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こみや'S創作長編物語集コミュの8,隠された真実に奇跡の命

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「うわぁ!可愛いね〜!」

友達の家の産まれたばかりの赤ん坊をまじまじと見つめた。

スヤスヤ眠っている。

「へへん。だろ〜!こいつは俺の家来となるのだ!」

「いいな〜弟!」

ふいに泣き出した赤ん坊を抱いておばさんは話す。

「フフ。隆治君は優しいからいいお兄ちゃんになるわ。お父さんとお母さんにお願いしてみたらどうかしら?」

ウギャアアと本気で泣き出した赤ん坊をハイハイとあやしながらおばさんは笑っていた。



「う〜ん。義也君家あの子で三人目だよね?」

「そうだな、上に兄貴と。ハハ!全部男だぜ!」

「な〜んで家には…」

兄弟が居ないんだろう?

「う〜ん。」

義也君がニヤリと笑う。

「ご無沙汰なんじゃねぇの?」


ご無沙汰……


晩御飯はカレーライス

いつもお父さんが帰って三人でご飯を食べる。

「ねぇ」

「ん?」

お父さんとお母さんは食べながら聞き返した。

「弟か妹が欲しい。」

ゴホッ!!

お父さんとお母さんは同時にむせてガンガンと胸を叩いた。

「ご無沙汰なの…?」

ブハァ!!!

アチャー…またやった…

「哲哉!!テメェハンバーグの次はカレーかよどっちにしろ汚ぇんだよ!!」

「仕方ねぇじゃねぇかよこいつが…こいつが変な事言ってくる…」

「何が変なんだよ!俺はお兄ちゃんになりたいんだよぉ〜」

次の瞬間

テレビで流れたのは…

キスシーン

キスなら見たことがある。

ボーっと見ていた。



長い…

いつまでやるんだろう…

男の手が動いた所で

お父さんとお母さんがハッと気付き慌ててリモコンを奪い合いテレビのスイッチを消した…。

「…何で消すの?見たい」

「10年早ぇよ!!!」

何でこんな必死なんだろう…


夜寝ようとした時だった。

「隆治」

お父さんだった。

「ちょっと話すか」

お父さんは俺の横にあぐらをかいて笑った。

「本当の事話すよ」

え……

「ご無沙汰って訳じゃあねぇんだ。ただ自然に…」

お父さんがふと寂しげな顔をする。

「出来なかったんだよ。下の子は…」

言葉が…出なかった。

「お前一人授かっただけでも幸せだよなぁってな。父さんも母さんもあまり問題視しなかったんだ…だけどお前が…そんな気持ちでいるなら俺達も!」

パァン!とドアが開いた。

「お…お母さん…」

「いっちょ頑張ってみるか!てな」

お母さんはニヤリと笑った。

「ほ…本当に…?」

「あぁ」

お父さんとお母さんは声を揃える。

「弟か妹…作ってくれるの…?」

「任せとけ!!!」

「ウワァやったぁ!言ってみるもんだねぇ!嬉しいなぁ〜!」



数日後

朝起きるとお母さんは面倒くさそうに体温計を脇にはさんで膝を立てていた。

「おぉ隆治おはよう」

「おはよう…お母さん熱でもあるの?」

「い〜や。こうして赤ん坊が出来やすい時期を探ってんの!」

そうなんだ…

「大変なんだね…」

「いいや。これくらい。ただ…」

「ん?」

「母さんもあまり若くないからな…駄目だった時は…ごめんな」

お母さん…

「謝る事じゃないよ…」

思わず口に出た言葉にお母さんは目を丸くした。

「お前優しいなぁ〜母さんに似たんだ…」

「違います〜!俺に似たんです〜!なぁ隆治!母さんに似たらこんな優しい訳ないよなぁ!」

「言ったな哲哉ぁ!!」

ギャハハと笑うお父さんの胸ぐらを掴みお母さんは…

フッと笑った。

「あ…あれどしたの?ここ怒る所だぜ?」

お父さんは拍子抜けする。

「いいや。幸せだなぁと思ってよ」

お母さんは柄にもなく照れた。




「義也君!義也君!」

「あ?どした隆治」

「家にももしかしたら弟か妹が出来るかも知れない!」

「おぉマジか良かったじゃねぇかよ〜」

ふと

疑問が湧いた。

「ねぇ義也君…」

「あ?」

「こどもってどうしたら出来るのかな」

ブッと義也君は吹き出す。

「俺は兄貴いるからな〜色々聞いてんけど!そうだな〜夜中覗いて見たらぁ?」

「え」

「父さんと母さんの部屋!」

義也君は意味深な笑みを浮かべた。




数日後の晩だった。

「哲哉!今日!今日だよ今日!」

「あ、ほんとに〜」

「え!何が何が!?」

「い〜や何でもねぇ」

お父さんはすましてお茶を飲む。

「あ!分かった!今日こども作るんだね!!!」

ゴホッ!

お父さんは吹き出しかけたお茶を必死に手でふさいだ。

「お前…何でそんな勘が…」

「見たい見た〜い!」

バァン!!と

二人は同時にテーブルを叩き俺を睨んだ。

「死んでも覗くな」

目が本気だった…


夜中。

俺はぐっすり眠って…


いる訳がなかった。


「寝てるな?大丈夫だな?」

「あぁ。寝てる寝てる、よし哲哉勝負!」

「だから何の勝負だよ〜」

笑いながら寝室に二人が消えた瞬間。

ガバリと布団から飛び起きた。

見るなと言われたら見たい!!!

そぉっと寝室に

俺は迫り扉を少しだけ開けた。

お父さんと…

お母さんは……




翌朝。

俺はもう言わずにいられなかった。

「俺見ちゃった昨日の夜!」

ガシャアン…

二人のナイフとフォークがカランと床に落ちる。

「な…何を…?」


二人とも顔がひきつっていた。

「こどもってああすると出来るんだね〜!」

ガタンとお母さんは立ち上がりお父さんを引っ張り影でヒソヒソ話し始めた。

「お前…最悪の事態が起きたぞどうするよ!親の面目丸つぶれ…」

「ちょっと待て今解決法を…」

「でも凄いねー初めて見たよ!」

ビクッとお父さんとお母さんが震える。

「あ〜んな…」

「や!止めてくれ言うな…!!」

「長いキス!」




「…は?」

「前テレビでもしてたもんね!長いキスをするとこどもが出来ちゃうんだね!」

「み…見たのって…」

「え?もう分かったからすぐ寝ちゃったけど?」

俺は一人謎が溶けてニコニコしていた。

「おい…良かったじゃねぇかキスだけで済んでよ…」

「冗談じゃねぇよ十分恥ずかしいよ!寝室に……」



「鍵を付けよう」



数ヶ月後だった。

「ただいまぁ…ウワァ!」

お母さんが玄関前で腕を組んでいた。

「フフン。隆治、やったぜ?奇跡が起きた!」

「え…?」

「病院行ってきた!妊娠したんだよ!赤ん坊が出来たんだよ!お前!お兄ちゃんになるんだよ!!」

嘘…!!!

「お母さぁん!」

ギャハハとお母さんと抱き合った。



時は緩やかに流れた。

お母さんは予定日が近付き入院。

お父さんは…

ずっと部屋でタバコをふかしていた…

気のせいかあまり嬉しそうでない…


バナナをかじりながらお父さんに話しかけた。

「何で元気ないの…?赤ちゃんが産まれるんだよ?」

「あ!い、いや!母さん居なくて寂しいな〜なんてな!」

フゥン…

ポイッとバナナの皮をゴミ箱に投げた。

ガシャンとゴミ箱が倒れる。

「あぁやっちゃったぁ」

ゴミを直していた時だった。

クシャクシャの

紙を見つける。

…なんだコレ?

「あ!お前それはっ!!」

お父さんが慌てて取り返そうとするも俺はその紙を広げた。

「…母さんの手紙だよ」




恐ろしい内容だった…

「お父さん…」

震える手でお父さんの体を掴む。

「ど…どうしよう!どうしようどうしよう!俺がっ!俺が兄弟欲しいなんて言ったから…俺…俺…ゴメンよぉ〜!!!」

ウワァァと俺はガタガタ震えて泣いた。

「ップ!」

…え?

「アハハ!!」

何で笑うの??

「お前考えろ!何でこの手紙が捨てられてたと思うよ?万里の取り越し苦労だ!せっぱつまって書いたんだろうがよ、しっかりお墨付きもらってる!大丈夫だ!安心しろ万里も赤ん坊も無事に帰ってくる!!!」

瞬間

ルルル…

電話が鳴った。

ガタンとお父さんは走るように電話を取る。

「もしもし…あぁ…あぁ…分かった」

電話を切ったお父さんが叫んだ。

「行くぞ隆治!産気づいた!!」

「…うん!!」






何日何時間待ったろう…

気付けば哲弥お兄ちゃんの膝で眠っていた…


「俺も入りたい!」

「ダメだ!お前はここで哲弥兄ちゃんと待ってろ!!」


心地よく眠る俺を誰かが起こす。

「起きろ、起きろ隆治」

「…ん?」

「産まれたよ…」

「お父さん!!」

「可愛い…」

ゴクリと唾を飲む。

「妹だ!」

「アハハお母さん凄いや!名前はもう…」





数週間後お母さんは無事退院した。

「しっかしお母さんも意外と可愛いよね〜あんな手紙思い詰めちゃって!本気でびっくりしたんだから!」

「え。」

「だよな隆治ー!母さんちょっと間抜けだよなぁ!」

ギャハハとお父さんと笑った。

お母さんは…

キョトンとしていた。




「行ってきまーす!」

「はいよ行ってらっしゃい!」

お父さんとお母さんが笑顔で答える。

フフッ。可愛い妹!

…と!縦笛忘れた!

慌てて家に戻りドアを開けた時だった。

「なぁ哲哉…あの手紙…」

お母さん?

「なんで嘘になってる?」

え。

何を…

何を言ってるの……?

お父さんは答えた。

「先に俺が見付けて捨てた。もしそうなった時に…」

《哲哉、隆治へ》

「隆治に自分を責めて欲しくなかった…」

《今回の出産はかなり難産になりそうでな》

「そっか」

《母さん助からないかも知れないんだ》

「お前らし…」

《隆治、私がそうして強くなった様に》

「てのは建前で…」

《お前も強くなれ》

「俺自身受け止められなかっ…」

《母さんの分まで》

お父さんが泣き出した瞬間。

赤ん坊も大泣きし始めた。

《父さんと赤ん坊を頼むよ》

「良かったぁ…本当に…良かっ…無事で…本気で怖かったっ…」

《お前達をいつまでも空から見てる》

「ったく!どっちをあやせばいいんだよ!」

お母さんはため息をついた。

《こいつは多分女だなぁ。名前は…》

「万里…万里ぃ…俺…」

《優里がいいな…強く優しい子になって欲しい》

「悪ぃなぁ優里…」

お母さんは泣きじゃくる優里をベビーベッドに寝かせ

《母さん本当に幸せだったよ》

「母さんこっちの赤ん坊の方が…」

《ありがとう…》

「愛しいみたいだ…」

《哲哉、愛してる》

お父さんの頭を優しく抱きしめた…

《お前と出逢えた事は》

ウワァァと響く優里とお父さんの泣き声に

《私の全てだったよ…》

お母さんはただただ微笑み涙を流していた……





「アサリはちゃんと石を出せっつってんだろうがよ!何年主婦やってんだテメェ!!」

「うるせぇよ!!石の1つや2つで死ねるもんなら死んでみろ!イチイチおーおーげーさーなーんーだーよ!!!」


フフッと俺は今日も笑う。

高校生になった。

あの時寝室であのキス以降行われたであろう出来事も

翌朝の両親の狼狽ぶりも

全て理解出来るようになり

悪気はなかったにせよ

悪かったなぁなんて思う。

戸惑う優里を見てそっと席を立ち二人で家を出た。

「ねぇお兄ちゃん…」

「ん?何だ優里?」

「家のお父さんとお母さん喧嘩ばっかだねぇ…」

寂しげに優里は呟く。

「何で結婚なんかしたんだろう…」

優里は小学二年生。

あの頃の俺を見ているようで少し笑えた。

「…何が可笑しいの?」

「いいや。今夜にでも話してやろうか?家の両親がどれだけ…」


父さん。母さん。俺は逆立ちしてもあんたらみたいにはなれねぇよ。優里を…大切にする。本当にありがとう…。

コメント(12)

あ〜もうなんでこんなに、この夫婦はステキで感動的で面白くて・・・
誰がモデルでも、やっぱりすごいわ、こみやさんぴかぴか(新しい)
ますちゃんさんへ
あ、本当ですか?良かったぁ目がハート本当は矛盾がたくさんある穴だらけの素人小説ですほっとした顔この時代にそんな危険なお産は存在するのか?とかあせあせたらーっ(汗)ついつい二人目のこどもを作ってしまいましたあせあせアハわーい(嬉しい顔)あせあせ(飛び散る汗)
るいーじさんへ
ハイ一時帰宅して参りましたわーい(嬉しい顔)揺れるハートこんな時間にも寝れないと言う不規則な生活ですあせあせたらーっ(汗)イヤァデ○ープキスとどうしても書くのが恥ずかしくて笑長いキスでいいや!とあせあせ←毎回適当ッスあせあせたらーっ(汗)アハあせあせあせあせ(飛び散る汗)

こみやチャン帰って来てたんだぁ〜
知らなかった(^^;)
戻って来てくれてありがとうほっとした顔クローバー
自分のペースで焦らないように小説書いてねハート

ところでぇグッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)やっぱりこの夫婦大好き目がハート幸せな気持ちになった揺れるハート揺れるハート揺れるハート
さゅさんへ
ありがとうございますわーい(嬉しい顔)今実は精神科に入院してまして今は外泊なんですよ。だからしばらく物語はかけないかと思いますが気長に待っていて下さいねウインク
あんぬさんへ
ありがとうございますわーい(嬉しい顔)ムード万里シリーズはかなりあるのでまた見てやって下さいねわーい(嬉しい顔)
あ〜ぁexclamation ×2
万里シリーズだぁうれしい顔ハート達(複数ハート)
万里大好きだし、あたしの目標なのでメッチャよかったです
マコ☆マコ☆さんへ
ありがとうございますわーい(嬉しい顔)ムード万里シリーズをご存じとはコアな方ですねむふっ万里は人気者なんで嬉しいですわーい(嬉しい顔)ハート
無事産まれて良かった〜ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)本当、妊娠・出産は色々なドラマがあるもんね(^o^)v

私も自分の出産思い出してしまったよ(〃⌒ー⌒〃)ゞ
ayakaちゃんへ
ありがとうわーい(嬉しい顔)ハートここで万里を殺したりしたら大変だときっちりハッピーエンドにしておきました!ここんとこ物語浮かばなくてサボってるけどまた読んでねほっとした顔ハート

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