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【シーン2】

  BGMがフェードアウトする。
  暗い中、舞台に照明があたる。
  
  光に照らされた中、マイクを持ったハナヨが語り始める。

ハナヨ「みなさんこんにちは。アイドル研究部の部長、小泉ハナヨです。
    みなさんは、アイドルって知ってますか?
    テレビで歌ったり踊ったりしている、あのアイドルです。
    私たちアイドル研究部は、日々アイドルについての研究をしている──だけじゃなく、
    実際にステージに立って、歌を歌い、ダンスを踊る、ライブを、アイドル活動をしています。
    私は元々、臆病な性格で、どんくさくて、アイドルになれるようなタイプじゃありませんでした。
    でも私は、先輩や仲間に引っ張ってもらって、この部活に入りました。
    そして、こんな私にもできることがある、がんばれることがあるって教えてもらいました。
    みなさんにも是非、新しいことに挑戦して欲しいです。
    自分を変えたいと思っている人は、飛び込んで来て欲しい。そう思います。
    一緒に、アイドルをやって、新しい自分を見つけませんか?」

  拍手の音がハナヨを包む。

  頭を下げるハナヨ。
  拍手の音が響く中、ハナヨは舞台袖にはけていく。

  それと同時に舞台全体が明るくなる。


  場面は稽古場。

  アリサが壁に背を預け、座っている。
  耳にはイヤホンをつけ、スマホの映像を見ながら歌を聴いている。
  去年のオープンキャンパスで先輩たちが歌った曲である。
  歌に合わせて軽く鼻歌を歌いながら、自然と体が曲に合わせて揺れる。

アリサ「やっぱり、元気もらえるなあ」

  がちゃりと扉が開き、ユキホが入ってくる。

ユキホ「やっほー、おまたせ」

  アリサ、イヤホンを外しながら、

アリサ「ユキホ、遅かったね」
ユキホ「いやあ、今日の小テストで酷い有様で、先生に呼び止められちゃって」
アリサ「そうなんだ。おつかれさま」
ユキホ「アリサは何してたの?」
アリサ「ウミさんたちの曲を聴いてたの」
ユキホ「去年のオープンキャンパスで歌った曲だね」
アリサ「うんっ。やっぱりいいなあ。私もあんな風に歌えるようになりたいっ」
ユキホ「あ、そういえば今日ウミさん練習見に来てくれるってよ」
アリサ「ほんとっ!? うれしい!」
ユキホ「生徒会があるから少ししか顔出せないらしいけど」
アリサ「そっかあ。って、あれ、ユキホ、どうしてウミさんが来ること知ってるの?」
ユキホ「あ、ああ、お姉ちゃんが言ってたからさあ。二人ともいつも一緒にいるし?」
アリサ「そっか、二人とも生徒会だもんね」
ユキホ「それにしても、アリサってほんっとに、ウミさんのこと大好きだよね」
アリサ「だ、だ、だ、大好きだなんておこがましいっ! 私は、ただウミさんに憧れてるだけで」
ユキホ「おこがましいって・・・。逆に失礼だよ、アリサ。
    アリサってほんと、ウミさんのことになると人が変わるよねー」
アリサ「そんなことないよ!? さあ、練習練習!」
ユキホ「よし、それじゃあまずは基礎トレーニングから!」
アリサ「うん」

  アリサ、ユキホ、背中を合わせて、お互いにストレッチで引っ張り合う。

  ストレッチを続けながら、


アリサ「体を動かすのって、やっぱり気持ちがいいね」
ユキホ「うん、そうだね部長がアイドルに必要なのは、一に体力、二に体力、
三、四がなくて、五に根性! とか、
アイドルは体が資本だ! って、いつも言ってるし。
それい実際に踊ってみて、基礎の大切さを身に染みて感じたよー」
アリサ「それ、私も思った」

  二人が談笑しながらストレッチを続けている中、扉を開けてウミが現れる。

ウミ 「がんばってるみたいですね」
アリサ「ウミさん!」

  アリサ、ウミの元へ駆け寄る。

体を組んでいるときにアリサが急に離れたので、ユキホはその場で少しバランスを崩す。
  が、「おっとっと」とか言ってなんとかバランスを取って持ちこたえる。

  アリサは胸の前で自分の手と手を握り、羨望の眼差しを向ける。

ユキホ「こんにちは、ウミさん」
ウミ 「お疲れ様です、ユキホ」
アリサ「ウミさん、私たち、がんばって練習してますよ!」
ウミ 「そうみたいですね。今日はオープンキャンパスの打合せでハナヨが来れないので、
私が代わりに練習をつけに来ました」
アリサ「ありがとうございます! でも、生徒会のウミさんは打合せはいいんですか?」
ウミ 「ええ、今日は時間枠の最終調整だけなので、進行は会長に任せて来ました」
ユキホ「お姉ちゃんに?」
ウミ 「ええ、今回は私がやるんだって、すごく張り切ってましたから」
ユキホ「お姉ちゃん」
ウミ 「そのぶんあの生徒会長は、他に仕事を溜め込んで、ほんとに、ほんとに・・・」
ユキホ「お姉ちゃん・・・」
ウミ 「まあ、私たちも生徒会活動ばかりで、なかなか部活に参加ができていませんからね。
    少しくらいは力になりたいと思って」
アリサ「ありがとうございます! うれしいです!」
ウミ 「ユキホ、あなたのお姉さんは、とてもがんばっていますよ。負けていられませんね」
ユキホ「はいっ」
アリサ「あ、あの、ウミさん」
ウミ 「なんですか?」
アリサ「あ、あのっ・・・私の練習の成果、見て下さい!」
ウミ 「練習の成果、ですか?」
アリサ「あの、ダメですか?」
ウミ 「ダメなんかじゃありません。是非、見せてください」

  アリサ、アイドルの曲を歌いながら踊ってみせる。(サビだけ)
  (音楽は流れない)

アリサ「ど、どうですか?」
ウミ 「すごい! アリサ、だいぶ動けるようになりましたね」
アリサ「ほんとですかっ!?」
ウミ 「ええ。しばらく見ないうちに、見違えました」
アリサ「ありがとうございます! 毎日、いっぱい、いっぱい練習してます!」
ウミ 「熱心ですね。関心します」

  ウミ、アリサの頭を撫でる。
  嬉しそうに表情が綻ぶアリサ。

ウミ 「今の曲、去年私たちがオープンキャンパスで披露した曲ですね」
アリサ「そうなんです! すごく大好きな曲で、いつも踊っちゃうんです」
ウミ 「でも最初はもっと簡単な振り付けでもいいかも知れませんね」
アリサ「え?」
ウミ 「次が初ステージですよね」
アリサ「はい」
ウミ 「私たちも最初は、ダンスやステップが苦手でしたから。
    エリ先輩からダンスの指導を受けて、やっと様になり始めたんですから」
アリサ「お姉ちゃんから!?」
ウミ 「ええ」
アリサ「お姉ちゃんが、ウミさんに指導を・・・」
ウミ 「とても辛い練習メニューでした。とても辛い・・・」
ユキホ「二回言った!?」
アリサ「ねえ、ユキホもウミさんにダンスを見てもらったら!」
ユキホ「えー、私はいいよぅ」
アリサ「ええー、見てもらおうよー」
ユキホ「いや、いいから。私は、基礎練も苦手だから、そっちも手伝ってもらいたいなあ、なんて」
ウミ 「それじゃあ、ストレッチ手伝いましょうか。
エリ先輩のダンスレッスンの中で、体づくりもありましたから。
その中でもストレッチやバランスの訓練は過酷を極め・・・辛かった」
ユキホ「そんなに!?」
ウミ 「大丈夫、あなたちにはそんなにハードなことはやらせません。
    ゆっくりと慣らしていきましょう」

ウミ 「それじゃあアリサ、そこに座って」
アリサ「はいっ」

  ストレッチを手伝うウミ。

  ウミは体を密着させ、アリサの背中を押す。

ウミ 「アリサの体は柔らかいですね」
アリサ「へへへー。ありがとうございます」
ウミ 「次はユキホ」

  ウミ、ユキホの背中を押す。
  が、鋼鉄のように硬いユキホの体と押し合い、格闘する。
  背中を押すが、最後は体ごと滑り、前に進んだりする。
  体を無理やり固定し、曲げようとするウミ。

ユキホ「いたいいたいいたいっ!!」
ウミ 「ユキホはまだまだですね」
ユキホ「そ、そんなに簡単にはいきませんよっ」

  解放されてのたうち回るユキホ。
  ウミは小声で硬すぎるとひとりごちる。

ウミ 「エリ先輩には昔、「こんなこともできないの?」とか「基礎が全然なってないわ」とか、きつくしごかれたものでした」
アリサ「うそ、あの優しいお姉ちゃんが!?」
ウミ 「とても厳しい人でしたよ。あの人は、本当に。
    一生懸命で、妥協を許さなくて。
お姉さんがいなかったら、今の私たちはなかったと思います」
アリサ「そっか・・・」
ユキホ「先輩あっての、ウミさん、ってことですか?」
ウミ 「そうですね、私の体の中には、エリ先輩の遺伝子が残っているのかも知れません。
    ・・・あ、遺伝子、っていうのはちょっと表現がおかしかったですね」
アリサ「あ、あの、わかります」
ウミ 「え?」
アリサ「遺伝子。わかります」

  真剣な表情を向けるアリサ。

  ウミ、笑顔で返す。

ウミ 「それじゃあ次は、発声練習ですね」

  並んで声を出す三人。

  突然、音楽が流れる。

【楽曲2】

   音楽が流れる中、踊る3人


   曲が終わると、汗を拭い、呼吸を整えるユキホ。
   ウミは二人を眺めて満足気な表情を浮かべる。
   アリサはウミに稽古をつけてもらったことに胸がいっぱいになっている。

ウミ 「二人とも、とても楽しそうに踊っていて、いい感じです」
アリユキ「ウミさん、ありがとうございました!」
アリサ「ウミさんはやっぱりすごいです。感動です」
ウミ 「いえ、そんな大したことはしてないですよ」
アリサ「そんなことないです!」
ユキホ「でもウミさん、今日は手加減してるんじゃないんですかー?」
アリサ「え?」
ウミ 「そんなつもりはありませんでしたが」
ユキホ「だって、ウミさんは特訓の鬼だって、噂がすごいですから」
ウミ 「どんな噂ですか・・・」
ユキホ「お姉ちゃんから伝説はいっぱい聞いてますよ」
ウミ 「まったく、あの子は・・・変なことを吹き込んでいなければいいんですが」
ユキホ「あることないこといっぱい聞いてますよー」
ウミ 「もう、やめてくださいっ」

  仲良く話す二人の姿を見て、少しむっとするアリサ。

アリサ「・・・あの、ウミさん、私たち、部長に宿題を出されたんです」
ウミ 「宿題?」
アリサ「はい。どうしてアイドル活動をやるのか、どうしてステージに立つのか、
それを考えてみてって」
ウミ 「そうですか。ハナヨがそんなことを。それで、答えは見つかりそうでか?」
アリサ「いいえ、まだ考えているところで、よくわからなくって。
    あの、ウミさんは、ウミさんはどうなんですか?」
ウミ 「それは・・・そうですね、私の考えは確かにあります。
    でも、まだ私の意見でアリサたちの考え方に影響はしたくありません。
    それに私は今、アイドルは休止中ですから」
アリサ「・・・ウミさんは、もうステージには立たないんですか?」
ウミ 「それは・・・」

ハナヨ「みんなーっ!!」

  ハナヨが焦った感じで駆け込んで来る。

ハナヨ「たいへんです! たいへんですっ!」
ウミ 「ハナヨ、どうしたんです!?」
ハナヨ「ライブの、ライブの時間が──」
ユキホ「取れたんですか? 取れなかったんですか?」

  ハナヨ、息を切らして話すどころじゃない。

アリサ「どっちなんですかっ!?」
ウミ 「ハナヨ!」
アリユキ「部長!」

  ハナヨ、深呼吸して、気持ちを落ち着かせ、
  そして満面の笑みを浮かべて、ブイサインを見せる。

  やったーとその場で飛び上がるアリサとユキホ。
  ウミも笑顔を浮かべ、拍手をする。


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