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小説、短編をつくってみたコミュの信じる者は6

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 とあるカラオケボックスの一室


「ちわーっす。先輩久しぶりですねー。あ、鉄夫さんお久しぶりっす」
「おーっす。お前もこいつに呼ばれたのか?」
「そうなんですよ〜。夏の準備で忙しいっていうのに」
「あら?そんな事言って良いの?折角良いネタあげようと思ったのに」
「ゴチになります。あ、私ビールとたこ焼き頼みますけど何か頼みます?」
「俺はいいよ、この後戻らなきゃならないし」
「あはは、現職警官が飲酒で仕事してたら大問題ですもんね。そんじゃ頼みますよー」
「で、俺まで呼んでどういう風の吹き回しだ?」
「何よ?不満なの?」
「いや、お前が俺を呼ぶときってロクな用事じゃ無いからな」
「じゃあ帰って良いわよ」
「・・・」
「冗談よ。この前の借りも有るしね。アンタに借りっぱなしってのが気に入らないの」
「借りって、この前の誘拐事件の事ですよね?」
「そ、誘拐事件の真相の揉み消し及び捏造」
「外国人グループによる人身売買目的の児童誘拐。大したもんね、よくそんな替え玉用意できたわね」
「金を払えば何だってやる人間だって居るって事だよ。小遣い貰えて、三食仕事付きの場所に行けるか、下手すりゃ国に強制送還ってとこだろ?そのへんよく知らねーけどよ」
「あ、ビール来た。こっちでーす」
「で?俺等を呼んだ理由って何だ?」
「保険金詐欺の容疑者の情報。はいコレ」
「なんだこれ?」
「詐欺師の住所と名前」
「なんでコレをお前が?」
「ウチに来たからよ?」
「お前に結婚申し込んだのか?勇気有るな」
「アンタ殺すわよ?」
「まーまー。で、っていう事はこの人先輩とこの客ですよね?客売って良いんですか?」
「ただのお客さんならね」
「ほう」
「と、いう事は何か有ったと?」
「ん、商品買ってその人がどんな使い方しようと、私は基本的には関与しないんだけど、その後もお店に来て色々と好き勝手喋ってくれたわよこのボケナスは」
「何が有ったんです?」
「この店の商品じゃ商売として成り立たないとか、僕がこのお店を持ち直させてあげようとか、君を愛人にしてやるとか、今度大金が手に入るからハワイに行こうだとか」
「あ、やっぱり口説いたんだ」
「コイツ口説くなんてホント根性あるな」
「後、ウチの従業員に適当な事言って、挙句彼はなってないからクビにした方がいいよとか、何様だっての!」
「まーまー、落ち着いて」
「あのお店は、私がリリィさんから受け継いだ大事な形見なんだから、私がコレって決めた人にしか譲らないんだから!」
「んで?コイツを洗えば証拠が出てくると?」
「簡単に出てくると思うわよ」
「ふーん。まあいいや、あたってみるよ。サンキューな」
「あれ?もう帰るの?」
「一応仕事中だからな。市民様はよく見てるんだぜ?すぐにサボってるって電話が掛かってきやがる」
「そうなんだ・・」
「そんじゃあな」
「ん」
「お疲れーっす」
「さて、私も何か飲もうかな」
「そういや、あの二人はどうしてます?」
「店番してもらってるわよ」
「いや、そうじゃなくて。何か進展ありました?」
「何も無いわよ」
「何だつまんない」
「最近少年がちょっと落ち込んでるみたいだけどね」
「誰にもチョコ貰えなかったんだ。可哀想に」
「私はちゃんとあげたわよ?」
「ウソ!」
「失礼ね、私はそういうイベントは大事にする方なのよ」
「じゃあ、さっきゅんに振られた?」
「違う違う、例の詐欺師に変なこと吹き込まれたのが原因っぽい」
「あー、何かそんな事も言ってましたね。どんな事言われたんです?」
「婚約者が不治の病で、その愛する婚約者の苦痛を一秒でも短くしたいからウチに来た。みたいな事」
「うわーベタベタですねー、今時三文小説でもネタにならない様な安いネタですねー。で、それを真に受けて先輩の所で働くのを続けるか悩んでると?」
「あの子はそんな馬鹿じゃないわよ。ソイツの言った事が嘘だって位見破ってるはず」
「じゃあなんで?」
「あの子は・・いや、あの二人は優しすぎるからね。人間的に汚い部分を垣間見ちゃったんだろうね」
「なるほど、自分が結婚詐欺の片棒を担がされた、と思っちゃったんですかね」
「それも違うかな」
「と、言いますと?」
「ソイツの言葉を嘘だと見抜いても、その先は見えなかった、んー、見たくなかったから、途中で見ること自体を辞めちゃったって感じかな」
「先輩の表現は、いつも回りくどいです」
「む。たぶんね、男は婚約者と別れたかった、でも別れ話をしたくなかったからウチに来た、そしてウチで呪いのアイテムを使って婚約者を殺した。って感じに間違った見方をしたんだと思う」
「随分と都合の良い解釈ですね」
「あの二人は優しいからね」
「でも、なんでそんな事で落ち込むんですかね?」
「信じられなかったんでしょう。結婚まで約束する程愛した人を殺すって事が」
「あー人間不信ってヤツですね」
「でも、たぶん少年の方は本当の理由に気が付いてる」
「だから余計に落ち込んでると」
「気が付いてても、信じたかったんでしょうね。その人を」
「なんか若いですねー」
「信じる者は救われるってね」
「それ本気で言ってます?」
「さあね。でもあの二人には救われて欲しいかな」
「先輩も甘いですよねー」
「うるさいわよ」


信じる者は 完

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