いでした。
お題に「電気」と頂いた時、この街を舞台に物語を描こうと思い立ちました。
最初は電気街の地下に架空の闘技場を設けてバトルものにしようかと考えたのですが、それではまったく電気街らしさがなかったので、思いきって電気街と聞いて連想するものをありったけ詰めこんでみました。
自分のことはオタクとは思ってないのですが(節操なく趣味が次々変わるので)、それでもこの街との付き合いももう十五年以上くらいになります。ラノベ作家という自分の夢も、１割くらいはこの街によって育まれたような気もします。
ネタには尽きず、字数の関係でエピソードを幾つか削らなければならないほどでした。
なかでも、電気街の本来の名称由来である電化製品関連の店舗についてほとんど言及できなかったことが、わずかに心残りです。
第三回の集会はどうやら定員のようですので、ぼくは参加しません。
書き逃げです。(もしかしたら、終了後くらいにちらっと顔を出すかもしれませんが)
それでも、もし最後までお読み下さった方がいらっしゃったなら、感謝が尽きません。
素敵なでんぱがあなたにも届きますように。
一度入ったら脱出できない、どこかグロテスクなおもちゃ箱のようなこの街の空気が少しでも伝わったなら幸いです。
(最終選考結果発表を前にプレッシャー負けしそうになっている)作者
>>[14]
森見登美彦さんの京都を舞台にした異界物語が好きなので、ちょっとそれを意識しました。
一人称の文体で、一体感を抱いてもらえたらほんとに嬉しいですね。そのために主人公はわりとニュートラルな性質にしているのですが、アイドル現場では急にハッスルしはじめました。作者の影響ですｗ
フルバージョンの掲載希望ありがとうございます！
電気屋さんの話とかも頭の中でぼんやり考えていて、あとは主人公がりさちーさんに指摘受けたあと、あっさり「彼女」の元に辿り着けちゃってるので、その間の部分も膨らませたほうがいいよなーとか思ったりはしているのですが、ちゃんと書いてはいないので、たぶんこれ以上加筆して載せることはないと思います。
もう電気街はお腹いっぱいすぎて、当分秋葉原には行きたくない気分ですｗ
森見登美彦さんの京都を舞台にした異界物語が好きなので、ちょっとそれを意識しました。
一人称の文体で、一体感を抱いてもらえたらほんとに嬉しいですね。そのために主人公はわりとニュートラルな性質にしているのですが、アイドル現場では急にハッスルしはじめました。作者の影響ですｗ
フルバージョンの掲載希望ありがとうございます！
電気屋さんの話とかも頭の中でぼんやり考えていて、あとは主人公がりさちーさんに指摘受けたあと、あっさり「彼女」の元に辿り着けちゃってるので、その間の部分も膨らませたほうがいいよなーとか思ったりはしているのですが、ちゃんと書いてはいないので、たぶんこれ以上加筆して載せることはないと思います。
もう電気街はお腹いっぱいすぎて、当分秋葉原には行きたくない気分ですｗ
>>[16]
二度もコメント、本当にありがとうございます！
自分自身、小・中学生の頃読み漁った冒険譚のわくわくが忘れられずライトノベル作家を志望しているので、楽しかった、わくわくしたというのは最高に嬉しい感想です。
餌に食いついてしまわれましたか…。類は友を呼ぶ、ですね(笑)
他の人はどうだったのか。
ほんと、それな、です。
まったくアイドルとか興味ない方が読んだら、「魂のミックスを！」とか言われてもぽかーんだったと思います。
今回は自分がラノベ作家志望であることを意識して、主に中高生でヲタ寄りの人達を仮想読者に描いてみましたが、文芸部向けの作品ではなかったかもしれません。
二度もコメント、本当にありがとうございます！
自分自身、小・中学生の頃読み漁った冒険譚のわくわくが忘れられずライトノベル作家を志望しているので、楽しかった、わくわくしたというのは最高に嬉しい感想です。
餌に食いついてしまわれましたか…。類は友を呼ぶ、ですね(笑)
他の人はどうだったのか。
ほんと、それな、です。
まったくアイドルとか興味ない方が読んだら、「魂のミックスを！」とか言われてもぽかーんだったと思います。
今回は自分がラノベ作家志望であることを意識して、主に中高生でヲタ寄りの人達を仮想読者に描いてみましたが、文芸部向けの作品ではなかったかもしれません。
- mixiユーザー
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