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テニプリファンタジー小説コミュの(第38.5章){前篇)(テニプリファンジー)「菊丸の記憶」

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テニプリファンタジー

「菊丸の記憶」

これは、菊丸英二が体験した、雷の精霊となるまでの記録である。

自分は、なぜか水を入れられた、筒状の容器の中にいた。
「え?な、なにこれ?」
彼が辺りを見回すと、そこには同じような筒状の物があり、中には、水、火、風、雷など、様々な物があった。
「これって・・・なに?」
考えていると、扉から金髪の白衣を着た女性が入って来た。

しかも、明らかに耳の形からして、人間ではなかった。

そして、女性は何かを伝えるかのっように口を動かすが、彼には聞こえない。
「え? 何?何を言ってるの?」
彼は、わけがわからなかったが、それもそのはず。
自分はなぜかこの様な場所にいて、女性に話しかけられているのだから。

その時、彼の頭をまたもやスパークが襲った。
「う、うあ・・・あああ・・・・うぐ・・・う・・・・うう・・・うあ・・・」
彼は頭を押さえるが、それでもそれは、まるで意思を持ったかの様に、暴れまわる。
「や、やめて・・・暴れないで・・・・や・・・やめろー!!!」
彼は悲痛な叫びと共に、現実世界に帰って来たが、まだスパークは止まらない。
「う! い、痛い・・・あ・・・あああ・・・あ・・・た・・・たす・・・け・・・て」
「脳波に乱れが!」
「鎮痛剤を!」
「はい」
医師はすぐに鎮痛剤を打ったがそのかいもむなしく、彼を意識を失い、ベッドに倒れ込んだ。
「一体、彼に何が起こっているんだ」
医師が不思議そうな顔をしているのをよそに、菊丸のスパークは止まらず、頭を押さえて苦しんでいた。
そして、彼の意識はまた、先ほどの場所へと飛ばされた。
「う・・・こ、ここは・・・う・・・・」
痛みに耐えながら、前を見ると、まだ 先ほどの女性がいる。
「う・・・だ、誰なんだ・・・・この人・・・う、うう・・・」
「頭が痛むのね。ちょっと待ってて」
と、彼女が何かを操作すると、彼の頭のスパークが消えた。
「あ、あれ?痛みが・・・そうだ。今度こそ、彼女の名前とか聞かなくちゃ」
彼は意識を集中させ、彼女に自分の意思を告げようとした。

だが、それとは逆に彼女の言葉が伝わって来た。
「あなたは、精霊になりたい?」
「え?」
「あなたは、私達がしている事に、賛成?それとも反対なのかしら」
「そんな事、俺に聞かれても・・・ってこっちの言葉、まだあっちに飛ばせないんだった」
「あなたは、私達が創ろうとしている人工精霊。でも、精霊は実在するわ。でも、実在の物と、人工の物は全く違う、あなたはそれでもいいの?」
「いや、だから、そんな事言われても、俺わかんないよ。なんとか、こっちの意思をあっちへ飛ばさなきゃ」
彼は必死に念じ、こちらの言葉があちらへ届くようにしようとした。
「俺、精霊ってどんなのか分からないんだ。確かに、精霊の力を持ってる仲間ならいるけど、そもそもなんでそれを人工的にしなきゃいけないの?」
すると、こちらの言葉が向こうに届いたのか、女性は驚いた様な顔になった。
「!あなた、こちらの言葉が聞こえるの?」
「やっとつながった〜うん。聞こえてるよ。それで、精霊の事なんだけど、なんで人工的に付けなきゃいけないの?」
「この組織では、人工的に精霊を作る研究が進められているの。あなた、雷の精霊を持っているのね」
「あ、うん。持っているっていうか、付けられたみたいな感じだけどね」
「そう。なら、その不安定な力では、あなたも大変でしょ?」
「う、うん。前に友達に酷い事しちゃったから、なんとかしたいんだ」
「そう。あ、ちょっと待ってて」
彼女はそう言うと、筒状の物から、雷の力を取り出すと、それを、菊丸の入っている筒にセットした。
「少し苦しいかも知れないけど、我慢してね。いくわよ」
と、女性がその筒を操作した。
すると、雷の力が彼本人に一気に流れ込み、それが脳だけでなく、心臓にまで達した。
「ドックン! ドックン! ドックン!」
「う!うああああああ・・・・あ、ああああ・・・・あううう・・・ぎゃあああああ!!」
「落ちついて!願いなさい。鎮まれと。あなたは不完全だけど、願えば静まるはすよ」
「う、うう・・・うああああ・・・・」

そして、この現象は、現実世界にまで影響を及ぼし、菊丸は胸を掴んで暴れ、数人の看護婦が抑える。
「落ちつくんだ! 一体、彼に何が」
「心拍数が急激に上昇しています」
「鎮静剤を!」
「はい!」
医師は素早く鎮静剤を打つが、菊丸の中で暴れているスパークが外部にも漏れ出し、皆が飛びのいた。
「な、なんだ。この異様な現象は!?」
「あうううう・・・・し、鎮まれ・・・し・・・ずま・・・れ・・・・お、ね・・・がい・・・・しず・・・・まれ」
「鎮まれ?まさかこの少年は、自分の力を鎮めようとしているのか?」
医師がそう考えていると、やがてスパークが治まり、菊丸本人も意識を失った。

そして、朝日が昇る頃、彼はようやく目を開けた。
「あ・・・俺」
「大丈夫か? もう心配はない。鎮まったよ」
「そうか・・・俺・・・必死になってて・・・」
「脳波、心拍数も安定しました」
「夢が、現実に起こるなんて・・・でも、あの痛みは・・・」
「それは現実の痛みだ」
「え?」
菊丸がそちらを見ると、跡部がそこにいた。
「跡部・・・」
「どうやら、生きてるみてえだな」
「う、うん。なんとか、ね」
「こいつを呑んでおけ」
と、跡部が取りだしたそれは、オレンジ色のカプセルだった。
「これは・・・」
「安心しろ。丸井が作った薬だ。発作が起きたら、それで鎮めろ」
「ありがとう」
菊丸はそう言って薬を呑むと、先ほどの苦しみがうそのように和らぎ、同時に強烈な眠気が襲って来た。
「あ・・・あれ・・・ねむ・・・い」
彼はベッドに倒れ込み、そのまま瞼が閉じるのを必死に抑えようとするが、眠気はいっこうに引かない。
「い・・・いやだ・・・俺・・・もう」
「そのまま寝ちまえよ」
「で・・・でも・・・」
「丸井の薬には、悪夢を消す力がある。そいつなら、悪夢を消してくれるはずだ」
「あと・・・べ・・・・あ・・・」
そこまでだった。

彼の瞼は閉じ、同時に夢の世界へと連れて行く。

だが、先程の夢とは違う世界へ連れて行った。

そこは、自分が大好きな、アニメやファンタジーの動物達が、自分に何かあったのではないかと心配しながら、集まって来て、色々な
食べ物をくれたり、自分を乗せて空を飛んでくれたりと、楽しい夢を見せてくれた。

そんな彼の顔を見ながら、安心した跡部は乱れた布団を直してやり、医務室から立ち去った。

それからどのくらい眠っていたのだろうか、目が覚めると、鳳、跡部、慈郎、ブン太、レイラ、弦一郎、リョーマ、侑士が来ていた。
「あれ?皆」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
彼は起きて外を見ようとするが、カーテンが閉まっていたおり、辺りが暗くなっている事だけはわかった。
そして、腕に何かはめられている様な感触がして、見てみると、そこには、銀に、雷の宝石が付いた、腕輪があった。
「何これ?」
彼の質問に、跡部が答えた。
「そいつをはめていろ。リストバンドで隠せばいい。今のお前には、これが最良の処置だ」
「そっか。俺・・・あの後、丸井の薬呑んで寝ちゃったんだった。あの夢も見なかったし」
「あの夢?」
彼は皆に、その夢の内容を話した。
「・・・なるほど。人工的に作られた物だ。暴れまわっても仕方ねえ。とにかく、お前は出来るだけ無理をするな。そのリースの腕輪も、抑える役割を果たしてくれるかもしれねえが、お前は俺達と違い、無理やり力を植えつけられた状態だからな。何が起こるかわからねえ」
「うん・・・・」
皆が静まりかえると、医師が思い出した様に言った。
「ああそうだ。とにかく、無理だけはしないように。今日は、部屋に帰っていいぞ。もう、あんな現象は起こらないだろうから」
「はい。ご迷惑おかけしました」
「丁度風呂の時間だ。風呂に入って、すっきりしようぜ」
「うん」

跡部達に付き添われ、菊丸は、お風呂で体を洗った後、湯船に入った。
あったかいお湯が、自分の体を癒やしてくれる。
「ハア〜」
「英二」
「あ、大石」
「大丈夫なのか?」
「うん。先生が、もう大丈夫だって。それより、この前はごめんね。怪我してない? 俺、よく覚えてないんだけど」
「気にしなくていい。あれは、お前が望んでやったんじゃない事くらい分かるよ。それに、むしろ謝らなきゃならないのは、俺の方だ」
「え?」
「あの仁王のイリュージョン。本当は、俺が先に戦ったんだ」
「どういう事?」
あの時、
大石は、その時の事を詳しく話してくれた。
自分が、戦った本当の理由を。
それを聞いて、菊丸はハッとした。
あの仁王の嘘は、自分を傷つけない為に付いたのではと思ったのだ。
そして、大石自身もまた、傷ついていたという事を。
「それで、お前は大丈夫なのか?」
「え?何が?」
「何がって、医務室に運ばれて、今の今までいたんだ。誰だって、心配くらいするさ」
「あ、うん。俺のは、跡部達と違って、人工的に付けられた力だったから・・・だから、あんな事起こしちゃって・・・あ、でも、丸井のおかげで、なんとかなったよ。一応抑える薬も貰ったし。だから、もう大丈夫だよん」
菊丸は明るい笑顔を見せるが、その裏にはやはり、つらそうな顔が潜んでいるのに、気づかない大石ではなかった。
何しろ2人は、中1の頃から、ダブルスを組んでおり、シンクロを体得したので、相手の気持ちがよくわかる。
「俺も、何か力になれれば良いんだけどな」
「大石は、今のままでいいよ。こんな風に話せるの、大石くらいだし」
「英二・・・」
と、2人がしゃべっていると、何かがあぶくをあげて近づいて来た。
そして、激しい水音と共に、乾貞治が現れた。
「い、乾?」
「フフフ。雷の力。知りたい」
「え?」
「他の皆の力は大体見たが、新たな精霊の力を持った人間が、またここに現れた・・・なんとすばらしい・・・さあ、その力を見せてくれ〜」
「よ、よせ乾! 英二だって、付きたくてあんな力を付けたんじゃない。それにお前だって、鉱石生命体に・・・」
と、大石は止めようとしたが、遅かった。
「うわああああ!!」
驚いた菊丸は、凄まじい勢いでスパークを起こし、湯船にいた全員を感電させてしまった。
「!あ、俺・・・ま・・・た・・・う・・・だめだ・・・ほ、発作が・・・う」
「ドクン、ドクン」
彼は急いで着替えると、薬を呑んで、服を持って部屋に戻った。

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