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紅い竜と四天王女コミュのシャラントの領主4

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「ありがとう。あと、二人に林檎酒を出してほしい」
「あいよ。俺のおごりで出してやるよ」
「良いの?」
「いつも、出荷や熟成作業を手伝ってもらってるしな」
 ここでも、アルスは店主の店仕事を手伝っている。
 政務を疎かにしてしまう事があるのも無理もない。
「ほら、お蝶ちゃんたち」
 店主は二人に林檎酒を注いだ陶杯を渡した。
「いただきます」
「美味しいのかな〜?」
 ユリアとアリエルは林檎酒を口にした。
 林檎酒は店主が濃度を下げて子どもにも飲めるようにした酒。
 すっきりとした味に果実の甘味が酒より活かされている。
「飲みやすい! これ本当にお酒なの?」
「林檎の味しかしない。美味しいわ」
「だろ? 俺には物足りないけど、飲みやすい酒だ」
 二人の声にアルスは上機嫌。
「おじさん。これも頂戴」
「わかった。準備する」
 再び、店主は林檎酒を用意するため奥へと行った。
「俺のおごりだ。飲んでくれ」
「良いの? ありがとう。アルス」
「気が利わね。アルス」
 アルスは自分の葡萄酒とアリエルとユリアにあげる林檎酒を購入したのだった。
酒屋を出ても三人は通りの店を少し見て回り街を堪能した。
屋敷の帰路を歩くころには、日が傾き茜空に染まり、露店を閉める人が続々と現れている。
今日の商売は終わり。
明日もまた今日以上の売り上げを目指すため英気を養う商人たち。
 三人は屋敷に着き玄関の扉を開けると……
 仁王立ちしても迫力のないリュイが立っていた。
「あ……」
 アルスの一言が零れた。また、リュイに何も言わず屋敷を出て行ってしまったのだ。
「どこに行っていたのですか?」
「街に二人を案内に……」
 冷や汗が徐々にアルスの額から垂れて来てる。
「私に何も言わずにですか?」
「す、すみません……」
「お説教です! 私に付いて来て下さい」
「いや〜、それだけは……」
「ダメです! お説教です。嫌ならアルス様の苦手なニンジン出しますよ」
「それだけは勘弁」
(ニンジン嫌いなんだ……)
(アルス、お子ちゃま〜)
 ユリア、アリエルはアルスの意外な一面を知った。
「じゃあ、お説教ですね」
 リュイは満面な笑みでアルスを見る。
 その顔に本当の笑顔が無い。
「は、はい……」
 アルスはリュイに連行された。
 そのうな垂れた後ろ姿をユリアとアリエルはただ見送るだけだった。

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