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西岡の雑誌図書館コミュの小田実(著)『西ベルリンで見たこと 日本で考えたこと』(毎日新聞社・1988年)(その1)

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 若い人が今ベルリンに来ても、はやりの「パンク」とやらに興味があっても、あるいは、もちろん、「壁」のことなら、何やら「スリラー」まがいに面白がるかも知れないが、この都市が40年前の4月にソビエト軍の武力によって文字通り陥落したときのことには興味が持てないかも知れない。そこへ行くと、私は、やはり、ベルリン陥落のことをわがことのようにして感じとった時代に生きた人間であるのだろう。その当時のことが気にかかってならない。私はまだ中学1年生だったが、なにしろ空襲やら何やらで、あの時代の子供はいやおうなしにませていた。今どきの子供のようにセックスのことでませていたというのではない。そちらのほうのことになると、あの時代の子供はまことにおくてであったにちがいないが、大きく言えば、日本民族の命運、もっと自分というひとりの日本人でもあればひとりの人間でもある存在にそくして言えば、死生観ーーと言うのは少しおおげさすぎりが、要するに自分の生き死にの問題である。そこにおいてませていた。つまり、今どきの子供なら、コンリンザイ考えなくてすむそうした問題にいやおうなしにひとりひとりが突きあたっていたということだ。
 おかげで、新聞に出た「ベルリン陥落」の記事も、わが身にしみて読んだ記憶がある。

(小田実(著)『西ベルリンで見たこと 日本で考えたこと』(毎日新聞社・1988年)262ページ)
https://www.amazon.co.jp/%E8%A5%BF%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%A7%E8%A6%8B%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8-%E5%B0%8F%E7%94%B0-%E5%AE%9F/dp/4620306339/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=3EJVXO42MOA4V&keywords=%E5%B0%8F%E7%94%B0%E5%AE%9F+%E8%A5%BF%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%B3&qid=1647555657&sprefix=%E5%B0%8F%E7%94%B0%E5%AE%9F+%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%B9%E3%82%8B%E3%82%8An%2Caps%2C259&sr=8-2

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