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紅い竜と四天王女コミュの策士の手腕3

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彼はザルム家の反対側に位置するヴィエンヌ領内へと行こうとしている。
 このことは誰にも伝えてない。
(俺がここでやらなければシャラントの領主として)
 アルスの覚悟は大きく燃えていた。
「正装と戦服と」
 革袋の中に荷物を入れていき準備を進めていく。
 荷物は少なく支度は数分で終わった。
アルスは自身の後ろの壁に掛けられている剣を取った。
「父さん。俺はこの戦に勝ってみせるよ」
 父、アルヌルフの形見でもある剣を鞘から抜いて語りかけた。
 当然、返事をするわけでもなく。
ただ、隣の窓から差し込む太陽の光で、煌めきを放っているだけであった。
それでも、アルスは頷いた。
彼には返事をしたように思えていたから。
剣を鞘に納め腰に帯刀した。
「皆に話さないと」
 アルスはまずリュイを探しに廊下を走り出す。
 大体の居場所が見当ついているアルスは迷わず、そこに向かった。
 彼が向かったのは書斎だった。
「リュイ!」
扉を開けるとリュイが椅子に座って兵法書を読んでいた。
「ア、アルス様? どうしたのですか?」
 リュイは勢いよく扉が開いた音と、アルスの声でビックリした。
「また、軍議室に皆を集めてくれ。大事な話がある」
「は、はい」
 驚きが止まらず、リュイは急いで駆け王女たちを集めに行った。
 アルスは先に軍議室で待っていることにした。
(皆から反感を買うな。特にエレンからは辛辣な言葉を言われるが。仕方ない。これをできなければ、シャラントが危機に陥る)
 軍議室に着くと自分の椅子に腰掛け王女たち、リュイ、ルドミラを待った。
 円卓の机には片づけ忘れていた地図が置いてある。
 シャラントの周辺の地図で森には印が付いており、アルスはリュイの策を思いだす。
(リュイの策は看破されそうだな)
 アルスはリュイの策は成功しないと思っている。
それでも、リュイの策を戦で用いることを承諾したのは理由がある。
 一つは時間稼ぎになるから。
 自分が助力を請い援軍を連れて来るのには時間が掛かる。
 最悪の場合、戦に敗けた後に着く事もあるかも知れない。
 その可能性を少なくするため、策を講じて時間を稼いでほしい狙いがある。
 すべては、自身の交渉力次第と分かっているが、それに不安があるのも事実。
 もう一つは、森の地理に疎いザルム軍を苛立たせ、思考を働かさせないようにするため。
 森はシャラントの兵は熟知している。
 伏兵が看破されても隠れて攻撃すれば有利に戦を出来る。
 この戦法を繰り返しして行けばザルム軍の兵たちは苛立つだろう。
 そんな状態で戦をして行けば猪のように、我先にと考えなしに突撃する。
 シャラント兵が森の出口に誘うように逃げれば、ルドミラがいる。
 敵は怯み逃げるか突撃するかのどちらかになる。
 ルドミラは一気に突撃すれば敵は混乱するに違いない。
 アルスは失敗しても構わないと思ったから承諾したのだった。
 後で、リュイとリュイに同行する王女一人には失敗した後の戦い方を教えるつもりでいる。

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