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テニプリファンタジー小説コミュの(第49章)(後編)テニプリファンタジー「体内の森」

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そこはまるで、ジャングルの様だが、生えている草は全て猛毒を持っている物ばかりだ。
前を見ると、まさしく森という感
じだが、生きとし生ける者はいない。
「な、なんなんだここ!? マジで幸村の部屋かよ! おい幸村、どこだ」
すると、跡部がインサイトで探ると、すぐさま見つけた。
「丸井、足元の草をどけてみろ」
「あ、ここか」
「ただし油断するな。その草、どうも毒もちらしいぜ」
「おいおいおい! じゃ、どうすりゃいいんだよ!」
「仕方ないわね。私がやるわ。ちょっと離れてて。触れただけでもアウトよ。多分」
巫女はそう言うと、背中から翼を出し、天井近くまで来ると、思いっきり翼を動かし、葉っぱを吹き飛ばした。

すると、葉っぱの中から、顔が真っ青な状態の幸村が現れたが、既に脈も小さく、かなり危険な状態だった。
「幸村! おい幸村!」
ブン太が必死に呼びかけても、まったく反応がなく、跡部とリョーマが心配して近づく。
「おいどうなってる?」
「わかんねえよ。とにかく、幸村をベッドに下ろさねえと」
「巫女。頼める?」
「はいはい」
また巫女が翼を動かすと、ベッドが見えてくるのだが、こちらもかなり浸食されてしまっていたが、原型はとどめていた為、そこに寝かせる事にした。
「こうなったら、俺の回復魔法で!」
と、ブン太が回復を始めるが、逆にそれは、彼にとってはは酷だった。
「ウワアアアアア!!」
「うお! 幸村? おい、大丈夫かよ」
「ウ、ウグ!む、胸・・・が・・・・」
「見せてみろい!」
ブン太が彼の手をどけて、見てみると、なんと、そこからツルが伸び、かなり危険な状態なのは明白だった。
「な、なんだよこれ!?」
「俺の炎だと、部屋ごと焼きそうだし」
「どうやら、元を断つしかないみたいね」
「内部に入って調べるしかねえな。チキショー誰だよこんなヒデエ事を!」
「あの女じゃないとすると、あいつだな」
「ルシアヌか!」
「ああ。あいつは俺達を眼の敵にしている。おそらくこれは、新たな実験のデモンストレーションってとこだろう」
「て事は、まだ起こるって事ッスか?」
「そいつはまだわかんねえ。だか、これ以上、あいつの好きにはさせねえぜ」
「まずは、体内からッスね。丸井さん」
「それもあるが、今回は薬もいる。俺が先に中に入って、何が必要か、一通り見て来る」
「でも、丸井さん一人じゃ危ないっすよ」
「大丈夫だ。何がいるかさえ分かれば、なんとかなる。巫女、悪いが入口開けれっか?」
「そこまでのパワーは持ち合わせていないわよ」
「しょうがねえか。お前は生まれ変わってるもんな。それなら、おいマティーヌ。聞こえるか?」

一方その頃マティーヌは、ラティエルと共に、雑用をこなしていたが、もう後これ一つで終わりだ。
「あら?丸井さんからだわ。どうしたんですか?」
「幸村が大変なんだ。すぐにきてくれ。お前、バリア張れるな」
「はい。可能ですよ」
「そいつはよかった。頼む、今すぐに幸村の部屋に来てくれ。夢の扉を開けられる力は、お前も持ってたよな?」
「はい。私の得意技です。今行きます!」
「幸村さんが大変ってどういう事?」
「解りませんが、かなりひどい状態みたいです」
「ここは私がしとくから、貴女は行ってあげて」
「ラティエルちゃん」
「後、この二つ、指定場所まで運ぶだけでしょ?私一人でもできるよ。でも、今の幸村さんを救えるのは、貴女だけ。
だから、行ってあげて」
「ありがとう。それじゃあ」
「うん。よっと。私もこれ、運び終わったら、菊丸達に教えないと」

そして、ラティエルは、荷物を運び終わり、鳳達にこの事を知らせた。
「幸村さんが!?」
「うん。なんか、大変な事になってるみたい」
「俺達も行きましょう。丸井さんだけじゃ、敵が現れた時に、対処できません」
「うん。行こう。俺達も、幸村の中に!」

一方その頃、マティーヌに扉を開けてもらったブン太ではあったが、元から、草に詳しくない彼は、とりあえず、手袋をして、幸村の中を汚染している植物達の葉を集めた。葉の形から、彼を救えると思ったのだ。

しばらくすると、中からブン太が葉っぱを持って戻って来た。
「こいつが、幸村の中を侵している葉っぱだ。だが、俺は毒草にはくわしくねえ。とすると、あいつに来てもらった方が早いんだが・・・」
と、ブン太が考えあぐねいていると、ちょうどそこへ、鳳達がやってきた。

一応念の為、跡部に事情を聞いておく。
「・・・・というわけだ」
「ようするに、幸村の体の中が、毒だらけになってるって事だね」
「ああ。しかも、かなりやばい状態で、うっかり近づくのは危険だ」
「そうだ!白石さんなら、毒草を詳しく知っているはずです」
「なるほど。あいつなら、飛びつきそうなネタだな」
「ほな。俺等は内部から、幸村を治療するとして、外側は、集めてきた毒草で、なんとかしてもらうしかないな」
「そうだな。だが、今回は、回復役と、治療役、更に調合役がいる」
「回復を丸井さんに任せて、毒草の方は、白石さんに任せるしかないですね。治療薬は俺達でやりましょう」
「よし、人選はそれで決まりだが。巫女、すまねえが、白石をなんとかして連れて来られるか?」
「私、彼の部屋知らないわよ」
「201号室だ。その部屋に、包帯を巻いた男がいる。そいつが白石だ」
「ハア〜。私はあなた達のパシリじゃないのよ」
「緊急事態なんですから。お願いしますよ。巫女ちゃん」
「・・・・ま、まあ、鳳君がそこまで言うなら、呼んできてあげても良いけど、後の調合役は誰がするの?」
「それなんだが・・・」
「俺でよければ引き受けるが?」
と、そこに現れたのは、同じ1軍の柳だった。
「な・・・」
「なんでお前がここにいる。と、君達は思った」
「そりゃそうだろう? なんでお前がここに。今回の敵は、俺の時と同じ様な奴で、既に幸村を侵して、殺そうとしている。
「しかも、相手はおそらく感染型。下手をすると、あなたまで巻き込む事になるわ」
「君は?」
「私は、以前のメガネ事件の犯人ってとこかしら。もっとも、そうする力は今はないけど」
「なるほど。我々と敵対する者ではないという事だな」
「そうね。ま、あっちの黒猫は、どうか知らないけど」
「こちらは?」
「忍足さんの時の事件を起こした、犯人のペットよ」
「ペットじゃない!」
「あら?十分ペットの方でもふさわしいと思うけど?」
「違う!僕はあの子の教育者だ。彼女をりっぱな魔法使いにするのが、僕の役目だ!」
「それにしては、今回の悪事は規模が大きい様だが?」
「それは、僕が彼女に教えたわけでも、僕がやったわけでもない」
「と言うと?」
「そこまでにしろ、柳。今は、幸村救出が先決だろ」
「すまぬな跡部。それで、俺は何をすればいい?」
「まずは・・・」
と言っていると、ブン太が扉から出てきた。
「フウ〜あの中飛ぶのって、かなり疲れるぜい。あれ?ゲゲっや柳!なんでお前が?」
「俺は自分の役に立つ事を聞きに来た」
「そっか。じゃあ、まずは、この毒草の事を調べてくれ。その後は、こいつの毒を消す、薬を作るんだ」
「魔法薬ではないのか?」
「材料が少なくてな。今回はかなりやばい事になりそうだ」
「フム。幸村は体が弱い。そこをつかれたのか」
「ああ。恐らくな。毒草の種類が解れば・・・」
「それは俺が調べる」
と、後ろから、白石を連れた巫女が現れた。
「連れて来たわよ。まったく、気付いてくれないから苦労したわ」
「幸村君に何かあったんか?」
「白石! お前、毒草の本持ってたよな。それから、これらの葉の事を調べてほしいんだ。幸村は、体内が、毒で汚染された状態だ。下手すると、本当に死んじまう!それだけは避けたいんだ」
「解った俺はここで、葉っぱの成分を調べる」
そこへ柳が続き、どこから出したのか、いろんな種類のビーカーを出してきた。
「俺は、その毒草に弱い成分を探し、それに応じた薬を調合する。以前の時と、行き方は一緒か?」
「あ、ああ。こいつを渡しておく」
「あの時に使った鍵か」
「そうだ。それなら、すぐに探せるはずだ。今回は、合わせているのが多くてな。魔法では、対処ができないんだ。
「魔力を使う逆のところをつかれたというわけか」
「ああ。してやられたぜ」
ブン太が悔しそうに言うと、リョーマが、
「だったら、俺も材料集めに行った方が良いっスか?俺の炎だと、幸村さんの中まで焦がしちゃいそうだし」
「そうだな。助かる。今回は、前の時とまったく違うからな〜」
「よし、とにかく開始だ。白石、頼む」
「任せとき!」
と、白石は、百科事典を一通り見て、必死になって毒草を調べ、
柳は成分が解ったところで鍵を使い、その目的の場所を指定して、鍵穴に鍵を差し込み、薬の元となる、原材料を手に入れていった。
そして、それを白石と共に、すりつぶしたり、汁を出したりと必死に頑張り、跡部達も、幸村の中へ入った。

体内はまさに森と言ってふさわしい酷い状態になっており、全ての体内器官が侵されて、もはや一刻の猶予もない状態だった。

しかも、部屋の中までその毒がおよび、魔力で封鎖してはいるが、白石と柳には、それぞれ防護服を着用させ、作業に当たる。
「まっとれよ幸村君。今助けたるさかいな!」
「安心しろ幸村!我々はお前を黄泉の国に行かせたりはしない」

回復要員にブン太が周り、なんとか少しでも楽になればと、必死に魔力を送り込む。
「なんとか、脳まで到達させねえようにしねえと、こいつ、本当に死んじまう。頼むぞ、跡部」

一方治療要員の跡部、鳳、侑士、弦一郎、慈郎は、体内で戦っていた。

やはり予想通り、寄生体となった体内は、跡部達を攻撃してくる。

しかし、下手に手を出すと、今度は幸村を傷つけてしまいかねないという状態だった。
「クソ〜きりがねえ。なんとか、大元を見つけねえとな!」
と、彼は跡部キングダムを使い、原因の大元を調べると、心臓部にあった。
「クソ〜!よりにもよってあんなとこに!」
「どこなの?跡部」
「心臓の中だ。そこで全身に回るのが早すぎるんだよ」
「なんと卑劣な事を」
「風よ。我に力を与えよ。弱りゆきし者に、安らぎの力を与えたまえ」
鳳の呪文で、心臓部に魔力が送られ、幸村の過呼吸が少しずつではあるが、おさまっていった。
「ハア、ハア、ハア」
「幸村?」
ブン太が心配げに幸村をみると、呼吸がさっきより、穏やかなになっていき、そのまま眠ってしまった。
「今のうちだ!再発する前に急げ!」
「わかってる。もうちょいッスよ」
「後は、柳君の茎が手に入れば、薬は完成する」

そして、今か今かと待ち望んでいた柳が帰って来た。
だが、彼はびしょぬれだった。
「柳さん。どうしたんスかずぶ濡れッスよ?」
「済まない。例の茎を取ろうとした所に急に雨が降り出してな急いで戻って来た。
「よし、とにかくこれで、材料はそろた。後はこれをすりつぶして、幸村君に注射すれば、なんとかなる」
「それなら、中からやった方が早いぜい。跡部、聞こえるか?」
「ああ。よく聞こえてる。だが、お前らと話している時間は、あんまりないがな」
「何かあったのか?」
「こっちはこっちで、体内で攻撃されてんだよ!」
「なんでそんな事に?」
「わからねえ。恐らく寄生した奴が、俺らを追い払うか、寄生しようとしてんじゃねえのか?」
「そっか。とにかく、なんとかして押えてくれい。こっちは薬が完成した」
「できたか」
「ああ。でも、こいつは体内の・・・寄生している本体に打ち込まなきゃ、意味がねえ」
「ア、アグ・・・ウウウ」
「幸村!」
ブン太が慌てて回復魔法をかけるが、幸村は真っ赤な鮮血を吐いた。
「ゴホ!ゴホ!・・・ン・・・・ゲホ!・・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・アアア」
「ヤバイ!こいつの体力も、限界だ。おい鳳、聞こえてるな」
「解りました。リース。お願いします」
「はい!」
リースが開けた穴から、リョーマが薬を差出し、それを跡部が受け取ると、侑士が、水の道を作りだした。
「これは・・・」
「大元につないだ。その水の中行けば、他の攻撃は寄せ付けへん。後は大元に、それぶっさすだけやろ」
「ああ。恩にきるぜ!」
と、跡部が水の道に飛び込み、大元を目指した。
跡部キングダムでも確認したが、間違いなく、そこにつながっていた。後はこいつをその大元に打ち込めば、全てに薬が届き、全部消えるはずだ。

そして、ついに目標が見えた。
「くらえ〜!!」
彼はその注射器を心臓に突き刺し、中のパラサイトその物に刺した。

すると、パラサイトは腐り、それが全ての機能を停止させた。
「よし、後はこれで、治ればいいが」
彼が心配していると、結果は大成功を収めた。

幸村を襲っていた痛みは消え、リョーマは外に生えていた、幸村から出ていた、植物の除去作業をしていた。

だが、部屋が広いだけに、その作業は困難だった。
「フ〜。流石にこれだけの数消そうと思ったら大変っすよ。丸井さんこの木も・・・ってあっちはあっちでいそがしいか」
と、そんな彼を察したのか、内部から、弦一郎が出てきた。
「真田さん・・・なるほど。それなら、クオーへの感染も防げますね」
「この方法の方が早かったのでな、使わせてもらった。それより今は」
「除去作業。ッスね」
そして、二人は黙々と除去を続け、ついに最後の一つになると、2人一斉に技をぶつけた。
すると、その植物は燃え上がり、黒い灰になって崩れると、空気が少しだけ和らいだ。
「フウ・・・」
「終わったようだな・・・」
2人がそう言うと、後ろで何かが倒れる音がすると、
「丸井君」
と、白石がブン太を抱きかかえた。
眼の下にクマが出来ており、かなり衰弱している。
「技を使い過ぎたな。しばらく、休ませておけば、すぐに動けるようになる」
「そうか。それにしても、そろそろこれ、取ってええか?」
「いや、それはまずいだろう。鳳、聞こえているな」
「はい。すぐに向かいます。こちらの洗浄は終わりましたから」
そして、全員が出てくると、鳳は風に命じ、汚染された風を全て、きれいな空気に戻した。

一方幸村の方は、ブン太の回復と、事前に用意しておいた薬を飲ませて、彼をしばらく眠らせておく事にした。

そして、皆が部屋に帰って眠る頃、幸村はようやく目を覚ますが、後遺症が残ったのか、体を動かすと、まだ少し痛む。

だが、彼を襲っていた、心臓部の痛みはもうない。
「そっか。俺、皆に・・・お礼言わなくちゃ、いけないな。フワ〜。なんだか、まだ少し眠い・・・」
彼はベッドに横になると、そのまま眠りについた。

そして、東の空から太陽が顔を出そうとしていた。

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