ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

意味がわかると怖い話。コミュの謎のサンタクロース、陳 2 (自作、超長文)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
(^^)
どうも、久々の俺です。


皆様、今年のクリスマスはいかがお過ごしですか?



クリスマスに因んだ心温まるお話でも………



★★★★★★★★★★★★★★★



『この木の下で、夜景見ながら願い事すると、クリスマスの日に願い事が叶うんだよ。』


あいつは、そう言って笑ってたっけ………。



12月24日
PM.10時30分



ジングルベ〜ル、ジングルベ〜ル、鈴が〜鳴る〜♪♪



この町唯一の商店街からは、11月の半ばからクリスマスまでの期間中、定番のX'masソングが流れていた。

商店街には、笑顔の絶えない家族や、高校生や大学生、社会人カップル達の姿があちらこちらに見られる。


そんな商店街のストリートを、俺は一人ポケットに手を入れながら歩いていた。

本来なら、ポケットに入れていた俺の左手は、隣に居るはずの彼女の手を握って歩いている…予定だったんだ…。

あの事故さえ起きなければ……。




恵美『友達3人とスキー行ってくるんだぁ。』

俺『へぇ。クリスマス前に、ケガして帰って来るなよな。』

恵美『大丈夫だって。お土産、買ってくるからね。楽しみにしててね。』

俺『はいよ。気をつけてな。』




恵美と友人達の乗ったバスが、ガードレールを突き破り崖下に落ちたという知らせを聞いたのは、恵美が出発した日の夜のことだった。


お土産は、彼女の死体だった。


握りしめた恵美のケータイの画面には、メール作成画面に俺宛てで


『あいいしてらゆ』


の一言だけだった。


…何だよ、あいいしてらゆ、って…。


でも、ケガをしない、ってゆう約束は守ってくれたようだった。

搬送先の病院で恵美と再会した時、傷一つ無い、綺麗な顔と体を維持していたから…。


最後のキスは、氷のようにとても冷たかったけど。




そんな訳もあって、本来恵美と二人で歩く予定だった商店街のストリートを、こうして一人で歩いている、ということだ。


商店街を抜けた先に、ちょっとした山がある。

山の上には大きなお寺があり、大晦日は合格祈願や健康祈願やらで大いに賑わう。


今日はクリスマス・イヴ。



クリスマスの日にお寺に行く人なんて、まず居ない。

だからこそ、俺は行くんだ。

恵美と一緒に見た夜景を見る為に。



10分程、暗い木々に囲まれた緩やかな階段を登った先に、その場所はあった。

恵美が教えてくれた、この町で夜景が一番綺麗に見える場所。

大きな木の下にベンチが一つだけ置いてある、簡素な休憩ポイントだ。
その先からは崖になっている為、柵が立てられている。


俺達の町を一望出来る場所。


恵美『この木の下で、夜景見ながら願い事すると、クリスマスの日に願い事が叶うんだよ。』



恵美にこの場所を教えて貰い夜景を二人で見てた時、あいつは笑いながらそんなことを言ってたっけ…。



PM.11時35分



あと少しでイヴからクリスマスに変わる。


出来ることなら、もう一度、もう一度だけ、恵美に会いたい。会って、抱きしめたい。
あいつの温もりを感じたい。


涙を流しながら、夜景を見て両手を握り合わせていた、丁度その時だった。


背後から



?『陳苦しーむ、陳苦しーむ、頭痛ーアル〜〜♪♪♪』



と、歌いながら一人の男性が近付いて来た。

振り返ると、そこに居たのは


黒のシルクハットに、黒のスーツ、黒のサングラス、それと不釣り合いな白い大きな袋を肩に掛けた怪しげな男性だった。


その風貌からは、まるで


深夜に不法投棄をしにやって来た迷惑な人間だと俺は感


?『アイヤーッ、これはまた随分と立派な夜警アルナ。警備の方アルカ?』

俺『違ぇよっ!ヤケイ違いだよっ!!』


…なんなんだ、このオッサンは……。

せっかく一人でシンミリしていた雰囲気が、一気に台無しになっちまった…。


?『警備の人じゃ無いアルカ?それは良かたネェ。で、こんな所で何してるネ?』

俺『別にいいだろ。あんたこそ、誰なんだよ?』


実際、淋しかったのかもしれない。
陽気な雰囲気のオッサンに対し、問い掛けてしまっていた。


?『このカッコ見て分からないアルカ?』

俺『不法投棄?』

?『違うネ。サンクスタロー、ネ。』

俺『サンクス…タロー?』

?『そうアル。クリスマス限定のキャラクタ、ネ。Sレアネッ!!』


男性は自らを、サンクスタローと名乗

?『陳サンがお悩み聞いてやるネ。ちょと隣、座るネ。』

俺『陳、でいいのねっ!?』


どうやら、この陽気な男性は、陳という名前らしい。


陳『では、お邪魔するネ。まぁ、邪魔なのはアナタの方アルガ。』

俺『あんただよっ!』

陳『…座り心地の悪いベンチアルナ。』

俺『俺の膝の上だよっ!!降りろっ!』

陳『アイヤー、かたじけないアル。』


くそっ

何なんだよ、このオッサンは……。


陳『固いベンチ、アルナァ。お尻が割れてしまいそうネ。』

俺『既に割れてるよっ!』


鬱陶しい……。
なんだってクリスマスの夜に、こんなオッサンと一緒に夜景見ないといけないんだよ……。


陳『浮かない顔して、どしたネ?…まるで、付き合ていた彼女が死んでしまい、生前その彼女が教えてくれた夜景の綺麗な場所で感傷に浸っている悲しげな青年みたいなオーラが出てるアルガ、そんな三流小説家が書きそうな展開、まず無いネ。で、どうしたネ?』

俺『ドンピシャだよっ!!全部合ってるわっ!!』

陳『アイヤー、そうだたアルカ……。大丈夫ネ。次は合格するネ。』

俺『何にっ!?』


本当に、なんなんだコイツは……。


陳『悩みあるなら聞くネ。話してみるヨロシ。』

俺『あぁ。……長くなるけど、いいか…?』

陳『なら帰るネ。邪魔したアル。ツァイツェン、ネ。』

俺『聞ーけぇーよっ!!』


ベンチから立ち上がりかけた陳を座らせ、俺は全てを打ち明けた。

恵美が話してくれた、願い事のくだりも…。


俺『……って、ことだよ。願い事なんて、叶う訳、無いのにな……ハハ…。』


俺は顔を下に向け、涙を流していた。


陳『…笑てしまうネ。情けないアルナ。ゆとり世代にありがちネ。』

俺『なんだと、テメ』

陳『何で、彼女サンの言た話信じてあげないアルカッ!!彼女サン、アナタだからこそ、この場所教えたのでは無いアルカッ?』


!!?


……ゆとり世代では無いが、陳の言っていることはもっともだった…。

でも、願い事なんて、叶う訳………


陳『もうすぐで日付が変わるネ。もう一度、願い事してみるヨロシ。競馬で当てるという夢を、ネ。』

俺『さっきまで何の話聞いてたんだよっ!!』



PM.11時59分



俺『もう一度、もう一度だけ、恵美に会いたい!!恵美、お願いだ!最後に、もう一度だけっ!!』


俺は、夜景を見ながら口に出して想いのたけを吐き出した。


陳『…くくくく、そんなんで現れたら幽霊ネ。…そもそも、幽霊なんて、そん、そんざ…存、在しな…い、ア、ルルルルルルルルル……』


陳は突然全身をガクガクと震えさせながら痙攣しだした。



AM.0時00分
12月25日



俺『おいっ、陳さん、大丈夫かよ、おいっ!!』


いまだ、全身を痙攣させながらビクビクと震えている陳に対して声をかける。


と、その時


辺り一帯が白く発光し始めた。


俺『えっ、え!?な、何だコレっ!?』


あまりの眩しさに、腕で目を覆った。

徐々に光が収まってきた。



腕を外し、ゆっくりと目を開いた。


俺『あ………』


俺の視線の先には、先程まで陳が座っていた場所に、……恵美が……恵美が、座っていた…。
事故に遭った当日の格好で……。



恵美『…優…?』


恵美の口からは、久しぶりに俺の名前を呼ぶ声が発せられた。


俺『は、ははは、嘘だろ…マジで……、恵美…?』

恵美『優っ!!』


俺と恵美はお互いどちらともなく近付き、抱きしめ合った。

それは、幻覚なんかでは無く、正真正銘[そこ]に実在する恵美だった。

何度も愛しあった恵美の体。
あの温もりを、今まで一度だって忘れたことは無い。


俺『恵美っ!!』

恵美『優っ!!』


俺と恵美は、泣いていた。


俺『…あいいしてらゆ、って何だよ…馬ー鹿。』

恵美『あいしてるよ、って書きたかったの!!…言わせないでよ…ばか…』


それは、まさに恵美そのものだった。


恵美『…優、ゴメンね、あたし、死んじゃった…。』

俺『ああ…知ってるよ…。すげーショックだった。今も、だけどな。』

恵美『アハハハ…。ねぇ優、聞いて欲しいの。』

俺『何だよ?』

恵美『私が消えたら、さ、…新しいイイ人、見つけなさいよ…、優、カッコイイから、すぐ見つかるよ!、うん!保証する!…アハハハ…。』


…まったく、恵美は死んでも変わらないな…。
涙、さっきよりも出てるし。


俺『…わかったよ。』

恵美『え……』

俺『ずっと、お前のこと、忘れないから。死ぬまで。ずっと、な。』

恵美『う……うん!!』


もう一度強く恵美を抱きしめた。


俺の胸に顔を埋めたまま、恵美が呟いた。


恵美『…優、そろそろ、時間……。』

俺『…例のアレ?霊だけに。』

恵美『…そ。ユーレイの、アレ。ははは。…つまんないよ…。』


そう言うと、恵美は体を離した。


俺『…恵美、最後にキスしよう……。』

恵美『え……、いいの…?あたし、幽霊だよ、死んでるんだよ?それに……』

俺『大丈夫だよ。最後のキスが冷たいまま、なんて嫌だからな。』

恵美『…分かった。本当にいいんだね?』

俺『いいよ。』


再び近付き、恵美を抱きしめる。

付き合っていた頃のように、口の中に舌を入れて絡ませる、大人のキス…。


二人でキムチを食べた後にしたキスを、ふと思い出した。


永遠とも感じられる短い時間のキス。


そして、別れの時がやって来た…。



恵美『じゃあね、優。好きになってくれてありがとう……。愛してるよ。』

俺『…ああ、俺もだよ…。ありがとう。俺が死んだら、また、付き合ってくれる?』

恵美『うん、いいよ。』

俺『ジジイになってるかもしれないぜ?』

恵美『ばか。うん、いいよ。……優、バイバイ。…また、ね。』

俺『…ああ。また、な。』



顔を胸に埋めたまま、恵美は俺に別れを告げた。
再び訪れる白い発光。


俺『じゃあな、恵美。』

『バイバイ……ネ』







12月25日


早朝。


若い青年の死体が山林の中で発見された。
死因については記載されていない。
現場には、白い袋一杯に入れられたガラクタが廃棄されていたという。





陳『サンクスタローの時期も終わりネ。しかし、あのお兄サン、どうして……………まぁイイネ。どうでもイイネ。メリーサンの羊ネェーーーー♪♪』




2013年12月25日

コメント(16)

>>[001]

(;^^)
幽霊とキスしたから魂吸い取られた、という訳ではありません。

男性の立場で考えると怖い内容です。
それまでの感動が一瞬で崩壊するくらいの…。
>>[002]

(;^^)
幸せ、だったと思いますよ、その時は…。
幸せの後に、恐怖はやって来る……
>>[003]

(^^)
何故か卑猥に聞こえますねw
一文字違うだけで、ニュアンスは大分変わりますねw
>>[007]

(;^^)
ははは…。
何を想像されているのかは分かりませんが、多分その考えは違います。
>>[008]

(^^)
コメント、ありがとうございます。

師走故、忙しい日々が続いていたのですが、X’masネタはどうしても書いておきたかったもので……。

るかさんの回答、ほぼ正解です。
『優』が、何故崖から転落してしまったのか……。

そこだけですねw
ロマンチックな話だぜぇ…。
流れ的に、彼は彼女を追って自ら崖に身を投じたと考えられます。


…が、最初はキスしたのが陳と分かってショックのあまり身を投げたのかと思いましたw
>>[011]

(^^)
正解です!
お見事です。


元々、自殺するつもりで
『優』は思い出の場所に来ました。

ですが、恵美の霊と出会い気持ちが一旦は変わったんです。

…しかし、キス…しかも濃厚なディープ……。

抱きしめていた恵美が成仏して消えた後に残るのは、それまで恵美が憑依していた陳の体…。

オッサンとのディープキス………。


余程ショックだったのでしょう…。

勢い余って崖下へ……


…それが、この話の全容です。
お見事でしたw


(;^^)
解説、いりますか?
>>[012]

ファッ?!
まさかの後者とは(笑)
いつも楽しく読まさせて頂いてます。
読んでて笑ってしまいました(笑)
陳さんとキスして自殺なんて、凄い影響力だなぁ、陳さん…。
>>[013]

(^^)
しかし、正解には違いありませんのでそんなに惨めな気持ちにならないで下さい。
おめでとうございますw
>>[014]

(^^)
ご愛読、感謝致しますw

オッサンとディープなキスをしたと思うと、俺でも卒倒しますね…。
誰もがそうだと思いますがw

ログインすると、残り4件のコメントが見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

意味がわかると怖い話。 更新情報

意味がわかると怖い話。のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング