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こみや'S創作長編物語集コミュの山辺君の仕掛けた甘い罠

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高校生になった。


へへ。鏡で髪を整える。スカートは少しだけ短めに。根が真面目なのであまりあか抜けた派手な格好とまではいかないけれど…


身なりが気になりだしたのは

好きな男の子が出来たから。

きっかけは席が前後になった事。

彼はカッコいいが私は一目惚れはしない。


ある日英語で彼は指された。

聞いていなかったのだろう。

答につまっている。

私はそっと答を書いた紙切れを後ろに回した。

彼はそれを答えた。

「よし、座れ。」

トントン。

背中を叩かれる。

「サンキュー!」

小声で彼は囁いて笑った。

素敵な笑顔…

胸の奥底を鷲掴みにされた。

山辺誠也君。


けれど私は…


彼が女の子と歩いているのを見たことがあったのだ。

叶わない恋…。



ある日の授業中。

トントン。

また背中を彼に叩かれた。

「消しゴム二つ持ってない?」

ど…どうしよう!

1つしかない…

私は…お気に入りだった消しゴムを半分に割った。

「はい」

「えっ…これ…割った!?ごめん!」

「いいよ」

二人で笑いあった…

幸せだ十分。付き合えなくても…

そう思っていた。



あれは帰り道だった。

外は大雨。

ふと傘立てを見ると…あれ?

今朝さしてきた傘がない…

誰かが間違ってさしていったのかな…

どうしよう。

すると。


「どうしたの?傘忘れた?」

山辺君だった。

「いや…今朝さしてきたんだけど…なくなっちゃって…」

彼はあり得ない答を返してきた。

「俺のに入っていきなよ。家まで送る。」

え…!?

「そ!そんなの誰かに見られたら付き合ってると思われるよ!彼女可哀想だよ!」


「彼女なんて今はいない。そう思われても構わない。」

え。



「今の告白に聞こえなかった?」

うそ…………

相合傘での帰り道。

「私も山辺君が…好きだった…」

「え!?本当に!?嬉しー!」

「うん…私も…嬉し…」

「肩濡れちゃうよ?」

山辺君が私の肩を引き寄せる。

慣れた手つき…

これ以上近付かないで…

心臓が壊れそう…

私の心とは裏腹に山辺君は私の顔を間近にのぞきこむ。

「可愛いよなぁほんと〜」

や…やだ!

山辺君の顔がより近付く。

これは…あれだ!キ…キスをされる!

私は覚悟して目を思いきり閉じた。

「ップ!!」

え?

「アハハ!!溝端さん可愛すぎっ!腹痛いっ!ハハ!キスなんて付き合い初日でしないよ〜ん!俺好きなもんは最後に食べるタイプな…」

ボロボロ泣き出した私に山辺君は固まった。


「私…私…男の子となんて…付き合ったことないし…なんで…なんで笑うの?自信なくなったよ…山辺君と付き合ってく自信な…」

山辺君は傘をほり投げて私を思いきり抱き締めた。

「ごめん…そんなこと言わないで…。」

初めて男の子に抱き締められた…

あったかいな…

雨と涙でグチャグチャの私の顔を両手で覆い山辺君は優しくキスをしてくれた…。

「これで良かった?」

「うん…うん…」

「あ〜あびしょ濡れだ!最悪のファーストキスだなぁ」



「は…初めてなの?」

「そうだよ!最初のキスくらい本当に好きな子としたかったんだよ!」

真っ赤になってうつ向いた山辺君が可愛いかった…


噂は飛ぶように広まった。


山辺君に私のようなタイプの彼女が出来たのは初めてのようだった。

ある時。

北島君というクラスメイトに話があるから放課後残って欲しいと言われた。

なんだろう…

山辺君に事情を話し先に帰ってもらった。

「何かな?」

「俺…溝端さんが好きだ」

「え」

「ずっと好きだったんだ!」

迷わず答えた。

「気持ちは嬉しいんだけど…ごめんなさい。今付き合ってる人が…」

「山辺だろ。あいつはやめといたほうがいい。」

え…

「俺中学からあいつと一緒なんだ。あの顔だしモテる。女はとっかえひっかえ飽きたらポイだ。あいつにとって女なんてその程度のもんなんだよ!溝端さんだってそのうち傷付く!俺山辺の後ろの席だろ?英語はあいつ得意なんだ!答が分からない訳なかったんだ!消しゴムだってそうだ!あいつ自分のちゃんと持ってたぜ?きっかけは雨の日だろ?あの日の昼休みあいつどこいくんだって付けていったら誰かの傘を移動させてた!溝端さんの傘だよ!全部偶然を仕組んだあいつの罠だったんだ!あんな男…溝端さんに似合わない!」

山辺君……

瞬間北島君に腕を掴まれた。

「キャッ…」

抱き締めてくる。

好きでもない男の子の体温に寒気がした。

助け……

「その辺で止めてくんねぇかなぁ?俺の彼女なんだけど!」

山辺君だった。

「北島君…離して…」

蚊の鳴くような声で呟いた。

「全てが罠だったとしても…そこにかかった私は幸せなの…明日山辺君の気が変わって捨てられてもいいの…今山辺君が好きな気持ちは変えられないの…」

北島君の腕が緩む。

私は山辺君の胸へと走った。

「怖かったな。」

「うん…うん…」

涙がボロボロこぼれた。

「北島…お前の言った事は90%真実だ!俺は女をとっかえひっかえ最低な男だった!けど今は違うんだよ…本気で…初めて本気で守りたいってこいつの事を思ってる!お前には渡せない!」

山辺君は私の手を引いて歩き出した…。

「あいつの言った事…間違いじゃないんだ…遊び人で…俺…でも溝端さんに惚れちゃって…あれこれ小細工したのも全部…」

「罠はかけた人が悪いんじゃない。」

「え?」

「かかった人の負けなんだよ!」







「ねぇお母さん!」

「なぁに真菜」

「この消しゴムなぁに?なんで割れてるの?なんで飾られているの?」

「この消しゴムはね、お父さんとお母さんなの。」

首をかしげる真菜に微笑んだ。

「いつか分かる時が来たら話すわね」


「ただいまぁ!」

「あ!お父さんだぁ!!」


駆けていく真菜の後ろ姿に幸せを重ねた。


誠也君。幸せですか?私は本当に幸せです、ありがとう…。

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