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テニプリファンタジー小説コミュの(第15章)(後編)(テニプリファンタジー)「下剋上」

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一方
侑士と鳳は、ある紐状の物を見つけ、それをたどった。
すると、その先には、がんじがらめにされ、やつれた日吉が縛られていた。
「日吉!」
「跡部聞こえるか? 見つけたで」
「了解だ。すぐそっちに向う。場所は?」 
「その指輪に念をかけてくれ。そうすれば、俺の念が繋がるはずや」
「念を送るか・・・」
と、跡部が念を送って見ると、侑士の念が、それを感知した。
「よし、捕まえた。行くぞ、越前」
「ウィっス」
跡部は念を頼りに、侑士の場所にたどり着いた。

そして、同じように念を送った鳳の元にも、慈郎とブン太が合流する。
「日吉!」
「日吉! しっかりするC〜」
ブン太が念のため、脈をとってみると、まだかすかにあった。
「まだ生きてる。今助けてやるからな。まずは、この撒きついてるのをなんとかしないと」
「てゆうか、なんなの?この紐みたいなの」
「わかんねえ。とにかく、外してやろうぜ」
「うん!」
跡部も、紐を凍らせ、それを砕いて行き、丸井は日吉に回復の力を与え続けた。

すると、下から紐が伸びてきて、鳳を捕まえようとしたが、間一髪でリョーマが気づき、それを燃やした。
「ありがとう」
「この紐、下からも伸びてる」
「て事は、おそらく本命は、下にいやがるな。慈郎と丸井は、ここに残って、日吉を外せ。俺達は、下の奴を片づけて来る。

リョーマ達が降りて行くと、そこには、一人の女性がいた。
「あら? ずいぶんと遅い到着ですわね」
「てめえか。日吉を使って、高校生やら中学生を襲っていたのは」
「襲っていたわけではありません。私は、彼の願いをかなえたのです」
「これのどこが願いなんだ。日吉を弱らせて、ただ、強い選手の生気を吸い取っていただけじゃないか!!」
「あら、人聞きの悪い子ですわね。私は彼の、下剋上ををお手伝いしたまでですわ。ただし、命を代償として」
「そんな! そんな事して、なんの意味があるんですか? 生きていなければ、テニスで強くなった意味がないでしょ!!」
「ねえ、俺達と試合やんない?」
「試合?」
「ずいぶんと、日吉さんや他の人から生気吸い取ったって事は、それだけ強いって事でしょ?」
「ウフ。おかしな子。あなた名前は?」 
「越前リョーマ」
「私はシアニー。この子の夢を叶える為にやって来た魔導師よ」
「魔導師にしちゃ、ずいぶんとやり方が悪趣味じゃねえか」
「あら? 彼の最終的な願いは、あなたを倒す事にあるのよ? 彼に下剋上されてもいいの?」
「フン。俺様がそう簡単に、下剋上出来ねえ事は、あいつが一番よく知ってる」
「御託はいいわ。速く試合を始めましょう」
「んじゃ、俺から・・・」
「待て。ここは俺が先だろ」
彼はそういうと、氷の鎧を纏った姿に変わった。
「あら? あなた氷タイプなのね。良いわ。それじゃあ私は・・・これでどう?」
と、氷の冷気が出るほどのジャージ姿に変わった。
まずは、跡部のサーブから始まる。
「俺様の進化を見せてやるぜ」
「へえ、楽しみね」
「ハア!」
彼の破滅へのロンドに、シアニーは付いて行くだけでもやっとだ。
「へえ、やるじゃない。でも、私もテニスは得意なのよ」
と、凄まじいスピードで、スマッシュを決めた」
その時、跡部の体に異変が起こる。
地面のツタが、跡部の足に絡みついたのだ。
「グッ! こ、こいつで生気を・・・」
「そう、ポイントを入れるたびに、私は強くなる」
と、またポイントを入れられた。
「いちいちかんに触るやろうだぜ。こんな紐!」
なんと彼は、自力で、その紐をぶち切った。
「んな!?紐をぶち切ったですって!! ありえない。あんな頑丈な紐を」
だが、代償は大きかった。跡部は、無理な体勢から紐、をぶち切ってしまったので膝を痛めてしまった。
「ッツ!」
「跡部さん!」
「俺は部員を、いま持てる全力で救い出す!」
「部員?あんたが帰った頃には、もう卒業なんじゃないの?」
「だからこそだ。あいつには、伝えなきゃならない事が、まだ残っている。それを、全部伝えるまで、俺は」
「なんて執念深いの。この子、膝を痛めているはずなのに」
跡部は前後左右に走らされながら、必死にボールに食らいつく。

痛めた膝を、自分の氷で冷やしながら、彼は必死にがんばる。
「ならば。ハアアアアア」
女性が気を高めると、日吉から生体エネルギーが奪われる

そして、それは、彼女の元へ送られた。

すると、今度は、リョーマが勝負をかって出た。
「越前!邪魔するんじゃねえ!」
「アンタ、膝痛めてるんでしょ? だったら、攻守交替しても、良いんじゃない?」
「今度の相手はあんたってわけ?」
「そういう事」
「なるほど。サーブ権をあなたに渡すわ」
「んじゃ、遠慮なく」
と、リョーマは右手ツイストサーブを決めた。
しかし、彼女も負けじと打ち返す。

彼と彼女は、まるで、楽しむかのようにテニスをしていた。
「なんて良い顔してやがる」
「2人とも。どうしてあんなに楽しそうに」
「強い者同士だからだろう。同じ力を持つ者同士だからこそ、テニスを楽しめる」
「同じ力を、持つ者同士・・・」
「とにかく、ここは越前に任せて、俺達は、日吉の救出に向うぞ」
「はい!」
跡部と鳳は、試合を越前に託し、日吉の救助に向かった。
「跡部! 日吉、さっきよりやつれちゃってるよ。このままじゃ、ほんとに死んじゃうC〜」
「なんとか、俺の回復魔法で持たせているが、それでも、かなりあぶねえ状態だ! なんとかして、この絡まってる奴を外してやんねえ

と」
「俺が外す!」
と、跡部派紐状の物を凍らせ、それを鳳が砕く。

そして、その作業をどのくらい進めただろう。

ついに、日吉の体が、その紐状の物から解放された。

だが、命が危険な状態にあるのはたしかだ。
「速く治療してやんねんと、こいつ、ほんとに死んじまう」
「日吉、日吉! しっかりするんだ。目を覚ませよ。日吉!」
だが、弱り過ぎた日吉は、目を覚まさない。

そんな中、彼らの戦いはまだ続いていた。
まさに、一進一退の攻防戦が展開され、死角を突こうとしたが、彼の死角はどこにもなく、逆に彼女は
追い込まれていった。

そして、彼は、天衣無縫の極みを発動させた。
「な、なに? あれは・・・」
彼女がボールを打つと、それを彼は凄まじいスピードで返した。
「まるで見えなかった。こんなに生気を吸い取った私が・・・見きれないなんて」
「ねえ、あんたは打って来ないの?」
「な!」
「だったらこの勝負、俺の勝ちって事だよね」
「じょ、冗談じゃないわ!! 試合はまだ、終わってないわ!」
と、彼女は打つが、彼はそれをやすやすと返す」
「こうなったら」
彼女は地面から無数の蔦を出し、跡部達をとらえようとする。

だが、意図に気づいていた彼らは、それらを回避した。
「残念でした〜」
「ばればれだぜい!」
「日吉は救出しました。後は、あなただけです」
「ってわけなんで、この勝負、さっさと付けさせてもらうよ。もう、アンタの頼みの綱は切ったみたいだから、
もう戦う必要もないんじゃない?」
「私は、彼の為にここに来たのよ。誰よりも強くなりたいって」
「強くなりたいのは、何も日吉さんだけじゃないよ。それに、こんな方法で強くなったって、本当の下剋上は
果たせないよ。悪いけど、あんたには消えてもらうよ」
と、越前はクールドライブを打ち、顔面に球を命中させ、更にドライブBを決めた。

そして、決着がついた。彼女は負けを認めて消え、1枚のカードになった。
そこには、「パワー」と書かれていた。
「へえ〜魔導師って、負けるとこうなるんだ」
と、彼が言った途端。
「ゴゴゴゴゴゴ」
と、すさまじい揺れとともに、バラバラと上の方から崩れていく。
「な、なんスかこの揺れ!」
「いけない。魔導師の影響を受けていたせいで、この世界が崩壊する。日吉を連れて、速くここから出ないと」
鳳の言葉で、全員は、出口を目指す。

すると、そこに閉じ込められていた思念体が、後を追ってくる。
「うわ〜。幽霊まで追っかけて来るC〜」
「大丈夫だ。こいつらは思念体。こいつらも一緒に脱出しねえと、この空間ごと消滅しちまう」

そして、出口から全員が脱出した、ほぼ同時に、その世界を形成していた扉も壊れた。
「これで・・・日吉は・・・」
「大丈夫だ。とにかく、元の空間に戻るぞ」
「はい!」
皆は急いで現実世界に戻り、日吉を医務室に連れて行こうとした。
だが、先程の騒ぎのせいで、医務室がいっぱいになっているのではと思い、リョーマが先に見に行った。
すると、あんなにごったがえしてた医務室が静かになり、面会謝絶のカードがなくなっていた。
医務室に入ると、菊丸と大石が話していた。
「ほんとに、どうなるかと思ったよ」
「心配かけてごめんね。もう、楽になったから、部屋に戻るよ」
「送っていくよ」
「ごめんね」
「菊丸先輩。もういいんスか?」
「あ、おチビ。うん。もう全然OK! 部屋戻って良いってさ」
「それなら、運んで来ても大丈夫ッスね」
と、彼は走り出した。
菊丸が部屋を出ようとした時、ぐったりとした日吉が運ばれて来た。
「あれ? 日吉、なんかやつれてない? 何があったの?」
「詳しい事は後だ。それより、こいつを医務室に運ばねえと」
跡部に横抱きにされ、日吉は医務室に担ぎこまれた。

診断の結果はかなり悪く、今日1日が峠だと言われた。
「そんな〜!」
「日吉〜しっかりするC〜」
「もしかして、俺達が夢を壊したから・・・」
「いや、あれは彼女の作りだした物だ。こいつの夢が、消えたわけじゃねえ。だいたい、そう簡単に、夢は消えたりしねえよ」
「俺達じゃ、どうもできないんスか?」
「オレならできる。俺の治癒魔法なら、なんとか起こせるはずだ」
と、ブン太は治癒魔法を、両手で出し、日吉の回復を願った。
「日吉、頼むよ! 起きてくれ!」
「日吉・・・風よ。かの者を癒し、ぬくもりを伝えよ」
鳳はそう呪文を唱え、風の精霊の衣装に変わり、日吉に触れた。
「日吉。ずっと一人だったんだ。だからこんな事になった。ぬくもりと癒しを伝えれば、なんとかなるはずだ!」
彼はそれを信じ風を送る。

その頃、日吉は真っ暗な空間にいた。

だが、さっきと違い、ひどい眠けが襲って来る。
「眠い・・・なんだ・・・力が・・・はいら・・・ない・・・こ、こは・・・どこだ・・・」
何所を見ても、真っ暗な暗闇で覆われ、自分が立っているのかすら分からない・・・
更に頭がぼーっとして、今にも眠ってしまいそうだ・・・いっそこのまま眠ろうかと思ったその時、声が聞こえた。
「日吉! 日吉!」
この声は、鳳・・・なんであいつの声が・・・な、なんだ・・・なにかが、体にまとわりついて・・・・・柔らかい・・・誘ってるのか・・・
癒される・・・あたたかい・・・」
彼の触れたそれは、まるで、ふかふかの毛布のような感触で、彼の負担にならないように撒きつき、彼を癒した。

そんな感触に全身を預け、彼は眠った。

すると、不思議な事に、夢を見た。なぜか自分は医務室の中にいて、皆が自分を呼んでいるのだ。
「呼んでいる・・・俺を・・・何故・・・」
そしてふとみると、自分に触れている鳳と、丸井の手が光り、自分の名前を必死に呼んでいた。
「まさか、この現象は、あいつらが? なんでそんな事を俺に・・・俺にあるのは・・・下剋上だけ・・・だ・・・なんだ・・・意識が・・・」
またそこで意識が途切れ、日吉は元の空間に戻っていた。ただ、さっきはなかったはずの、白い光が見えていた。
「あそこに・・・」
と、日吉が一歩ずつ踏み出し、その白い光に触れると、ゆっくりと目を開いた。
「日吉!」
「なんだよ。でかい声出さなくても聞こえてる」
「よかった。うまくいって」
「それより、お前のその服はなんだ?」
「あ、そっか。日吉は知らないんだった」
と、鳳はいつものジャージに戻った。
「それより、なんでみんなして、俺の所にいるんだ?」
「お前が倒れたからだよ。ま、そんだけ口が元気なら、問題ねえな」
「日吉、元気になったC〜」
「フン。相変わらず、口の減らねえ奴だぜ」
「ほんま。安心したわ」
「フン。いいんですか? 練習しなくて」
「練習するもなにも、もう夜だよ」
「顔色の方は、すっかりええみたいやな」
「医師の話では、もう心配ねえそうだ。今日はゆっくり休め」
「ハア〜それはいいですが、なんで越前がいるんですかね〜」
「アンタが倒れたって聞いて、見に来たんだよ。第一発見者俺だし」
「お前が?」
「そ。だから跡部さん達に連絡して、ここに担ぎこまれたの。俺一人じゃ運べないし。アンタ重いから」
「なんだと!?」
日吉が突っかかろうとした途端彼の体が傾く。
それを、慌てて、慈郎が支えた。
「まだ治りきってないのに、動くと危ないよ〜今日はゆっくり寝とかなきゃだめだってまた明日から練習に入りたいんだろ?」
「・・・・・・・・」
「んじゃ、俺部屋戻って寝るッス。一応、海堂先輩達に伝えとかなきゃいけないし」
「なんで?」
「なんでって、同室者だからに決まってるっしょ。みんな心配してたみたいだし、やく一名除いて」
「・・・・・・・・」
「日吉さん?」
越前が声をかけるころ、彼は寝息を立てていた。
「あれ? 寝ちゃった?」
「疲れが出たんでしょうね。今日はこのまま帰りましょう」
「そうだな。明日には練習に復帰できるそうだし。俺達がいなくても、大丈夫だ」
「フア〜それじゃ俺も寝る〜・・・」
「おい芥川、こんなとこで寝るなよ。それじゃ俺、こいつ連れてくから」
「ああ。そうしろ」
「じゃ、俺達も戻るぞ」
「ウィっス」
「失礼しました」
と、全員が医務室を出ていった。

こうして、災いは去ったものの、日吉の心が開く事はなかった。

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