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なつみ館(仮)コミュの起

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 アイドルの遺伝子を見つけて(仮)

【登場人物】

アリサ・・・ウミに憧れて歌とダンス、そしてアイドルを始めた、
アイドル研究部の一年生。
ユキホ・・・アリサに誘われて、アイドル研究部に入った一年生。
      ちょっと適当なところがあるが、実は責任感が強い。
ハナヨ・・・2年生のアイドル研究部部長。重度のアイドルオタク。
      アイドルの、アイドルによる、アイドルのためのアイドルを目指す(違う)
ウミ ・・・今年の3月まではアイドル研究部で活動をしていた先輩。
      現在は3年生で、生徒会の副会長をやっている。

【名前だけの登場】
ホノカ・・・ユキホの姉。生徒会長。3年生。
エリ ・・・アリサの姉。今年の3月に卒業した。

【参考・昨年度のスケジュール】
4月入学式
5月ファーストライブ
7月中旬〜下旬オープンキャンパス
9月上旬〜中旬学園祭
  下旬 本戦(前期)
10月上旬 新生徒会発足
  中旬〜下旬 2年生修学旅行


 /

  場面は6月?。一か月半後のステージに向けて練習中。

場面は基本的に屋上の稽古場。
舞台奥には扉があり、そこから人は出入りする。

  その他の回想シーンや独白の場合は舞台袖から出はけする。

  場面の合間には【楽曲】としてアイドルなどの歌とダンスが挿入される。


 /

【シーン0】アリサの独白。

暗闇の中、アリサに光が注ぐ。

顔を上げてアリサが独白を始める。

アリサ
「あの人は、私にとって、太陽のような人でした。

あなたの声、あなたの仕草、あなたの輝き、
その一つ一つを丁寧に掬い上げて、私は飲み干す。

そうやって私の体の中にあなたの遺伝子が浸透していく。
私の頭の先から、手や足の指の先まで。

私はあなたの輝きに憧れた。私はあなたのその真摯なあり方に憧れた。

そして思う。あなたのようになりたいと。あなたのようでありたいと。」


  アリサが羨望の眼差しを向ける。

  音楽が流れ、ウミが舞台袖から現れる。

  ウミがアリサの手を取り、くるりと回る。

  アリサが舞台袖にはけ、照明はウミを追う。

ウミがバレリーナのように踊り、そして歌う。しかし、歌声は聞こえない。(無声演技)

  音楽と照明がフェードアウトしていく。

【シーン1】

  舞台上の全体が明るくなる。

  場面は屋上。
  文化祭のステージに向けて練習中の二人。

  体力トレーニング中のアリサとユキホ。
ダッシュをしていたが、その場にへたり込むユキホ。

ユキホ「きっつー。どんだけ走ればいいのよー。早くダンスの練習がしたいー」
アリサ「(呼吸を整えながら)そうだね。確かに、最初よりも練習がハードになってきたよね。
でもダンスに体力は必須だよ。基礎体力がなきゃ始まらないんだから」
ユキホ「それはそうかもしれないけどー。もっとダンスの練習したいー!」
アリサ「せっかくうみさんが立ててくれた練習メニューなんだから、がんばらないと」
ユキホ「それは・・・そうだけど」
アリサ「それじゃあ、ステップの練習、やってみる? 昨日の続き」
ユキホ「うん! やる!」

  元気よく立ち上がるユキホ。

アリサ「ユキホ、元気残ってるじゃない・・・」

ユキホ「へへーっ。 ・・・えーっと、どうやってやるんだっけ?」
アリサ「もう、しょうがないなあ、ユキホは。
    それじゃあ、まずは私がステップを踏むから、ユキホが叩いて」
ユキホ「わかった」

  ユキホ、手を叩きながら

ユキホ「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト、
    ワン、ツー、スリー、フォー・・・・・・」

  アリサ、リズムに合わせて動く。

ユキホ「それじゃあ、ラスト!」

  ユキホの手拍子に合わせて最後、ポーズを決めるアリサ。

ユキホ「おー、さまになってるねー」
アリサ「ありがとう。じゃあ次は交代ね」
ユキホ「よし!」

  アリサが手を叩き、それに合わせてユキホが動く。

アリサ「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト、
    ワン、ツー、スリー、フォー・・・・・・」

  ユキホ、リズムに上手くのれない。
  だんだん動きがおかしくなる。

アリサ「ストーップ!」

  言うと同時にユキホが足を絡ませ、その場に倒れる。

アリサ「大丈夫!?」
ユキホ「・・・いやあ、難しいねえ」
アリサ「あとで部長に教えてもらお」
ユキホ「・・・あ、うん。それにしても、ダンスって難しいなあ体操とかならできるのに」
アリサ「体操?」
ユキホ「うん」
アリサ「どんなの? 見てみたい」
ユキホ「うん。じゃあ、ミュージック、スタート!」

  妖怪ウォッチ、第一体操。

  ♪よーでるよーでる(から)…… 妖怪、妖怪、妖怪ウォッチッチ(ポーズを取るまで)

  完璧にマスターしているユキホ。

アリサ「ハラショー」

  アリサがぱちぱちと手を叩く。

ユキホ「いやあ〜」
アリサ「ユキホにこんな特技が」
ユキホ「お姉ちゃんと昔っから、テレビのマネとかしてたから、
こういうネタっぽいのだけは上手くなっちゃったんだよねー」
アリサ「すごいわ! すごい才能よ!」
ユキホ「才能って・・・。でも、アリサだって歌もダンスも上手じゃない。
    私はそっちの方がうらやましいなあ」
アリサ「それは・・・小さいときから、お姉ちゃんのダンスを見てきたから、かなあ」
ユキホ「お姉ちゃんの、かあ」
アリサ「さあ、練習に戻ろう!」

  部長、ハナヨが現れる。

ハナヨ「お疲れ様。ごめんね、遅くなっちゃって二人ともがんばってるみたいだね」
二人 「部長、お疲れ様です!」
ハナヨ「練習はどこまで終わった?」
アリサ「基礎練と、ステップの練習までです」
ハナヨ「そっか。ごめんね、オープンキャンパスの準備でけっこう時間取られちゃって」
アリサ「ライブの時間、取れました?」
ハナヨ「それは、また来週以降の打合せで決まるの。
    まあ、各部の部活動紹介の時間はもらえるはずだから、一曲ぶんは歌えると思うよ」
ユキホ「オープンキャンパスが私たちのファーストライブになるんですよね。
    うぅ〜、緊張するなあ」
アリサ「うん。でもすごく楽しみ」
ユキホ「オープンキャンパスって、中学生とか保護者とか外部の人がいっぱい来るんですよね?」
ハナヨ「そうなんだよー、新入生歓迎イベントではアリサちゃんとユキホちゃんしか部員を入れることができなかったから、
オープンキャンパスではなんとかしてアピールしなきゃ」
アリサ「でも、ここで大々的に活動しているということをアピールできれば」
ユキホ「他の一年生たちも興味を持ってくれるはず!」
アリサ「去年のオープンキャンパスで、初めて生でライブを見たんだよね。
    はぁ〜あの感動は忘れられないなぁ〜」
ハナヨ「いやあ、お恥ずかしい〜。あの頃はメンバーが九人いて、賑やかだったなあ」
アリサ「その中でも、ウミさんがすごく輝いてて、私、ウミさんにメロメロだったの〜」
ユキホ「アリサはウミさんのこと大好きだよねー」
アリサ「そうなのー。あの凛とした表情、真摯な瞳、全てを包み込む包容力。
やまとなでしこの中のヤマトナデシコ。憧れちゃうなあ〜」
ユキホ「ははは、アリサ、ちょっと気持ち悪い」
アリサ「あーあ、ウミさんも、またステージに立ってくれればいいんだけどなあ」
ハナヨ「ウミちゃん・・・ウミ先輩は生徒会で忙しいからね・・・
    あ、アリサちゃん、そういえば何か私に見せたいものがあるってLINEで言ってなかった?」
アリサ「そうでした、部長! これ、手に入れましたよ!」

  アリサ、バックからCDを取り出す。

ハナヨ「ふあぁぁぁ・・・これはぁ、○○○(好きなアイドルグループの名前)のニューシングル! 感謝しかないっ!!」
アリサ「へへー」
ハナヨ「アリサちゃんもっ、○○○好きなの?」
アリサ「はいっ。部長に勧められて曲を聴いてから、ハマっちゃって」
ハナヨ「アリサちゃんは、誰推しなの?」
アリサ「私は△△△ちゃん(好きなアイドルの名前)かなぁ」
ハナヨ「それなー。わかるわー。△△△ちゃん、マジ天使」
アリサ「笑顔がすっごくかわいいんですよね!」
ハナヨ「それなー。マジそれなー」
アリサ「歌もすごくいいんですよね!」
ハナヨ「それなー」
ユキホ「さっきから「それな」しか言ってないよ、部長・・・」
ハナヨ「だ、ダメなの・・・アイドルオタクは、コミュニケーション能力が低いから、
    極端に語彙に乏しいの」
アリサ「ごい、って?」
ユキホ「ボキャブラリーってことかな」
ハナヨ「ふふふふふ・・・はーっはっはっは! アイドル研究部部長、私、アイドルについて持論を語らせて頂きます!」

  ハナヨ、マイクを取り出し、早口で語り始める。
  これは演説である。プレゼンである。

ハナヨ
「人間とは元来、精神的活動を行う生き物であるが、
 宗教観を失ってしまった現代の日本において、精神の拠り所を見つけることは非常に困難である!
 そのため、現代の日本の若者はオタク文化を代表としたサブカルチャーへその精神性を傾倒させるといった傾向が見られ、
 社会学的にもしばしばその動向や生態について議論が成されている!
 そんな中、アイドルという存在は過去より日本人の心を掴んでいる。
 アイドルというコンテンツもオタク文化の一端として取り扱われる場合が多々見受けられるが、そもそもアイドルとは他のコンテンツよりもより宗教性を孕んだ存在なのである。
 しばしば、アイドルとファンは神と信者として表現される。アイドル宗教論という観点から言えば、確かにその在り方にも一理ある。
 が、私がここで提示したい現代におけるアイドルとファンとの関係というのは、従来のアイドル論からは乖離したものである。
 現代において、過去よりもファンがアイドルを育てる、コンテンツを育てるという積極的な、参加型の活動が主となっていきているのである。
 その背景としては、ツイッターやフェイスブックといったSNSの発展が貢献していると考える。
 そもそも、日本経済に与えているアイドルビジネスのパイはマイノリティからマジョリティへと変遷を──」
ユキホ「部長、長いです」
アリサ「難しい・・・」
ハナヨ「はっ・・・・・・ご、ごめんなさい」

  ハナヨ、ふと我に返り、縮こまる。

ユキホ「って、どこが語彙がないんですか。結構難しい言葉使ってたと思いますけど・・・」
ハナヨ「ははは・・・」
ユキホ「部長ってほんと、アイドルのことになると、性格変わりますよね」
ハナヨ「ごめんねぇ。それじゃあ、練習を始めようか。
    新生アイドル研究部の、初舞台に向けて。
    私たちがアイドルの研究だけじゃなくて、
アイドル活動をしているということをみんなに知ってもらおうっ!」
アリユキ「はいっ!」

  【楽曲1】

   音楽が流れる中、踊る3人。


   曲が終わるとハナヨが改まって、

ハナヨ「さて、ここで問題です」

  アリサとユキホが顔を見合わせて、頭上に「?」を浮かべる。

アリサ「? はい」
ハナヨ「数ある表現活動の中で、どうして我々はアイドル研究部でアイドル活動をやっているのでしょうか」
ユキホ「どうしてアイドルを──?」
ハナヨ「歌を歌いたければコーラス部に入ればいい。
    ダンスを踊りたいならダンス部に行けばいい。
    ステージで、舞台で表現活動をしたいなら演劇という手もあるかも知れない。
    そんな中、どうしてあなたたちがアイドルを選んだのか。
    どうしてアイドルをやりたいのか。それを考えてみて」
アリサ「どうしてアイドルをやりたいのか・・・」
ハナヨ「それじゃあ、次の、本番までの宿題ね」
ユキホ「はい・・・」
アリサ「・・・・・」
ハナヨ「それじゃあ、今日の練習はおしまい! 明日からもがんばろうね!」
二人 「はい、おつかれさまでした!」
ハナヨ「じゃあ私、友達と一緒に帰る約束してるから、ここで。じゃあね」
二人 「失礼します」

  頭を下げる二人。
  ハナヨは扉を開けて去る。去り際に笑顔で手を振る。

ユキホ「さすがは部長だなあ。最後に難しい宿題を出されちゃったね」
アリサ「うん。でも、そんなこと真面目に考えたことなかったなあ」
ユキホ「そうだね。ま、これから考えていけばいいのかな」
アリサ「うん。さ、それじゃあ私たちも帰ろうか」
ユキホ「あー・・・ごめん、私は、ちょっと用事があるから、先に帰ってて」
アリサ「用事? 私も付き合おうか?」
ユキホ「ううん。大した用事じゃないから、先に帰っていいよ」
アリサ「そう? わかった。それじゃあ、また明日」
ユキホ「うん、また明日」

  アリサ、扉を開けて帰る。

  ユキホ、アリサが帰る背中を見送って、
  スマホを取り出し、画面を確認する。

  小さく頷き、ステップを踏み始めるユキホ。

  溶暗。

  シーン切り替えのBGMが流れる。

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