意味がわかると怖い話。コミュの師走探偵事務所師走研吾の調査レポート(琴音さん作・合作※スピンオフ）

その日。

一本の電話で、呼び出された俺は、依頼人の家の前に立った。

小さな庭付き一軒家。築20年はいってない…SECOMは入ってる…か。
ふむ、中流の上ってところだな。

俺は、ネクタイを閉め直すと、チャイムを押した。

依頼人は、19才。女。社会人。

どうやら両親と同居しているようだ。
ふむ、…年の離れた妹もいるらしい。

美人だが、胸はない。だが…むっちりした良い足を持ってる。

…ん？治りかけてるが、顔のアザがある…よく見ると、部屋着から、絆創膏、包帯らしいモノも見える。
…交通事故にでも巻き込まれたか？

…まぁ、依頼に関係ない個人的な事には首を突っ込まないのは、セオリーだ。

俺は、依頼を恋人(婚約者)の身辺調査あたりと予想した。

依頼人である娘から話を聞いてるうちに母親と妹が帰宅してくる。

母親は、俺の顔を見るなり、挨拶もそこそこに妹を部屋に連れていった。

…俺の堅気じゃない雰囲気に一目で感付いた？
…勘の良い母親みたいだな。

「…では、調査期間は、一週間。調査費用は１日１万円と交通費、それと諸経費込みになります。」

「はい。」

「交通費と諸経費は、調査報告書と別に資料を作成して送らせて頂きます。」

「はい。よろしくお願いします。…必ず見つけて下さい。」

「はい、ご安心下さい。必ず見つけてみせますよ。…今後とも師走探偵事務所をよろしくお願いします。」

俺は、そう言って頭を下げると依頼人の家を出た。

実に奇妙な依頼だ。

それに、ああは言ったが、捜索対象の発見には、情報が少なすぎる…。

俺は、右手に握っていたメモ用紙を広げてみた。

メモ用紙には、「○○駅前の喫茶店ハピネス」と書かれてる。

依頼人の家の中で、依頼人の母親からこっそり渡されていたものだ。

俺は、とりあえず、その喫茶店に向かう事にした。

喫茶店ではすでに母親が待っていた。

どうやら、母親には、今回の依頼内容もわかっているらしかった。

「…調査協力です。」

喫茶店のテーブルの上に大きな水晶玉を置きながら、依頼人の母親は、そう言った。

「…以上の資料により、お探しの人物は間違いなく、彼です。

…以上で報告を終わります。」

…調査は、母親の出してくれた情報により、思ったよりも楽にターゲットを発見でき、身辺調査をまとめる事が出来た。
俺は、書類を纏めると、大きめの封筒に入れる。

…しかし…

霊視か…便利なモノだな。

俺は、胸は無いが、美人顔の依頼人の母親の顔を思い出しながら、煙草に火をつけた。

－エピローグ－

後日、新聞に気になる記事を見つけた。

深夜のバイク事故…ふむ…警察は事故と事件の両方を視野に入れて捜査…ね。

ふっ…事件に決まってるじゃねえか…まったく、いつまでたってもボンクラばっかりだ。

…まぁ、俺はもう法の番人じゃねえしなぁ。

…だいたい、コイツはろくなもんじゃねぇ…。
窃盗、強盗、強姦、なんでもアリの人間の…クズだ！
死んだって、自業自得だろうよ。

俺は新聞を畳むと、時間潰しのために入っていた喫茶店を出た。

「…今日も、暑くなりそうだ…。」

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