ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

須田国太郎コミュの島根県立美術館の「没後50年展」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 松江を訪ねました。
葉山、水戸、金沢、鳥取、京都と各地を巡回した
須田展も松江で終わりです。
初めての島根県立美術館は空港のターミナルのような
大きな建物で、宍道湖の湖畔に立つさまはそれだけで
絵になります。
この美術館、3月の閉館時間は「日没まで」となって
います。どういう意味かは来て分かりました。
宍道湖の水平線に落ちる夕陽が一望に臨めるのです
(日頃の行いか、曇っていて、美しい夕陽が落ちる
様子は館内の写真でしか見られなかったのですが)。

 没後50年展も松江で最後ですが、
市内に須田展のポスターが多く、TVコマーシャルや
バスの前にも案内を掲げるなど、須田展を迎える
関係者の意気込みが感じられ、
好感を持ちました。
この美術館で眼を引いたのは、「犬」の展示方法でした。
白に近いクリーム色の壁紙の上に、絵よりもひと回り
大きな オレンジ色?のボードを貼って、その上に
「犬」を置いていましたた。
絵をボードの上に置く展示方法そのものは
しばしば見受けられますが、120点もの作品の
なかで、ボードを置いているのは「犬」だけ
でした。
「犬」は須田の作品でもっとも人気のある1点です。
須田の代表作とみる人も多い。
その意味では今回の展示で「犬」を特別扱いするのも
うなずけるのですが、そこに、わたしには展示関係者の
個人的な愛着が感じられました。
ポスターやちらしに「犬」を用いた美術館は他にも
ありましたが、 会場入り口に大きく拡大した「犬」の
写真を掲げたりチケットの図柄も「犬」で統一したのは、
この美術館だけではなかったでしょうか。
(オレンジ色?が適当かどうかは議論の分かれる
ところでしょう)

もっと目を引いたのは、会場の色彩です。
会場は白に近い淡いクリーム色の壁紙で覆われて
います。
ホールのもともとの基調であるこの壁に、一部の
コーナーを設け色違いのボードを壁に貼り付け、
その上に絵を展示していました。
例えば、濃い藍色のボードのうえには「法観寺塔婆」
「花山天文台遠望」「水浴」「早春」「アーヴィラ」
「モヘンテ」など資生堂での第1回個展から
独立加入直後の主要作品が置かれていました。
「山陰の風景」と名づけられたコーナーには
モスグリーンのボードに、「田後(たじり)」を
描いた三点、「風景(浜田)」「樹間(隠岐)」
「断崖と漁夫たち」という作品が集められていました。
(他に出口付近に淡いチョコレート色?の
ボードが使われていた)

  松江の学芸員に意図を確認したのでは
ありませんが、 このボードを使った背景には須田の絵は
明るさや色あいに「ばらつき」が大きく、
照明の設定が難しいという点があるのでしょう。
暗い、暗いと言われる須田の絵は、実は
その暗さが絵によってかなり差があります。
コントラストを重視した絵が多いから
同じ絵のなかで照度の違いが大きい、
また、戦前の絵は赤茶色を中心とした暖色系だが、
戦後は赤茶が消え黒が前面にでて、
そこに寒色系が混じる。中間色も増えてくる等々、
天井の低い小さなホールならスポットライト
中心に個々の作品に光を調節することも可能
でしょうが、120点もの絵を展示するのは大ホールであり、
天井も高く、 広いエリア中心の照明になります。
その対策がこの色違いのボードなのでしょう。
 濃い藍色のボードはその色が絵に
奥行をもたらしていたと思います。
「法観寺塔婆」の持つ暗さ、激しさの過剰な
部分が藍色に吸収され、絵に落ち着きと
深みを感じさせた。「水浴」「早春」も
似た効果をあげていて、良かったと思えました。
(「自画像」2点はこの配置でよかったのか、
よく分からなかった)
「山陰の風景」のモスグリーンは「田後」の
瓦の赤茶色を引き立てていて、面白かった。
「風景(浜田)」「樹間(隠岐)」では
ボードと同系色の緑が多く使われています。
そのため、絵の色彩が沈む感じがあり、ちょっと
気になりました。
 藍色、モスグリーンのボードとも
品のある色あいです。
ボードの色や展示する絵の種類によって
生じる場合もある演出臭は感じなかった。
なかでも濃い藍色のボードは展示する作品の
特徴をよく補佐している点で、好ましい
結果を作り出していたと思います。
「法観寺塔婆」が映えて見えました。
 
 昨年4月に湘南の海を臨む葉山で始まった須田展が
宍道湖の湖畔のこの美術館で終わるのは、良い
エンディングだと思います。


<島根県立美術館の須田展案内>


http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/sam/ja/exhibition/kikaku.html




コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

須田国太郎 更新情報

須田国太郎のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング