西岡の雑誌図書館コミュの朝日新聞（令和４年（２０２２年）７月２０日（水）朝刊１面

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逆らえず傷ついて　ウクライナ　占領された村で

　１０分間、生き抜くことだけを考え、耐えた。
　３月２８日、午後９時すぎ、ロシア軍が占領したウクライナの
首都キーウ（キエフ）近郊の村。オクサナさん（３０）＝仮名＝
の自宅の鉄扉を開け、泥酔した様子の男が入ってきた。目出し帽
をかぶったロシア兵だった。
「俺の相手をするか、ころされるか、どっちがいいんだ？」
　２週間ほど前、自宅の捜索に来ていた男だった。そのとき、
男は「きれいな女だな」と、不気味な言葉を残していた。
　ライフルを手にした兵士には逆らえなかった。唯一、懇願した
のは、「家の中でするのはやめてほしい」ということだった。
　平屋の自宅には４歳の娘と母親がいた。兵士は庭で、服を着た
ままオクサナさんをレイプした。「とにかく生きること、娘と母
を守るだけを考えました」
　近くの村でロシア兵に抵抗した女性が殺されたと聞いていた。
だから、男の要求を受け入れるほかないと思った。「妊娠して
いなかったことだけが救いでした」と言った。

（後略）

（朝日新聞（令和４年（２０２２年）７月２０日（水）朝刊１面
（チェリヒウ州＝高野裕介）
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