意味がわかると怖い話。コミュの真冬の旅館vol.15(last)(ゆっくり南郷さんver)

肩から血を流し座り込んで何かを考えている和也。

(思えば始まりはあの旅行代理店だったんだろうな…パンフレットは最新だった。そう当時は…僕たちは『仕組まれた』ということになるんだろう。この旅館やスキー場の状態…惨状を見せる為に…)

和「…そこにいるんですよね？出てきてくださいよ。高嶋さん。」

高『気づいておったか…』

和「えぇ…これもあなたが仕組んだことなんでしょう？高嶋さ、いや…あなたはだれなんです？」

高『まずはストックを崩し怪我を負わせたこと謝るよ…悪気はなかった。これまでのことも… 』

和「教えてもらえませんか？何故このようなことを…」

翔「待てよ…その話は俺にも聞かせてもらうぜ。」

和「翔太！？なんでここに？彩香は、李吹に付いてろっていっただろ！」

翔「すまない。どうしても話を聞きたくて…」

和「でも！」

高『大丈夫じゃもう何も起こらん。全てを話す。』

高『かつてこのスキー場と旅館はそれなりに有名なスポットだった。通が好む秘境の旅館だった。あの事故が起きるまではな…』

翔「あの事故？」

高『君たちがまだ生まれる前…当時の報道にはほぼ載らなかった隠された事故がな』

和「観光客、従業員全員を行方不明にしたあの雪崩事故ですか？」

高『知っておったか…？どこでそれを…？」

和「以前図書館の古い新聞の記事を読んだことがあります。ここだと確信したのはついさっきですが…」

高『そうか…続けるぞ。あの事故は全てを巻き込み旅館とスキー場だけを残した。』

翔「そんなことが…じゃあ俺達が旅館やスキー場で起きたことは一体」

高『当時、その場所であったことが甦っている…いやそこに縛られた霊が起こしている…儂も
加担してな。知ってほしかった…何があったか
を…』

翔「じゃあ旅館の床が水浸しなのも血が廊下に広がっていたのも当時の面影を見せるために…気をつけろといったのもあまり深くを知るなといったのもすぐにくるといったのも…」

高『気をつけてといったのはこういうことが起きるからと注意させるため、深く知ってしまって逃げられるとまたやり直し、すぐにくるといったのは起きた全てのことは霊が仕向けたことだったからだ。』

和「パンフレットを旅行代理店に置きあたかも最新の物にしたのもあなたですね？」

高「儂は誰かの身体に入り込み、行動を操ることでこの場所に誘うことを思い付いた。あの旅行代理店の店員を操ることで…』

和「ここに来る途中木々に付いていた傷は雪崩のあとですね？」

高『そうじゃ。この場所は当時のまま…すぐには悟られぬように食品に関しては新しい物にしていたがな。』

翔「だからって知らせるにしても、人を驚かせるやり方間違ってるぜ！」

高『すまないと思ってる。風化させたくなかった。その思いでいっぱいだった。本当にすまん。』

和「あとひとつ…翔太には高嶋、李吹には松崎と違う人物を見せていた。あれは？」

高『儂は三人の霊の集合体。女将も松崎も儂なんじゃよ。もちろん高嶋もな』

和「そうですか…にわかには信じれませんがこれが真実なんでしょうね…」

高『忘れんでほしい…ただそれだけじゃった。初めてだよ。ここまで来てくれたのは・・』

李「和也くん！翔太！」

翔「李吹？どうし‥李「彩香が！大変なの！」

高『まずい‥彼女は霊が集まりやすい体質らしい。事象を起こした霊が集まっておるのかもしれん…』

和「彩香！」

翔「李吹、俺達も…！」

李「うん！」

その後高嶋さんの力により彩香の身体に集まった霊は全て祓われた。そして再度高嶋の口から全てが語られた。

高『君たちには本当にすまないと思っている。
こういうやり方は間違いだった。しかし伝えることは出来た。これでこの場所の時間はうごきだす…』

そういうと高嶋さんの身体は薄くなっていく。

高『ようやく成仏できそうだ…皆も一緒にやっと…』

和「高嶋さん…忘れませんよ。こんなインパクトある歴史語りは初めてでした。」

高『ありがとう…』

そういうと高嶋さんの身体は消えてなくなった。

李「すごい体験しちゃったね…」

彩「でも今まで知られずに辛かったんだろうな…」

翔「何人もの命が眠ってるんだな…この場所に…」

和「やっと進むんだね。この場所は未來へ…」

李「帰ってきちゃったね。温泉楽しみだったのに…」

彩「貴重な体験できたからよしとしようよ。」

和、翔「…」

李「どうしたの二人とも、帰り道一言も喋らなかったじゃない？」

和「味気ないけど…」

翔「このタイミングはおかしいかもな…」

和「彩香…

翔「李吹…

李、彩「なに？」

和、翔「聞いてほしいことがあるんだ…」