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テニプリファンタジー小説コミュの(第47章)(後編)(テニプリファンタジー)「スピードVSスピードスター」

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そして、日が沈み、周りが暗闇になる頃、侑士は今回起こった事を説明した。
「精霊の力を持つ物を狙う物か。となると、我々も、うっかりできんな。クオーを悪に染まらせるわけにはいかん」
「俺も嫌だよ。また、あんな思い、したくないもん」
「私は、どうなのかな・・・」
「大丈夫だよ。ラティエルは」
「どうして?だって、今度の敵は、精霊を狙って来る可能性があるって」
「その時は、俺が守ってあげる。それに、君は、もう、立派な人間なんだ。大丈夫だよ」
「菊丸・・・私、なんだか菊丸に甘えてばかり。そんなのダメ。私は、私が守れるようにならなきゃ。いつまでも、菊丸の足、引っ張りたくない」
「ラティエル」
「フン。てめえも、少しは言うようになってきたじゃねえか。それを、実行できるかどうかだな」
「で、できるよ! も、もう、前の私じゃない! 大地の精霊を貰ったんだもん!」
「だから余計に危ねえんだよ。実際、俺もやられたしな」
「でもでも、どうして、精霊の力を欲しがるんだろう?」
「恐らく、11年前の事件が、まだからんでるんじゃねえのか?あの後も調べてみたんだが、相当でかい規模でやってたらしいからな」
「あ〜ん?あの話し、ログアーのジジイが殺されて、幕を下ろしたんじゃねえのかよ」
「興味本位で調べてみたら、まだなにやらごろごろありそうな感じだったぜ」
「でも、身を守れって、どうやってやるの?今までもバリアも通じない相手に」
「その件なんやけど、俺を水の精霊の処に案内した半魚人が、俺にこれをくれたわ」
と、侑士が手を開くと、その中には、さまざまな色の指輪があった。
もちろん形状から見て、テニスに差し支えはないだろう。
「なんだ?俺達の持ってる奴と大して変わりねえじゃ・・・」
っと、跡部が言おうとしたその時、指輪が光り、今まで持っていた指輪と融合して、新たな形状へと変化する。
跡部は剣。
鳳は扇子。
侑士はティアドロップ。
慈郎は羽の付いた輪っか。
ブン太はクロス。
リョーマは炎。
弦一郎は龍。
菊丸は雷。
ラティエルは山。
となった。
「形が変わった。リース、聞こえますか?」
「大丈夫です。機能的には問題ありません」
「よかった」
「すっげー!俺のって、まるで・・・死人みたいだC〜」
「ズコー!!」
と、慈郎を除いた全員がコケタ。
「芥川。お前は天の精霊だぜ、それは、天使の輪って意味なの。つか、死人なんて縁起でもねえ事言うなよ」
「まったくたるんどる!」
「そう言う真田さんも、ドラゴンが火吹いてるみたいじゃん」
「俺のクオーには、ふさわしい形だ。そう言う貴様こそ、そのままではないか」
「菊丸先輩もそのままッスよね?」
「話しをいきなりそらすな!」
「まあまあいいじゃんか真田。こうして、皆も新しい力が使えるようになるって事だし」
「あ、そう言えば、柳さんが、クオーの身体測定したいって言ってたけど、したの?」
「前より、成長していた」
「おなかが?」
と菊丸が言うと、いきなり何かに、頭から食われた。
「わ!」
「ク〜!」
「言い忘れていたが、クオーはメスだ」
「わ〜アチ〜!!わ、わかった!悪かったよクオーちゃ〜ん!!」
彼が必死に謝ると、弦一郎は、なにやら満足げな顔で、
「クオー。放してやれ」
と言うと、クオーは口を開いて、菊丸はやっと自由になったが、よっぽど怖かったのか、跡部の後ろに咄嗟に隠れる。
「おい!なんで俺なんだ?」
「い、いや〜あとべーん所なら、来ないかな〜って」
「心配するな。クオーは変な物は食わん」
「ムカ!変な者ってなんだよ!」
「人間は食ったりせん。さっきのは、お前がクオーに失礼な事を言ったからだ!」
と、弦一郎が言うと、これには侑士だけでなく、他の全員も頷く。
「菊丸って、ホントに乙女心が分かってないんだもん」
「う・・・・ごめんなさい」
彼が謝ると、クオーはまた弦一郎の中へ戻って行った。

そして、そんなやり取りをしている頃、事件は起ころうとしていた。

皆が寝静まった後、スピードはルシアヌに黙って、この場所に来た。
「ヘヘヘ。やっぱりあのスピードスター。いじめがいがあるぜ〜」
飢えた獲物の様な目をした彼は、謙也をどうして誘い出すか考えていた。

しかし、この事は承知だった。
「やはり行くか。まあ、いいでしょう。こちらとしても、テストになるからな。もうログアーの様な失敗はしない。私は私の力で、私の正しさを証明してみせるまでだ。さあ、スピードよ。まずはどうやって、彼を誘い出す?」
彼はモニター越しに、楽しんでいた。

一方その頃スピードは、謙也をおびき出す道具として、彼の夢に入りこんだ。

精霊の力は、完璧でないとしても、人の夢に入りこむことができる。

ましてや精霊の居ない謙也ならば、朝飯前だ。

そして、やはり思ったとおり、夢の中でも走ってトレーニングに打ち込んでいる彼に、スピードは、目の前を追いぬいて見せた。
「な、誰やねん。お前」
「俺か。俺はスピード。この世に敵なしのスピードを持つ。あんたもスピードに自信があるようだが、上には上がいるという事を教えてやろう。表へ出な」
と、スピードはそれだけ行って出て行き、謙也はコッソリ部屋から抜け出すと、コートへ向かった。
「確か、このコートのはずやけど・・・」
「遅せえな〜遅せえよ。もっとちゃっちゃと行動しねえとな」
「なんや偉そうに!」
「俺なんてよう。ここにつくまで見張りぜ〜んぶぶっ飛ばして、モニターまでぶっ壊して来たんだぜ」
「自慢かいなそれ。で、俺と勝負するんやろ!?早よう入らんか!」
と、謙也がご機嫌斜めでおり、2人のゲームが始まろうとしていた。
「オマエのサーブで来いよ。かったるいから1球勝負だ。もちろん。勝つのは俺だ」
「始まる前から勝利宣言かいな。泣きみせたる」
と、謙也がサーブを打つと、いきなりスピードが消え、凄まじいスピードで、あっという間にポイントを取られた。

流石の謙也も、スピードの動きすら、見えなかった。
「な・・・」
「ハハハ。どうよ。これが本当のスピードって奴だ」
「次は決めるで」
と、謙也はボールの動きをジーっと見て、返ってくる方を見定めようとした。
「捕らえた!ここや!」
謙也はなんとか打ち返すが、それはスピードの罠だった。

そして、何時間続いただろうか、足はもう動かすのでさえやっとの状態に追い込まれている謙也だが、浪速のスピードスターの名にかけて、負けられない。
「ま・・・まだ行ける・・・ハア、ハア、ハア」
「ヘヘヘ。どうした?浪速のスピードスターさんよ。もう諦めなよ。お前のスピードじゃ、一生かかっても、俺を追いこすなんてできやしねえよ」
「や、やかましい・・・わ」
謙也はいきなり倒れ、動かなくなった。
生気を吸い取られたあげく、スピードの出すパワーは半端なく、そのパワーを何度も浴びせられ、足は見るも無残な状態になり、
体はもうボロボロだ。
「フン。こんな奴がいるとわな。んじゃ、生気は頂いて行くぜ。こういうのを、複合させる事で、いいのができるんだからよ」
と、真っ青になった彼を置き去りにして、行ってしまった。

翌朝、謙也を発見した、1軍の選手が、彼を医務室まで運んだ。

その結果、かなり悪く、足も包帯だらけで、顔色も悪く、かなり衰弱していた。
「謙也!」
侑士が駆けつけるが、彼は酸素マスクを付けられ、麻酔剤を投与されて、眠らされていた。
「謙也・・・一体、何があったんや」
「忍足」
「跡部・・・」
「こりゃ、やっこっさんの夢に入ってみるしかなさそうだな」
「せやな。とにかく、いつもの方法で入ってみて、調べてみよか」
「の方がいいかもな。このままじゃ、またリタイアしちまう」
「う、うう・・・す、スピー・・・ド・・・」
「浪速のスピードスターの事か?」
侑士の言葉に、跡部は疑問を持ち、彼に触れて、インサイトして見た。

すると、思った通り、何かと戦った痕が有った。
「忍足、行くぞ」
「ああ。先生。謙也を頼みます」
「わかってるよ。君たちは練習に戻りなさい」
医師にそう言われ、2人は医務室を後にした。

謙也の事を気にしながらも、皆が練習に気合を入れていると、彼の心の声が聞こえた様な気がした。
「謙也・・・」

その日の夜。皆はいつもの方法で、謙也の夢を捜した。
「リース。居場所を教えてください」
「はい」
広い夢の中ではあるが、限られた空間なので、それほど難しくはなかった。

彼女が刺した光りの方向には、石造りの扉があった。
「あそこか!行くぞ!」
跡部を先頭に、扉を押し開けると、内部は大半が破壊され、ボロボロになっていた。
「謙也の夢まで、こんなに・・・」
「一体誰が、謙也さんに酷い事を」
「でも、夢の半分が潰れちゃってるから、見つけるの、大変だよ〜」
「マティーヌさん。居場所、解りますか?」
「少し、待って下さい」
彼女がそう言うと、足元に魔法陣が形成され、夢全体に、光りが届く。
「! 下の方に、謙也さんがいます。どうやら、そこでまた」
「下やな。行くで!」
「あ、待って下さい! ここをボロボロにした奴も一緒にいます」
「敵までおるんかいな」
「なら、なおさら早く行かなくちゃ!」
と、菊丸を先頭に、皆が、底へと下りてみた。

すると、そこには倒れている謙也がおり、すぐ近くにスピードもいた。
「ん?」
スピードは接近に気付くと、そのスピードで、一瞬にして、跡部達の前に現れた。
「おっせえ到着だな〜てめえら」
「お前か!謙也をボロボロにしよったんわ!」
「謙也? ああ、あいつ、浪速のスピードスターとかいう割には、全然大した事なかったぜ」
「それで謙也さんを、あんなになるまで痛めつけて。どうしてこんな事を?」
「どうして? あいつがしつこいからだよ。俺にはかなわねえからやめとけっつたのに、全然聞きやがらねえし」
「謙也。妙なところにプライドあるからな〜」
と侑士は呆れるが、今はそれどころではない。
なんとかして、彼を自由にする為、ブン太が謙也の元に歩み寄り、状況を知らせた。
「こいつ、かなり弱って・・・死にかけてる・・・待ってろい。今、治してやるからな」
と、ブン太は術をかけ、怪我を治していく。あのペンダントでのパワーアップが、こんな所で生かされるとは、思わなかった。
「まさか、いちばん最初に使うのが、お前になるとはな」
彼の技が聞いたのか、夢の中の謙也は少しずつ元気になっていく。
足も元に戻り、ついに目を開けた。
「あれ?・・・お前・・・・」
「よう。大丈夫か?」
「あ、ああ。そう言うたら、俺、どないしたんやっけ」
「1軍コートで倒れてたのを、チームメイトが運んでくれたんや。一体何があったんや?」
「・・・・・・・」
「隠し事して場合じゃねえだろ?今現実世界じゃ、大騒ぎだぜ?」
「す、スピードに・・・」
「スピード?」
「俺より、めっちゃ早い奴がおって、俺、そいつと試合する事になってしもたんや」
「それで試合に負けた挙句、体までボロボロにされたっちゅうわけか」
「・・・・・・・」
「それが、あいつってわけだな」
「でも、もうだいじょう・・・ぶ・・・」
「ああ、急に動きなや。そんな体で、動けるわけないやろ」
「せやけど、あいつを、追い出さんと、俺は・・・」
「音だ」
「音?」
「いくら消そうとしても、空中を飛ばねえ限り、走る音が聞こえるはずだ」
「音・・・走る時の音・・・」
「ここはお前の世界だ。いくら侵入されたとしても、完全には乗っ取れねえはずだ」
「せやけど・・・」
自信なさげな謙也に、侑士が肩をポンと叩く。
「自信持って行け! ここはお前の世界。ただ、変えられただけや。せやから、お前がつよー望めば、その通りになるはずや。いざとなったら、俺等もおる。
「侑士・・・」
彼に励まされ、謙也は、もう一度、スピードと勝負する事になった。
「へへへ。ようやくその気になりやがったか」
「・・・もう、これ以上、皆に心配かけとうない」
「仲間思いだね〜。ん〜じゃ、今度は俺の方から行くぜ。オラ!」
謙也は跡部に言われた通り、音を頼った。

すると、近づくたびに音が大きくなる。
「ここや!」
彼はついにボールを見切り、打ち返す事に成功した。

だが、ここからが、本番だ。

なんとか1球はしのいだが、奴がどう返してくるかが問題だ。

そして、案の定、彼はスピードで勝負してきた。

彼は音を頼りに、走る方向を見切り、ついに2球目を打ち返した。
「何!?」
「すっげー!」
「どうやら、コツをつかんだみたいだな」
「けど、あいつがどう対応してくるかによって変わるで」
「でも、あの人の取り得がスピードだけとはかぎりませんし」
「今見た所から言うと、スピードを武器にしているのは確かだね」
「え?なんでわかるの?菊丸?」
「俺もスピード対決した事あるから、大体はわかるんだ」
「ていうか、スピードバカって呼ばれてるん、なんとなくわかる気がする。バランス感覚悪くて苦労してたし」
「だが、それも裏コートで克服されているはずだ。そこを付けば、勝機はあるのだが・・・」

そして、スピードを自慢していたスピードに、ある問題が起きた。それは、急な方向転換に対応できない事。

それが、ついに出始めた。

打球に強烈なスピンをかけ、軌道を思いっきり変えた。
「な! くそ!」
「そうか・・・これなら」
謙也もそれに気付き、向こうも同じ事をしてくるが、バランス感覚を強化された謙也にとっては、何も怖くない。

そして、ついに決着はついた。

スピードをついに負かしたのだ。
「ゲームセットや」
「・・・俺が、負けた?なぜ・・・俺はルシアヌの旦那に・・・」
「ルシアヌ?」
謙也は聞いた事がないという顔をするが、跡部達は、やはりという顔をした。
「やっぱやつの仕業か」
「あの人も凝りませんね〜」
と、鳳も呆れ顔で言い、菊丸と、ラティエルも頷いた。
「で、ルシアヌとは、どういう関係だ?」
と、跡部が話を切り出すと、スピードは、その時の事を話した。
「俺は、いや、俺達はルシアヌ様に、生み出されたサイボーグだ。そして、俺はスピードを極めたサイボーグだ」
「なるほど。急な反転に対応できなかったのは、ここに来る以前の情報しかなかったからか」
「スピードを極めたつもりでも、意外な落とし穴があったって事やな。せやけど、また暴れられても困るし、とりあえず・・・
侑士は杖をとりだすと、それを長く伸ばして、杖の中に、スピードが吸収された。
そして、カードの形になると、そこには、ダッシュと書かれていた。
「カードに・・・」
「これであいつも、二度と悪さできひんやろ。ほな、俺等は退散しよか。跡部」
「そうだな。俺達もこれ以上、ここにとどまっているわけにはいかねえからな」
そうこうしているうちに、謙也の夢の景色が変わっていく。
大平原にテニスコートが1面だけ。
そして、早さを鍛える為のマシーンがあちらこちらに有った。

「これが、ほんまのお前の夢か」
「いい夢じゃねえか」
「スピードの謙也さんには、丁度いいですね」
「ねえねえ。もう一度さ。俺とスピードマスター対決しない?」
「ほ〜おもろそうやな。ほな、シングルスでやろか」
「そだね。いい加減俺も、ダブルス卒業しなきゃいけないし」
「いや、その必要なねえだろう?」
「え?」
「お前言ってたじゃねえか。ダブルスの時の方が楽しいって」
「でも、もう大石とも会えなくなるわけだから、どの道、ダブルスはできなくなるよ。大石、外部受験するって言ってたし、今は1軍だし」
「外部受験? そう言えば、大石さん。1軍に行くまで、遅くまで勉強してましたね。俺、ちょっと起きた時に訳を聞いた事あるんです。推薦にしては、熱心だなって思って。そしたら・・・
鳳は、その時の事を詳しく話してくれた。
「大石さん、ずいぶん熱心に勉強してますけど、推薦試験なんじゃ・・・」
「ああ、起こしてごめんよ。俺、外部受験しようと思ってるんだ」
「ええ? 青学にだって、高等部あるのに、どうしてまた急に?」
「迷ってたんだけど、決めたんだ。医者になろうって」
「医者に?」
「ああ。手塚の肩や、俺自身怪我をして、思う様にプレイできない事が、どれだけ辛いか解った。俺、そういう人達の力になりたい!」
「大石さん・・・この事、菊丸さんには?」
「話したよ。俺にはムリだって言ってたけど」
「そうですか」
「・・・なるほど。そういう事情があったのか。確かに、パートナーを急に変えるのは無理だな」
「でしょ?だから、シングルスでもやっていけるようにって、今練習してるんだけどね。分身して、1人ダブルスしたり」
「あの試合の時の奴か」
「あ、見てたんだ」
「一応、偵察ついでにな」
「あ、あの〜そろそろ戻らないと、朝になっちゃうよ」
ラティエルの言葉に、皆が頷いた。
「分かった。長居し過ぎてすまなかったな」
「あ、いや、こっちも迷惑かけてもたし」
「ほな、帰るとしようか。もう、お前も目え覚ます頃やし」
「せやな。ほなら侑士、1軍で待っとるで」
「行くかどうかは別やけどな」
と、侑士は言い、皆は謙也の夢から、外に出た。

そして翌日、謙也の足は奇麗に治り、顔色もすっかり元に戻っていたので、その日から練習に参加していた。

これを見ていたルシアヌは、次の段階にとりかかろうとしていた。

「やはり、バランス感覚が問題だったか。これはまた面白いデータが得られたな。奴らの進化も面白い物だ」

と、カプセルに居る、残りのメンバーを見ており、事件は解決されたかのように見えた。

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