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こみや'S創作長編物語集コミュの天使と悪魔の運命図〜序章〜

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「…約束だ!マリア!」
ふと目を覚ました。
またいつもの夢…麻里亜は部屋を出て一階のリビングへと向かう。
「あぁ、おはよう麻里亜」父だった。
「…おはよう」
歯を磨きに洗面所へと入り歯ブラシにチューブを当てた。
「ねぇ、お父さん」
「あ?またいつもの話か?」
「まだ何も言ってないじゃない」
「あれは早朝だった。お前がオギャアと生まれた瞬間、雀達が歌うように鳴いたんだ。」
「そうそう、私にも聞こえた。」
母が台所から顔を出す。
「その時俺は思ったね。ああ、この子は天使に違いない!俺のマリア様だ!!、で、麻里亜って訳。」麻里亜は歯磨きを終え、食卓につき白けた顔でコーヒーをすする。
「今だってその気持ちは変わらないさ!俺のマリア様〜〜」
エスカレートし盛り上がる父を尻目に、麻里亜は玄関へと歩いていった。
「麻里亜、忘れ物。」
ポン、と母にお弁当箱を渡される。
「…ありがとう」

田中麻里亜。普通の高校一年生だった。
家を出ると雀が鳴いている。2.3羽の雀が麻里亜の歩く先に止まった。
「…人間にそんなに近付くと危ないよ。」麻里亜は呟く。昔から雀に好かれた。
ラジカセのスイッチを入れ耳にイヤフォンを当てる。
放課後。
「せーんせい!」
「あら麻里亜、こんにちわ」
英語の先生はハーフだ。麻里亜は入学した頃からこの英語の先生が好きだった。
「お邪魔かしら?」
「いいえ。今テストの採点が終わって一息ついたところよ。」
先生は微笑んだ。
「今朝、また夢を見たわ。」
「ああ、王子様の夢ね。」
「そんないいもんじゃない。」
麻里亜はうつむく。
「恋人の一人くらい作ってみたら?」
「煩わしい。」
麻里亜は語った。
「昔はこんなひねくれてなかった。子どもの頃はそれはそれは楽しい人生だったわ。誰も信じてくれないけどね、雀が肩に乗ったりしてきたのよ!」
「信じるわ。」
先生は頷く。
「それが成長するにつれ何で生きてるんだろう。私って誰なんだろう。考えるとどんどん分からなくなった…。」
「誰もが通る道よ。」
先生は真面目に答えた。
「そうかしら。周りはみんな楽しそうだわ。恋人を作ったり、おしゃべりしたり。」
麻里亜はうつむいた。
「私が変わってるのかな…」
「私はそうは思わないけど。」
先生が笑う。
「…不思議。先生には何でも話せちゃう。」
麻里亜はラジカセを取り出しスイッチを入れ、イヤフォンを耳に当てた。
「また聞いてるの?」
先生が笑う。
「うん!すっごく気に入っちゃった!」
先生の好きな曲を教えてもらったら、自分もとても好きになったのだ。
「帰るね。さようなら。」
「さよなら、また明日。」
麻里亜は学校を後にする。
雀達が鳴いていた。
これから起こりうる運命の出逢いを示唆するかの様に…

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