実務家からみた司法試験コミュの「新　刑事手続３２００２年」

１２年前の本ですが問題意識はいまも共通しています。

新　刑事手続Ⅲ
２００２年６月１０日　第１版第１刷発行
編　者　三井誠，馬場義宣，佐藤博史，植村立郎
発行者　須藤忠臣
発行所　株式会社　悠々社
ＩＳＢＮ４－９４６４０６－７８－６
Ｃ３０３２

目次

はしがき
文献略称

Ⅵ　証　拠

４２　自由な証明と厳格な証明
　裁判の立場から　　裁判　出田孝一
　　自由な証明とは／
　　簡易公判手続における証明の位置いかん／
　　量刑事情の取調手続いかん／
　　弁論の全趣旨を事実認定の資料とすることができるか
　コメント１　　　　検察　尾崎道明
　コメント２　　　　弁護　寺島秀昭

４３　事実認定
　裁判の立場から　　裁判　門野　博・福崎伸一郎
　　はじめに／
　　事実誤認が争われたのはどのようなケースか／
　　事実認定を行う際の型（パターン）にはどのようなものがあるか／
　　事実認定を行う際の困難はどこにあるか
　弁護の立場から　　弁護　秋山賢三
　　事実認定の目的をどう考えるか／
　　事実認定の現状は満足すべきものか／
　　誤判原因とその解決策／
　　正しい事実認定のための「注意則」とは何か／
　　自由心証主義の実践則・職業裁判官に対する十戒
　検察の立場から　　検察　本江威憙
　　事実認定をめぐる今日的問題は何か／
　　正しい事実認定を行うための条件は何か／
　　長期裁判と裁判官の交替にはどのような弊害があるか／
　　検察官はどのような心構えで事実認定を行うべきか

４４　状況証拠による事実認定
　裁判の立場から　　裁判　木口信之
　　状況証拠とは何か／
　　状況証拠による事実認定における問題点は何か／
　　状況証拠による事実認定の観点から審理上留意すべき点はないか
　コメント１　　　　検察　渡邉一弘
　コメント２　　　　弁護　佐藤博史

４５　証人尋問をめぐる諸問題
　検察の立場から　　検察　稲田伸夫
　　証人の記憶の正確性について留意点は何か／
　　鑑定人を尋問する場合の留意点は何か／
　　通訳を介しての尋問の留意点は何か／
　　外国に所在する者の証人尋問の留意点は何か
　コメント１　　　　弁護　笠井　治
　コメント２　　　　裁判　植村立郎

４６　鑑定をめぐる諸問題
　裁判の立場から　　裁判　長岡哲次
　　鑑定の契機は何か，その実情はどうか／
　　鑑定事項はどのように定めるべきか／
　　鑑定資料の範囲，相当性についてどう考えるべきか／
　　鑑定人選任についての問題点は何か／
　　鑑定結果についての評価はどうあるべきか，再鑑定の契機は何か／
　　その他
　コメント１　　　　検察　岩村修二
　コメント２　　　　弁護　櫻井光政

４７　精神鑑定，法医学鑑定，事故原因鑑定
　裁判の立場から　　裁判　岡部信也
　　矛盾する精神鑑定をどう評価すべきか／
　　法医学鑑定の評価に当たり考慮すべき点は何か／
　　事故原因鑑定の信頼性を確保するために留意すべき点は何か
　コメント１　　　　検察　山下貴司
　コメント２　　　　弁護　北潟谷仁・神山啓史・佐藤博史

４８　同一性確認の鑑定
　裁判の立場から　　裁判　登石郁朗
　　はじめに／
　　ＤＮＡ型鑑定について／
　　臭気選別について／
　　筆跡鑑定／
　　毛髪鑑定／
　　声紋鑑定
　コメント１　　　　弁護　岩田　務・笹森　学
　コメント２　　　　検察　渡辺咲子

４９　自白の証拠能力
　裁判の立場から　　裁判　川上拓一
　　はじめに／
　　自白法則の根拠は何か／
　　違法収集証拠排除法則と自白法則とはどのような関係にあるのか／
　　自白の証拠能力が問題とされる場合としてどのようなものがあるか／
　　自白の任意性の立証はどのようにして行うのが適当か／
　　おわりに
　弁護の立場から　　弁護　古賀康紀
　　自白の任意性とは何か／
　　自白の任意性の判断基準の不明確性と捜査の必要性への傾斜は何を
　　もたらすか／
　　「自白の任意性」の概念の再検討と「取調規則」ないし
　　「取調準則」定立の必要性はどうか／
　　自白の任意性に関する審理についてはどうか
　コメント　　　　　検察　渡邉一弘

５０　自白の信用性
　裁判の立場から　　裁判　山崎　学
　　問題の所在はどこにあるか／
　　どのような事項を信用性の判断基準とするか／
　　どのような資料を用いて信用性を判断するか／
　　共犯者が自白することによって得る利益・不利益をどのように
　　考えるべきか
　弁護の立場から　　弁護　小幡雅二
　　自白の信用性を考える場合に何が問題か／
　　自白の信用性の判断基準はどうあるべきか／
　　自白内容の合理性とは何か／
　　秘密の暴露についてどう考えるか／
　　客観的事実との整合性とは何か／
　　自白の変遷をどうとらえるか
　コメント　　　　　検察　大場亮太郎

５１　補強証拠
　裁判の立場から　　裁判　朝山芳史
　　補強法則は裁判例においていかなる機能を営んでいるか／
　　補強法則は実務上いかなる意義をもつか
　コメント１　　　　検察　三浦　守
　コメント２　　　　弁護　小幡雅二

５２　伝聞証拠〔１〕
　　　　――書面に残された伝聞証拠
　裁判の立場から　　裁判　山崎　学
　　問題の所在はどこにあるか／
　　伝聞法則不適用の根拠は何か／
　　原供述の存在自体から直接事実あるいは間接事実を認定する
　　場合はどうか／原供述の存在が原供述者の心の状態等を推認
　　する間接事実となる場合はどうか／
　　一定の状況下で発言された原供述であるため，その事実性がある程度
　　担保されている原供述の内容を要証事実とする場合はどうか／
　　判例はどのような状況を示しているか
　コメント１　　　　検察　松本　裕
　コメント２　　　　弁護　佐藤博史

５３　伝聞証拠〔２〕
　　　　――供述の中にある伝聞証拠
　裁判の立場から　　裁判　宮崎英一
　　伝聞証言とは何か／
　　共謀の成立過程における共謀者の発言を内容とする証言に証拠能力
　　は認められるか／
　　被害状況に関する幼児の説明を内容とする母親の証言に証拠能力は
　　認められるか／
　　捜査段階の被告人の自白を内容とする捜査官の証言に証拠能力は
　　認められるか
　コメント１　　　　検察　松本　裕
　コメント２　　　　弁護　鳥毛美範

５４　供述調書の役割
　裁判の立場から　　裁判　平谷正弘
　　供述調書とは何か，どのように記載すべきか／
　　供述調書の役割は何か／
　　供述調書そのものが証拠となるのはどういう場合か
　コメント１　　　　検察　本江威憙
　コメント２　　　　弁護　丹治初彦

５５　証拠手続の諸問題
　裁判の立場から　　裁判　上垣　猛
　　事実にふさわしい証拠調べとは何か／
　　弁護人の冒頭陳述につき考慮すべきことは何か／
　　立証趣旨に拘束力を認めるべきか／
　　証人が持参した資料に基づいて証言しようとした場合，
　　どう対応すべきか／
　　被告人自身に反対尋問をさせることは妥当か
　コメント１　　　　検察　稲田伸夫
　コメント２　　　　弁護　中山博之

５６　違法排除法則
　裁判の立場から　　裁判　三好幹夫
　　違法排除法則の理論的根拠は何か／
　　違法排除法則は憲法上の要請か／
　　証拠排除の要件は何か／
　　その後の判例はどう動いたか／
　　違法の重大性の判断にいかなる事情が考慮されたか／
　　二段階判断構造のもたらしたものは何か／
　　その他の問題について
　弁護の立場から　　弁護　清水保彦
　　違法排除法則の根拠・目的をどう考えるか／
　　違法排除法則の運用の現状をどうみるか／
　　どのような証拠が排除されなくてはならないか／
　　違法排除の申立適格をどう考えるか
　コメント　　　　　検察　松下裕子

５７　共犯者・共同被告人
　裁判の立場から　　裁判　菊池則明
　　弁論の文理・併合の基準は何か／
　　共犯者・共同被告人事件の審理上，留意すべき点は何か／
　　共同被告人の公判廷での供述の証拠能力はどう考えるべきか／
　　共同被告人の供述調書の証拠能力はどうか／
　　一部の共同被告人の公判期日不出頭の場合にどう対応すべきか
　コメント１　　　　検察　稲田伸夫
　コメント２　　　　弁護　佐藤博史

Ⅶ　上訴・再審

５８　上　訴
　裁判の立場から　　裁判　川口政明
　　上訴の目的・機能について／
　　上訴審の審理構造について／
　　事実認定に対する上訴審の審査はどのようにあるべきか／
　　上訴審の審査の及ぶ範囲について／
　　不利益変更禁止の原則について
　コメント１　　　　検察　戸田信久
　コメント２　　　　弁護　岡部保男

５９　控訴審の構造
　裁判の立場から　　裁判　久保眞人
　　控訴審の構造，目的をどうみるか／
　　審判の対象は何か／
　　職権調査はどこまで及ぶか／
　　事実の取調べはどこまで許されるか／
　　破棄自判の構造をどうみるか
　コメント１　　　　検察　渡邉一弘
　コメント２　　　　弁護　秋山賢三

６０　控訴審の審理
　裁判の立場から　　裁判　長谷川憲一
　　控訴審における被告人の地位はどのようなものか／
　　控訴審において，新たな主張・立証はどの程度許されるか／
　　量刑不当の判断基準はどのようなものか
　コメント１　　　　検察　馬場義宣
　コメント２　　　　弁護　木村　壮

６１　上告審
　裁判の立場から　　裁判　大渕敏和
　　上告理由の「憲法違反」とは何か／
　　上告理由の「判例違反」とは何か／
　　４１１条の調査はどのようにされているか／
　　職権判断はどのような意義を有するか／
　　特別抗告はどのように適用されているか
　コメント１　　　　検察　戸田信久
　コメント２　　　　弁護　内山成樹

６２　準抗告
　裁判の立場から　　裁判　大谷剛彦・高木順子
　　準抗告審の対象は何か／
　　申立権者は誰か，申立ての利益はどのように判断されるか／
　　準抗告審において新事情・新資料を取り調べることができるか／
　　４３０条の準抗告をめぐる問題は何か
　弁護の立場から　　弁護　松下祐典
　　準抗告の意義をどのように考えるか／
　　どのような場合に準抗告ができるか／
　　準抗告の運用をどうみるか／
　　準抗告はどうあるべきか
　コメント１　　　　検察　稲田伸夫

６３　再　審
　裁判の立場から　　裁判　小西秀宣
　　再審制度の現状はどうか／
　　再審は第４審か／
　　「疑わしきは被告人の利益に」の原則のもつ意味いかん／
　　再審（請求・公判）手続はどのようにとらえるべきか
　検察の立場から　　検察　森本和明
　　再審制度の運用状況／
　　再審請求手続における証拠開示のあり方／
　　再審開始のための心証の程度／
　　確定事件の記録が廃棄された後の請求への対応／
　　刑の言渡しの効力の消滅と再審
　弁護の立場から　　弁護　岡部保男
　　本項の要旨／
　　無辜の不処罰が絶対的鉄則／
　　再審は誤判救済制度／
　　わが国の再審請求制度は機能不全である／
　　機能不全の原因／
　　機能不全回復のために／
　　結論

［解　説］　三井　誠
判例索引
執筆者紹介