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テニプリファンタジー小説コミュの(第10章)(後編)(テニプリファンタジー)「氷の洗礼」

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今、彼にさせるべき事は、戦いではなく、氷の精霊との契約だ。
「アカン。このままやったら、せっかくの丸井の努力が無駄になってまう」
「でも、俺達じゃ、あいつと相性が・・・」
「何言ってんスか。俺と、もう一人いるでしょ?」
と、越前が真田に目を向ける。
「うむ」
2人が戦っている間に炎が走った。
「侵略する事火のごとく」
「真田?お前まで」
「跡部、自分のすべき事を忘れたか?」
「! 精霊との契約」
「ならば祭壇に行け。こいつの相手は俺がやる!」
「なに? だが、お前は魔力がねえじゃねえか」
「ウフフ。おかしな子。なんの力もないなんて。それなら、これはどうかしら?」
と、アイスが頭上に手を掲げると、数千本の氷の刃が現れた。
「やめろ!」
「ウフ、チェックメイト」
と、アイスは笑いながら、手を下ろす。すると、数千本の刃が真田に襲いかかった。
「真田、逃げろ!!」
「いでよ・・・サラマンダー!!」
彼の声と共に、周りがものすごい熱風に包まれ、その中から炎のドラゴンが姿を現し、数千本有った刃が、一瞬にして溶け去った。
「な、何?どうしてサラマンダーがここに。サラマンダーは炎の精霊。なぜあれがここに?」
「跡部、今や、祭壇に迎え」
「忍足」
「跡部、早くしないと、また凍っちゃうよ。早く!」
「慈郎」
「跡部さん。丸井さんがかけた治癒魔法は、あまり時間がもちません。だから急いで祭壇へ。その階段を登れば、契約は成立します。

だから」
「鳳・・・」
彼はようやく、決心を固めた。
中に浮いていた彼は、祭壇の最初の段に足を掛けた。

が、その時、いきなり心臓に、するどい痛みが走った。
「う!・・・う、うぐ・・・あ・・・丸井の・・・魔法が、き、効かねえ・・・のか?」
跡部がよく見ると、その祭壇へと続く長い階段には、屋根の様な物があった。
「こ、こいつが、原因か。ど、どおりで、誰も、たどりつけないわけだ・・・う」
跡部が階段を上る。

だがそのたびに、心臓に痛みが走り、少しでも気を抜けば、倒れそうになるぐらいの極寒で、目の前がぼんやりとして来た。
「め、目が・・・うぐ・・・う、あ・・・ああ・・・くっ・・・お、おれ、は・・・う、うぐ・・・ゴホ、ゲホゲホ」
彼の吐く大量の血も、氷の中に吸い込まれるようになる。ふと上を見上げると、祭壇までは、まだまだ先だ。

そして、どのくらい上っただろうか。

彼の心臓は、もう鼓動が小さくしか聞こえず、跡部の目の周りには、紫色のクマが濃く出ていて、もはや限界寸前にまで追い込まれて

いた。

もはや、立つ気力も残っておらず、まるで壊れかけの人形が、ゆっくりと階段をはっているかのようだった。

その様子を、後ろから見ていたリョーマが、ある事に気付いた。あの階段に着いている物を壊せば、少しは楽になるのではと。

彼は決心した。跡部を助ける為に。
「いでよ。フェニックス!」

全身が燃えあがる様に熱くなり、ついに背中から、炎の羽が姿を見せる。

ただ、その間も、越前の中で、何かが燃えるように熱くなった。だが、彼はそれを踏ん張り、ついにフェニックスを出す事に成功した。

彼はその羽をはばたかせ、跡部がはっている辺りに思いっきりボールを打ちこむと、それは、ガラスのように砕け散った。
「よっしゃ! 跡部さん!それで行きやすくなったはずッスよ〜」
と越前が声を掛けるが、跡部からの応答はなく、ついにいつものジャージ姿に戻ってしまった。
「跡部さん!」
異常に気付いて、侑士達も現場に駆け付ける。
「アカン! 跡部、死にかけとるやないか」
「もしかして、この祭壇のしかけのせいか?」
「おそらくそうやろうな? これやと、せっかくの丸井の力も、意味なさへん」
「そんな事はねえ! 俺が助ける。頼む跡部、返事をしてくれ」
「ムダよ。その通路の仕掛けに気付いたのには褒めてあげるけど、私を倒せないようじゃ、その子は救えないわ」
「やってみなきゃわからねえだろい! 忍足、すまねえが、俺が倒れたら、連れて帰ってくれい」
「丸井、お前まさか」
「こんのおおおおお」
丸井は全ての力を治癒魔法として跡部に注いだ。
「そして、そのかいあってか、跡部の指がピクリと動き、逆に丸井はぐったりと倒れこんでしまった。
「跡部!」
「う、うう・・・あ・・・」
「気が付きよったか」
「俺・・・! 丸井!」
「丸井が全ての力を、お前に託したんや。後もう一息や、越前が祭壇の仕掛けに気付きよった、今、それを壊そうと必死になっとる。
皆の願いを、叶えてやるんや!」
「忍足・・・」
跡部が忍足を見ると、彼はこくりと頷き、跡部もそれに答えた。残り、後少しだ。
「俺は、祭壇を上る。そして、精霊と契約を結ぶ。お前らの協力は、正直、感謝してる。すまなかったな」
「ほな、俺は丸井を安全なとこへ隠すわ。後、慈郎がどっかいったんやけど・・・どこいきよったんや、あいつ」
一方その頃、慈郎は、丸井を探し、氷の迷宮で迷子になっていた」
「おっかしいな〜ここはさっき通ったし・・・あ〜んわかんないよ〜丸井く〜ん!」
その声を聞きつけた侑士は、ようやく迷子になっていた慈郎を見つけた。
「慈郎、こんなとこにおったんかいな」
「ああ、忍足、それが変なんだC〜この迷路、上から落ちて来たからッ出ようとしたら、バリアに阻まれて、出られないんだC〜」
「ハア〜なるほど。これも罠の一つやな。しゃーない。おれがナビしたるさかい、それにしたがって、はよこっからでよ」
「ごめんね〜!丸井君! どうかしちゃったの?」
「跡部に治癒能力注ぎすぎてもたんや、命に問題はないとはおもう。けど、このままじゃ、ちょっとやばいかもしれん」
「急ごう忍足」
「せやな。ちょっと急ごうか」
こうして、慈郎は迷宮を抜ける為、右へ左へ走り、侑士が上からナビゲートする。

それにより、無事迷宮から脱出できた。

「やったー出られたC〜感謝してるよ忍足〜!」
「ってちょ、くっつくなや慈郎」

と、その時、上から凄まじい揺れを感じた。
「なんや?」
「なんか、すっごい音したよ」
「行ってみるしかあらへんな。次郎は念のため、丸井をみとってくれ」
「分かった」

侑士が見に行ってみると、そこには仰向けに倒されたサラマンダーの姿が有った。
「これで、終わり。フ」
「アカン」
すぐさま忍足がシールドを貼ると、ようやくサラマンダーが起き上がって来た。

が、よくみると、足が赤く染まっている。
「真田、無事か!?」
「ハア、ハア、ハア。も、問題は・・・ない」
「そんだけ息切らして、問題ないなんて言われても、説得力ないっちゅうねん」
「お・・・俺は、王者立海の・・・」
「その台詞はもうええって、無理は余計に身体痛めるだけや。悪いけど、サラマンダーはしばらく休ませるわ」
と、侑士は真田の体に触り、サラマンダーをカードに戻した。
すると、真田の体から、力が抜けたように、倒れてしまった。
「ここまでごくろうさんやったな。ありがとうな。ついて来てくれて」
と、侑士は真田に礼を言い、丸井を寝かせた場所に、真田を運んだ。
「ここなら安全や。慈郎、真田もその翼で暖めたってくれ」
「分かった。ごめんね。俺に出来る事って言ったら、これくらいだもん。でも、この羽、暖かいから、少しは、役に立てると思うけど
・・・」
「・・・慈郎。お前、自分が足引っ張ってるって思ってへんか?」
「そう言う事じゃないけど、自分にも、誰かを助けられるのかなって」
「お前のその翼で、2人を温めたってくれ。ここも結構冷気来よるから」
「忍足・・・分かった」

「俺は、跡部の方見てくるわ」
「うん。忍足も・・・ムリ、しないでね」
「わかっとる。心配すんなや」
と言って出て行った。

一方アイスは、越前と戦っていた。だが、彼は出す技を瞬時に見切り、逆に反撃してくる。しかも、かなり速い。

そうこうしているうちに、跡部は祭壇まで、後4段まで来ていた。越前が仕掛けをいくつか壊してくれたので、なんとか途中までは
立って歩く事は出来たが、まだ全ての罠が解除されたわけではない為、また地をはいながら、前へ進む。しかし、
さっき丸井にしてもらった治癒がきいているのか、心臓全体を凍らされるような事はなかったものの、半分以上を凍らされ、
血液がうまく循環されず、力がはいらない。
「う・・・ぐ・・・もう少し・・・後、少しなんだ・・・もってくれ・・・頼む!」
彼はそう祈りながら、祭壇をはって上って行く。

そして、ついに頂上へ辿りついた。

だが、ここには扉が付いており、それを開けなければならない。
「く、くそ・・・こ、ここ・・・まで・・・きて・・・」
「お前の覚悟はそんな物か?」
と、聞き覚えのある声が聞こえた。
「この声・・・は・・・!・・・手塚・・・」
「勇気を出せ、跡部・・・お前の為に、皆必死で戦っている。お前の覚悟は、そんな物ではないはずだ。立て、跡部。そして俺に追い

ついて来い」
そう言って、手塚の幻影は、跡部に手を差し伸べる。
跡部はその手を取る様にすると、、それに引っ張られるように立ち上がり、、胸の痛みに耐えながら、祭壇の扉を開けた。
中には、巨大なクリスタルが回っていた。
「これが・・・氷の・・・精霊・・・俺を、受け入れろ!」
彼がクリスタルに触れた瞬間。辺りは眩い光に包まれた。

そして、そこには、氷の鎧と、水色の美しい翼を持った跡部が立っていた。
「跡部、お前・・・」
侑士の言葉に、彼は頷く。
「成功だ。みんなに、感謝だな」
「バカな! 人間が、精霊と一体化するなんて! あり得ない、あり得ないわ!」
「まだまだ、だね」
と、アイスに強烈な一撃を叩きこみ、アイスは気を失うと、跡部がその彼女を自分の元へ寄せ、自分と一体化させた。
「これで、終了だ」
彼はそう言うと、地下にいた慈郎やブン太、真田に魔力を送った。

すると、さっきまでぐったりしていたはずの丸井が起き上がった。
「あれ?俺?」
「芥川・・・こいつ、技使ったまま寝てやがる。おい、起きろよ芥川」
「う、ううん・・・丸井君?丸井君。大丈夫なの?」
「ああ。もうすっかり良いみたいだ」
「う、うう。」
「ん?」
「あ」
「お、俺は・・・そうだ。俺はサラマンダーで・・・なんだこの光は・・・」
「成功みたいっスよ。跡部が」
「成功だと!」
真田が急いで外に出ると、そこには氷の様な鎧に、水色の美しい羽を纏わせた跡部が立っていた。

そして、彼はそこから飛び立ち、きらきらと光る、粒子を巻きながら、飛んでいる。

まるで、全身で喜びを現しているように。

そして、跡部が地上に降り立つと、そのまま倒れてしまった。
「跡部!」
「跡部さん!」
皆が跡部の周りに集まると、氷の鎧も翼も、消えてしまい、いつもの姿に戻ってしまった。
「跡部!。おい跡部、しっかりするんや!」
侑士がいくら呼びかけても、跡部は目覚めない。
「まさか、鳳の時みたいに?」
慈郎が不安そうに言うと、リースが現れ、彼の容体を見る。
「大丈夫です。完全に成功しました。しかし、彼の魔力は底をついています。氷のあの姿になるには、
まだ時間がかかります。しばらくの間、彼を休ませてあげてください」
「跡部・・・」
真田が跡部を見ると、彼は跡部を持ちあげる。

やはり鳳の時どうよう、かなり体が冷えていた。
「かなり冷たくなっている。一応脈はあるようだが、これでは体に悪い。しばらく、温めた方がいいだろう」
「跡部さん。こんなになるまで・・・」
「心配するなよ。鳳」
「丸井さん」
「跡部は必ず目覚めるからさ」
「そうそう。大丈夫だって、鳳の時も、ちゃんと目覚めたから、きっと大丈夫だよ。きっと・・・」
と言いながらも、慈郎は不安そうな顔をしている。

ところが、皆がここで奇妙な事に気が付いた。

あれだけの戦いをしたリョーマ自身は、ケロッとしているのだ。
「あれ? 越前。お前フェニックス、出たままやで」
「え?ああこれの事? 別に、どうもないッスけど」
皆は驚いた。

確かにフェニックスは、サラマンダーと比べて軽い。

だが、魔力のない越前には、少々荷が重すぎるのではと思っていたのだが、さっきもフェニックスの力を
完璧に使いこなしていたのだ。
「まさか、完璧に使いこなすとはな」
「これ、返すっス。これ、忍足さんのでしょ?」
「あ、ああ。おおきに」
侑士がフェニックスを受け取った時、ある事を感じた。
「フッあれだけの力を使えたんは、フェニックスの力を必要として、信頼してくれた証や」
「俺、フェニックスに言ったんですよ。跡部さんを助ける為に力を貸してくれって」
「なるほど。それにフェニックスが答えたちゅう事か」
「まあ、跡部さん助けたかったのは本当だし、それには、こいつの力が絶対必要だと思ったから」
「ま、それは後に回すとして、早よう跡部を暖めたらんと」
「そうっスね。でも魔力なくなっちゃったけど」
「心配せんでも、おれが送ってたるさかい」

こうして、フェニックスに跡部、越前、真田を乗せ、慈郎はブン太を乗せて、無事みんな、元の世界に戻った。

念のため、跡部を風呂の湯に入れて、身体を温めてやり、身体を拭いて、温めた布団に入れてやる。

同室の2人に、事情を説明し、跡部の様子を見ていて欲しいと頼んでおいた。

そして、次の日の早朝。まだ朝には少し早い時間に、越前は、跡部の部屋にやって来た。
「失礼しま〜す」
彼はそう言って、跡部の容体をみると、顔色がすっかり良くなっていた。
「フウ。これなら大丈夫そうだね。これ、置いとくよ」
と言って、越前は去った。

彼が残していった物は、栄養ドリンクと、まだまだだねと書いた紙きれだった。

そして、起床時間になる頃、ようやく彼は目を覚ました。
「ここは、俺の・・・部屋・・・そっか。俺、あの後、氷の精霊と契約を交わして・・・ん?」
ふと彼が傍に置かれている栄養ドリンクとまだまだだねと書かれた紙を見つけた。
「フッまったく、元気な王子様だぜ。と言いながら、栄養ドリンクを飲みほした。

こうして、また新たに、精霊の力を宿す人間が増えた。

果たして、これから先、一体何が起こるのだろうか?

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