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テニプリファンタジー小説コミュの(第14章)(後編)(テニプリファンタジー)「深海の神殿」

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それを見た慈郎は、中に高校生が閉じ込められているのを見た。
「た、大変だよ。これ、全部高校生達だよ」
「なに?」
「まさか他のも」
跡部とブン太が確認すると、やはりいなくなった高校生達だった。
「やっぱり、これ、全部高校生達ですよ。速くここから出さないと。
と、鳳が水玉に触れた瞬間、
「バチバチ」
と電撃が走った。
「うわ!」
「鳳」
ブン太が鳳の手を見て、すぐさま治癒能力で治す。
「ありがとうございます。丸井さん」
「こりゃ、奥になにかいやがるな」
「でも、どうしてこんな事に」
「おそらく、テニスで試合をして負け、その代償として、水の中に閉じ込められたんだろう」
「え? なんで分かるの?」
「こいつらの手を見て見ろ。全員、ラケットを持ったまんまだろ」
「あ、本当だ〜どれもラケット持ってるC〜」
「て事は・・・」
と、話していたとたん、水の弾丸が飛んできた。
「危ない!」
鳳が、慈郎を突き飛ばしたのと、彼の上をかすめていったのはほぼ同時だった。
しかも着弾したその後には、ヒビが入っていた。
「み、水なのに、ヒビがはいってるC〜」
「水でも圧力かけたら、十分武器にはなるさかいな」
「こいつは、奥にいる者を、こちら側へ引っ張りだすしかねえぜ」
と跡部が言った瞬間、今度はテニスボールが飛んでくるが、跡部はそれを、冷静に撃ち返す。

よく見ると、あちら側の扉は開いていた。
「フン。俺様とやろうってのか?」
彼がそういうと、奥から侑士が夢で見た半漁人達が姿を現した。
「こいつらも、夢で見た奴等や」
「じゃあ、俺達も、彼らと試合を?」
「いや、試合まではしとらん。コート入ってすぐ、謙也に起こされたさかいな」
「やりましょう! それで、高校生達を助け出さないと、これじゃ皆が、溺れてしまいます!」
「そういうこっちゃな」
ラケットを持った鳳達を見た半漁人達は、自分たちもラケットを出してきた。
「向こうもやる気まんまんだぜ」

こうして、試合は始まった。

が、力の差は歴然だった。

跡部、侑士、ブン太、慈郎、鳳は、あっという間に全ての半漁人を打ち負かした。
「何だ? もう終わりか?」
「たあいのねえ奴等」
「ワクワクしないな〜」
「でも、ちょっと変じゃないですか?」
「鳳の言うとおりや。あまりにも、弱すぎる。今のははっきり言って、小学生レベルやで。こんなんに、こいつらが全員やられたのは、
あまりにも不自然や」
「ああ。本命がいやがるな。出てきたらどうだ? 高校生をやったのは、こいつらじゃねえだろ」
跡部がそういうと、さらに大きく扉が開き、なかから、大型の半漁人が姿を現した。
「やはりな。お前がこいつらをやったのか?あーん?」
「・・・ニンゲン・・・ヨワイ・・・シカシ・・・オマエラ・・・ツヨイ・・・デモ・・・オレ・・・タタカワナイ・・・オレノシゴト・・・セイレイサマニ・・・
アワセル・・・ニンゲン・・・サガス・・・」
すると、半漁人の目が赤くなる。
「ミツケタ・・・オマエ・・・セイレイサマノチカラ・・・モテル・・・オレ、ヤクメハタス」
と、いきなり侑士の体が光り、いきなり半漁人の腕に捕まった。
「こ、こら! いきなり何すんねん」
「オマエ・・・セイレイサマノトコ・・・ツレテク」
半漁人はくるりと向きを変え、侑士を連れたまま、奥の扉に入ろうとする。
「忍足!」
全員が走り出すと、ゆっくりと扉が閉まろうとしている。
「扉が」
「させるか! フォレスト!!」
跡部は扉にフォレストを巻きつかせ、扉がこれ以上閉まらないようにした。
「今のうちに行くぞ」
彼の合図で、扉に進もうとするが、そこを半漁人が邪魔してくる。
「落ち着いて。俺達は、精霊様の味方だよ。たしかに人間だけど、今行った人も、俺達の仲間なんだ。だから、ここにずっといるという

事はできないんだよ。それに、
あの高校生達も、俺達の仲間なんだ。だからお願いだ。彼らを解放してやってくれ」

鳳の願いに、半漁人達は、なにかを話すようなそぶりを見せた。

すると、一匹の半漁人が、水玉に閉じ込められていた、高校生を解放した。
「ブハー。ハア、ハア、ハア。てめえらよくも」
「待って。彼らを攻撃しないでください!」
「何言ってんだ! あいつらは・・・」
「その事なら、大型の半漁人から聞きました。それで、俺の先輩が、この奥に連れて行かれました。俺たちは後を追います。それまで、

あなた達はここにいてください」
「けど、この半漁人が」
「この半漁人は、俺達が負かした。つまり、こいつらは、俺達には手を出さねえ。ヘタに攻撃さえしなければ、おとなしい奴らだ。さて、

話も付いた。お前らは、閉じ込めた高校生を、水玉から解放しろ。俺達は、奥へ行った忍足を見てくる」
「あ、ああ」
「心配するな。ヘタに手を出さなきゃ、おとなしい奴等だからよ」
「わ、分かったよ。そ、そういうお前らこそ、奥で死ぬんじゃねえぞ」
「あ〜ん? 俺様が死ぬわけねえだろ」
「とにかく、奥を見てくるから、ここで待ってて」
「心配するなよ。必ず、あいつを連れて戻って来るからさ」
「先輩は絶対に死なせません! 急ぎましょう」

跡部達は、フォレストの隙間から、中へ入った。

するとそこには、中央に魔法陣が描かれ、その真上では、これまで見てきたクリスタルが浮いていた。

そして、その真下には、さきほどの半漁人がいた。
「オレノヤクメ・・・セイレイサマに・・・ニンゲン・・・サシダス・・・ソノニンゲン・・・ツヨキイシモツモノ・・・セイレイサマトヒトツニナリ・・・
イシヨワキモノ・・・セイレイサマニキュウシュウサレ・・・モドラナイ・・・」

そう言いながら、彼は侑士をクリスタルに近付けた。

すると、忍足は目を閉じ、クリスタルに吸い込まれた。
「忍足!」
その光景を目撃した跡部達は、クリスタルに走り寄ろうとした。
が、
「バチバチ」
という音とともに、はじき飛ばされた。
「オマエラ・・・ナゼキタ」
「何故って。忍足が心配だからだよ。クリスタルの中に入っちゃったじゃないか!」
「アノモノ、セイレイサマトケイヤクスル。ケイヤクガオワレバ、カラダワモドル」
「ちょっと待て! 体だけ戻っても意味ねえだろ!」
「タマシイ・・・セイレイサマトココロツナガリ・・・カラダニモドル・・・オマエラ・・・アイツラノ・・・ナカマカ?」
「そうだよ!」
「大切な人なんだ!」
「だから頼む。忍足を返してくれ」
「セイレイサマト・・・ケイヤク・・・ハタセバデテクル」
「お前はどうするんだ?」
「オレ、セイレイサマトノヤクソクハタス」
「約束?」
「セイレイサマニ・・・エラバレタ・・・タマシイ・・・ワタス・・・オマエラノ・・・ナカマ・・・シナナイ・・・カラダ・・・モドル・・・タマシイ・・・
セイレイサマト・・・イッショニモドル・・・ガ・・・スコシ・・・ジカン・・・カカルダケ」
「どれくらいかかるんだ?」
「ソレハ・・・ワカラナイ・・・タダ・・・ソノモノ・・・タイセツト・・・オモウモノノ・・・コトバ・・・トドケバ・・・ソノコエデ・・・タマシイ・・・カエル」
「つまり、俺達で忍足の魂を、呼び寄せろって事か」
跡部はそう言いながら、クリスタルを見た。

すると、クリスタルが一瞬輝き、中から、青いショートブーツと、鱗で出来た鎧を纏い、さらに頭に、人魚の鰭のようなティアラを被った侑

士が出てきた。
「セイコウ・・・シタ・・・セイレイサマト・・・ヒトツニナッタ」
だが、出てきてすぐ、彼の体が傾き、落ちようとした時、半漁人が彼の体を捕まえ、それを跡部に渡した。
「忍足、忍足! しっかりしろ」
「忍足先輩」
「忍足!」
「忍足!」
皆が必死に彼の名を呼ぶが、彼の体はまるで、人形の様に動かない。
「おい半漁人。まずは俺たちを、ここから解放しろ! 速く処置を施さねえと、こいつの体が」
跡部の言葉に、半漁人は頷き、扉を開けた。
「急に巨大な半漁人が出てきて、皆は焦って逃げる。
「騒ぐな!大丈夫だ。こいつは敵ではない」
「ほ、ホントかよ」
「ああ。出口を頼む」
「ワカッタ・・・デグチ・・・ツクル」

と半漁人は両手から魔法陣を出し、その中に水の柱を作った。
「コレニノル・・・オマエタチ・・・モトニモドレル」
「俺が先に行く。鳳、こいつを頼む」
「はい」
跡部は、忍足の体を、鳳に預け、まずは自分がその水の柱に入り、出られるかどうかを確かめた。

すると、無事に合宿所の2番コートに出た。

しかも、最初の騒ぎの影響か、誰もいない。
「よし、誰もいないな。おい、次の奴出て来い。今ならだれもいない。出てきても、見られる心配はねえぞ」
その声が合図になったかの様に、高校生達は、一斉に水の柱に飛び込んだ。
「やっとぞ!外だ」
「助かったんだな俺達!」
「ああ!」
みんなが歓声を上げる中、鳳達は一番最後に出ようとすると、半漁人が、ある物を差し出した。
「これは?」
それは、サンゴで作られた、ピンク色の首飾りだった。
「セイレイサマトノ・・・ケイヤク・・・セイリツノ・・・アカシ・・・タクス・・・オマエタチノ・・・ナカマトツナグ・・・タイセツナモノ」
「ありがとうございます。それじゃあ」
「また会おうね」
「じゃあな」

そして、皆が水の柱を渡ると、それは、消えた。
「とりあえず、彼を医務室に」
「乗せろ」
「跡部?」
「グズグズするな」
鳳が、侑士の体を跡部の背中に乗せると、ブン太が回復魔法をかけながら、宿舎に急いだ。

医務室で事情を話し、医師達は的確な処置をしてくれた。

後は、彼の魂を呼ぶだけだ。
「風よ。魂を導く道となれ!」
鳳の声とともに、風が侑士の体内に流れ混む。

事態を聞いて、謙也と、向日が駆け付けた。
「侑士がやべえって本当か?」
「なんとかして、俺達で、魂を呼び戻さないと」
「呼び戻すて、どないして?」
「俺達の声で、彼の魂を呼び戻すんです」
「おい侑士! 俺はここだ。ここにいる!!」
向日はそう言いながら、彼の手を取る。
と、それは予想以上に冷たくなっていた。
「冷てえ。おい侑士! 頼む! 目を開けてくれ! 俺、あれから腕をあげたんだ。今度は負けねえ! だから、目を開けてくれ!!」
「おい侑士、勝手に一人で逝くんやない!俺らはここや。ここにおる。頼む目え覚ませ!!」
「お願いです。起きてください。精霊の力を手にしたあなたなら、戻ってこられるはずです。だから!!お願いします。
戻ってきて下さい!!」
「おい起きろ! 合宿は、まだ終わってねえぞ。速く俺のコートまで上がって来い!!」

皆の思いが少しずつではあるが、忍足の魂に届きそうになっていた。

彼は、真っ暗な暗闇の中をさ迷っていた。

精霊と契約した際、体から魂が抜け、どっちへ行っていいのか分からず、うろうろしていた。
「どっちや、どっちに行けばええんや」
と、迷っている彼の所に、声が聞こえた。
「ん? この声は、岳人?」
その時、風が吹いて来た。まるで、こちらだと導くかのように。

そして、それと同時に、白い光のような物が見えた。
「あそこか?」
侑士がそちらの方へ行ってみると、医務室に出た。
「ここは、医務室。みんな・・・俺に呼びかけとる」
岳人はあまりの事に涙すら流していた。
そして謙也も必死に手を握って祈っている。
鳳も、侑士の胸に手を当て、風を送り続けた。

その間跡部は、モニターにくぎ付けだ。

心拍数が、どんどん下がって来ている。
「忍足! こんな所で終わるような、やわな奴じゃねえだろ! 起きろ!!」

皆の必死な姿を見た侑士は、体に降りて行き、魂が、体と一致した。

すると、さっきまで青白かった彼の肌の色が戻りだし、心拍数が徐々に上がっていく。
「侑士?」
謙也が心配げに呼びかけると、侑士の目が、ゆっくりいと開いた。
「侑士!! この馬鹿野郎が!散々心配させやがって!!」
「すまんかったな岳人。もう、大丈夫や。謙也、それにみんな。ありがとうな。おかげで帰ってこれたわ」
「成功。したんですね」
「ああ。そうみたいやな」
そう言いながら、彼は手を開いて閉じてを繰り返す。
ちゃんと指は動いた。

完全に成功したのだ。精霊との契約で、侑士は水の精霊の後継者になれたのだ。
「その様子だと、成功したみたいだな」
「ああ。これで、俺も仲間いりやな」
「え?」
「何の話や」
「こっちの話しや」
「所で、慈郎は?」
「あいつは練習がないからって、魔法の特訓してるぜ。皆の足を引っ張りたくないとさ」
「そっか」
侑士がベッドから起きようとすると、また体が傾く。
と、跡部がその体を支えてくれた。
「今日は一日寝ていろ。あの騒動のせいで、今日の練習はなしだとさ。速く体力つけて、動けるようにしておけ」
「ああ。わざわざありがとうな」
「それじゃ、ここじゃなんだから、俺達も部屋に戻ります」
「俺はもう少し、ここにいるよ。侑士の顔見るの、久しぶりだしな」
「ちょっとみん間に、腕上げたそうやな」
「ああ。裏コートの練習がすごかったんだぜ。でも、おかげで低めムーンサルトが出来るようになった」
「そりゃ楽しみやな」
「俺もやで。バランス感覚悪かったけど、ジグザグに走れるようになったわ」
「謙也もがんばっとたみたいやな」
「ああ。だから速く治して、勝負しようや、侑士!」
「楽しみにしてるで・・・あ、あれ・・・なんや・・・ぼんやりしてきた・・・」
「寝が足りてねえんだ。今日はゆっくり休め」
「あ、ああ・・・すまん・・・もう・・・無理みたいやわ・・・」
と、彼はそれだけ言って、瞼を閉じた。
「お休み。んじゃ、俺らはランチにしようぜ」
「せやな。ここいても、侑士の邪魔になるだけやし」
「それじゃあ、失礼します」
と、謙也と岳人が出ていくと、侑士は深い眠りの底へと落ちていった。

こうして、また新たに、精霊の力を持つ者が加わった。

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