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テニプリファンタジー小説コミュの(第38章)(前篇)(テニプリファンタジー)「人工精霊誕生」

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テニプリファンタジー

「人工精霊誕生」

そこは、不思議な場所だった。

菊丸英二は、なぜか液体で満たされた、何かの容器の様な物に入れられ、そこから見えたのは、風、火、水、氷、雷など、様々な物が

並んだビンの様な物だった。
「な、何?ここ。俺、どうしちゃったんだ? それに俺、なんでこんな場所にいるんだ?」

彼はここがどこか知ろうと、辺りを見回すと、そこは何かの実験室の様な場所で、窓がない暗い部屋だった。

そして、その部屋の中心に自分がいる。自分は一体何なのか分からないが、とにかく自分がいるのは確かだった。

しばらくすると、その部屋の扉が開き、金髪の長い髪をした、白衣の女の人が入って来た。

だが、明らかに耳の形からして、人間ではない。

その女性は、何かを菊丸に話しかけるように、口を動かすが、当の菊丸には聞こえない。
「何?何を言ってるの?」
彼がもっとその人の声をよく聞こうとしたその時、脳に電撃が走った。
「う!・・・な、なに?・・・うあ!・・・・あ・・・ああ・・・・」
激しい痛みと共に、視界が薄れていく。
「ま・・・ま・・・て・・・」
そこで彼は眼を覚ました。

が、それでも電流の痛みは止まらず、ずっと彼の頭の中がビリビリしている。
「う・・・うあ・・・あ・・・ああ・・・い・・・いた・・・い・・・ああ・・・」
頭を押さえても、何かが暴れるように駈けまわり、彼を苦しめる。
「や・・・やめて・・・・あ・・・はれ・・・ないで・・・うう・・・た・・・すけ・・・て」
その痛みは朝まで続き、医者の対応もむなしく、彼は意識を失った。

すると、また先程の場所に来るが、頭の痛みがまだ取れない。
「うぐ・・・だ、誰なんだ・・・この、人・・・!」
その女性が、何かを操作したのか、彼の痛みが徐々に和らいでいった。
「あ、痛みが、消えた。この人がやったの? でも、この人、なんで白衣着てるの?」
彼は今度こそとばかり、そこに意識を集中させる。

すると、今度は彼女の声が、頭の中に聞こえた。
「あなたは、精霊になりたい?」
「え?」
「あなたは、私達がしている事に、賛成?それとも、反対なのかしら?」
「そんな事、俺に聞かれても分からないよ。それに、ここはどこなの?」

だが、いくら彼が聞いた所で、とうの本人には、聞こえていないのか、話を続けた。
「あなたは、私達が作ろうとしている精霊。でも、精霊は実在するわ。でも、実在の精霊と私達が作ろうとしている人工の精霊とでは、
力も何もかも違うの。あなたは、それでもいい?」
「いや、そんな事言われても、俺、分からないよ。そもそも、なんで俺なの?ってむこうには話届いてないんだった。どうしよう?なんと

か、俺の意思をこの人に伝えなきゃ」
菊丸は必死に考え、自分の思いを頭で念じ、彼女に送ってみた。
「俺、精霊ってどんなのか分からないんだ。ねえ、教えてよ。精霊ってそもそもなんなの?どうして、それを作りださなきゃいけないの?


すると、こちら側の声が聞こえたのか、女性は驚いたような顔になった。
「あなた、既に精霊の力を持っているのね」
「持っているっていうか、持たされたんだ。チップで、雷の力を入れられて。でも俺、うまくコントロールできないんだ。教えて、この力、
どうやったら、うまく使えるの?」
「そうね。人工的な力だから、うまくしないと危険ね。待ってて」
と、女性は雷の入ったビンを持って来た。
「少し苦しいけど、我慢してね」
と、雷のパワーを注入する。

それは、彼の中で暴れ、脳を通りぬけて、心臓にまで達した。
「ドックン、ドックン」
心臓の内部を強烈な電気が駆け巡る。
「うわ!・・・・あ、ああああああ・・・・あう・・・・う、うううあああああ」
「落ちついて!雷に願うの!鎮まれって」
「し・・・ず・・・まれ・・・・うあ・・・・し、鎮まれ・・・・」
彼は何度も静まるように命じるが、痛みが勝って、なかなか思うようにいかない。
「う・・・ぐ・・・し・・・ず・・・・ま・・・れ・・・・」
彼は痛みと闘いながらも、必死に抑えようとした。

すると、あれほど暴れていた電気が、治まって来た。
「ハア、ハア、ハア・・・・」
彼は体力を消耗したかのようにベッドに倒れ込んだ。

しばらくして目を覚ますと、医師が心配げにこちらを見ていた。
「あ、俺」
「大丈夫のようだな」
「脳波、呼吸数、心拍数共に安定しています」
「俺、どうしたんだっけ?確かに夢で」
「それがお前に、影響を及ぼしたんだよ」
と、跡部がやって来た。
「跡部・・・」
「どうやら、治まったみたいだな」
「うん。ほんと、どうなるかと思ったよ」
菊丸の言葉に、跡部は何かの薬を取りだした。
「一応発作を止める薬だ。呑んでおけ」
「これって」
「丸井が作った薬だ」
「そっか、知性の精霊だったもんね」
と、菊丸はその薬を安心して呑んだ。

すると、体が癒やされ、痛みが消えていく。
と、同時に、強烈な眠気が襲って来た。
「あ、あれ・・・ね、眠・・・い・・・」
「そのまま寝ちまいな。かなり楽になるはずだぜ」
「・・・・あり・・・が・・・とう」
菊丸はそれだけ言うと、瞼を閉じ、跡部は乱れた布団を直してやった。

だが跡部はその場を立ち去らず、インサイトで、今の状況を見てみた。
「やはり、まだ完全じゃねえみてえだな」
彼はもう一度菊丸を見ると、苦しみから解放されて、すやすやと眠っている。
「これで一時しのぎにはなるな」
と、彼はそう言って、医務室を出た。

そして、練習が終わった後、跡部は鳳に頼んで、リースにある物を出せるか聞いてみた。
「人工精霊の力を抑える物ですか?」
「ああ。まだ完全に、あいつは目覚めちゃいない。ただの実験段階の体だ。だから、その力を抑える何かが欲しい所だが」
「リース、何かありませんか?」
彼女はしばらく黙り、ある物を出現させた。

それは、一見銀の腕輪に、黄色い宝石が着いた物に見えるが、中に雷の模様が入っていた。
「リース。これは?」
「雷の力を抑える物です。今の菊丸さんには、これしか方法はありません」
「そうか。とりあえず、まずは付けて様子見だな」
2人が医務室に行くと、既にレイラ、ブン太、慈郎、侑士が来ていた。
「なんだ。お前らもきていたのか」
「レイラさんに、芥川先輩まで」
「俺も、天の力を持ってるから、何かの役に立てないかな〜と思って」
「私も、天の力を持っているが、今回は人工的に付けられた力だ。どんな影響が出るかわからん。とにかくこの者から、それを取りだそう

にも、下手をすると、命に係わってしまう」
「命に?」
「ああ。もうチップは外れているが、後遺症が、体に残っちまって、それが全身にまで行っちまってる。今から外すのは無理だ」
ブン太が残念そうに言うと、鳳が先ほどの腕輪を菊丸の両腕にはめた。
「これは?」
「リースが出してくれた物です。これで、菊丸さんを苦しめていた、電気が止まるはずです」
「そんなの持ってたのか」
「人口精霊は、あってはならない物でもありませんが、それを実験動物のように扱われるかもしれないと思い、生成しておいたのです」
「リースちゃんすごいC〜」
と、慈郎が喜ぶと、菊丸が目を覚ました。
「ん? あれ? 皆」
「あ、ごめん」
「何これ?」
「そいつをはめていろ。リストバンドで、隠せばいい。今のお前には、これが最良の処置だ」
「そっか。俺・・・あの後、丸井の薬呑んで寝ちゃったんだった。変な夢も見なかったし」
「変な夢?」
「うん。俺、なんでか水の中っていうか、大きな筒に水を入れた見たいな物に入れられてて、女の人が話かけるんだけど、何を言ってる

か、全然分からなかったんだ。俺はそれを聞こうとして、念じてみたら、相手に聞こえたらしくて、そしたら、雷の入ったビンみたいな物

を俺に入れられて、すごく苦しくて、気絶しそうになったんだけど、女の人は、鎮まれって念じろっていうから、その通りにしたんだけど、
全然鎮まらなくって、そしたら、女の人が何かしてくれて、やっとおさまったんだけど・・・」
「人工的に作られた物だ。暴れまわっても仕方ねえ。とにかく、お前は出来る限り、無理をするな。そのリースの腕輪も、抑える役割は

果たしてくれるかもしれねえが、お前は俺達と違い、人工的に力を植えつけられただけなんだからな」
「うん・・・」
すると、医師から、
「とりあえず、今日は部屋に戻った方がいいだろう。あまり無茶をしないように」
「はい」

そして、菊丸は久しぶりにお風呂に入り、体を温めた。
「ハア〜」
「英二、大丈夫か?」
「あ、大石。うん、大丈夫だよ。あ、この前はごめんね。なんか俺、よく覚えてないけど」
「気にしなくていい。あれはお前のせいじゃない。もっとも、俺も謝らないといけないけどな」
「え?」
「あの、仁王とのダブルス。本当は、俺が持ちかけたんだ。高校生が先に戦ってて、倒れた2人をそのままにして立ち去ろうとしたから、

仲間を置いて行くのかって言ったんだけど、彼らは見向きもしなかった。幸い高校生は、気絶してる程度で、俺、彼等を必死に手当し

て、そのままにした彼等が許せなくて、シンクロしなければ勝てないって言われて、シンクロなら、俺達ができるって言ったら、仁王が

英二にイリュージョンしてくれて、それで勝てたんだ」
「そっか。大石、医者を目指してたんだね」
「ああ。俺でも役に立てて良かったよ。仁王は自分から持ちかけたって言ってたのは、お前への負担を軽くする為だったんじゃないか

なって思ってる。本当にすまなかった」
「いいよ。おかげですっきりしたし」
「でも、お前も何かあったって」
「あ、うん。俺のは跡部達とは違う力だから、それを、コントロールできるようにしたいと思ってる」
「違う力?あの精霊の話しか?」
「うん。俺のは人工的で、他のみんなとは違うから、あまり無理しないようにって言われたよ」
「そうだな。俺も、何か力になれればいいんだけど」
「大石・・・」
菊丸は、また黙り込んでしまった。

自分のせいで大石を傷つけようとし、更には、そんな自分の為に悩んでくれる人がいる事に感謝はするが、なんだか申し訳ない気分

だった。

そんな時、

バシャーンっと、水音を立てて、2人の前に乾が現れた。
「い、乾?」
「フフフフ。もう逃げられないぞ。さあ、その力とやらを見せてくれ」
「こ、こら乾、英二は付けたくてこの力を付けたんじゃないんだぞ」
「俺は知りたい」
「え?」
「ギブミーデータ!」
と、乾が接近し、慌てた菊丸は、ついにその力を使ってしまった。
「ギャアアアアアア!!」
乾だけでなく、風呂場にいた全員にまで電気を流してしまい、慌てて、菊丸は浴場を飛び出し、服を着替えると、そうそうにどこかに
行ってしまった。

一方浴場では、体を洗っていた侑士と、髪の毛を洗っていた鳳以外は全て痺れてしまった。
「あちゃ〜とんでもない事になっとるな〜」
「まさか菊丸さんの力が、こんなに」
「とにかく皆を湯船から出さな」
「そうですね」

2人はなんとか浴場の皆を出した。
「ふう。まさかあないな力もっとったとはな〜鳳、ちょっと様子見て来てくれへんか」
「分かりました」

鳳は、すぐさま着替え、部屋に戻ると、うずくまって震えている菊丸がいた。
「菊丸さん。大丈夫ですか?」
「ハア、ハア、ハア」
「風よ。心乱れし者を癒やしておくれ」
彼の呪文で、風が菊丸を包み、癒やした。
「あ、これって。あ、鳳」
「もう大丈夫ですよ」
「ゴメン。乾にびっくりして、あんな事になるなんて」
「乾さん。好奇心というか興味本位だったでしょうね」
「俺、やっぱりこの力、ちゃんと制御したい・・・けど、どうすれば、いいんだ?」
「まずは自分の力を受け入れなくちゃいけませんね」
「受け入れる?」
「最初は俺も、風の力を貰った時は、リースに助けられてばかりでしたが、今は、この力に感謝しています。使い分ける事によって、い

ろんな事ができる様になりましたから」
「俺を助けてくれた風も」
「はい。あれも、俺が生み出した力です。この力で、誰か助けられるんじゃないかって色々考えて」
「鳳も、大変だっただね」
「最初だけですよ。菊丸さんもその力、うまく使える様にしましょう」
「うん・・・ゴメン。今日はもう寝るね」
「おやすみなさい」

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