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テニプリファンタジー小説コミュの(第19章)(前篇)テニプリファンタジー「小生物の落し物と知性の契約」

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テニプリファンタジー

「小生物の落し物と、知性の契約」

その日、7番コートでは、いつもの練習が行われていた。

菊丸が華麗にアクロバティックを決めると、ブン太がそれを、綱渡りで返す。
「どう? 天才的」
「って自分で言ってってはずかしくない?それ」
「そういう菊丸だって、残念無念また来週とか言うじゃねえか」
「う・・・」
菊丸が困っていると、ブン太の足に何かが当たった。
「何だ? 木の実? まあ、木がいっぱいあるから当たり前か。ん?」
彼がよく見てみると、それが点々と続いている。
「なんだ?これ、何かが通ったような・・・あれ?」
よくよく見てみると、何かがこちらにやってくる。それも、木の実を袋に詰め直しながら。

どうやら、この実の落とし主らしい。

ところが、彼を見ると、突然逃げ出してしまった。
「お、おい、ちょっと待てよ」
咄嗟に追いかけると、その生物は消えてしまい、一瞬足が止まる。
「き、消えた? あれ?」
よくよく地面を見てみると、小さな魔法陣が描かれていた。
「なるほど、ここからか」
彼はそっとその上に乗り、生物達の後を追いかけた。

「あれ? 丸井? 丸井?・・・どこ行っちゃったんだろう?ついさっきまで、ここにいたのに・・・」
菊丸が不思議そうにしていると、木の実が落ちているのを見つけた。
「なんだこれ? なんでこんな物が・・・」
「どうした? 菊丸?」
「丸井がいないんだ!」
「いないってさっきまで、ここにいたじゃん」
「そうなんだけど気がついいたらいなくなってたんだ」

一方、この様子は、すでにモニタールームの監視カメラに移されており、
一瞬にして消えるブン太の姿が映っていた。
「一瞬で消える・・・縮地法ではなさそうですね」
ガン
「またですか? あなたには、学習能力と言う物はないのですか?」
「アハハ。で、どうしたんだい?黒部。さっきから、何か考え込んでるみたいだけど」
「この映像を見てください」
と、黒部コーチは先程の映像を映し出した。
「一瞬で消えてるね〜」
「あなたなら、これをどう解釈しますか?」
「突飛な話かもしれないけれど、これは彼らの力を、借りるしかないんじゃないかな?」
「彼ら?・・・あの奇妙な力を得たという彼らの事ですか?」
「あの力、黒部も見ただろ?」
「確かに、この目で拝見しましたが、まさか、今回の事も、別の世界からの侵略という奴なのですか?」
「どうだろうね〜とりあえず、夜を待ってみよう。7番コートの選手には、コート整備の為とか言って、
どこか、空いてるスペースに移ってもらおう」
「やれやれ。7番コートの選手に報告があります。これより、コート整備のため、誘導に従い別のコートへ
移動するように」

この言葉に、7番コートの選手は首をかしげるが、神尾、千石、菊丸は、すぐにピンと来た。
これは、事件が起こるのではないかと。

一方消えたブン太は、木の実を抱えて走る動物を追いかけ、森を走り、山を下り、小さな村の入り口にきた。

すると、彼を敵だと思った小生物達は、吹き矢を飛ばし、攻撃してくる。
「ちょっと待ったちょっと待った! 俺は、そいつが落として木の実を届けに来ただけだよ。ほら!」
彼の持っていた物を見た、小生物達は、何か相談するような仕草を見せ、落とし主であろう子供が、
恐る恐る近づいてくる。
「ほらよ。もう落とすんじゃねえぜ」
と、彼が子供に渡してやると、親らしき小生物が、子供を引き離し、更に吹き矢を撃ち込んだ。
「うわ! あ・・・な、なんで・・・」
彼が倒れたのを見た生物達は、彼を縄でしばりあげ、村の中を通り、一番奥に有る、長老塔に運び込んだ。

この村は、小生物、クイークと呼ばれる種族が暮らし、森と岩山、川と、恵まれた地形に暮らす一族だ。

だが今回、あるイベントの為に、異界から食べ物を運んで来るように言われ、今回の世界に行き、
木の実を集めて来たのだった。

一方、跡部達は、メンタルコーチに呼び出され、映像を見せられた。
「これって」
「どうやら、魔法陣を踏んでしまったようなんだが、もうその後が消えていてね〜こっちとしてもお手上げ
なんだ」
「それで、俺達に丸井を連れて帰って来いって事か」
「行こうよ跡部!丸井君が危ない目に有ってるかも知れないんだよ」
「たしかにな。丸井は俺等とちごて、攻撃技を一切持ってへんし、ちょ〜心配やな」
「たしかに。丸井さんを、このままにしておくわけにはいきません。リース。俺達を、丸井さんの所へ
行かせてください」
鳳がクロスに念じると、リースとルシアが出てきた。

ルシアが、陣を形成すると、
「こりゃあクイークのもんやな」
「クイーク?」
「まあ、平たく言うたら、この世界でいうリスみたいなもんや。知性はそれほど高こうないけど、
コミュニケーションをとる力はもっとる。
「つまりは、俺達の言葉は、通用しないってわけか」
「まあ、ワイなら通訳できるけどな」
と、いつになくえらそばるルシアに、跡部は、
「偉そばるな」
とつついた。
「跡部はんかて、いっつもえらぶってるやないか!」
「てめえに偉そうにされると、なんか調子狂うんだよ!」
「まあまあ跡部さん。それで、ルシア、彼らはこの陣を使ったのかい?」
「せや。この陣で、この世界と自分等の世界を往復したんやろうな〜」
「往復? ねえ、じゃあ、そのクイークって動物は、普段はそんな事しないの?」
慈郎の質問に、ルシアも首をかしげた。
「クイークは、リスみたいな奴で、普段は村や近隣の森で食べもん集めとるはずやねんけど・・・」
「ここで考えていても、仕方ありません」
「せやな。行ってみるしかないっちゅう話や」
と、有志が陣を踏みかけた時、リョーマと弦一郎もやって来た。
「チーッス」
「すまんな。遅くなった」
「ようやく来やがったか真田。そのクオーも、ずいぶん逞しくなったじゃねえか」
「もう、遅いよ越前! なにしてたのさ!」
「何って、丸井さんが大変なんだから、それなりの準備してたんだけど」
「ほな、いくで!」
と、侑士を先頭に、跡部、慈郎、鳳、弦一郎、リョーマと続いた。

その頃、ブン太はようやく目を覚ました。

だが、先程とは違い、縄は解かれ、何かの液体を口に入れられた。
「ング。ん? ここは・・・」
「気がつかれましたかな?」
ブン太の目に入って来たのは、先程のクイーク達よりも更に長生きしているらしく、ひげを草を編んで作った
紐で縛ってあった。
「あ、あれ? 手足が動く」
「安心しなされ、さっきあなたに呑ませたのは、解毒剤じゃ。
すまんかったの〜わざわざ落し物を届けてくれて」
「あ、いや、びっくりさせた、俺も悪かったよ。ここの事も知らないまんま、来ちまったし」
「今宵は、我が一族の儀式の日なのだ」
「儀式?」
「そうじゃ。我々一族が100年に一度行われている儀式でな。その為には、
異界への扉を開く必要が有った。
「それで、偶然俺達の世界に来ちまったってわけか」
「そうじゃ、異界から集めた物を、差し出さねばならなかったのじゃ」
「差し出すって事は、何か理由があるのか?」
「うむ。実は、精霊様が現れるのを待っておるのじゃ」
その言葉を聞いて、ブン太はハッとした。
「精霊ってもしかして、クリスタルの?」
「うん? なぜそれを」
「俺の仲間にもいるんだよ。精霊と契約した奴らが」
「そうか。お前達の世界にも存在しとったのか」
「ああ。後は俺だけなんだ。なあ、長老さんよ、その儀式って奴に、俺も参加させてくれい!」
「お主がか」
「ああ。確かに。俺は癒しや解毒しか脳がないんだ。だから、皆を守れる力が欲しいんだ!」
「・・・・・良かろう」
「え?」
「付いて来なされ」
と、長老は扉にいくつもある出っ張りを有る順番で押していく。
すると、扉が現れた。
そこを潜ると、両サイドに大きな滝が有り、すでに異界から持ち込まれた果物がテーブルに置かれ、儀式の時を
待っていた。

そして、長老が、台座に立ち、皆に告げた。
「皆の者よ。今宵は100年に一度の儀式じゃ、今回は、異界からの挑戦者が来ておる」
「丸井ブン太だ。俺も精霊の力を持ってる」
と、彼は、精霊族の衣装に変わった。
それに、皆は拍手で歓迎した。
「俺達だって負けないぜ。今日の為に、必死に訓練を積んできたんだ」
と、2匹のクイークが進み出る。
すると、ブン太は手を出した。
「お互い、頑張ろうな」
「今回の挑戦者は、丸井どの含め、27名じゃ、挑戦者は、異界の果物を持ちて、この崖の上に有る、
精霊様に捧げるのじゃ!」
「おおー!!!」
皆の歓声を受け、挑戦者を含むブン太が、崖を登り始める。だが、この崖は思うほど狭いため、彼は悪戦苦闘
していたが、普段から訓練を積んでいるクイークは、すいすいと登っていく。
「くそ〜絶対に、精霊と契約してやる」

その時、遠くから、何かが飛んで来るのが見えた。
「な、なんだありゃ」
「きおったか。総員第一次戦闘配備じゃ!」
村中に警戒を告げる笛が鳴り響き、皆は所定位置に着く。

それは、鷲の様なもので、かなり大きく、地上にいた、他のクイーク達が逃げだし、
なんとかブン太は崖にしがみ付きながら、崖を上って行った。

だが、クイーク達は動きを止める。
「お、おい、お前も身を伏せてろ。狙われるぞ」
「どういうことだ?」
「あいつらはイーグル族。この岩山をねぐらとして、夜に活動するんだ」
「なるほど。鷲の夜バージョンってとこか」
ブン太はそう言いつつ、必死に崖を登る。
すると、クイークを襲うはずのイーグル族が、ブン太を狙い始めた。
「うわ! な、なんで俺ばっか!」
彼は突かれたり、引っ掻かれたりしながらも、必死に崖にしがみついて登る。この頂上に、あのクリスタルが
あるのだとすれば、それに触れて、契約を交わし、皆の足を引っ張らないように出来ると考えたのだ。

そして、1羽のイーグル族が彼を狙うと、突然突風が起き、鷲を吹き飛ばした。
「なんだ? 今の風・・・まさか!」
ブン太が下を見てみると、やはり、風の精霊の姿になった鳳がいた。
「鳳! お前どうして?」
その時、鳳の声が指輪から聞こえた。
「詳しい事情は、長老様から聞きました。あなたを支援する事はできませんが、敵を追い払う事ならできます」
そして、鷲はターゲットを変え、鳳めがけて爪から雷を出してきた。
彼は風に乗り、出来るだけブン太から離れる。すると今度は、下から猛烈な炎が襲ってきた。
「チーッス丸井さん」
「え、越前!お前も来たのか?」
「俺達だけじゃ、ないッスよ」
「え?」
気が付くと鷲はもう20羽近くまで増えていた。
「って、しゃべってる暇はなさそうっすね・・・」
「あ、待ってくれい。俺と同時に、下で襲われてる奴らも守って欲しいだ。
「ああ、下ならさっき、跡部さんと忍足さんが行きましたよ」
「あいつらも着てたのか。ん?待てよこの流れで行くと・・・」
と、ブン太が言った直後、やはり弦一郎が現れた。
「俺達は、お前を支援する。お前はそれを持って、祭壇に行き、契約を果たして来い!」
「ああ。ありがとうよ。真田」
ブン太は力を得たかの様に、崖を登り続けた。途中のクイーク達の援護も越前達が行う。

そして、ようやく頂上が見えてきた。

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