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意味がわかると怖い話。コミュの謎の行商人、陳 9 (自作・長文)

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(^▽^)
どうも、俺です。


久し振りに、本職である商人稼業に復帰したようです。

今宵も、凄惨たる恐怖を…………。

※純粋な意味怖が好きな方は読まない方が宜しいので、あしからず……。
m(__)m



★★★★★★★★★★★★★★★




胡散臭い中国人っぽい奴に絡まれた挙げ句、待ち合わせ時間に遅れた俺は、彼女からの怒りを買ってしまった。

必死に謝ったが、待ち合わせの時間を1時間以上遅れてしまった俺に、弁解の余地は無かった。


彼女は顔を赤くさせると


『永遠にさよなら』


と、捨て台詞を吐き、
俺の前から去って行った。

カランカラン……


春の風が頬を撫でる。


…全部……、
あいつのせいだ……
あいつに関わらなければ…………


取り返しのつかない後悔は、押し寄せる波の如く俺を襲っていた……




―――1時間前―――



[遅刻したら、許さないからね]


彼女からのメールに


[大丈夫だよ。もし遅れたら死んでやるよ(笑)]


と、いつものように返信する。
毎度のことだ。

今まで一度だって待ち合わせ時間に遅れたことは無い。
むしろ、俺が彼女を待つ方だ。

と言っても、彼女はピッタリ時間通りに来る為、遅れた訳では無いのだが。


俺は服を着替え髪型をセットすると、待ち合わせ時間に余裕で間に合うように1時間前に家を出た。



春の暖かさが心地好い、日曜の午前。

そんな爽やかな陽気に不似合いの男性が、道の端で何やら本を読んでいた。


黒のスーツ、黒のサングラス、黒のシルクハット、黒のネクタイに、黒の鞄を持つ男性の風貌からは、まるで

ブラックリストに掲載されている組織の裏切り者を今から消しに行くのではないか、と思わせる様な険しい視線を感

男性『今日の晩ご飯は、スパゲテー納豆ライスにするネ。』


なんだ…
単なるレシピ本を読んでいただけか。


俺は男の前を通り過ぎようとし

男性『お兄さんは、納豆にはネギトロ入れる方カ?』


本を読んでいた男性は、顔を上げると俺を見つめながら問い掛けて来た。


俺『…え、俺?』

男性『そうネ。』

俺『いや、ネギトロは入れないが、長ネギは入れるかな。』

男性『気が合うナ。ワタシも、納豆にはマヨネーズ派ネ。』

俺『ネギ関係ねぇっ!』


何だ、この男は…。


男性『そんなお兄さんに、とっておきの物、あ』

俺『悪いけど、あんたに付き合ってる時間無いんだ。じゃあ。』


胡散臭い人間に付き合う程、俺もアホでは無い。

しかし


男性『お願いネッ!絶対後悔させない誓うネッ!なんなら、今すぐお兄さん殺してもイイネッ!!』

俺『怖いよっ!!あー、分かったよ。で、何だよ?』


あまりの必死さに根負けした俺は、男性の話に付き合うことにした。


男性『シェイシェイ、ネ。ワタシ、こういう者ネ。お兄さんに足りない物はワタシがお売りするネ。』

俺『こういう者って、どういう者だよっ!!名刺無いのかよっ!!』


男性はしゃがみ込むと鞄を開けて中を漁り出した。


俺『早くしてくれよ。待ち合わせに遅れちまうから。』

男性『ワタシの名前は陳ネ。多少遅れてもワタシ怒らないから安心するネ。』

俺『あんたの名前は聞いて無いし、あんたに怒られる意味が分からないんだが。』


男性は鞄から一冊の本を取り出すと、俺に手渡した。


俺『何だ、この本は?』

陳『商品リストネ。欲しい商品この本から選ぶヨロシ。』

俺『カタログかよっ!後日発送って、いつだよ?』

陳『早くて、再来年ネ。』

俺『遅いよっ!!』

陳『なら、2年後には届くようにするネッ!』

俺『同じだよっ!!』


…なんだ、このオヤジは…

ふざけてるのか天然なのか、分からない。


ざっとカタログに目を通したが、これといって心を惹かれる物は無かった。


俺『悪いけど、特に無いわ。じゃあ、俺行くから。』

陳『そうか、それなら仕方ないネ。なら、お兄さんにコレあげるネ。』


そう言うと、陳は胸ポケットから何かの紙切れを取り出し、俺に手渡した。


俺『何だ、コレ?』

陳『ワタシの名刺ネッ。』

俺『順番逆だよっ!!いらねーよっ!!』


俺は渡された名刺を遠くの方へと投げ飛ばすと、その場を立ち去った。


陳『あーーーっ、なんたることネーーッ!!』



そんな陳の声を背後に聞きながら、俺は待ち合わせの場所に向かい歩き出した。


変なオヤジに絡まれたが、そんなに時間は経っていない…は……ず………

…え………?



目を疑いたくなるような光景が目に映り込んできた。

腕時計で時間を確認すると、時間は家を出た時間から一分と変わっていなかったのだ。

慌てて携帯を開き、時間を確認する。



ッ!!!



……ありえねぇ…


彼女との待ち合わせの時間は、とうに過ぎていた。

また、余裕だと思いオヤジに付き合ってしまった分、プラスで遅刻だった。


俺は慌てて走り出した。



―――現在―――



彼女は顔を赤くさせると


『永遠にさよなら』


と、捨て台詞を吐き、
俺の前から去って行った。


…全部……、
あいつのせいだ……
あいつに関わらなければ…………





陳『こんな所にあったアルカ。…それにしても、今日は赤いランプの車が多いナ。平和な証拠ネッw』



男性は草むらから紙切れを拾い上げると、大きく伸びをした。




↓関連トピック↓

[陳、総まとめ]
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=73181687&comm_id=6037562&guid=ON

コメント(15)

へ、平和じゃないよ陳さん!!
((((゜д゜;))))
彼氏くんヤバいですけど!!←
>>[001]

(^^)
ご明察です。
正解です。

教訓として、みだりに自らを陥れてしまうような発言はしない方がいいよ、ということですw

(^^)
ボケに安心してしまうところが、クールですねw

>>[002] ☆sunlight☆さん

(^^)
陳にとって、非日常的なことが、平和という定義になっているようです。
彼氏は既に…ですね。

>>[003] バタ吉in狭小菜園さん

(^^)
『赤い霊柩車』とは、また渋いですねw
実際、赤い霊柩車なんぞ存在しませんけどね。
>>[004]

(^^)
相変わらず、細かい部分までお読み頂き、ありがとうございます。
カタログの内容が充実していたからなのか、カタログの内容に対して一々ツッコミを入れていたからなのか、とにかく2時間は経過していますねw

陳に関わってしまった人間の共通点として、時間の感覚が鈍くなるという事例も挙げられています←

>>[005] みまふぃる。さん

(;^^)
グルメ…というより、
味覚音痴に近い気がしますw
>>[007]

(;^^)
怖いですよ…w
実際に存在していたら、間違いなく消防車と勘違いしそうですね。
もしくは、郵便配達の車w


陳さんの「なんたることネーーー!」がめっちゃ面白い(^^)笑
なんたることネーーーexclamation ×2

数えれば行商人シリーズだけど9回もやってるなんてるんるん
(´ω`)人(´ω`)ステキぴかぴか(新しい)


さあさあ寄ってらっしゃい
見てらっしゃいグッド(上向き矢印)
お代は見る前に払ういいネるんるん
(*´ω`*)



ジロ先生、今回もさすがです
ヾ(・∀・)
>>[014]

(;^^)
陳化してますよ…w

実質、9回では無く11回は『行商人』としての話を書かせて頂いています。

俺の作る話はどれも暇潰し程度なので、そこまで称賛されると、なんだか申し訳無い気持ちになりますね。
(^^)
ですが、とても嬉しく感じています。
今後も、陳を宜しくお願いしま

(´Д`)
陳『褒められてしまタッ!なんたることネッ!!衝撃的展開ネッ!!』

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