意味がわかると怖い話。コミュの謎のサンタ、陳 (自作・長文)

(^▽^)
ＤＯＭＯ、俺です。

今年のクリスマスプレゼントは何かな♪

クリスマスネタでも。



★★★★★★★★★★★★★★★



12月24日〜X'mas・ｲｳﾞ〜



都内では珍しく、雪の降るクリスマス・イヴとなっていた。

街中では、ホワイト・クリスマスに心を踊らせるカップルで盛り上がっている。

高校三年生の俺はというと……。

けっ、
くだらねぇ。

『クリスマス』なんて、所詮は企業による売上向上に便乗した陰謀に過ぎないんだよ。

クリスマス・イヴに女性と過ごさなけりゃいけないなんて、誰が決めつけたんだ。

だいたいサンタクロースなんて、想像の人物で、この世に居るわきゃ無いんだよ。
ソリが空を飛ぶ？
笑わせるぜ。

赤鼻のトナカイ？
見たことねーし。

立派な髭を生やした赤い服を来た、フォフォフォとか笑う老人？
薄汚いジジイじゃねーか。

くだらねぇ。


彼女と12月14日に別れた俺は、クリスマスに嫌悪感しか抱いていなかった。


いつものように自宅で家族3人揃って夕飯を食べた。

ローストチキンと、ケーキが食卓には並んでいた。

一緒に寿司が出ていたのには違和感を抱いたが…。


そして、23時40分。


ベッドに入り、寝る準備を整えた俺は、残り20分少々でクリスマスを迎える世間を尻目に、目を閉じて眠りについた。



―――23時59分―――



ガシャン



……ん……、なん…だ？


窓の割れる音で、俺は閉じていた目をぼんやりと開けた。

！！

暗い部屋の奥の窓の傍に、もぞもぞと動く人影が視界に入った。

まさか、泥棒…？
そんな…、よりによって、何で俺の部屋に…？

俺は寝たフリを決め込み、薄目でその様子を見ていた。

目が慣れて来た。

徐々に、窓の傍にいる怪しげな人間の輪郭が分かってきた。


大きな白い袋を肩にかけた、黒のシルクハットを被り、全身黒のスーツを身に纏った人間がそこに居た。

窓の傍で、先程からもぞもぞとしている様子から、窓にズボンが挟まったのだろうか…？

下手に起き上がり、声を出すと何をされるか分かったものでは無い。

俺は目を閉じて、寝たフリを続けた。


モゾめいていた音がしなくなり、足音が近付いて来た。

スタ、スタ、スタ

スタ……。


足音は、俺のベッドの右脇で止まった。

目を閉じていても感じる視線。

俺を見ている…。


まさか、こいつがサンタクロースなのか？
まさか！

何処の世界に窓ガラスを割って侵入して来るサンタが居るというんだ。

仮に、サンタクロースだとするのなら、このまま俺を起こすことはしないだろう。

俺は、寝たフリを継続させた。

傍でガサゴソと物音が聞こえる。
音が止み、静寂が続く。

早く、どっかに行ってくれ………。


人の気配が、俺の顔のすぐ傍まで近付いて来たのが分かる。

大丈夫、こいつがサンタクロースだとすれば、何もして来ないし、話掛けて来るということは、まずありえな

『起きるネ。』


っ！！


俺は、奴の予期せぬ行為に、体をビクつかせてしまった。


男『寝たフリ、バレてるネ。』

俺『あ、あなたは一体、誰ですか？』

男『サンクス・タロー、ネ。』

俺『…太郎、ありがとう？』


黒のサングラスを身につけた男は、自らを、サンクス・タローと名乗っ

男『陳ネ。以後、タローでいいネ。』

俺『どっちだっ！！』


男は、どうやら陳という名前らしい。


俺『何しに来やがった？』

陳『今日は何の日か、ご存知カ？』

俺『ク、クリスマス？』

陳『キリストさんの誕生日ネ。』

俺『まぁ、そうだな。』

陳『プレゼント、売りに来たネ。』

俺『押し売りかっ！』


どうやら、この男はクリスマスに便乗した押し売り業者のようだ。


陳『いいから、起きるヨロシ。』


俺は、ゆっくりと体を起こした。


俺『住居不法侵入で通報するぞ。』

陳『くくく。まずはコレ、ネ。』

俺『……。』


俺の話には聞く耳を持たずに、陳は白い袋から物品を取り出した。


陳『コレ、ネ。コレ、自転車のサドル、ネ。座り放題ネ。』

俺『本体はっ！？』

陳『ワガママ、ネ。次はコレ、ネ。コレ、あなたが欲しがてたi-podに付いてたイヤホン、ネ。』

俺『だから、本体はっ！』


その後も、陳は袋から物品を取り出したが、そのどれもが本体とはセットでは無い、付属品ばかりだった。


陳『最後はコレ、ネ。コレ、喜ぶヨロシ。○ケモンのソフトとセットのPSPネ。』

俺『機種違いだよっ！』

陳『うるさいガキネ！親が起きて来たらどうするネ！！』

俺『好都合だよっ！』

陳『カー、憎たらしいガキネ。ワタシ、頭来たネ。もう帰るネ。』

俺『これは、どーするんだよ？』

陳『くれてやるネ。』

俺『いらねーよっ！って、おい、そっちは』

陳『良いお年を、ネ。』

俺『MerryX'masじゃないのかよっ！！』


そう突っ込んだ時には、既に陳は部屋には居なかった。

あいつは一体何者だったんだ…。

…ってか、ちょっと待て！

俺は慌てて陳の後を追ったが、陳の姿は何処にも見当たら無かった。


狐につままれたと思いたかったが、割れた窓ガラスと、散らばっている物品が、現実だと物語っていた。



翌日、終業式の為、俺はいつものように学校へと向かった。

3連休明けの為か、友人達の顔は皆、疲れているように見える。

いつも自転車登校している代雲は、何故か今日は歩きで登校している。

クリスマスイヴに、カノジョと宜しくしていたのか、自転車を漕ぐ気力も無いようだ。

いつも音楽を聴きながら登校している沢入は、終業式ぐらいしっかりしようという心の表れか、音楽を聴かずに登校していた。




教室に着くと、いつも席でゲームをしている山内が、珍しく今日はゲームをしていなかった。