ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

意味がわかると怖い話。コミュの終焉〜黒腹の庭のアリス 完結 (自作、超長文)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
(^^)
どうも、俺です。


長々しくシリーズさせて頂いていた

[黒腹の庭のアリス]

[〜終焉〜完結]

です。


稚拙な作品ながら、これまでご拝読頂き、誠にありがとうございました。
m(__)m



★★★★★★★★★★★★★★★



早く来てくれよ、何してんだよっ!!



…柴田さん……



目の前には、口元を吊り上げて笑みを浮かべている黒霧の姿。
目は…笑っていない。


冷たい視線が突き刺さる。

アリス『どれだけ待っても、来ないよ。ふふふ。』


っ!!


アリス『これ、なーんだ。これ。』


黒のパーカーのポケットから取り出したのは、柴田さんから渡された物だった。


アリス『便利な時代だよねぇ。これがあれば、何処に居ても分かっちゃうんだもん。隠れんぼに使われたら、絶対隠れられないよね。』


左手でそれを摘みながら、独り言の様に黒霧が呟く。


アリス『でも、邪魔なだけ……。』


そう言うと、黒霧は人差し指と親指で摘んでいたそれを潰し、そのまま床へと落とした。


アリス『竹下くんが眠ってから、すぐに見つけたんだよ?ふふふふ。』


白々しく黒霧が笑う。


アリス『そろそろ、花火やろうか……』


黒霧は、透明な液体の入った容器に目を移した。


俺『なぁ、黒霧…、この復讐劇が終わったら…、お前はどうするんだ…?自首、するのか……?』


俺は、容器の蓋に手をかけていた黒霧へと尋ねた。


アリス『…まだ終わりじゃない……』


……なんだって……?

俺で最後……じゃない……のか……


俺『それ、どういう意』

アリス『質問は終わり……。代わりに、アリスの話を聞かせてあげる。』


黒霧は容器に視線を向けながら、呟いた。


アリス『……あるところに、二人の姉妹がいました。とても仲のいい姉妹でした。妹が周りの子供達からイジメを受けていると、いつも妹を助けてくれる、優しい姉でした…』


何の話だ……

黒霧に姉は居なかった。

だが、俺はその話に横槍を入れずに黙って話を聞くことにした。


アリス『そんな姉のことが、妹は世界で一番大好きでした。でも、そんな大好きだった姉が、ある日、妹の目の前で死んでしまいました。妹にとって、それは地獄に相応しいことでした。』


どこか遠い目をしながら、雨の降る外の景色へと目を移した。


アリス『妹は、死んだ姉の姿を前にしながら、その場から走り出しました。向かった先は、姉といつも遊んでいた場所。思い出の場所……。』


この話と黒霧に何の関係があるのか……


アリス『その場所に着いてから思い出すのは姉のことばかり。いつもイジメられていた自分を助けてくれた姉。そんな姉が居なくなったこの世界…』


黒霧の目から一しずくの涙が零れ落ちた。


アリス『妹は、復讐することを誓ったのです。妹をイジメていた子供達と、姉を殺した人間に。……復讐を終えた妹は、自ら命を絶ちました。その少女の名前は……』


黒霧が床に視線を落とした。


俺『黒』

アリス『そして、あの日が訪れました。一人の孤独な少女との出会い…。その少女の悲痛な心の叫び…。少女は言いました。アイツラガニクイ、コロシタイ。ミンナ、シネバイイノニ………』


俺は出しかけた言葉を飲み込んだ…。


アリス『少女の想いと、妹の感情が一致しました。その日から、アリスの復讐は始まりました、とさ。ふふふふ。どう?意味分かった?竹下くん。』


……分からない…

黒霧による小学生時代に受けたイジメが原因の復讐ということなら、前半の話は意味を持たないことになる…。

何が言いたいんだ、コイツは……


アリス『これが、アリスのお話だよ、皆。』


黒霧は天井に顔を向けると、少し声を張って言い出した。

健次達の名前が貼られたヌイグルミでは無く、何故その方向に向かって言い放ったのか……


アリス『花火の時間だよ…。一緒に花火、やろうか。』


黒霧は、ガラスの容器の蓋を開けた。

瞬間、あの匂いが室内に広がる。


俺『や、やめろ、もう、許してくれ……黒霧…』

アリス『やめないし、名前アリスだし。ふふふふ』


バシャ……


躊躇いなく、容器の中に入れられていた液体を俺に浴びせかけた。


俺『ぶわっ、ぶっ』

アリス『この少女のお話はこれで終わり……』


マッチ箱をパーカーのポケットから取り出すと、中から一本取り出した。


俺『や…やめろ…』

アリス『やめない。』

俺『た、助けてくれ…』

アリス『助けない。』

俺『……柴田さん…』


目をつむり、死を意識した時、俺はあの刑事さんのことを思い出していた……


アリス『柴田……さん…』


俺『…え…?』

アリス『柴田さん……たすけて………』


な、何を言ってるんだ…
助けて欲しいのは俺であって……

…口調が変わった……?


雷鳴が響き渡り、激しい雷がアリスの顔を照らしていた、

その時だった。



大勢の人数と思われる革靴で走る足音が、徐々に大きくなりながら近付いて来ていた。


……遅ぇよ………



ガラガラッ!

男性『動くなっ!!警察だっ!!』


木のドアを開け、銃を構えた男性がそこに居た。


俺『柴田さん…』

柴田『遅くなったな。ケガは無いかっ?』

俺『はい……』


会った時と柴田さんの口調が違うことからも、柴田さんの心境が窺えた。


柴田『黒霧亜梨沙だなっ!?お前を連続殺人の容疑で逮捕す……………、アリス……?』


柴田さんの動きが止まった。

暗い室内で分からなかったのだろう。
次第に暗さに慣れて来た柴田さんは


柴田『なんで、なんでお前がここに居るんだよ……』

…そう言った……




俺『なんで、なんでお前がここに居るんだよ……』


そこに居たのは、アリスだった。

虚ろな顔をして教室内に佇むアリスに対し、状況を理解することが出来ずにいた。


アリス『…ふふふふ。それは、私がアリスだから…。』


意味が分からない……


俺『お前だったのか…、お前が連続殺人犯だったのか…?』

アリス『ふふふふ。』

俺『答えろっ!!』


違うと言ってくれ……


アリス『そう…。』


腕の力が抜け落ちた。


瀬戸『柴田……さん…?』


隣に居る瀬戸が怪訝な顔で俺の顔を覗き込む。

連続殺人犯を追い掛け、ようやくその犯人を追い詰めた俺の台詞としては、明らかに初対面のそれとは違っていたからだろう……。


俺『知ってたのか…、俺がお前を追っていたこと…』

アリス『追いかけっこみたいで楽しかったでしょ?』

俺『ふざけるなっ!!』

アリス『ふふふふ。なんか、サスペンスドラマみたいだね。』


その発言は、つい先日のアリスそのものだった。


俺『何故、俺を殺さなかった……?お前なら出来たはずだろ…?』

アリス『一緒に居たオジサンのおまわりさん、あの人が一番邪魔だったの。あのオジサン、アリスに近付き過ぎたの。』

俺『伊達さん…のことか……?』

アリス『ふふふふ。』


アリスは下を向き笑うと、マッチに火を点けた。


竹下『柴田さんっ、早く助けて!!』


拘束され、濡れた竹下からは、あの匂いが漂って来ていた。


俺『やめろっ!!』


アリスに銃を向ける。

こんな光景を、あの日の俺は予想することが出来なかった。

当然だ。

好きになった女が、連続殺人犯だったなんてな…。


アリス『撃てば?撃たないと、花火始まっちゃうよ。』


さながら、マッチ売りの少女の様だ…。


俺『撃たせるな…。』

アリス『ふふふふ。』


アリスは火の点いたマッチを放り投げようとし

アリス『ダメッ!!』


っ!?


教室内に居た全員が、アリスの声にビクリとし、動きが止まった。

先程までのアリスとは真逆の口調だった……。


俺『…アリ…ス?』

アリス『しばたさん……本を……燃やして……もう人を殺したく……ない…』

俺『何を言って…何を言ってるんだっ!!今まで何人も人を殺して来たのはお前だろっ!!』

アリス『私は……ありさ………本を……燃やし…て………』


アリスは膝から崩れ落ちると、そのまま俯せに倒れ込んだ……。





……はっ


俺はその場から駆け出し、アリスに近付くと、アリスの白くて細い腕に、銀色に輝く拘束具をはめた。


俺『犯人確保っ!!瀬戸、救急車だっ、早くっ!』

瀬戸『は、はいっ!!』

俺『守口は竹下をっ!』

守口『はっ!』


視線をアリスに移す。

そこには、大人のようであり、少女のようでもある彼女が俺の腕の中で意識を失っていた。


窓の外は、今も絶え間無く雨が降り続いていた。







あの惨劇から2ヶ月が経った。

警察病院の個室には、アリスが今も眠りについている。

仕事が終わってからと、休みの日と、毎日足を運んでいる。

アリスが目覚めた時、間違いなく彼女は死刑を求刑されるだろう。
それくらいの罪を、彼女は犯した。

起きて欲しく無いという想いと、またあの屈託の無い笑顔で笑いかけてもらいたいという想いが、俺の中で交錯していた。


固定概念は無くせ…


伊達さんはそう言った。


…正直、その真意は今でも分かっていない。


今日も彼女は目を覚まさない。

さながら、眠りの森の美女、といった所か……。

ふっ。

相手は[アリス]だって、言ってただろ?


さて、と。

次の事件の捜査に取り掛かるか。


俺『また来るよ。』


深い眠りに落ちている彼女に向けて声を掛けた。

そしていつものように病室を出………




病室のドアに手を掛けた俺は、再び眠るアリスに近付いた。


そして、凶悪犯罪者の唇に自分の唇を重ねた。



唇を離すと、眠る彼女に向かい


俺『来週の土曜日、花火大会があるんだってさ。……また来るよ。』


俺はベッドから離れると、病室のドアに手を掛けた。


『……花火……見たいなぁ……』


っ!?


心臓が跳ね上がる。
慌ててベッドに戻るが、彼女は起きていなかった。

……幻聴……か……?



俺『…また来るよ。』


俺は本日三度目のドアノブに手を掛け、
[黒霧亜梨沙]と書かれた病室を後にした。


外に出ると、雲一つ無い青空が広がっていた。

蝉の鳴き声が夏本番を物語っている。




患者『イッタいネッ!!確実に骨折れてるネッ!!』

看護婦『食中毒だから、骨関係無いですよっ!!』


担架に担がれた男性に対して激を飛ばすナースには、季節関係なく毎日忙しそうだ。



夏は、好きになれないな……。



ミーンミンミンミン…









とある高校にて、一人の少女がクラスメイト達からイジメを受けていた。


少女は学校の図書室に向かった。
一人になれる場所は、ここしか無かったから…。


少女はその図書室で、一冊の本を手に取った。



タイトルは



[Alice in Wonderland?]





十年後、あの惨劇が繰り返されるとは、この時誰も予想していなかった……





?『ふふふふ。私はアリス……。あなたの血の色は綺麗……?』







〜黒腹の庭のアリス〜 完




エンディング曲

[東京テディベア]
http://m.youtube.com/watch?hl=ja&gl=JP&client=mv-google&v=fh4TL3ku_8k

YouTubeより引用

コメント(15)


ありさがアリスを
乗っ取っていたんですね(。・ω・。)?

復讐できて良かったのか、
アリスの思い込みか(´・ω・`)?

アリス終わりなんですか(p_q。)
陳…さん?

あれ?ww

ヲタみんの東京テディベアいいですよね(´∀`)ノ

アリスが憑依してたんですかね?
何か切ないですね。1から読んでましたが、終わってしまうのは嬉しいような悲しいような。
陳さんもいつか完結してしまうのでしょうか笑
本にして欲しいです♪
そうしたらいつでも持ってて何回も読めます(o^∀^o)

恐いけどとっても面白かったです(*^o^*)
ありがとうございましたるんるんぴかぴか(新しい)
>>[001]
(;^^)
非常に惜しいですね。

『アリス』が、亜梨沙の体を乗っ取っていた、が正解です。

最後の最後で、一瞬だけ自我を取り戻した亜梨沙。

それは、柴田という人間の優しさに[アリス]を通して触れたからなのか…

そこは、想像にお任せします。

(^^)
はい。
完結です。

元々、こんなに長く引っ張るつもりは無かったのでw
>>[002]
(^^)
おぉ、裏に設定した要素をお当てになるとは、さすがですねw

そんな、恋愛要素も交えてみたら面白いかなぁ的なノリで作りました(笑)
>>[003]
(;^^)
やっぱり、というか、案の定、脇役で出てしまいましたね。

正解ですw←

この歌が、自分の中では限りなくこの作品に近いかな、と思い、エンディング曲として起用させて頂きましたw

(汗)
>>[004]

(^^)
今日中に、
[黒腹の庭のアリス]
の纏めを作成します。

(;^^)
陳も、いずれは終わる予定でいま

(´Д`)
陳『アイヤーッ、なんたることネッ!! 何勝手に終わらそうしてるネッ!ワタシに終わり、まず無いネ。 安心するヨロシッ!』


(;−_−)
…ということ、みたいです…←
お疲れさまでしたexclamation ×2

最後も凄く面白かったですぴかぴか(新しい)


陳さんww
>>[005]
(;^^)
超絶なお褒めのお言葉、誠に恐縮です…。

本には出来ませんが、纏めトピを作成しますので、暇潰しのオカズにして下さいw

(^^)
お読み頂き、ありがとうございました。

m(__)m
>>[010]
(^^)
そう言って頂けると、長々と引っ張って来た甲斐がある…かなぁ…(笑)

お読み頂き、ありがとうございました。
m(__)m

陳謝←
>>[011]
わぁー☆今年一番嬉しいです(*´∀`)
どうもありがとうるんるん
まとめトピ楽しみにしていますo(^-^)o

コピペして永久保存したいです(*^o^*)

>>[013]
(;^^)
コピペすると、かなり長くなりますよw

解説後に載せます。
解説。


(^^)
元々、今はコミュニティを退会された元メンバー様を題材にして去年の夏に作り始めた作品でした。


内容解説ですが、今までの
[黒腹の庭のアリス]シリーズをお読みになった方なら分かると思います。

ということで、纏めトピにて、解説をさせて頂きます。
疑問、質問はそちらで承ります
(オイ)←
m(__)m


以上…。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

意味がわかると怖い話。 更新情報

意味がわかると怖い話。のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング