ポエトリーリーディングの素材コミュの現代詩のお勉強　　　　　　　　七海籠女

難しい言葉を使うようになった１９９０年代、
子供を二人産んでから書いた詩３編です。

コメント(11)

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り★さいくる　　　　　　　　　七海籠女

私は　懐古　する
神秘の繭に閉じ籠り
美しいシルクのドレスを忘れようとする

私は　マクロ　する
暗闇の中で　瞳を見開き
現在（いま）を黒く塗りつぶす

私は　解雇　する
闇を病み　意味を忌み
急流の中で　意志にしがみつく

私は　ミクロ　する
からっぽのオッパイに泣き
みるく菩薩　に　掌を合わせる

ああ　このいとおしきものたちを
守りたい　と　想う気持ちそのものが
エネルギー　に　変換され
通貨　が　循環され
すべてが　地球の自転のように
同じ速度で　同じ方向へと
まわりつづければいいのに…

私は　マクロ　し　ミクロ　する
果てしなき世界で　幾度も果て
いつしか肉体の大きさへと孵って（かえって）ゆく

[2] mixiユーザー 11月20日 15:20

七・五　ジグソー（シチゴジグソー）　　　　　七海　籠女

零たす零は　零のまま
いくらたしても　零は零
零落　冷酷　霊長類
霊魂　幽霊　霊媒師
年齢　婚礼　令夫人
礼拝　例祭　冷血漢
冷戦　慣例　無礼講！
いつまでたっても　れい　は　れい

　女性（おんな）の子宮（おなか）の内部（なか）の奥底（おく）の果てで
　突然　塩をかけられてしまった　ナメクジ　のように
　閉じた無数の生命（いのち）。
　そいつらは現在（いま）でも　子宮（ここ）に在る。
　限りなき　れい　の集まり。
　（今までたくさん流されつづけてきた血が　無駄になりませんように○
　　…という祈り。）

　いつからだろう、未来を夢見ることが少なくなってしまったのは…。
　幼い頃に夢見た「お嫁さん」にも「お母さん」にも達してしまった私は
　まるでその憧れる権利を、次の世代の子供達に、
　全部手渡してしまったかのように、ポカンと口をあけている。

右脳と左脳の　味噌とミソ
の
間を流れる　皺の川
で
モノクロームの　ＦとＦ＃
の
四角い段差　のぼりおり

シロクロ　白黒　シロクジチュウ
夢の中でも　天国（うえ）と地獄（した）
ウロウロ　うろうろ　右往左往
頭脳（あたま）の中味（なか）は　大迷路

　いつだって、逢う他人（ひと）逢う男性（ひと）
　運命の出会いだと思ってきた。彼こそが運命（さだめ）のひとと…
　そして愛し、思いきり愛し…　疑い、果てしなく疑い…
　彼と私との
　型（タイプ）の違い、周期（サイクル）の違い
　構造（システム）の違い、感性（フィーリング）の違い
　を、受け入れず、乗り越えられず、愛　は、こなごなに砕け散る。
　その散らばった、かけらかけらを　拾い集めてはまた
　球く（まるく）かたちづくる…。そんな事を何度繰り返してきたことだろう。
　誰かが言ってた、「首の挿げ替え」という作業すら、
　喜んで楽しげにやっていたというのに…。
　「零」という数字（かず）が、もし本当に存在するならば、
　きっとあともう少しで、バランスのよい球形（かたち）の「０」が、
　できあがっていたかもしれないというのに…。

　私がどうしても女の子を産みたかった理由（わけ）は、
　子宮という宇宙の入り口と出口を結ぶ道が未来につながり、
　砂山のトンネルが貫通した時のようなヨロコビで
　血の道筋の一本の光の線が貫かれるのを見たかったから…。
　だけど違った。君達を産んではじめて識った（しった）。
　ホントは彼だって誰だって最初から持っているんだね。
　男性（オス）や女性（メス）の躰（からだ）の内部（なか）の
　細胞の中の染色体のなかの「遺伝子」という、神秘の道を。
　過去も未来も永遠につなげる「伝える道」を…　

遥かに続く　ひとすじの
深く流れる　この川は
すべてを　零　に　まとめあげ
やがて　どこぞへ　そそぎこむ
耳を塞いで　目を閉じて
黙って叫ぶ　感謝の礼
零たす零が　れい　ならば
パズルは　ずーっと　終らない。

[4] mixiユーザー 11月20日 15:23

星産み　　　　　　　　　　　　　七海　籠女

地球が
人知れず突然　内側から血を流す
秘められた　初潮

地球の一生　を
おんなの一生　に　比較換算したら
この星の月経周期って
いったいどのくらいなんだろう
どのくらいの量の経血を　流し続けるんだろう

そんなことを考えているうちに
いつのまにか
太陽の
永年にわたる　求愛　に答えて
遂に　天空の膜に穴があく
遅すぎた　処女喪失

やがて　異物が大地に注がれ
地球　は
あたらしいいのち　を　妊む
痛いまま　
おんなのヨロコビ　も知らぬまま

そんな　太陽　と　地球　との　愛　とは
まったく無関係の場所で
開かれる　地球人達の　秘密会議

環境保護団体幹部達は
特大のビフテキをほおばりながら
かなりの高年齢初産ですね
今回の妊娠は危険です
母体の安全のためなのです
早急に　堕胎の措置を施さなければ…
この際だから　ついでに
処女膜再製手術も…
などと宣い（のたまい）
冷ややかな陰謀を企みはじめる。

地位の高い宗教家たちは
子孫繁栄を唱え
母体は失っても子供だけは守ろうと
眉をつりあげる　

医学や科学の権威らは、
滑降の実験台に目をらんらんと輝かせ
我も我もと研究熱心

早耳の新興宗教団体や
歴史ある女性達の組織は
中絶反対を叫び
地球上のそこかしこで
大声をはりあげ　デモ行進

大いなる　矛盾

いったい何を守るのだ？？？

地球人達の間では
またも　不毛　な争いがはじまり
「無効」のくり返しくり返しを
幾世代も続け　過ごしていくうち
それらも　栄養　として飲みこむ
地球の　子宮　は
だんだんと成長し続けて
いつか
おんなの　十月十日（とつきとおか）に　
比較換算された
母なる地球の　臨月　がやってくる

私のすりきれた魂は
ビッグバン以前の
微かな　しかし確かな　記憶　を
思い起こしながら
どうぞ　母子共に無事でありますように
と、祈るだけ
すべての　ありのままの共存
を　願うだけ

この気持ちさえが、地球の核まで通ずれば
謝罪など　何も要らないのだ
ましてホコロビの繕いなど…今さら…
感謝の気持ちさえ伝わればよいのだから。

果たして地球人は
太陽　と　地球　の　愛の結晶　を
拝むことができますことやら…
さて、この星の運命や如何に？

[7] mixiユーザー 04月28日 14:10

とてもステキです、説明はできません！
スーパーナチュラルウーマンです♪

↑ 前回のコメント、文字化けしてたんで書き直し。
感動を言葉にできないから、絵文字にしたのに…

[8] mixiユーザー 04月30日 00:31

>>[005]、この頃のわたしは、なんでも徒党を組んで反対運動をしてみたりデモ行進をしたりしている人たちが嫌いでした。たしかに怒りは籠めました。

[9] mixiユーザー 04月30日 00:37

>>[007]、ありがとうございます

凝り固まった思想を持ってはいましたが、なにせ小さい子どもの世話とか家事とかありましたので、このての作品は数が少ないんです

[10] mixiユーザー 04月30日 00:53

「七五ジグソー」について最近気になってること。佐野くんのZOOEYに収められてる「愛のためにできたこと」の歌詞で「運命の人と君は言う、会う人のたびにそう言う」という箇所があるのですが、なんかわたしの綴った文言と似てるって思いました。深い意味ではないんだけど…なんか嬉しいんだけど、たまたま似ちゃっただけかも…気にし過ぎは良くないね