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chopstick undergroundコミュのフランツ カフカ/城

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とある雪深い山村に男がひとりやって来る。
男は遠いところからやって来た。オーストリア、ハンガリー帝国、プラハ…。そんなところからやって来た耳の尖ったユダヤ系の男だったかもしれない。
男は山村の伯爵に招かれた測量士で、いわば出張工事の請け負いの為の来村だった。
この男、測量士の名前はKと記されている。無機的に暗号としてその名前は処理される。例えばそれはカフカと呼ばれる男の物語りかもしれない。

Kは仕事の為に来村したので、クライアントである伯爵に会わなければならない。
まず宿に着き、荷物を解く。長旅の衣装から謁見の為の服に着替える。ヒゲを剃り、髪を整え、パンとスープで軽い食事をとったかもしれない。
順調だ、なにもかもここまでは。雪深さに苦労はしたが、世の中はKの前であたりまえの様相として拡がっている。
しかし息揚々と伯爵の城に向かうKは無限ループのどつぼにハマることになる。
「城に着かない」というわけのわからん謎ループ。
村の外れに確かに城が見える。雪雲に覆われ、全貌までは定かではないが、あれは確かに伯爵の城だ。村人も証言する。へえ、確かにあれが伯爵様の城でごぜえます。
雪を踏みしめ歩く、歩く、歩く、歩くこと悠久のごとし。
あれれ?なんで着かないの?おれ、疲れてんのかな?
いよいよ陽も傾きかけて、宿に戻る決心をするK。よし明日また出直そう…。

宿に戻ると城からの従者が伯爵の手紙を置いて立ち去る。「雪深いなかよくぞ来られた、おって連絡するのでしばし待たれよ」手紙の文面はそんな感じ。ふーん、まあいっか、でゴロゴロするK。しかし待てど暮らせど手紙が来ない。3日過ぎ、4日過ぎ、一週間が過ぎてもう我慢出来ん!飽きたぞ、このゴロゴロ!再び城を目指すKとなにか歯切れ悪い物言いの村人たち…そして行く手を阻む雪、雪、雪。止まない雪…。

カフカ/城

なんとこのループが550ページ延々と繰り返される。しかもバッテリーオーバーの携帯電話のようにブッツリと切れて突然終わる。
未完、というかたちでこの物語りに無限ループ性を持たせ続けるカフカなりのコンセプチュアル•アートだったのか、単に途中でこの小説が作者に放り投げられてしまった結果であるのか、カフカが死んだ今は知る術はない。
カフカは生前、無名の作家で作品発表に積極的ではなかった。おれが死んだら部屋の原稿をすべて燃やせ、と友人に遺言し、亡くなった。
後にカフカは世界的に認知される作家となったわけだがつまり、友人はカフカの遺言を実行しなかったということだ。

この才能は事件だ、批評家たちはカフカを前衛、実存と騒ぎたてた。目にも新しく、あまりにも長く、「何もない」ということを語る文脈がこれまでになかったからだ。

そんな連中におれのほうから一言いわせてもらえるなら、城、超つまんねえ。マジ苦行。



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