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テニプリファンタジー小説コミュの(プロローグ)テニプリファンタジー

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テニプリファンタジー

「目覚めの時」

それは、アンダーセブンティーンでの、シャッフルマッチでの事だった。

中学生は次々に高校生を破り、どんどん上位に昇格しており、残る6番コートは円城時和輝のみとなった。

そして、彼の対戦相手である。鳳長太郎は、円城寺に敗れ、再戦を辞退し、立海大の丸井ブン太からの助言を受け、猛練習を重ねた。

その結果、彼は見事、6番コートへ昇格した。

彼を見守っていた、芥川慈郎、忍足侑士も彼の昇格を祝福した。

その時、異変は起こった。

モニタールームの電源が一斉に落ちたのだ。

しかも、予備電源にすら切り替わらない状況だ。

スタッフが首をかしげていると、空に黒雲が立ち込め、今にも雨が降り出しそうになってきた。

が、どこか様子がおかしい。なぜか雲が渦を巻くようにして広がっているのだ。

これには皆も首をかしげ、空を見上げていた。

その時、いきなり渦の中央部から光の球が飛び出し、鳳を襲った。

彼はふっ飛ばされ、気を失ってしまった。
「鳳!」
跡部を先頭に、忍足、芥川と続き、彼の元へ駆け寄ろうとした。

すると、雲から細い稲妻が落ち、3人に巻きつくと、そのまま空へ引っ張り上げる。

そして、その稲妻は、周りにいた全員をも拘束し、空へ引っ張り上げると、それぞれの稲妻が意思を持ったように動き、全員を雷の檻に拘束した。

一方吹っ飛ばされた鳳の方には、ある変化が起こっていた。

彼がいつもしているクロスから、白い光が出ていたのだ。

そして、彼はゆっくりと目を開ける。

だがそこは、現実の世界ではなく、真っ暗な暗闇だった。
「ここは・・・」
「お目覚めですか?」
その声は、優しげな女性の声だった。

声とともに、白い光が現れ、それは徐々に人の形に形成されていく。

それは、ほっそりとした体系で、白いフリルのついたワンピースに、
白いショートブーツ。

そして、白く長いウェーブのかかった髪に、ゴールドの瞳を持つ女性へと変化した。
「あなたは?」
「私はリース。あなたのクロスに宿っていた物です」
「え? 俺のクロスに? どうしていままで」
「まだその時ではなかったからです。そして、その時が来てしまいました」
「え? 来てしまったって、どういう事です?」
「今はまだ、お話しする事はできません。ですが、すでにそれは起こって
しまいました。御覧なさい」
と、女性の声と共に、暗闇だったそこが、森林の中の池のほとりの様な場所になり、その水面には、現実の場所が映されていた。
「こ、これは!?」
「災いの一つです」
「皆を助けないと」
「その力、今こそあなたが使う時です」
そう言って彼女が手を出すと、彼のいつも付けているクロスの形が変化した。

それは、クロスの先端部分がとがり、更にはその中央部に白く輝く宝石が付いたような形になった。
「これは」
「それで、皆を救えるはずです」
「でも、どうすれば」
「願うのです。そうすれば、それは応えてくれます」
「はい!」
彼はクロスを握りしめ、願った。

皆を助けたいと。その為の力が欲しいと。

すると、鳳の全身が光り輝き、それまでジャージだった服装が変わっていく。

ズボンは黄緑に、ジャージだった部分は、黄緑色のボレロ風に、靴もショートブーツに変化し、頭にとんがり帽子が乗っていた。

更に、テニスのラケットも、十字架と合体し、ラケットの先端部に鷲をイメージした飾りが付き、グリップ部分を残して、紋章の様な模様が付いた。

そして、彼女がうなずくと、こう言った。
「戻りなさい。地上へ。そして、皆を救うのです」
「はい!」
彼が力強く答えると、それに反応したのか、現実世界にあった彼の肉体の傷が
全て消え、姿も変わっていた。
「まずは、あれをなんとかしなきゃ。空にいる以上、あそこへは近づけない。なら・・・一球入魂!!」
彼はネオスカットサーブを、渦の中心めがけて打った。

それは、ライジングショットのようになり、見事中心に当たった。

すると、中から、雷の塊が、コートに落ちた。

それは、徐々に形を変え、尖った頭にエルフのような尖った耳を持ち、身体はほっそりとした女性のような姿になった。

そして、その女性もラケットを持つ。

彼は意を決した。

皆を助ける為には、彼女に勝つしかないと。

「一球入魂!」
彼はネオスカッドサーブを打つが、彼女はそれを、素早い動きで見切り、すぐさま反撃に転じて来た。
「はあ!」
彼女の放ったサーブを打ち返そうとするが、ラケットにボールが当たった瞬間、彼の体に、電撃が走った。
「ぐうう!」
彼はそれに押しつぶされそうになりながら、皆を助けたい気持ちで、必死に電流に耐え、ついにサーブを打ち返した。
「なに!? 私の爆殺ショットを!」
「皆を助けたい! それだけです!」
「フン! アンタ、な〜んにも知らないみたいね。どうしてこんな子が
選ばれたのかしら?」
「選ばれた?」
「そうよ。あなたは選ばれたの。もっとも、私には勝てないわ!!」
と、女性が再びサーブを打つ。
が、負けじと鳳も応戦する。
すでに2人は、立っているだけでも、やっとという感じになって来た。

こうなればもう、どちらかが倒れるまでだ。

そして、決着がついた。

立っているのは鳳の方だった。
「お・・・おのれ・・・私が・・・こ、こんな人間に・・・でも・・・後悔は、ないわ・・・アンタは、私に勝った・・・私は、あなたの物・・・」
そう言って力尽きた女性は、まるで煙のように渦を巻き、一か所に集まると、
一枚のカードになった。

すると、今まで拘束されていた雷が消え、全員が地面に落ちてくるのが見えた。
「た、大変だ! リース、力を貸してください」
鳳は願った。
すると、落ちて来ていた皆の体がふわりと浮かびあがり、ゆっくりと地上に降ろされた。

しばらくすると雲が晴れ、電源が落ちていたモニターが回復した。

それを見たコーチ達は、急いで外の様子を見に行くと、みんなはさっきの電流で気を失っていた。
「気を失っているだけか」
「そっちは?」
「こっちも気を失っている程度です」
「う、うう」
最初に目を覚ましたのは、跡部だった。
「気が付きましたか?」
「俺は平気だ。他の皆は?」
「大丈夫です。皆さんはじきに回復するでしょうが、
一体何があったんですか?」
「鳳が・・・! そうだ! 鳳は!?」
跡部はふらつく体を奮い立たせ、彼を探した。

彼は、コート内に倒れていた。
「鳳!! おい、大丈夫か!?」
跡部が近付くと、彼の服装が、元のジャージ姿に戻っていくのを見た。
「な、なんだ? この現象は・・・鳳、鳳! しっかりしろ!」
彼が何度呼びかけても、目を覚まさない。

しびれていた者達のほとんどが目を覚ましたのに、なぜか彼だけ、
目を覚まさないのだ。
「とにかく医務室へ! おい担架だ!」
「いや、その必要はねえ。俺様が運ぶ」
「でも、君もしびれているんじゃ・・・」
「こんな程度のしびれ、どうって事はねえ」
跡部はそう言うと、彼を横抱きにして、医務室へ運んだ。

ベッドに寝かされた彼はすぐに診察された。

その結果、電流をまともに体に受けてはいるが、命に別条はなく、ただ、
体内レベルのほとんどが下がってしまっているとの事だった。
「命に問題ははい。ただ、何らかの原因なのだろうか、
体力が急激に落ちている。しばらく休ませれば、動けるようになるだろう」
「そうですか。なら、彼が起きたら知らせてくれ。
色々と聞きたい事があるってな」
「おいおい。君の治療も・・・」
「俺様は関係ね〜。他の奴らほど、やわな身体じゃねえんだよ」
と、跡部はそう言って、医務室から出て行ってしまった。

すると早速、侑士、慈郎、ブン太が駆け寄って来る。
「跡部〜!!」
「あ〜ん? でけえ声出してんじゃねえよ」
「鳳の具合、どないなんや?」
「命に問題はねえ。ただ、なんらかの原因で、体力が急激に
落ちているのは確からしい」
「っていうか、いったいなんだったの? あれ。
いくらなんでもありえないC〜」
「それに、あの変な雷にしたってそうだ。あまりにも、現実から
かけ離れすぎてるぜ」
「それは、本人から確認するしかねえだろう。俺達がどうこうできる
問題じゃねえ。で、お前らの方は、なんともねえのか?」
「あ、ああ。まだちょいしびれとるけど、そなあにひどないで」
「俺も、なんか逆に頭がすっきりしちゃってるC〜。丸井君は?」
「ああ。俺もなんてことねえよ。ただちょっと、雷で火傷しちまったくらいだ。ま、ラケット握る方じゃねえから、全然問題ねえけどな」
「んじゃ、俺は先に戻らせてもらうぜ」
と、跡部はさっさと自分の部屋に戻ってしまった。

雷の影響で、データに狂いが生じ、それの復旧作業に追われている為、
今日の練習は一時中断という事になったのだ。

ただ、鳳が心配なのか、ブン太と慈郎は、医務室にとどまり、
彼の目覚めを待っていた。

その時、慈郎が、クロスの異変に気付いた。
「あれ? 鳳の首飾り、形が変わってる」
「形?」
「ほら、いつもしてる奴と形がちょっと違うC〜」
「ん?・・・あ、そう言えば、なんかちょっと違うな」
と、ブン太がクロスを触ろうとしたその時、またもクロスが光り輝いた。
「うわ、な、なんだ〜!?」
「まぶC〜」
しばらくして、光がおさまると、そこには奇妙な生き物がいた。
見かけ普通のシマリスの様に見えるが、その背中には、小さな羽が付いていた。
「な、なんだ?こいつ」
「うわ、かわE〜」
と、慈郎が触ろうとすると、リスらしきその生物は、ビクっと身を引き、布団の中にもぐってしまった。
「怖くないよ〜」
「お前がいきなり触ろうとするからだよ」
と、丸井が言った時、鳳の体が、ピクリと動いた。
「あ・・・」
2人が鳳の顔色を見ると、さっきより良くなっている。
「あ、あれ? 丸井さん。芥川先輩・・・」
「大丈夫か? 芥川、部長に知らせてやれ。あ、ついでに忍足にもな」
「わかった」
慈郎は急いで医務室から出ると、早速2人に知らせた。

しばらくすると、跡部と忍足が姿を現した。
「具合はどうだ?」
「すいません。心配、かけてしまって」
「それはいい。それより、俺が聞きてえ事には、答えてもらうぜ」
「はい」

鳳は、これまでの経緯を話した。
「そんな事が」
「なんかメルヘンぽいC〜」
「まあ、あれだけのモン見せられた後だから、信用しないってわけにも
いかないな」
「で、さっきのあの女はどうした?」
「え?ああ。ここです」
彼は回収していたカードを跡部に渡した。

そこにはすでに、OOTORIと書かれており、カードにはサンダーと書かれていた。
「こいつが、俺達を襲った超本人か」
「はい。ただ、リースは言ってました。これは、災いの始まりだって」
「始まり? ちゅう事は、おんなじような現象が、まだ続くっちゅう事かいな」
「はい。そう彼女そう言っていました」
「ちょっとちょっと! それってすっげ〜ヤベーC〜」
「でも、俺もまだ、本当の事は、聞いてないんです。ただ、
災いが起こるとしか」
「なんや。それやったら対策のしようがないやないか」
「・・・・・」
沈む鳳に、ブン太が声をかける。
「何しょぼくれてんだよ。ようするに、それを防げばいいんだろ?」
「え?」
「それには、体力を付けて、その力をコントロールできるようにしないとな」
「丸井さん」
「とにかく、その災いってのが起きるのは間違いないないんだ。なあ、
俺らにもそのリースって子と話したいんだけど、できるか?」
「やってみます。出ておいで、リース。この人達は、俺の味方だよ」
すると、彼の声に答える様に、ペンダントから淡い光りが出て、それがだんだん大きくなると、人間サイズにまで到達し、
それからリースの姿に変わった。
「これが、リース」
「うわ〜スッゲー美人だC〜」
「ふん。お前か。鳳のクロスの中に、ずっと隠れていやがったのは」
「えらいベッピンさんやないか」
慈郎は興奮し、忍足も思わず顔が赤くなる。

すると、リースはワンピースのすそを少し持って一礼した。
「はじめまして。リースと申します。まあ、ルシアも目覚めていたのですね。
でていらっしゃい」
リースが呼ぶと、さっきまで隠れていた、リスの様な生き物が飛び出してきた。
「その子、ルシアっていうんですか?」
「はい。ですが、これは本来の姿ではありません」
「え?」
すると、リスがしゃべり出した。
「うちのパワーは取られてしもうて、本来の姿に戻れんのや」
「バリバリの関西弁やな」
「で、パワーを取られたってのは、どういう事だ?」

これには2人とも困った。そこを話すと長くなる上、
2人の身の内を話さなければならなくなる
「・・・・」
「おいおい。そこまで話しておいて、いきなり黙るなんてねえだろい」
「そうそう。俺達、リースちゃんとお友達になりたいC〜」
「そうや。ここまで俺等を巻きこんでおいて、いまさら隠す事もないやろ」
「忍足の言うとおりだ。俺達まで巻き込まれてちゃ、話にならねえ。
その災いってのは、この合宿所で起こるって事だろ?」
「・・・はい。この施設全域に広がっています」
「なんやて!! ちゅう事は、この合宿所全域で起こるちゅう事かいな」
侑士の言葉に、彼女は頷いた。
すると、跡部はこう言った。
「それなら好都合だ。この合宿所にいれば、その災いとやらはやってくる。
つまり、あっちこっち移動しなくて良いって事だろ」
「まあ、跡部の意見ももっともやな。この合宿所内やったら、被害も最小減に
抑えられるし、わざわざ探しに行かんでもええからな」
「なんなら、俺達も力くらいは貸せるぜ」
「そうそう。俺達が見つけたら、教えてあげられるC〜」
「ですが、あなた方を危険にさらすわけには」
「あーん? すでに巻き込んでるだろう。それなら俺達も加わらせてもらうぜ」
跡部の言葉が鶴の一声になり、鳳は皆の顔を見た。
その顔は明らかに、協力するという感じの顔だった。
「皆さん」
「かまわねえな?鳳」
「はい! リース、この人達にも力を渡してくれませんか?」
「・・・分かりました。鳳さん、こんなに素敵な仲間がいたんですね」
リースはそこで力を発動させる。

そして、跡部、忍足、慈郎、ブン太に、光りが降り注ぐ。

すると、見た目は変わらないが、それぞれに、金の装飾が施され、ところどころに宝石が埋め込まれた、豪華な指輪の様な物が、
首飾りの様に、4人の首に下げられた。

しかもそれぞれ宝石は、サファイア、ルビー、エメラルド、アメシストに
なっていた。
「ほう。なかなかいい物くれたじゃねえか」
「なんやごっつい豪華やな」
「すっげ〜!これで俺も戦えるC〜」
「へえ。こんなになるんだ。あ、でもさ。これって、呪文とか必要ないのか?」
「はい。必要なのは願う心です。それと同時に、あなた方に力が宿ります。ただし、むやみに使っては危険です」
「分かった。とりあえず、食堂で、今後の対策を練るとするか。」
「あ、じゃあ俺も・・・」
「てめえは寝ていろ。まだ疲れが半分以上取れてねんだろ。休める時には休んどけよ」
「え?」
「体力がない状態で、あんだけの試合をしたんだ」
「跡部さん。見てたんですか?」
「ああ。あんだけのバケモンとやりやったんだ。しかも、今日はシステムダウンにより、練習は中止だとさ」
「え?」
キョトンとしている鳳を除いて、跡部は去ってしまった。
「せやから、今日は寝とき。いざって時に困るで」
侑士もそう言って出て行き、ブン太と慈郎も、
「そんじゃ、俺達はちょっと腹ごしらえして来るか。芥川は?」
「フア〜なんか俺も眠くなってきたC〜部屋帰って寝る〜」
と言って出て行ってしまった。

残されたリースと鳳は、これからの事を考える事にした。
「災いが起こるのは、この合宿所だけ。でも、誰がどうしてそんな事を?」
「わかりません。ただ、分かっているのは、災いの根源を断つしかないという事です」
「そうですか」
「ですが、あなたには仲間がいます。彼らを信じてあげて下さい」
「もちろんです!でも、跡部さんや芥川先輩。丸井さんまで
巻き込んでしまって・・・」
「それは違います」
「え?」
「彼等は自分の意思で、自ら協力を買って出てくれたのです」
「そうでしたね。俺・・・」
鳳の目から、知らずに涙がこぼれ落ちる。
「大丈夫ですか?」
「俺は今。猛烈に感動しています! 自分の意思で、危険な行為なのに、
それなのにあの人達は、自分からそれを進んで買って出てくれた!」
「ウフ。そうですね。あなたは1人ではないのです」
リースのその言葉に、鳳は涙をぬぐい、力強くうなずいた。
「はい! 宍戸さん。俺、これから大変だろうけど、がんばります。あなたや、信頼してくれた仲間達の為にも」

鳳は宍戸に再度誓った。

これから、なすべき事を。

コメント(2)

雷でこういうことが起きると面白いですよね。宝石のくだりは好きです。もらいもので星砂の入ったコルク瓶があってそれは今でも宝物です。
>>[1] ありがとうございます。きてくれて嬉しいです。これからどんどん面白くなっていくのでこうご期待。!(^^)!

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