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西岡の図書館(原子力関係)コミュの菊地洋一「原発をつくった私が、原発に反対する理由」

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 福島第一原発の1〜5号機の格納容器は、GEが開発したMARK1と呼ばれるタイプのものです。軽水炉の中でも沸騰水型というタイプで、浜岡原発1〜4号機も同じものです。MARK1は、GEが1960年代に実用化した原子炉です。福島第一原発の1〜5号機まではすべてこのタイプで、71〜78年にかけて運転を開始しています。すでに30〜40年間稼働してきた老朽原発でした。
 MARK1は、完成直後からGE内部でも、安全性に問題があると指摘されていた「いわくつき」のものです。当時私たちには知らされていませんでしたが、GEの中でかなり激しい対立があったようです。後継機のMARK2、MARK3のテスト中に、MARK1の格納容器の安全性に大きな疑問が出てきたのです。なんらかの事故が起きて冷却機能を喪失した場合、MARK1の格納容器は損傷を受ける可能性が高いことがわかった。
 ひとりの設計技師は、すでに稼働していた世界中に20数基あるMARK1をすべて止めるべきだ、と主張したそうです。しかしGEは、全基の運転を休止することで欠陥炉扱いされることを恐れ、点検や補強でお茶を濁そうとしたといいます。この件に反発し、設計技師だったデール・ブラオデンボーさんほか2名がGEを辞めています。ブライデンボーさんは、今回の事故について日本の新聞の取材に応え、「在職中にもっと声をあげて改良を訴えていたら、これほどの壊滅にはいたらなかったかもしれんあい」「草創期の原発マンとして悔いが残る」と、話しています。
 私はその時期にGEにいたのですが、アメリカで3人の技師が突然やめたということだけは聞いていました。しかし、その理由についてはいっさい情報が入ってこなかった。日本にいたアメリカ人技師たちも、深くは知らなかったと思います。あるいは、問題のMARK1をすでに運転していた福島には、意図的に伝えなかったのでしょうか。ただ、トップ技術者であるシニアエンジニアが3人もいきなり辞める、というのはかなり異常なことで、「なにかがあったのだろう」と噂になったことは記憶しています。


(菊地洋一「原発をつくった私が、原発に反対する理由」(角川書店・2011年)12〜14ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%A7%81%E3%81%8C%E3%80%81%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1-%E8%8F%8A%E5%9C%B0-%E6%B4%8B%E4%B8%80/dp/4048851012/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1359592642&sr=8-1


菊地洋一(きくちよういち):1941年岩手県釜石市生まれ。61年日大(短)卒業後、建築コンサルタントとして様々な建築設計に携わる。73年3月〜80年6月の7年4ヶ月、米国GEの原子力事業部極東東京支社企画工程管理スペシャリストとして、東海第二原発、福島第一原発6号機の建設に関わる。80年にGEを退社。81年よりアブダビで石油関連施設の建設(設計・施工管理)に従事。50歳からは反原発運動に人生を捧げることを決意。各地で講演などを行っている。(同上書巻末の著者略歴)

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