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テニプリファンタジー小説コミュの(第59章)(後編)(テニプリファンタジー){別れと新たなる仲間」

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すると、今度は葉っぱの部分が、刃となって襲い来る。
「うわ〜〜〜」
慈郎は切り刻まれ、血まみれになりながらも、上を目指す。これを止めるには、あれを使うしかないのだ。

彼は必死で翼を動かし、ついに木のはるか上空へ出るが、その時には、もう流血していて、飛んでいるのがやっとの状態だ。
「ハア、ハア、ハア、ハア後は、俺が何とか、しないと」
彼は杖を天に向けて伸ばし、天の力を一点に集中させる。

でも、それと同時に彼から血が流れ落ちる。

だが、天の力は、彼に力を与え、ついに出来上がった。
「出来た・・・忍足、聞こえる?こっちの準備は出来たよ。バリアをお願い」
「分かった。慈郎、お前は?大丈夫なんか?」
「今、しゃべってられないんだ。これ、パワーがすごいから」
「急を要するっちゅう事か。分かった」
殆ど水しか攻撃能力がないとみなされ、ノンマークだった侑士は、すぐさまバリアを張った。
「ええで。慈郎」
「いっくよ〜プラズマブレイカー!!」
慈郎の最大の技が決まり、木に大穴を開けた。
「や・・・った・・・し・・・」
力を使い果たした慈郎はそのまま落下し、そこをしぶとく生き残っていた枝が捕えようとしたが、そこを鳳がまた邪魔をする。
木は真っ二つに割れ、生命力を大地に吸われて、枯れていく。
「やった!」
ラティエルが喜んでいると、ゲセルナーがラティエルに攻撃を仕掛けてきた。
「よくも、私の友を〜!」
「!」
その時、
「アブソリュート!」
跡部の放ったその技は、見事に命中し、ゲセルナーは粒子となって消えるはずが、中心が渦を巻き、一枚のカード「ウッド」になった。
「カードに・・・」
後から来た皆はそれを見ると、ようやく終わったと言った様な顔をするが、問題は、このカードをどうするかだ。
「忍足、カードになった以上、お前が持っておくしかねえだろ」
「せやけど、こいつ倒したんはラティエルやで?」
「彼女じゃ、こいつを任せるのは無理だ」
「そ、そんな、私だって魔力くらいあるよ?」
「魔力があるだけじゃ、ダメなんだよ。こいつをコントロールできねえようじゃ、話しにならねえ」
「・・・そう・・・」
落ち込む彼女に、菊丸が寄り添う」
「カードは殆ど、忍足が持ってるんだ。だから、彼に任せておけば、絶対に大丈夫だよ」
「うん。私にも、皆の役に立てる何か欲しい」
「君には、大地の精霊の力があるじゃんか。その力は、地面にエネルギーを送って、その土地を元気にする力が、君には備わっている。だから、君がそれ上の力を求めると、大地の精霊さんが悲しむよ」
「うん」

その時、鳳の胸に、強烈な痛みが走った。
「うわ!う、うう」
「!鳳、どないしたんや?」
「む、胸が・・・急に・・・ああ・・・」
鳳はその場に倒れ、ブン太が急いで回復魔法をかけるが、一向に治らず、ついには吐血までし始めたのだ。
「ゲホ!、ゲホ!、ゲホ!」
皆が困っていると、上が暗くなり、何事かと思って、上を見上げる、巨大な海賊船が現れた。
「な、なんだ?」
「空に浮く船やと?いくらなんでも、出来すぎてるで」
侑士がそういった時、海賊船から固定用のイカリが下ろされると、ロープが次々と下ろされ、そこから、様々海賊達が下りて来るが、どう見てもエルフ達だった。
「何もんだてめえら」!」
跡部が率先して戦おうとするが、エルフ達は手から火を吹きつけ、周りを火の海にする。
そして、リーダーらしき男が、道を作ると、跡部達の所へやってきた。
それは、長い金の長髪に、海賊服を身にまとったエルフの男だった。
「お前たちは、精霊を持っているな。ならば、その精霊をいただこう」
「頂こうって言われて、はいそうですかなんていうわけねーだろ!」
跡部はあっという間に全ての者を凍りつかせた。
「ほお。君は氷の精霊を持っている様だな」
「持ってちゃ悪いか」
「いやいやそうは言わんよ。どうだね?私と一緒に航海に乗り出すと言うのは」
「あいにく俺は、こちら側の人間だ。海賊になんざ興味もねえよ」
「ていうか、誰だよお前!、名も名乗らずに、いきなり来いだなんて、そんなの非常識過ぎるよ!」
「おっと。これは失礼。私はアシャルーガ。そして、我が船。ポセイドンだ」
「んで?なんでここに来た?」
「精霊の波動を察知したのでな」
「兄貴、こいつです。内部の精霊が暴れていやす」
「精霊が暴れるやと?ほなさっきいきなり鳳が苦しみだしたのって」
「酷い人間に選ばれた者だな。こいつは頂いて行く」
「させるか!フォレスト!」
跡部はすぐさま技を放つが、相手のバリアに阻まれた挙句、跳ね返されてしまった。
「なに!?」
跡部は必死にこらえるが、なかなか思う様にいかない。

そんな姿を、虚ろな目で見ていた鳳は、
「・・・めて・・・」
と、何かを話そうとするが、そのたびに血が出てしまう
「がほ!」
「おっと、こりゃいけねえ。船長、こいつ、もうヤバイですぜ」
「精霊のパワーだけ回収しろ」
「肉体は?」
「ほっとけ」
「へい!」
「待て!グハ!」
跡部は凄まじいパワーに、ふっ飛ばされてしまった。
「お前達はそこで見ていろ」
と、アシャルーガは、ネットを皆に投げ落とし、鳳を連れて行ってしまった。
「鳳〜!」
と、そこへ、弦一郎と、オルガがやってきた。
「おっそいわお前等!」
「いや〜面目ない。あの木に生気を吸われて、動けなかったでござる。本来なら、あそこで火を使うという手口も有ったでござるが、この建物を燃やしかねないとあぐねいていたら、捕まってしまって」
「こちらもクオーが心配でな」
「何かあったのか?」
「お、鳳を、持って行かれた。何とかあの船が消える前に、取り戻してくれ」
「了解した。行くぞ、オルガ!」
「了解でござる」
オルガはそういうと、背中から炎の羽根を出現させた。
「よし、追うでござる。お主達は、医務室を開けておくでござる」
彼はそれだけ言うと、船を追いかけた。
まだそう遠くへは行っておらず、すぐに見つける事ができた。
「あれでござるな」
「間違いない。鳳の気配がする」

だが、どこか様子がおかしい。
船体の上部が砕け散り、凄まじい竜巻が起きていた。
「な、なんでござるか?」
「わからん。とにかく、この隙に鳳を」
「了解!」
と、2人が竜巻の真上に近づくと、そこには、黄緑色の眼をした鳳が浮かんでいた。
「これは、まさか越前の時の・・・」
「パワーが暴走しているでござる。なんとかせねば」
「どうすればいい?」
「あの者と、違う物が契約を果たせば・・・」
「しかし、そんな人など・・・」
「どいて!」
「?」
上から声がして、二人が上を見ると、そこから、誰かが下りて来るのが見えた。

しかし、その者は、ヘルメットとサングラスをしていて、誰だかわからなかったが、体型で、少女というのは分かった。
「かわいそうに。自分の力を持って行かれそうになって、それで暴走したのね。でも、もうあなたでは、この大きな力は危険すぎる。
「風の精霊よ。我は、汝の後継者となる。今よりこの者から離れ、わが身に宿れ!」
すると、凄まじい勢いで風が彼女の中へ入って行き、苦しそうにしながらも、その強烈な力を全て受け入れた。

風は治まったものの、鳳の目から涙がこぼれ落ち続けていた。
「どうしたの? ほら、もう大丈夫よ」
「あ・・・り・・・す」
彼はそれだけ行って、意識を失ってしまった。
「さて、こっからおさらばするわよ。てか、あんたら、いつまで上で固まってるの? 行くわよ」
「あ、ああ。それより、お主、名は?」
「ああ、そっか。私はシルフィー。風の精霊シルフィーユから付けられたの」
「そうでござったか」
「そんじゃ、帰るよ。どの道、この船は、もうすぐ落ちる」
「その前に、我等もやるべき事がある。
「拙者もでござる」
と、2人は頷き合い、作業にかかった。2人はこの船を粉々にし始めた。

そして、最後に大爆発を来させて、完全に船を粉みじんにした後、ようやく帰ってきた。
「あ、帰って来たC〜」
慈郎の声と同時に皆がそちらを見ると、スケボーの様に乗った少女と、鳳を乗せたクオーとオルガがこちらに来るのが見えた。
「あれ?あれ、誰だろう?」
「知り合いでもなさそうだが・・・」
と言っていると、クオーが高度を下げ、皆の前に降り立ち、また少女も皆の前にスカイボードを下ろした。
「真田、鳳は?」
「かなりやられている。魂に異常はないと思うが、調べてくれ。風の後継者は、シルフィーが引き継ぐ事になった。
「シルフィー?」
「あの女だ」
真田がそちらを見ると、彼女はヘルメットとサングラスを取って、長い髪の毛結んでいたゴム紐を取った。

彼女の姿は、リースそっくりで、唯一の違いと言えば、肌色をして、目がエメララルドグリーンであり、何か専用のスーツを着ている所だけだった。
「フ〜。オオババ様から聞いていたけど、本当にいたのね〜人間で、精霊の力を持っている者がいるって」
「あ〜ん?持ってちゃわりいか?」
「別にそうはいってないでしょ?性格からして、アンタ氷の力を持ってるわね」
「んな!性格で人の精霊にケチつけんな!」
「んも〜うっさいわね〜」
「おいおいちょっと待った。今は喧嘩してる場合じゃないだろい。医務室の鳳、かなり酷いらしいぜ」
「なんだと?」
「そういえば、あの子助けた時、何か言いかけてたけど、ずっと泣いてた。すぐに意識を失ったけど、何が有ったの?」
「鳳本人に聞くしか有るまい」
「へえ、あの子、鳳君って言うの? 確かに風使いには、ぴったりな名前ね」
「ただ、目を覚ませばよいのだが・・・」
「私もちょっと心配だから、見てていい?」
「あ、ああそれは構わんが」
「ありがとう。えっと・・・」
「真田だ」
「じゃあ真田さん。医務室に案内して」
「良かろう。こっちだ」

皆が医務室に入ろうとしたが、面会謝絶の札が掛けられていた、鳳は色々のチューブに繋がれ、酸素マスクを付けられていた。

容体は思ったより酷く、かなり、危険な状態だった。

その時、彼は夢を見ていた。

自分は真っ暗な中で、1人ボーっとしている。

しかも、いつもしていた、扇形のペンダントもとられてしまい、それが原因で、暴走してしまったのだ。

彼はその事を思い出し、泣きそうになった。
「リー・・・ス・・・・俺が・・・・」
「鳳さん」
「!」
彼が前を見ると、小さくて丸い光りがこちらに来るのが見えた。

それを彼が受け止めると、自分の胸に抱くようにしようとすると、それは、彼の中にそのまま入っていく。

そして、感じられるのは、優しくてとても温かく、自分を包んでくれるような安心感だった。
「温かい・・・」
「それは彼女の記憶よ」
「え?」
彼が前を見ると、うっすらとしか見えなかった女の子が立っていた。そしてその隣にリースがいる。
「リース。無事だったんだね」
「ええ。でも、もうあなたの所には、いられなくなってしまいましたけど」
「やっぱり、君が後継者に」
「あ、分かってたの」
彼は小さく頷いた。
「あの竜巻から、助けてくれたのも君だね」
「私はシルフィー。今日からあなたの後継者。でも、あなたから学ぶ事は多いと思う」
「え?でも、俺の力は・・・」
「さっき渡した私の記憶。それでしばらく、風の技だけなら使えるわ。まだ、全てが終わったわけではないもの。いろんな事が残ってる」
「そうだね」
「この続きは、現実世界で話しましょ?」
「皆、あなたの事を心配しているわ。さあ、帰りましょう。現実世界へ」
「はい!」

しばらくすると、彼の心拍数と呼吸数が普通に戻り始め、医者は安心した。

面会謝絶になっていたので、黒部コーチから、鳳の意識が戻ったと聞かされ、皆はほっとして、医務室を訪ねた。
「長太郎、大丈夫か?」
「はい。なんとか。リースの記憶が、助けてくれました」
「そっか。あいつ、もうシルフィーと一緒なんだな」
「・・・はい」
「医師の話しじゃ、一日休んでから、練習に参加だとさ」
「すみません跡部さん。こんな事になっちゃって・・・あ、そう言えば、芥川先輩は?」
「心配すんな。丸井が治して、今部屋でおねむだよ」
「今回は、ホンマえらい目に有ったな、鳳」
「安心しろ。あの海賊船は、二度と使えんようにしておいた」
「その方がいいのかもしれませんけど、後で、調べた方がいいでしょうね」
「ああ。いきなり、空から現れたんじゃな〜。ま、いきなり助けに飛び込んだ、シルフィーもだが」
「私はただ助けに来ただけよ」
「にしても、いきなり空から来る事はないでござろうに」
「他に選択がなかったの。あの時は、あの子を助けなきゃって思ってたし」
「ありがとう。シル・・・フィー・・・・」
突然鳳の目がしょぼしょぼし始め、皆はとりあえず、引き上げる事にした。
「さようなら・・・・リース・・・・」
閉じられる直前彼の目から、一滴の涙が落ちた。

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