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意味がわかると怖い話。コミュの謎の行商人、陳 15 (自作、長文)

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(^^)
どうも、俺です。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


俺が死神を見るようになったのはいつの頃からだろう。


初めてそいつを目にした時は、ただのオッサンにしか見えなかった。
俺には見えているが、他の人には見えていない、そんな違和感を覚えた。

何故、そいつを死神と思うようになったか。

それは、見事なまでの黒一色で統一された風貌も去ることながら、そいつを見た時の寒気。
そして、決定的だったのは、奴を見かけたその日その場所付近で、必ずと言っていい程、死に繋がる何かが起きているからだ。

事故、事件、自殺‥‥。


切っても切り離せない確信めいたモノを俺は感じていた。

しかし、俺はたぶん大丈夫。
最善策は既に把握している。


そいつと目を合わせないこと。


目を合わせない限り、死神からこちらに近付いて来ることは、まずありえな

ドンッ!!

?『アウチッ! 痛いネッ!肩の健康な骨、今の衝撃で粉砕してしまタッ! 悲劇的展開! なんたることネッ!!』


ぼんやりと考え事をしながら夕暮れの街を歩いていたせいか、ふいに俺は人と肩をぶつけてしまった。


俺『す、すいませんっ、大丈夫で‥‥』


!!?


‥‥‥嘘、だろ‥‥‥
な、なんで‥‥‥
なんで、こいつが‥‥‥


?『痛いネ、痛いネ、痛いの飛んで行かないネッ!久し振りの登場で出オチ的展開ネッ!!』


顔を上げた俺の視界に映り込んだのは、そう、コイツだ‥‥‥



死神


?『何ワタシのエンジェルフェイス見つめてるネ? ワタシもお返しにアナタの濁りきったデビルズアイ見つめ返して差し上げるネッ!』


っ!?


しまったっ、無意識の内にコイツの顔をガン見してしまった、視線を合わせたら‥‥死ぬ‥‥‥


俺『や、やめろっ、見るなっ!!』


俺は慌てて両手で自分の顔を遮った。


?『何ネッ!! 先に見つめて来たのアナタの方からネッ! ワタシにも見つめる権利あるネッ!! 見せるヨロシッ!!』

俺『や、やめろっ、死神っ!』


俺の手を強引に離そうとする死神に対し、俺は夢中で叫んでいた。


すると、死神は、ピタリと動きを止めて触れていた俺の手を離した。


?『‥‥死神、アルカ? 』

俺『‥‥あぁ、死神だ‥‥。』



風の音も止み、静寂に包まれた。



?『くくく、くくくく、くーくくくっガハッゴハッゲハッ!!』

俺『無理な笑い方するからだよっ!!』


!?

‥‥俺、何、ツッコんでんだ‥‥‥



?『くくくく、ワタシが死神とは、面白可笑しくて、逆に笑えないネ。』

俺『おもっきし笑ってたがな。』

?『ワタシが死神なら、アナタ、さしずめ賢者と言ったところネッ!』

俺『失礼だろっ!』


なんだ、なんなんだコイツは‥‥


?『ワタシの名前は陳ネ。陳に陳と書いて陳と読む陳ネ。』

俺『陳、陳、うっせぇなっ!勝手に俺の服に名前を書くなっ!』

陳『卑猥な発言アル。』

俺『何がっ!?』


俺の服に【陳】と名前を書いていたペンを奴の手から奪い取ると、そのまま投げ棄てた。


陳『失礼したネ。 ワタシ、見ての通り魔ネ。』

俺『怖いよっ!!自白する通り魔なんていねぇよっ!見ても分かんないし!』

陳『見ての通り、ワタシ、商人ネ。今回の主人公、アナタに決まてしまたネッ! いや、決まてましたネッ!』

俺『どっち!? ってか、俺が主人公‥‥?』


いきなりの展開に、俺の思考は全然ついていけていない。

分からない‥‥‥
‥‥コイツは、何を言っているんだ‥‥‥


陳『永远伴随着你、ネッ!』

俺『ホントに何言ってるか分かんねぇっ!!』

陳『ワタシ、商人ネ。アナタにピタリの商品あるかもしれないネ。ご意見、商品を購入してから聞いてやるネ。』

俺『俺に拒否権は無いのかよっ!!』

陳『まずは、コレ、ネ。』


そう言うと、陳、と名乗る中年男性は持っていた黒の鞄から何かを取り出した。


陳『久し振りの登場、鼻が鳴るネッ!』

俺『腕、な。』

陳『まずは、コレを買うアル。』

俺『早速かよっ!選ばせろよっ!!』


取り出したのは、何の変哲もない一般的に市販されているスリッパだった。
唯一、普通の物と違う点は、スリッパの甲の部分にデジタルの数字が表示される様になっていたことだ。


俺『これは‥‥』

陳『タイムトラベルを題材にした物語、アナタ、御存知アルカ?』

俺『まぁ、有名なのは知ってるけど。』

陳『未来や過去に行って、時の観測者になる、ロマン溢れるお話ネ。』

俺『‥‥それがどうかしたのか?』

陳『‥‥この商品、名前を、タイムスリッパ言うネッ!』

俺『タ、タイム、スリッパ!?‥‥まさか、このスリッパを履くと‥‥』

陳『歩きながらにして時間が分かる便利商品ネッ!』

俺『時計じゃねぇかっ!! タイムトラベルの話、何だったんだよっ!』


クソっ、危うく騙される所だった。


陳『買わないアルカ?』

俺『買う訳が無い。』

陳『なら、コレはどうネ?』

俺『何だよ?もう帰りたいんだけど。』


今まで死神と思っていたのが、実は只のインチキぺてん師商人と知った途端、緊張はとうに無くなり、一刻も早くこの男性から離れたいという衝動に駈られていた。


陳『コレ、ネッ!』


そんな俺の心情など露知らず、奴は次なる商品を差し出した。


陳『ここで帰られたら意味無になるネ。』

俺『は?』

陳『さ、コレ、ネ。』


陳が差し出したのは、一枚の紙だった。
‥‥‥宝くじ?
いや、でも、何かが‥‥‥


!!


宝くじは宝くじでも、今発売されている物とは違う!

今発売されているのはサマージャンボ宝くじ、だ。

しかし、この紙には‥‥‥


ドリームジャンボ、と書かれている。
つまり、冬に発売される物だ。
日付は今年の物‥‥。
偽造?


陳『偽造と違うネ。コレ、正真正銘、今年の冬に、ここジャパンで発売される物ネ。』

俺『そんな冗談、騙される訳がな』

陳『タイムトラベル、ロマン溢れる物語ネ。しかし、現実にはロマンなど皆無ネ。先の未来を知り、することといえば金儲けアル。ワタシ、商人ネ。このドリームチケット、一等当たることワタシ知ていル。だから、ワタシ、持て帰て来たネ。』

俺『その話が本当だとすれば、何で、何で俺なんだよ‥‥‥。』


‥‥‥そう。

仮に、コイツの言うことが冗談では無く、本当に未来に行って当りくじを持って現在に戻って来たのだとすれば、それは他人にではなく、自分が持っていればいい話‥‥。

やはり、デマカセなのか‥‥


陳『アナタと会たの、実は今日が初めてでは無いネ。』

俺『え?』

陳『視線、いつも感じてたネ。』

俺『‥‥気付いてたのか‥‥』

陳『くくくく、ワタシ、商人ネ。』

俺『いや、商人は関係無いだろ‥‥』


まさか、コイツ、いや、陳さんも気付いていたとはな‥‥まったく。


陳『いつもワタシのこと応援しててくれてシェイシェイ、ネッ!』

俺『いや、応援、ってゆうかその‥‥』


急にしんみりとした流れになった。
陳さんのサングラス越しの目からも、潤んだ瞳が見えたような気がした。

この人は、異国の地で一人頑張っていたんだ。
それを死神だなんて‥‥‥。
俺は最低だ‥‥。


陳『だから、コレをアナタに30万円で売るネ。』

俺『タダじゃねぇーんだっ!!』

陳『当たり前ネッ!! ワタシ商人ネッ! しかも未来の一等プレミア当りくじネッ! 30万でも安井サンネッ!!タダで貰えると思てたその思考に恐怖ネッ!詐欺アルッ!!クズネッ!!人間として終わてるネッ!』

俺『言い過ぎだろっ!! 分かった、買うっ!! 今から金下ろしてくるから、待っててくれっ!!』

陳『かしこまたアルッ!! 早くするネッ! タイムイズマネー、アルッ!!』

俺『何ウマイこと言ってんだっ!!』


それだけ言うと、俺はコンビニを探して走り回った。

コンビニで、なけなしの貯金から30万という大金を下ろした俺は、その足で再び陳の居る場所へと戻った。


何故か、その場所にだけ人通りは一切無かった。

電柱に背中を預け、腕と足を組んで待っている陳を見つけた。
ホッソリとした体つきと紳士的な外見だけを見れば、渋い男性雑誌の表紙になっていても不思議では無い。


俺『待たせたな。』

陳『付け乳首垂れたネ。』

俺『まちくたびれた、なっ!!』


俺は下ろしたばかりの30万円を財布から取り出すと、陳へと手渡した。

まるで、違法な薬物を取り引きしている現場の様で、無性にソワソワしてきた。

陳は札束を受け取ると、30万円が正確にあるか数え始めた。


陳『ひー、ひー、ふー、ふー』

俺『ラマーズ法かっ!!』


金の枚数を数え終えた陳は、口の端を斜めに上げた、様に見えた‥‥。


陳『確かに、30万円受け取たネ。未来に行て来た甲斐があたネッ!』

俺『どうやって未来に行ったのかは教えてくれないんだろうな、アンタは。』

陳『くくくく、商人の秘密ネ。大事にするヨロシッ!』

俺『あぁ、せっかく大金出して買ったんだ。大事にするに決まっ‥‥』

陳『でわ、ツァイツェンネッ!』


そそくさとその場を離れる陳を慌てて呼び止めた。


俺『コレっ、中華料理屋のレシートじゃねぇかっ!!』

陳『アイヤー、なんたることネッ!!』


レシートを突き返し、本来受け取るはずの宝くじをむしり取ると、俺は陳と早急に別れ、帰宅する為歩き出した。


大通りの交差点で信号待ちをしている時でさえ、鼓動の高鳴りは収まらなかった。
再び受け取ったばかりの宝くじを取り出し、見つめる。
間違いない。
本物だ。

今まで冴えなかった俺の人生。
それも、半年後にはバラ色の人生へと輝いていることだろう。

ふふ、死神ではなく、福の神に選ばれるとはな。


車のライトも俺を祝福するかのように眩しく照らしていた。







子供『ママー、宝くじ落ちてるよー。』

母親『あらまぁ、当たるかもしれないわよぉ、取っておきなさい。ふふふ。』

子供『汚くない?』

母親『福は、案外その辺に落ちてたりするものなのよ。』

子供『はーい!了解でーす!』



交差点に差し掛かる信号付近で、親子ののどかな会話が聞こえてきていた。


セミの鳴き声が煩く響く夏の日差しを受けながら、黒いスーツを纏った男性は街の奥へと消えて行った‥‥





陳『さて、中華料理フルコースでも食べに行くとするネ。』

コメント(10)

仮に未来に行けて、当選番号を知ったとしても、ピンポイントで宝くじの当選券を手に入れるのは、無理なんだよね。 なんでそんなの信じるのかなぁ…(´-д-)-3
>>[1]

(^^)
コメントありがとうございます。
はい。死んでます。

徐々に謎が紐解かれてきています。

何故、『俺』は死んだのか。

‥‥ちなみに、『陳』という人物(?)は、これまでのシリーズに登場している『陳』とは一作毎に違います‥‥‥。
>>[2]

(^^)
コメントありがとうございます。
さすが、よくお気付きでw

ロト、シリーズでは無い限り、ピンポイントで一等当りくじを手にすることは不可能です。

つまり‥‥‥
未来に宝くじに当たった人間に死神がついて過去に遡って殺した?

>今回の主人公、アナタに決まてしまたネッ!

>本来受け取るはずの宝くじ

>>[003]
ただのオッサンから後半細身の渋い男性となってますね!

ミステリーですね!
陳さん帰ってこない!(TωT)
陳さんの新作が読みたい!!
>>[8]

アイヤー!なんたることネッ!!

お待たせして悪かたナァ。
ワタシ、ジャマイカに出張中だたネッ!!

パスポート無くしてしまた為、泳いで帰てきたばかりネッ。

そろそろ書かせるアル。
もう半年待つヨロシ(´●ω●`)
>>[009]
もう半年〜( ̄∀ ̄)
きっと陳さんなら半年を1日にできる人ほっとした顔

泳いで帰ってきた!笑
今いまながら陳さん何者Ww

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