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chopstick undergroundコミュのボリス ヴィアン/日々の泡

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美しい女たちと、恋
デューク エリントンのジャズ
それ以外のものはすべて醜いから、滅びたってかまわない


ボリス ヴィアン/日々の泡


ボンジュール、フランセ。日々はグラスの中で発泡するシャンパーニュのごとし軽快なおしゃべりと45回転で螺旋する黒い円盤上を滑るしなやかなレコード針。
落とされた針、多少の凹凸を気にしながらも優雅に、またいびつな世界空間をまるで無視したかのように独創的、コード進行。
しゃべくる知的生命体ハツカネズミとカクテルピアノ、演奏する音色とハーモニーで自動的に色彩とカクテルを調合する。

このなんのことやらさっぱりわけワカメなシュールでおかしな意味深長げな符号達の原初的な風味を、この物語りのとんでもシェフ、ボリス ヴィアンは恋愛小説というレシピに仕立てあげる。
それは半世紀がたっても冷めることない魔法のフルコースで、平らげたわたしはその熱気と冷気にやられちまって、やけどをしたり風邪をひいたりと多忙を極める。手と足、スプーンとフォークを別々の方向と力で右から左へ運びながら、足はジャズ的インプロビゼーションに合わせて飛んだり跳ねたりしなければならない。わたしは食事を堪能しているはずだが、はて、これでは傍目に見れば完全に春の病い、頭に花が咲いている人ではないか、…おいきみ、料理長を呼んでくれたまえ!

ボリスヴィアン「お呼びでしょうか、お料理は堪能いただけたましたかな?」

大変に結構だ、どれも素晴らしい、申し分ない。だが、これは広義の意味で恋愛小説というよりも…

「詩片を凝らした散文的物語り、わたくし共は、そう心得ております…」


time out

閉店後の店内ではすべての食器が片付けられ、真っ白な絹のテーブルクロスも結晶した花のカーテンもない。わたしは生木の味気ない椅子に腰掛けるひとりの思い出となってしまう。
日々の泡、いや、日々は泡だ。
そんな時ふと思う。
美しい時間は残酷な流動物だ。グラスの底からのぼるシャンパンの泡のように煌きながらはじけて、一瞬でわたしたちを通り過ぎていく。


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